中村伸監督退任記者会見

レジーナ

本日、サンフレッチェ広島レジーナ 中村伸監督の退任記者会見を行いました。

開催日時

2024年5月28日(火)11:00

開催場所

エディオンピースウイング広島

雨野裕介 強化本部長 あいさつ

本日は中村伸監督退任会見にお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まずは2023-2024シーズン多大なるご支援をいただいたスポンサー・パートナー企業の皆様、そしてどんな時も選手の近くで背中を押し続けてくれたサポーター・ファミリーの皆様のおかげで今シーズンを終えることができました。熱く御礼申し上げます。

2020年7月に女子チームを立ち上げる準備室ができ、10月15日にWEリーグ参入が決まりました。その翌々日に監督に打診をしました。我々には女子チームはありませんでしたが、サンフレッチェ広島というクラブがありました。サンフレッチェ広島が今までやってきたことを新しい女子チームでも表現するという強い意志で、中村監督の“常に全力で準備をし、仲間・チームの為に自己犠牲をはらいハードワークできる姿勢”や“長い間トップレベルでの指導経験”を女子サッカー界でも表現・発揮してもらいたいという思いで監督をお願いしました。振り返ると、コロナ禍であったり、未知の女子サッカーであったりと、正直先行きに不安しかありませんでした。当時は(レジーナの)クラブハウスもなく、ファミリーレストランで編成会議をし、2人で全国を駆け巡り、選手1人1人に我々のコンセプトと中村監督の人となりを含むサッカー勘をぶつけて選手を勧誘しました。これは中村監督の人柄がなければ、オリジナルメンバーは集まらなかったと思います。また、あの時にクラブを信じ、中村監督を信じて集まってくれた仲間にも深く感謝いたします。それからの3年間は、今から中村監督に振り返ってもらえたらと思いますが、この3シーズン、クラブ・チームとしての成長率はWEリーグ屈指だと思っています。カップ戦での初タイトル、皇后杯準決勝浦和戦での激闘など、目に見える成果を出してきました。ここから更にこの成長率を上げるため、クラブは次のフェーズに進むことを決断しました。中村監督が築き上げてくれた土台に、上積みできるよう、クラブとして前進していきたいと思います。

中村監督のこれまでの活躍に心から感謝申し上げます。中村監督にはこれからもクラブの為に力を貸してもらえるので一緒に戦っていけたらと思います。

中村 伸監督

会見

Q)まずは3シーズンお疲れ様でした。初代レジーナの監督として大役を務められました。そして次へバトンを渡すこととなりました。まずは今のお気持ちを聞かせてください。
「先ほど、雨野氏が話をしてくれたように振り返るといろんなことがあったなと思いますが、あっという間でした。「濃い3年半だったな」という言葉がまず出てきます」

Q)WEリーグでは唯一母体のないゼロからのスタート。そして初代監督という立場でしたが、3年間、1年目からそれぞれ振り返っていただけますか
「1年目は、まさに何もない状況から始まりました。サンフレッチェ広島がこれまで築き上げてきたものを武器に、選手たちと真剣に向き合い、広島に来てくれた選手たちにサッカーの奥深さや魅力を伝えることに集中しました。想像以上に選手たちがしっかりとベースを築いてくれた1年でしたが、同時にリーグの厳しさや経験不足も痛感しました。
2年目は、その積み上げを更に進化させ、変化を加えたシーズンにしようと思い取り組みました。良い積み上げができたため、ベースに磨きをかけることに焦点を当てました。全てのことに目を向けながら取り組み続けましたが、結果的には望んだ成績には届きませんでした。しかし、1年目よりも手応えを感じることができた2年目でした。
3年目は、やれることに更に磨きをかけつつ、選手個々やチームとしての武器を増やす作業を根気よく取り組み、勝ち切る試合も増やしていくために、いろんな局面での強度を彼女たちに求めてきました。その努力が実を結び、カップ戦での優勝につながったと思います。リーグ戦では目標とした数字は出ませんでしたが、試合内容や主導権の握り方、自らの取り組み方において過去2シーズンよりも進歩を感じました。間違いなく、さらなる成長の土台を築いてくれたシーズンでした。

Q)3シーズン目ですが、初のタイトル獲得、リーグ戦ではなかなか前半白星が獲得できず、後半は生え抜き選手と新加入選手がフィットし白星を積み上げることができた、そんなシーズンだったかと思います。リーグ戦を振り返っての手応えや、今後積み上げたい課題などあげるとすればどのようなことがあるか。
「リーグ戦に関しては、カップ戦が終わり、あまり時間がない中での開幕ということで、タイトル獲得後の頭の切り替えはそう簡単ではなかったと思います。リーグ直前に怪我人が出たり、過去2シーズンで経験していなかった新たなイレギュラーな状況も重なり、選手にとっても新たな経験をしながらのスタートとなりました。メンバーを変えて別の形で擦り合わせるのも時間がかかることでしたし、すぐに馴染ませるだけの力はまだ我々にはありませんでしたが、試合内容は悲観するものではありませんでした。前半は思うように結果が出ませんでしたが、後半は新たに入ってきたメンバーも含めて良い競争が生まれました。その中で積み上げと経験値がプラスになり、試合を展開することができました。選手たちが試合の展開をピッチの中で理解し、繋がりを持って進めることができたのは、選手たちの成長の証だと思います。

Q)3年間、いろんな選手との思い出があると思います。1期生からチームを支えてくれた近賀選手・福元選手の存在について
「彼女たちは間違いなくチームにとって最も必要な選手でした。彼女たちがチームを引っ張ってくれなければ、プレーで示してくれなければ、ここまでチームは成長していなかったと感じさせてくれる存在でした。彼女たちがレジーナに来てくれて一緒にチームを築いてくれたことに、感謝しかありません」

Q)今後クラブに期待することは
「彼女たちのベースは今いる選手で積み上げができているので、彼女たちの強み・良さを更に出して、もう少し高いレベルでタイトルを本気で目指すチームになっていって欲しいと思います」

Q)3シーズンで成長した選手をあげるとすると
「一番難しい質問ですが、自分たちの強みをトレーニングや試合で出し惜しみすることなく、出してくれたのが、上野・中嶋のなでしこジャパン選出に繋がったと思います。成長した選手と言えると思います。その他、選手それぞれ成長の仕方は違うので誰というのは難しい質問ですが、あえてあげると小川・柳瀬ですかね。あの2人はチームに来る前から期待しかなかったですが、経験値はゼロに近い状態でチームに入りました。そこからチームで成長してくれた選手だと思います。チームを引っ張れる選手ではなかった2人が、試合を重ねるごとにチームを引っ張ってくれる選手となり、メンタル含め強さを身につけてくれました。その2人の成長は嬉しかったです」

Q)1番印象に残っている試合は
「カップ戦の決勝ですね。大舞台を経験している選手が多くはないので、もう少し固いプレーになると思っていましたが、スタートから試合が終わるまで、アグレッシブに戦ってくれました。タイトルをとることは簡単なことではないと思っています。3シーズン目の選手たちが成し遂げてくれたことは、本当にすごいことだと思います。なので、あの試合は印象に残っています」


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