9.3 18:30

明治安田J1 第28節 vs. 清水エスパルス
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
0
清水エスパルス 清水
  • 後半38分
    川村拓夢
  • 後半45+5分
    川村拓夢
0
前半
0
2
後半
0

試合の見どころ

 首位追撃への秋が始まる。
 公式戦6試合が詰まった真夏の8月は、怒涛の6連勝を達成。リーグ戦では鹿島、柏、C大阪といった上位陣を次々と倒して4連勝を果たし、ルヴァンカップ準々決勝では強豪・横浜FMをホーム&アウェイの2試合ともに勝利する充実の戦いぶりだった。リーグ3位に付ける広島は、2試合消化の少ない首位・川崎Fと勝点差2で3試合消化の少ない2位・横浜FMとは「1」。上位2チームが順調に勝点を積めば差は開いてしまうが、行方はどうなるか分からない。「まずは目の前の1試合、1試合」を強調するミヒャエル・スキッべ監督の下、紫軍団は可能性を信じて一つひとつ勝利を掴みに行く。
 広島にとって今節がもしかしたら今季一番の難関かもしれない。ホームに迎える清水には、ルヴァンカップGSで2戦2敗の結果に終わっているだけでなく、敵地で戦ったリーグ戦でも2-2のドロー。今季の3試合で一度も勝てていない相性の悪い相手だ。
 さらに今の清水は前回対戦までと比べて“スケールアップ”している。下位に低迷していた5月に平岡宏章監督との契約を解除し、6月からブラジル人のゼ・リカルド監督を迎え入れたこともそうだが、今夏にはチームを立て直す質の高い補強を敢行。海外へ渡った生え抜きストライカー・北川航也が3年ぶりに復帰した他、テクニックに優れたアタッカーのヤゴ・ピカチュウ、そして7月には元日本代表の乾貴士まで獲得した。すると、8月のリーグ戦4試合は3勝1分と負け知らず。残留圏に沈んでいたチームは、一気に11位まで浮上している。
 もともと、タレントが揃っているのが清水というチームだ。攻撃の大黒柱となっているセンターFWのチアゴ・サンタナやカルリーニョス・ジュニオ、最近ケガから復帰した鈴木唯人、白崎凌兵、日本代表守護神・権田修一など、新戦力以外の名前だけを見ても多士済々。この充実の選手たちをゼ・リカルド監督が一つにまとめている清水は、かなり厄介なチームである。
 では、広島としては、このオレンジ軍団をいかに攻略していくか。展開としては、広島がボールを保持し、清水がカウンターを狙う構図になるだろう。安易にボールを失えば、前節は見事な決勝点を奪った乾や鋭い突破力を備えるヤゴ・ピカチュウら質の高い速攻の餌食になるのは必至だ。堅い清水守備陣に対し、リスク管理を徹底しながら焦れずに敵の隙を狙い続けられるか。“苦手”な清水を克服することができれば、終盤戦に向けてチームはより勢い付くのは間違いない。

監督 試合前日コメント

──今日は気候も良く、いい調整ができたのでは?
「そのとおり。選手たちもモチベーションが高く、良い刺激の中でトレーニングができた。明日は面白い試合になると思う」

──清水も8月は負けがなく好調だが、ポイントは?
「自分たちもそうだが、相手も良い。清水は良い形でどんどん発展してきている。カウンターが鋭く、良いセットプレーもある。センターFWにはチアゴ・サンタナという素晴らしいストライカーもいる。そこは気を付けたいが、我々もチャンスは作れると思っている」

──清水には前回対戦のリーグ戦に加え、カップ戦も勝てていないので、そろそろ勝利したいところでは。
「特別なモチベーションというより、いつもどおり戦いたい。前回対戦から相手はだいぶ変わっているし、乾貴士が入ったことで強化されてはいるが、我々はいつもどおり戦いたい」

──試合の入りで受けに回らないことも大事になるのでは?
「自分たちの最高点のサッカーを最初から最後までやり続けることが重要になる」

──新型コロナウイルスで選手2名が離脱中だが、総合力で乗り切りたいところでは?
「どのチームも完全な形で試合ができたことはあまりないのではないか。(コロナに罹った選手は)1週間弱、休めば戻って来られるということで、うまくやっていくしかない」

──ホームゲームではコロナ禍になって初めての声出し応援となるが、そこでリーグ5連勝を達成したいのでは?
「特にファン・サポーターにとっては大きなことだと思う。“ゲームにもっと参加できる”という喜ばしい感覚になれるのではないか」

