サポーターズ・カンファレンス議事録

新スタジアム建設について(スタジアム総合戦略推進室長 信江雅美)

 本日はお忙しい中、サポーターズカンファレンスに多数、ご参加いただき、誠にありがとうございます。また日頃は当クラブに多大なるご支援と応援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 私からは、サッカースタジアムの建設についてお話しさせていただきます。前回のサポーターズカンファレンスは2019年の3月23日でしたので、それ以降の動きを中心にお話しいたします。

 2019年2月6日、県知事、市長、商工会議所会頭、及び弊社久保会長の4者トップ会談が開催され、建設場所や事業主体などサッカースタジアム建設に係る基本的事項に関して、4者で合意がなされました。その後、それを受けて、5月に「サッカースタジアム建設の基本方針」が策定されました。この基本方針は、広島市のホームページに開示されています。

 そのポイントを述べますと、まず「サッカースタジアム建設の基本的姿勢」について、サッカースタジアムは、広島の新たなシンボルとして、広島市ひいては広島県全体の活性化につながるものであり、さらに、その建設場所である中央公園広場と平和記念公園が一体となった平和発信の拠点となることを目指す。また、サッカースタジアムは、サッカーのための施設にとどまらず、都心部のさらなる活性化に寄与することが期待され、スタジアムが都心部の再生の起爆剤となるよう、多機能化・複合化を図り、年間を通じて人が集まるスタジアムとしていくとともに、幅広い世代が楽しめる施設とする。さらに、旧広島市民球場跡地を含む中央公園全体の空間づくりなどを進めることで、平和記念公園から旧広島市民球場跡地、サッカースタジアム、広島城、ひいては紙屋町周辺に至る、大きな周遊ルートの形成につなげ、広島の新たな賑わいの拠点となるように取り組む、というものであります。

 次に「整備スケジュール」として、2024年の開業を目指しており、また「事業推進体制」として「サッカースタジアム建設推進会議」を設置し、その配下に、具体的な検討を進めていくべく、広島市、広島県、広島商工会議所、サンフレッチェ広島の職員を構成員とする「作業部会」を設置しました。なお、この基本方針のもと、私は作業部会の一員として現在、基本計画の策定に携わっております。

 このようなにぎわうスタジアムを実現していくためには、より多くの様々な方々の意見に耳を傾けなければなりません。そういった観点で、9月上旬にサポーターの皆さんを対象にしたアンケート、下旬にはアウェイサポーターを対象としたアンケートを行いました。また10月上旬に、広く県民・市民を対象にした一般の方へのアンケートも行いました。当クラブのサポーター対象アンケートには1万5,208人、一般の方対象アンケートには9,517人と、多くの方々からご意見を頂戴いたしました。これらのアンケート結果については、集計分析を済ませ、スタジアム、および公園がより多くの方に喜んでいただくことができ、たくさんの方でにぎわう空間になるよう、具体的な計画にしっかりと生かしていきたいと考えております。

 そして、10月から現在も継続して、飲食・物販、スポーツ・アウトドア、施設運営・管理。イベント関連、建設会社等の民間事業者をピックアップしてサウンディングを行っており、中央公園広場で事業展開する場合の条件や、事業への関心、年間を通じたにぎわいづくりの方策について、具体的な意見を収集しているところです。

 さらに、学識経験者、経済・観光分野、スポーツ分野、福祉分野の各有識者、女性団体の代表者、若者代表者を委員とする「サッカースタジアムについて意見を聴く会」、いわゆる「有識者会議」を10月21日と12月20日の2回、開催いたしました。

 また、より良いスタジアムを実現するために、国内のスタジアム事例だけでなく、海外のスタジアム先進事例の収集を目的に、6月24日から7月2日の期間、アメリカへ、MLS(メジャーリーグサッカー)を中心にスタジアム施設などの視察を実施いたしました。また、11月22日から30日の期間、ヨーロッパ、ドイツ、オランダ、イギリスの4カ国へ、こちらは広島県、広島市、広島商工会議所とともに、スタジアム施設等などの視察を実施いたしました。

 さて、これまでも繰り返し述べてきておりますが、スタジアムの建設においては、施設全体の特性を規定する明確なビジョンと、ビジョンに沿ったターゲット・施設・複合化までの一貫したコンセプトが大切です。

 サンフレッチェといたしましては、独自のビジョンとして、「スタジアムパーク」というものを提案しております。これは、街の景観に溶け込み、街や市民・県民に対して開かれ、公園と一体となった施設空間(スタジアムパーク)を意味しています。中央公園広場周辺には、原爆ドームや広島城など、広島を代表する歴史的ランドマーク施設が多数存在しています。街の景観を損ねないためにも、既存施設との調和を十分に考慮したデザインが望まれます。

 また、第2のビジョンとしては、「多くの市民・県民に親しまれ、利用される多目的スタジアムパーク」であるべきと考えております。スタジアムをコストセンター(※費用を支出するだけで利益を生み出さない存在)ではなく、プロフィットセンター(※収益や利益を生み出す存在)にしていくためには、最も重要な事業性の観点から、スタジアムを含む公園一体は試合日以外でも日常的に活用される空間である必要があり、サッカー観戦だけに特化した施設であってはならないと考えています。さらに、「環境に配慮した持続可能型スタジアム」であることも大切です。現代において、環境配慮型スタジアム(エコスタジアム)であることはマストな要件でしょう。

