8.17 19:03

明治安田J1 第23節 vs. FC東京
AWAY味の素スタジアム

試合終了

FC東京 FC東京
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1
  • 後半16分
    好文

試合の見どころ

 サンフレッチェの今季を占う重要な一戦と言っていいだろう。
 首位・FC東京のホームに乗り込む明日の一戦。リーグ戦は残り12試合となった中、5位につけるサンフレッチェとの勝点差は「12」であり、勝てば「9」に縮めることができる。残り試合数を考えれば、まだまだ逆転は可能な数字であり、そのためにも明日の直接対決は大事な戦いだ。シーズン終盤に向けた大逆転劇への1試合となるのか、それとも上位戦線から後退してしまうのか。直近のリーグ戦8試合で無敗(4勝4分)を貫く好調・サンフレッチェは高いモチベーションで味スタに乗り込むことになる。
 もっとも、相手の状態も上々だろう。2位に勝点差7をつけて首位を快走しているFC東京は、現在リーグ戦3連勝中。結果だけを見ても、その3試合で6得点無失点と盤石の戦いを繰り広げている。リーグ3位タイの得点力を誇る攻撃陣では、強さと高いシュート技術を備えるディエゴ・オリヴェイラとJリーグ屈指のスピードスター・永井謙佑の2トップが好調を維持。「(FW)二人で収めて二人で行ききる」と城福監督が話すように、この二人だけでゴールまで奪える個の強さは圧巻であり、実際2トップで20得点を挙げている。最大のストロングポイントは“カウンター”であり、ディエゴと永井に自由なスペースを与えてしまうとサンフレッチェは苦しい戦いになってしまうだろう。
 そして、その速攻を導く“堅守”も健在だ。ここまでリーグ戦22試合を戦い、失点数16はJ最少。安定感抜群の守護神・林彰洋や元日本代表CB森重真人、そして現役日本代表SBの室屋成など守備陣には実力者が揃っているが、その彼らが均整の取れた組織力を作り上げている。対戦相手によっては最終ラインの高さも微調整しながら戦うFC東京は、前節・仙台戦では「正直なところ、あそこまで下がるとは思っていなかった」と渡邉晋監督が話したほど、自陣深くまで敵を引き込んでカウンター狙いに徹して1-0の勝利をつかみ取った。中盤には元サンフレッチェ戦士の高萩洋次郎や夏に神戸から加入した三田啓貴など、技術に長けた“魅せる”選手もいるが、勝負師・長谷川健太監督が率いるFC東京は現在のJリーグで一番勝負強いチームと言っていい。
 そんな難敵を相手に紫軍団はどんな戦いを繰り広げるか。FC東京のスタイルを考えれば、サンフレッチェがボールを保持し、相手はカウンター狙いになるだろう。相手の術中にハマらないためには、リスク管理を怠らないことはもちろんだが、やはりパスサッカーを貫き、最後まで攻め切ることだ。堅守の相手だからこそ、今季目指しているコンビネーションサッカーで崩すことができれば、結果とともにチームにとって大きな自信を手に入れることができる。
 ここでFC東京を倒し、リーグ終盤の上位争いを面白くさせたいところだ。

