4.3 19:00

明治安田J1 第6節 vs. FC町田ゼルビア
AWAY町田GIONスタジアム

試合終了

FC町田ゼルビア 町田
1
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半37分
    オウンゴール
0
前半
1
1
後半
1

試合の見どころ

 上位に生き残るための重要な一戦だ。リーグ戦5試合を終えて、いまだ無敗とは言え(2勝3分)、直近の2戦を連続ドローで終えた5位・広島が今節ぶつかるのは、FC町田ゼルビア。今季は初のJ1挑戦となったチームだが、現在は無敗を維持しているどころか、4連勝中で堂々の首位である。「素晴らしいスタートを切っている。難しい戦いになるのは間違いない」(ミヒャエル・スキッベ監督)。まさに今季のJ1で一番のサプライズとなっている町田をここで食い止めることができるか。広島の力が試される。
 町田の実力に疑いの余地はない。指揮官は、青森山田高校を全国の“常勝軍団”へと作り上げた育成年代の名将・黒田剛監督。2023シーズン前の町田監督就任時には、プロでは初の指導とあって周囲から懐疑的な目を向けられることもあったが、終わってみれば2位・磐田に勝点差12をつける圧倒的な成績でJ2リーグを制覇。クラブ初のJ1昇格へ導いた。
 まさに“勝負師”である。黒田監督のかつての教え子たちは「勝つためなら手段を選ばない」と言葉にしているが、町田でもその手腕を存分に発揮している。11人全員が徹底する高い組織力、切り替えの速いハードな守備、デザインされたセットプレー、そして敵陣地でのロングスロー。それはまさに青森山田高時代から見せていた指揮官の真骨頂であり、プロの選手たちにも徹底させているのは見事だ。4連勝中の相手は、名古屋、鹿島、札幌、鳥栖。どれも力のあるチームばかりで、前途の黒田イズムをベースにした“堅守速攻”スタイルで次々と撃破していった。
 今季は選手も“J1仕様”へと変貌を遂げている。3-1で勝利した前節・鳥栖戦の先発で今季加入したのは実に7人(前節の広島は1人)。GKには東京五輪の守護神だった谷晃生を迎え、最終ラインには186cmの大型CBドレシェヴィッチを補強。中盤から前線にかけても経験豊富なMF仙頭啓矢(前・柏)、柴戸海(前・浦和)、J2屈指のアタッカー・藤本一輝(前・大分)、194cmの大型ストライカーであるオ・セフンら町田にフィットする実力者たちを迎えた。サブには元日本代表CB昌子源らもおり、層も厚い。総合的なチーム力を含めて、現在の首位は決してフロックではない。
 今節注目の上位対決は、中盤での激しい攻防が繰り広げられるガチガチの闘いとなるだろう。その中で広島としては、相手の大きな武器であるセットプレーやロングスロー、カウンターを確実に封じ、自らのストロングである攻守における攻撃的なサッカーを発揮できるか。一瞬の隙が命取りになりそうな緊張感のある一戦。首位・町田ストップへ、広島が挑む。

監督 試合前日コメント

──町田のイメージは?
「ここまで首位ですし、その順位に値するチームだと思っています」

──町田のサッカーはカウンターもそうですが、サイド攻撃が多いです。
「そのとおりだと思います。どのポジションにも良い選手がいる印象があります。前線のフィジカルの強い高いFW(オ・セフン)がしっかりとボールを収めてワイドに展開する。そしてワイドには速い選手がいます。すごく良いバランスの取れたチームだと思います」

──明日はどこが重要になりそうですか?
「相手のサッカーをやらせないためにもまずは相手陣内で試合を進めることがポイントになると思います。難しいところではありますが、我々もクオリティーがあるところを示していけば、アウェイの難しい中でもやっていけると思っています」

──相手とのシステム上、噛み合わない部分がありますので、明日は我慢しないといけない時間帯もあるかもしれません。
「それは戦術的な部分もありますが、どっちかに合わせないといけないのは町田も同じです。その動きの中でどれだけ自分たちのサッカーを展開できるか。そこがカギになってくると思います」

──ボールを早く動かすことが重要になりそうです。
「そこは我々の目指しているところです。前節・G大阪戦はうまくいっていましたが、もっと早くサイドチェンジできるかなというところもあります。自分たちの良いサッカーを見せながら、町田でもポイントを取りたいと思っています」