 さらにもう一つ、事業性の観点からいって、多数の人に利用される施設であるためには、幅広い層に利用される施設でなければなりません。

 現在、私たちのクラブを主に支えてくださっているのは40代以上のミドル、シニア層が中心ですが、サンフレッチェがあまり獲得できていない20代、30代の独身層、およびヤングファミリー層を含めて、メイン・ターゲット層を拡げ、3世代、4世代に支持されるクラブ、スタジアムパークであることが重要です。サッカーファンのみならず多様な嗜好・ニーズを有する幅広い層をターゲットにした施設にしていきたいと考えています。

 中央公園は広島市中心部に位置していますので、インバウンドや国内旅行者を含む多様な人々が日常的に行き交う場所にしていきたいと考えており、インバウンドや国内旅行者もターゲットになり得ます。このスタジアムパークを、隣接した広島城とも連携して、国内外のサッカーファンのみならず、広く観光客が訪れる場所にしていきたいと思います。

 施設のメイン・コンセプトとして、幅広いターゲットに訴求するために、スタジアムは試合観戦に訪れる人や公園利用者にとって、閉じた空間であってはなりません。試合時の防音には十分配慮しながら、公園内にあって芝生広場や外に向かって開かれた「開放型スタジアム」であるべきと考えています。

 また、Jリーグのトップチームとして、選手・チームにとって最新・最適な試合環境を実現するのはもちろんのこと、試合観戦される観客の皆さまに、一流の観戦環境を提供していかなければなりません。ピッチと観客席を近づけ、試合と一体感のある観戦環境を実現するだけではなく、音と映像と光、さらにICT(情報通信技術)といった最新技術を活用した高品質な演出機能を備えた、臨場感のあるプロフェッショナルスタジアムを考えています。

 複合化については、幅広いターゲットに日常的に利用してもらうために、様々なニーズに対応し、市民が日常的に利用しやすく魅力ある店舗を誘致することで、365日、市民・県民の憩いの場としてにぎわう、より価値の高い公共空間の実現を図ってまいります。

 広島市は瀬戸内海に面し、中心部を6本の川が流れる「水の都」であり、美しい水辺に恵まれています。そして、このスタジアムパークの西側は、太田川基町環境護岸に接しています。世界遺産航路や水上タクシーといった水上交通との接続、SUP(Stand Up Paddleboardの略称。ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進んでいく)やカヤック、カヌーといったリバースポーツとの連携を実現すれば、施設の魅力も倍増することでしょう。

 私たちが考えるスタジアムパークは、平和記念資料館、原爆ドームといった平和記念公園から旧市民球場跡地、広島城、ひいては紙屋町周辺に至る、中央公園全体を使った大きな周遊ルートの形成につながるものです。そのことにより、広島市都心に新たなにぎわいを生み出していきたいと思います。

 ところで私たちは、単に、まちの中心部に、器として「運動施設」が立地することが「まちなかスタジアム」とは考えていません。「まちなかスタジアム」は、「まちそのもの」と「既存の商業施設」と連携してこそ、その役割を果たすものと考えています。連携は具体的なものでなければ意味がありません。そこで、現在開発中なのが「サンフレッチェコインアプリ」です。このサンフレッチェコインは、スポーツチームへの様々な応援行動を可視化するプラットフォームです。

 2019年11月から12月上旬にかけて、紙屋町シャレオなどで一部の機能の実証実験を行いましたが、3,500人以上の方がアプリをダウンロードし、送客総数4.4万回/月、紙屋町エリア全体では3.6万回/月の送客を実現しました。また、もともと紙屋町に行かなかった利用者の約7割を来場させることに成功しました。

 このサンフレッチェコインのプラットフォームによって、2024年にオープンするスタジアムパークと、スタジアムパーク内に配置する新たな商業施設、そして紙屋町や八丁堀、本通り、横川などの既存の商業施設とが、それぞれネットワークのようにつながることができます。こうして、スタジアムパークが、まちや周辺の商業施設と具体的につながることによって、真の「まちなかスタジアム」が実現すると、私たちは考えております。

 さて、2019年10月1日から募集しております「ふるさと納税制度」を用いた「サッカースタジアム建設寄附募集」には、多くの方々から寄付が寄せられています。誠にありがとうございます。「ふるさと納税制度」は1年1年で更新されますので、今後も継続して、より多くのご賛同を得られるように、広島市に全面的に協力して、寄附募集活動にも注力して参ります。皆さまのご理解とご賛同を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

 新しいスタジアムが中央公園広場に完成したあかつきには、地元住民の方々の生活環境に十分に配慮した運営に努めるとともに、選手による近隣の小中学校訪問や、クラブ自身が地域社会の活性化への協力などに積極的に関与することによって、地域社会の一員として、地元貢献を果たしていきたいと思います。

 サンフレッチェのクラブ理念は「サッカー事業を通じて、夢と感動を共有し、地域に貢献する」というものです。また経営方針として「広島を愛し、広島で一番愛されるプロスポーツクラブを目指す」と定めています。まさにクラブ理念と経営方針を具現化し、多くの市民、県民に親しまれ、利用される、公園一体型の施設としてスタジアムパークを整備し、広島市中心部における新たなランドマーク施設となることを目指していきたいと考えております。

 計画地の中央公園広場は、全国的にも稀にみる都市中心部の好立地であり、国内初の政令指定都市の中心部に「まちなか」サッカースタジアムが実現します。この恵まれた立地の特性を活かし、サッカースタジアムと公園が一体となって、サンフレッチェの試合日はもちろん、それ以外の日も、年間を通じて、多くの人が訪れるにぎわいの拠点、「プラザ」となるよう目指してまいります。ご清聴ありがとうございました。

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