クラブ全般について(代表取締役社長 仙田信吾)

 サンフレッチェ広島 社長の仙田でございます。

 2020シーズン、サンフレッチェ・ファミリーの皆さまには、ご自身がコロナ禍で大変な状況にありながら、私どもへのご支援、ご声援をいただき、誠にありがとうございました。私どもは皆さまに強く背中を押していただき、何とか乗り切ることができました。

 振り返ると、昨年2月23日のホーム開幕戦は、難敵・鹿島に3対0で快勝し、キャンペーンが成功してお客様も前年から5,000人増えて約19,000人の方にご来場いただくなど、大きく盛り上がりました。しかし、今年はいけると思った矢先、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、2月26日(水)からすべてのJリーグ公式戦開催が見送られました。7月4日(土)からリモートマッチ(無観客試合)で再開されたものの、その後も席の間隔を空けるなど、制限の下での開催となりました。

 この間、選手は自己管理に努め、オンラインミーティングを通じて体調と結束を確認し合い、SNSなどを駆使してステイホーム、感染対策を広く訴えました。フロントは、お困りの飲食店に向けてテイクアウトの紹介特設サイトを設置するなど、社会貢献に努めました。スタジアムの感染対策を専門家にご視察いただいたり、激務の医療機関に感謝の手振りをすることなどは、Jリーグでも初めてで、全国ニュースにもなりました。

 私たちはファミリーの皆さまに、シーズンパスや年間指定席の払い戻しをするとともに、これを寄付してくださいと誠に身勝手なお願いをいたしました。これに対し、6割を超える方が応じていただき、感激しました。Jリーグ平均は3割程度だったとうかがっています。

 そのうえ、さらに選手たちが声をあげたクラウドファンディング「円陣プロジェクト」のお願いもいたしました。私自身、躊躇もしましたが、「サンフレッチェが生活の一部だ」「命だ」といった熱いお言葉をいただき、私たちはなくてはならない存在だと、改めて意を強くし、勇気をいただきました。目標金額を大きく超えることができましたことを、重ね重ね、心より感謝申し上げます。

 2021シーズン、私たちは引き続き、広島を愛する人々と心を一つにし、広島を守り、支え、元気づけていくという想いを込めた『Save HIROSHIMA』の活動に継続して取り組みます。

 今年のチームスローガンは、「積攻 SEKIKO CONTINUE OUR BELIEF」です。昨シーズンは、「積み重ねてきたもの」をベースに、チームとして「積極性」をさらに求め、より「攻撃的」なサッカーを目指す姿勢を『積攻』と表現し、スローガンに掲げましたが、この求めるサッカーが形になりつつあります。勝ちきれるチームになるため、目指す姿勢を変えず、信念をもって積み重ねを継続し、前に進み続けるという思いを込めて、前年の「積攻」を踏襲し、『積攻 SEKIKO CONTINUE OUR BELIEF』としました。

 また、先日の新加入選手記者会見の折にお話ししましたが、これまで「ファン、サポーター」としてきた表現を、今後は「サンフレッチェ・ファミリー」という言葉に統一させていただきます。皆さまとサンフレッチェ広島が一緒になってコロナ禍を乗り越えるという強い希望と、私たちが皆さまをファミリーと思っていることの表明、そして、私どもへの応援の裾野を広げていきたいという想いもあるものです。

 ここで、サンフレッチェ広島の経営状況をお話しいたします。令和2年度は、約7億円の売上減となり、約3億5千万円の赤字となる見込みです。入場料が激減、ただし、広告売上は、前年より大きく伸ばしました。

 今年度は、赤字の予算を組まざるを得ないスタートになります。これまで賞金や選手の移籍金など蓄えてきましたが、この2年間で使い果たし、債務超過となる可能性がある非常に厳しい経営状況です。これが正直な実態で、早急な対応をいたします。

 この緊急事態を受けて、フロントの組織改革を2月1日付で行いました。社員全員のベクトルを、売上アップ、収支改善に向ける目的です。フロントは今シーズン、全力で収支改善に取り組み、危急存亡の危機を乗り越える所存です。社内連携の強化にも努めます。この厳しさは、多くのJクラブも同様です。

 一方で今季のチームの戦いは、かつてない厳しいものとなります。東京五輪の影響で、特に前半戦は非常にタイトなスケジュールが組まれ、J1リーグは20チームでの戦いとなり、シーズン終了後には4クラブが降格します。

 コロナ禍で試合が消化できなかった場合、みなし開催のルールが適用されます。これは、代替試合を含め開催できなかった場合、敗戦とみなすルールです。

 私たちは、この環境下で戦い抜いていきます。強化部の努力や選手個々の力の底上げで、充実した陣容で臨むことができます。まずはJ1にしっかりと残留することです。残留を確実にしたうえで次のステップに向かい、その中で3大タイトルを目指すシーズンにしたいと思います。