ゲームレポート

初のJ1挑戦ながら無敗で首位。快進撃を続けていた町田を止めたのは誇れる紫の戦士たちだった。
 前半から広島の内容は良かった。15分、CB荒木隼人負傷退場するアクシデントが襲い、右サイド・中野就斗を公式戦では初めて荒木の位置へ配置するスクランブル態勢となったが、選手たちは動揺することなく自分たちの戦いを全うする。相手のストロングであるセカンドボールの攻防では、臆することなくバトルを繰り返し、前線の選手たちも後ろから来る相手DFの厳しいチャージに体を張ってボールをキープ。全員が泥臭く、粘り強くゲームを進めて町田を上回ったことで広島が相手陣地でプレーする時間を長くしていった。
 すると31分、そのセカンドボールの攻防から待望のゴールが生まれた。中盤での球際の戦いを制して左サイドで東俊希がボールを拾うと、前線に攻め上がって中央の満田誠へ。背番号11は相手を引き付けてフリーの大橋祐紀へスルーパスを送り込むと、これを背番号77が落ち着いて決めて先制に成功した。
 その後も広島は町田のカウンターやセットプレーといった武器を許さずに試合を展開。決定機を作らせることなく1点リードで終えた前半のハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督は選手の頑張りを称えた。
「これまで本当に素晴らしい。高い位置から奪いに行けているのが機能している。後半も前半のようにどんどん行こう!」
 後半も主導権を握ったのは広島だった。指揮官の指示どおり、前線からの鋭いプレスで町田を追い込み、ロングボールに対してもDF陣が相手FWに厳しく対処して自由を許さない。セカンドボールも次々と回収して後半の頭から攻め続けると、早くも貴重な追加点が生まれた。65分、果敢に攻め上がったDF佐々木翔が獲得したPKを満田誠が落ち着いて決めて2-0。理想的な時間帯でリードを奪って見せた。
 2点差でも守りに入ることなく、アグレッシブなサッカーを貫いた広島。3点目を奪うチャンスを作りながら逃し続けると、82分、町田のロングスローから1点を返されてしまったが、相手の最終盤の猛攻では守備陣を中心にしのいで逃げ切り勝ち。「約80分間、敵陣でサッカーをすることができました。相手は前線に高さのある選手を揃えてきて、ミッチェル・デュークが(80分に)入ってきたあたりから、ロングスローで苦しめられたところはありました。ただ、我々はサッカーの内容面、それから走力の面で良いパフォーマンスを見せられたと思います」(スキッベ監督)。首位・町田に内容で上回って今季初黒星をつける会心の勝利となった。

監督 試合後コメント

「まずはチームのパフォーマンスに満足しています。約80分間、敵陣でサッカーをすることができました。相手は前線に高さのある選手を揃えてきて、ミッチェル・デュークが(80分に)入ってきたあたりから、ロングスローで苦しめられたところはありました。ただ、我々はサッカーの内容面、それから走力の面で良いパフォーマンスを見せられたと思います。今日の勝利によって町田との勝点を縮めることができて非常に嬉しく思っています」

──途中交代した荒木隼人選手のケガの状態について。また、途中から中野就斗選手が中央のCBに入りました。その評価を教えてください。
「荒木はヘディングで競った時にもも裏に張りがあったということです。中野については、あそこ(中央のCB)のポジションをやらせることは特に問題ないと思っていました。中野がそのポジションでしっかりできたこと、また中野のポジションに新井(直人)が入っても活躍したこと、パフォーマンスを十分に発揮したことは嬉しく思っています」

──町田のロングボールに苦しんだ部分もあり、対処できた部分もありました。
「いくつか難しいロングボールもありましたが、全体的にうまく守れたと思っています。サッカーの内容や技術では自分たちが今日の試合では(主導権を)握っていたと思います」

──町田はプレッシングが強いチームでしたが、確かに80分間、広島が地上で強さと技で上回っていたと思います。どういう準備をしていたのでしょうか?
「普段から求めていることとして、少ないタッチでボールを繋ぎながらシュートまで持って行くことは、こだわりを持ってトレーニングしてきました。そのトレーニングの中で相手が高い位置からプレスに来ても、ボールを動かしながら、相手をかわしていくことはやってきました。今日は全員が良いパフォーマンスを見せたと思っています。80~85分、サッカーの戦術的なところでも我々が上回っていたと思います」

──昨季からの連続無敗試合が今日でクラブ新記録(12試合)になりました。
「誰も知らなかったですけど、嬉しいです。これまでも過去に良いシーズンがあったと思いますが、それを上回ったのは非常に嬉しいです。思い返せば、昨年から良いサッカーを続けてやることができて、昨年の最終戦も福岡で最後の最後で勝ちを拾って、ACL2のポジションを獲得しました。ただ上には上がいて、(ドイツの)バイヤー・レバークーゼンは39試合とかです(笑)。もう少し頑張ります」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い町田に加え、悪天候となりましたが、約1,100名もの方にお越しいただきました。皆様の力強い後押しが首位撃破の原動力となりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました!

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