監督 試合前日コメント

(FC東京は)守備は堅い。特に引き込んだ時の守備は何となくクロスを入れても絶対に入らない。我々はホームでの対戦で敗れたが、一番の問題は、渡大生がポストに当てたシュート1本しかチャンスがなく、あとはノーチャンスだったこと。私が関わったサンフレッチェの試合の中でもチャンスを作れないという意味では、一番ワーストの試合だったと思う。チャンスを作るというところは、みんなで頭の意識を変えたし、あのゲーム以降、我々が前に進んでいるものがある。それをしっかり見せたい。
(FC東京は右サイドもストロングだが?)最近は永井(謙佑)がよくヘディングで点を取っているが、(右サイドの選手の)利き足からどういうボールが入ってくるか。ゴールライン近くに上がってきた時のクロスの共通認識がFC東京にはある。そこはボールに厳しく行くことと中の準備をしっかりすること。ただ、やはり一番注意しないといけないのはカウンター。(FW)二人で収めて二人で行ききる。行ききった後、マイナスのクロスで3人目、4人目が入ってくる。そこは彼らが一番得意としているところ。それは1回か2回はあると覚悟しながら、それを発動させる前の準備をどれぐらいできるか。
我々はカードを含めて変化を起こせるチームになってきている。サイドだけでなく、相手の2トップを恐れて多めの人数で守りながら攻めるのではなく、そこはもっと人数をかけて攻めることでチャンスを作っていけると思う。リスクを負うということは、それを覚悟しないといけない。そこを含めて成長を見せられればと思っている。
我々スタッフはまったく力を変えずにやっているが、相手の情報を与えるのは前日のみにしている。当日、ミーティングをする時に相手の情報は多少は伝えるが、ピッチの上で相手に合わせて何かをやるかと言うと、それはほとんどやっていない。
(膠着したゲームでもいろんなカードがあるが)それが我々の成長の一つの証にしたいと思う。また、押し込んだ時のあるポジションの使い方が一つのキーになると思っている。押し込んだ時ほどもう一工夫できるチームになりたい。
FC東京はやはり守備が堅いので、押し込んだ時の安易な後ろの準備と安易なボールの失い方をした時のカウンターにハマりやすいサッカーをしてしまうと、やり辛さというよりは、相手の術中にハマってしまう。あくまでサッカーという面で自分たちがもう一個進めたサッカーを見せないと、FC東京相手にはホームであろうが、アウェイであろうが難しい戦いになる。
(順位どうこうではなく)我々は一つ一つ勝点を積み上げていくのみだと思っている。追う立場としては、それにフォーカスして、その先のことよりもこの試合の勝点3に最大のエネルギーを注ぎたい。

試合前情報

photoこの日は遠い東京でのゲームにも関わらず、約2,600名もの方にお越しいただきました。熱い応援、ありがとうございました!photo本日のスターティングイレブンです! 前節・G大阪戦から先発二人が入れ替わりました。今日もチームの総合力で勝利を目指します!photoリーグ戦4試合連続スタメンとなった大迫敬介選手。目指すのはもちろん無失点での勝利です!photo「味の素スタジアム」のロッカールームです。あとは選手の到着を待ちます!photo本日はアウェイ・FC東京戦! 現在、J1で首位を独走するチームとの戦いとなります。真夏の気候を含めて敵地での難しい戦いが予想されますが、チーム全員の力を合わせて勝利を目指しますので、熱いご声援をよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・ボールの失い方に気をつけよう。
・焦れずにゲームを進めること。
・勝負はここからだぞ!

ゲームレポート

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サンフレッチェが執念で勝利をつかみ取った。
この試合が始まる前の時点で2位に勝点差7をつけて首位を快走し、さらにリーグ3連勝中と好調を維持するFC東京のホームに乗り込んだ一戦。相手はリーグ最少失点の“堅守”を誇り、攻撃ではディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の強力2トップを生かしたカウンターが最大の武器とあっては、試合は序盤からサンフレッチェがボールを保持し、FC東京が速攻を狙う構図で進んだ。パスを引っかけられた際の相手のスピーディーな攻撃は脅威だったとはいえ、「前半に相手を疲弊させることがFC東京の怖いカウンターの最大の対策になると思っていた」(城福監督)。その言葉どおり、紫軍団はリスクを恐れずに今季志向しているGKを絡めたパスサッカーを貫いてポゼッション率を高めながら相手陣地へ侵略。それでもやはりFC東京の守備は堅く、なかなか守りを崩すことができなかったが、相手にチャンスも与えず前半を0-0で折り返した。
すると、前半の我慢の“つなぎ”が後半になって実を結ぶ。後半もFC東京のカウンターを恐れることなくボールを支配し続けてゴールを狙いにいったサンフレッチェ。それが61分についに結実した。左サイドでボールを受けた柏好文が相手DFの背後を取った川辺駿へパスを送ると、そのリターンを受けた柏がペナルティーエリアへ強引に進出してシュート。相手GKに当たりながらもゴールネットへ吸い込まれ、ついにFC東京ゴールをこじ開けることに成功した。そうなると、今度は同点に追い付こうとFC東京が攻撃にパワーを割いて攻めてきたが、サンフレッチェは全員が粘り強く体を張り、集中を切らさずゴールを阻止。逆に今度は柏や川辺らがカウンターで決定機を作り出すなど最後まで攻撃姿勢を貫いた紫軍団がFC東京の連勝を「3」でストップした。
この結果、サンフレッチェは首位との勝点差を9へ縮め、順位を一つ上げて4位に浮上。リーグ戦は残り11試合、上位争いはまだまだ行方が分からなくなった。