監督 ハーフタイムコメント

・前からもっとプレッシングに行こう
・セットプレーを与えないこと
・もっとボールを速く動かそう

ゲームレポート

 コロナ禍となって以降、ホームでは初めて声出し応援が適用された一戦。約2年半年ぶりにエディオンスタジアム広島に響き渡った声援を力に、紫軍団はリーグ戦5連勝を目指した。
 前半からボールを保持して試合を進めたのは広島だった。序盤こそチアゴ・サンタナやカルリーニョス・ジュニオ、乾貴士、ヤゴ・ピカチュウら力のある清水攻撃陣の推進力に押される時間帯が続いたが、20分を過ぎたあたりからは広島が落ち着いてゲームを展開。いつもどおり後方からの細かなパスワークでリズムを作り、敵陣へ攻め込めばコンビネーションだけでなく大きなサイドチェンジを含めながら清水ゴールへ迫った。
 ただし、無敗を貫いた8月の4試合で1失点と“堅守”を誇る清水守備陣は堅かった。エリア外からでもナッシム・ベン・カリファが積極的にミドルシュートを放った他、カウンターからナッシムのクロスに森島がヘディングシュートを放つもゴールを捉えられず。前半だけでCKを6本獲得するなど、攻め続けた広島に得点の匂いは漂っていたが、最後の局面では日本代表守護神・権田修一を中心とした清水の粘り強い守備を崩せず無得点で折り返した。
 迎えた後半、広島に試練が訪れた。前半同様、ボールを保持してゲームを進める中、48分、51分と立て続けに許したピンチをGK大迫敬介のビッグセーブで凌いだが、迎えた65分だった。カウンターのピンチから乾の独走をファウルで阻止した塩谷司が一発退場。一人少ない状況に追い込まれてしまった。
 だが、この日はここからの紫軍団の意地が凄かった。清水に押し込まれ続けるハーフコートゲームの様相を呈す中、全員が集中を切らさずに守備を固めてゴールを阻止。何とか無失点で耐え続けて時計の針が進んで行くと、たった一つのチャンスをモノにしたのは広島だった。83分、敵陣地で粘り強くセカンドボールを拾って攻撃に出ると、左サイド・柏好文のパスをエリア内で受けた川村拓夢がダイレクトで合わせて先制。10人の広島がリードを奪うことに成功した。
 その後も攻撃にパワーを傾けてきた清水に攻め込まれる防戦一方の展開となったが、この日の広島は一切崩れず。すると、驚愕のスーパーゴールが生まれたのは90+5分だった。自陣でボールを拾った川村が「GKが前に出ていたので思い切って狙った」と言う約70mのロングシュート。空を描いたボールはガラ空きのゴールへ吸い込まれて勝負あり。一人少なくなってから2得点を叩き込んだ広島がリーグ5連勝を達成した。
「情熱的に守り続け、カウンターを狙い続けた。1点目も素晴らしかったし、2点目も言葉がないぐらい素晴らしいゴールだった」。(ミヒャエル・スキッべ監督)。劣勢をチーム全員の力で跳ね返す見事な勝利となった。

監督 試合後コメント

「レベル、インテンシティーの高いゲームになったと思う。最初の20分ぐらいまでは、清水が主導権を握っていた。ただ、その後は我々が主導権を掴んで相手陣内でサッカーができたと思っている。後半は入りは良かったが、最初に危険なカウンターを受けた。その時は(大迫)敬介が素晴らしいプレーで止めてくれたが、2回目のカウンターの時に塩谷(司)がレッドカードを受けてしまった。10人になってからも情熱的にディフェンスをし、カウンターのチャンスを狙っていた。また、先制点は非常に良い攻撃で相手を崩したと思う。その後は敬介を中心に全員が素晴らしい守備を見せたと思っている。最後は(川村)拓夢の75mぐらいの素晴らしいシュートが入った。10人になって2-0で勝ててたことはもちろん幸運だったが、幸運を呼び寄せるに値する執念が自分たちにはあったと思っている。ただ、今日の清水も素晴らしいチームだった」

──後半途中にドウグラス・ヴィエイラ選手と川村拓夢選手を入れた意図は?
「二つ目的があった。中盤を厚くしたかったため、走れる拓夢を入れた。それから前線でしっかりボールが収まる選手ということでドグを入れた。ピエロス(・ソティリウ)もナッシム(・ベン・カリファ)も素晴らしいパフォーマンスを見せていたが、残りの状況を考えた時にもう少しフレッシュな選手が必要だと判断した」

──2得点を決めた川村拓夢選手の成長について。
「拓夢の成長については素晴らしいと思っている。素晴らしい選手、タレントがサンフレッチェにいることが嬉しいし、これから数年、サンフレッチェにとっても日本のサッカーにとっても良い活躍をしていく選手になっていくと思う」

──10人のチームが残り25分で2-0の勝利を収めたが、こういうゲームは監督の中で記憶にあるか?
「我々の選手はレッドカードを貰う選手がいなかったのであまり覚えていない(笑)。1-0になっても攻撃を受け続けて苦しい状況にあった中であの(川村の)ロングシュートが入ったことで勝利を確信する状況になった。あのゴールで気持ちがラクになった。我々はプレシーズンから走力をしっかり鍛え上げてこられたことが最後まで戦える要因になっている。サンフレッチェはなぜか(アディショナルタイムが伸びて)99分や98分、100分と長い試合をしないといけないが、走力があるからこそ、こういう戦いができていると思っている」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

photo 今日のPLAYER OF THE MATCHは、川村拓夢選手!
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