 今年の新機軸をご報告いたします。

 主役の舞台・エディオンスタジアムを、いっそう楽しんでいただける場にいたします。スタジアム内の演出時間を増やし、ハーフタイムのイベントなど強化することといたしました。

 選手に広島県内23市町の「応援大使」になってもらい、広報誌やSNSで、担当する市町を紹介していき、訪問する活動も行っていきます。選手が顔の見える関係に、いっそう身近に、が目的です。

 著名な方にファミリーになっていただくことも予定しています。発表は開幕後になりますが、サンフレッチェ広島と新スタジアムが目指す理想を、共有していただける方です。サンフレッチェは、チームワークを大切にし、助け合い、団結し、そして真摯に育てられてきた選手の集合体で、J1の中でかけがえのないクラブです。新スタジアムは、こだまする歓声が被爆からの復興を象徴し、欧米からの観光客にとっては国際平和を体感できる場所になります。どなたになるか、どうぞお楽しみになさってください。

 グッズにも力を入れます。コラボライセンス商品を増やし、普段使いのお店にも置いていただけるように少しずつしていきます。

 DAZN加入の大幅増加も目指します。Jリーグからの強化配分金を増やし、チーム強化につなげていきたいと考えておりますので、どうぞ、ご協力をよろしくお願いいたします。

 また、広島サッカーの歴史の深堀りを続けていきます。昨年は、ホームページに広島サッカーの歴史を紹介し、東洋工業サッカー部を前人未到の4連覇に導いた監督 下村幸男さんを取り上げました。今年は、同じように被爆しながら、サンフレッチェ広島初代総監督を務め育将と呼ばれた今西和男さんを取り上げます。昭和20年代初頭の広島サッカーの様子を収めた占領軍のフィルムも見つけました。ホームページだけでなく、多くの人の目にふれる場所で、サッカー王国広島の歴史を紹介していきます。

 もうひとつは、時代が私たちに追いついてきたと実感するということです。

 SDGsに加えて、ESG投資という言葉が定着してきました。「E(環境)S(社会)G(企業統治)」ですが、この「社会」という観点で、私たちが取り組む公益的活動の成果を可視化できれば、私たちに賛同して支援していただくことが、当該企業の優れた評価につながり、投資の対象になるという時代になってきました。例えば、学校に通えなくても私たちのサッカー教室なら笑顔になれる、スクールがコミュニティ構築に貢献しているといった私たちが地道にやってきたことが、認められる時代が来たということです。この流れをうまくとらえていきたいと考えます。

 サンフレッチェ広島は新たなチャレンジとして、WEリーグに参入いたします。

 WEリーグの理念である「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」に賛同したものです。コロナ禍の影響で経営環境は厳しく困難な道ですが、サンフレッチェ広島は、男子もJリーグ初年からのオリジナル10であり、サッカー王国広島の使命として、名乗りをあげました。

 アンジュヴィオレ広島さんは、横川地区を中心にボランティアの皆さまが育ててこられたクラブですが、ここから強く要請を受けた事情もあります。おかげさまで、充実した陣容で開幕を迎えられます。練習場も広島経済大学フットボールパークをお借りできます。

 女子チームは今後、広島で女性が輝く象徴になっていけるよう努力いたします。「女性の元気を広島の元気に」を合言葉に、地域に根差したクラブ運営をして参ります。

 新スタジアムは、民間からの寄付が昨年秋から本格的に始まりました。広島商工会議所を中心に県下の商工会議所にも協力が依頼され、強い手応えが感じられると、うかがっています。心より感謝申し上げます。

 私どもからは、独自のVR映像もホームページにアップしました。これによって具体的イメージが伝わってきたという心強いサンフレッチェ・ファミリーの声を数多くいただいています。

 2021シーズンの開幕は、2月27日(土)ベガルタ仙台戦、エディオンスタジアム広島にて14:00キックオフです。

 コロナ禍で、ご不自由やご不便をおかけすることもあろうかと存じますが、安心安全なスタジアムを目指し、公共交通機関とも一緒になって感染防止対策に努めます。何より特別な一日を過ごしていただくスタジアムであり、お客様の立場で常に考え、取り組んで参ります。

 チーム・選手は、常に全力で戦うことをお約束します。この懸命でひたむきな選手たちと共に戦ってやってください。ぜひ、スタジアムに足をお運びください。広島を愛する皆さま、サンフレッチェ・ファミリーの皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております。
2021シーズンも引き続き、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

テーマ2 チーム強化と編成について