監督 試合後コメント

まだまだFC東京の背中が見えない状況だが、シーズンは何が起こるか分からないのは、昨年我々は痛感している。可能性のある限り、トップ・トップを追い求めたいと思って今日は試合に臨んだ。選手は本当によくやってくれたと思う。我々の目指すサッカーを前半からリスクを負ってやってくれた。もちろん、もっとシュートまで行きたかったが、前半に相手を疲弊させることがFC東京の怖いカウンターの最大の対策になると思っていた。奪われた後の守備を含めて、選手は本当によく集中してくれたと思う。今日のFC東京戦での勝利は、我々の目指すサッカーの少しばかりの自信になったし、これから先、まだ残り11試合あるが、何も諦めずに一つ一つ成長を遂げて勝点を積み上げていきたい。今日は多くの方が紫の塊として我々を応援してくれた。彼らと喜び合えた瞬間は本当に最高だった。
(青山敏弘を投入してから得点が生まれたが)青山は本当に苦しい苦しい半年を過ごしていた。直接見られていない方は分からないと思うが、彼は(アジアカップの)日本代表から帰ってきて、歩くことすらできない状況からの帰還だった。できるだけ多くの時間使いたいけども、彼の苦労を見ていると、ぶり返すことだけは避けたいという時間との戦いだった。また、今日は中盤を制することができていたので、彼から繰り出すパスが我々にチャンスをもたらすだろうと思っていた。どのタイミングで青山を入れるか。前半からゲームの展開を見たら投入できる状況ではあった。ただ、彼の今の状態を考えたら、交代はあそこ(57分)まで延ばさないといけなかった。
(今季は)逆を言えば、青山がいない状況の中で我々は戦ってきた。その中で選手が競争でポジションを勝ち取ってきた。今は青山が戻ってきたことでハイレベルな競争が始まったと言えるので、彼の活躍は多くの選手の刺激になったと思う。もちろん、走ればパスが出てくる選手が中盤に入れば、前の選手はもっと走るという構図が出た。ただ、彼がああいうふうに活躍したのも、前半から地道に我々がボールをつないで、つないで、つないで、FC東京のカウンターを覚悟してやっていたから。それを前半からやり切っていた選手に感謝したい。
(城福監督はFC東京と縁がある中、サンフレッチェで初勝利となったが)もちろん、私にとってここは鬼門ではあったが、それは私の作ったチームが相手よりも力が足りなかったからだと思う。今は、1試合1試合、このチームが成長するために全精力を注いでいる。一つでも多くの勝点を取って、一つでも高い順位でシーズンを終えたい。とにかく成長する集団でありたいという1点のみ。自分のことは「特にありません」と言うと…、とにかくそっちのほうが私としては一番力を注ぎたいと思っている。(FC東京に)勝てない時は、私が一番力が入り過ぎだとよく言われた。ただ、それだけ苦しんだからこそ、今日は優勝もしていないのに(試合後に)水をかけられたというのは、選手が一番感じながらやってくれたのかなと思っている。

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