10.19 14:03

明治安田J1 第29節 vs. 清水エスパルス
AWAYIAIスタジアム日本平

試合終了

清水エスパルス 清水
1
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半31分
    ドウグラス
1
前半
0
0
後半
2
  • 後半9分
    川辺駿
  • 後半35分
    ドウグラスヴィエイラ

試合の見どころ

 国際Aマッチデーにより中断していたJ1が2週間ぶりに再開する。リーグ戦は残り6試合と少なくなってきた中、前節・神戸戦の勝利で勝点3を積み上げた5位・サンフレッチェは、首位との勝点差を「9」から「8」へと縮めて追撃中だ。残り試合数を考えるとトップを追い抜くのは簡単なことではないが、決して不可能な数字でもない。「我々は何も諦めていない」(城福監督)。望みがある限り、とにかく目の前の戦いに勝ち続けるのみだ。
 2連勝を狙う今節は敵地で11位・清水と対戦する。今季開幕戦となった2月の前回対戦は1-1のドロー。サンフレッチェにもお馴染みのヤン・ヨンソン監督が2018年から指揮を執っていたチームだが、今季はリーグ開幕からの8試合で2勝2分4敗と思うように勝点を伸ばせず、その後の第9節から第11節までの3試合で3連敗を喫した後に退任した。代わりに篠田善之コーチが監督へと昇格し、指揮を執った前節までの17試合で8勝3分6敗とチームを立て直している。
 その清水の警戒すべきポイントは、やはり攻撃陣だ。前線の1トップに君臨するのは、サンフレッチェの2015年のJ1制覇に大きく貢献したブラジル人ストライカー・ドウグラス。そのシーズンに21ゴールを決めてMVP級の働きを見せた男の得点能力にいまだ衰えはなく、今季ここまで24試合で12得点を挙げている。昨年と今季開幕戦ではドウグラスがコンディション不良のため対戦は実現しなかったが、今節はついに初対戦となりそうだ。
 もっとも、相手はドウグラスだけのチームではない。彼を含めて清水には「(広島が)甘い守備を見せるとやられてしまう選手ばかり。ドウグラスや西澤(健太)、河井(陽介)、エウシーニョなど一振りがある」と城福監督は警戒する。清水の失点数60はリーグワーストだが、得点数40はサンフレッチェと並んでリーグ7位タイ。6-0と大勝した前々節・湘南戦では、右サイドバックのエウシーニョがセットプレーと巧みなオーバーアップから2得点を奪ったほか、河井の一振りやゴール前の連係から西澤も2ゴールを挙げた。特に西澤は「明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP」の9月度を受賞するなど、現在のJ1で最も勢いのある選手。大卒ルーキーながら得点能力と味方を生かすチャンスメークは高いレベルにあるだけに、サンフレッチェも注意しなければならない。
 今週はそんな清水を意識して、ゴール前での激しいバトルのトレーニングを取り入れた。もちろん勝つためには得点は必要だが、現在は今季の一つの武器であった“堅守”が継続できておらず、公式戦の完封試合は8月31日のJ1第25節・磐田戦まで遡らなければならない。清水に勝つためにも堅い守りは必要だが、負けることの許されない残りのリーグ戦を制していくためにも堅守復活は重要だ。前節はスター軍団の神戸を6-2で倒すスカっとする試合だったが、9月はリーグ戦で一度も勝てなかっただけでなく、JリーグYBCルヴァンカップと天皇杯で敗退したこともあり、「結果と内容が伴わない1カ月だった。悔しい思いのほうが強い」(城福監督)。チームは神戸戦の勝利に浮かれる様子は一切なく、9月の悔しさを残りのリーグ戦にぶつけるべく練習に励んできた。紫軍団の準備は万端。あとは結果で示すのみだ。

監督 試合前日コメント

(清水の印象は)ドウグラスを中心としたカウンター(が特長)。カウンターを発動した時の両サイドハーフを含めた躍動感など、彼らの特長を出させると非常に危ない場面になると思う。もちろんボールの失い方もあるが、攻めている時にどういう準備をするか。また、大きいボールもドウグラスが競った後のこぼれ球からカウンターがスタートするので、そこに対する注意が必要。そして実は河井(陽介)がすごく効いている。ドウグラスに目が行き過ぎて河井をフリーにすると、彼がボールを収めた時に両サイドが長いスプリントをしてくる。そこをどう潰すか。
(勢いのある西澤健太の印象について)彼の一振りは本当に強烈。カウンターで相手が中に絞った時に西澤が外でパスをもらって、そのままの勢いで中に切れ込んで一振りするのが彼の得点パターン。まずは相手チームの得意な形を出させない、そういうカウンターのシーンを極力少なくすることが一つ。また彼の右足の一振りの対応の仕方は、その時に誰が対応するかはあるが、しっかり注意したい。
我々はまず失点ゼロから入らないといけない。もちろん多くの得点を取りたいし、多くのチャンスを作りたいが、2019シーズンの広島を考えた時に他のチームから見たらやはり「守備が強い」と。それは守備的なサッカーをしているわけではなく、「そうじゃなくて守備が強い」というような、そこは貫きたい。どのシーズンでも優勝を争うチームは、「このチームはこういう感じだよね」と言えるものだと思う。それが言えないチームは、やはり(優勝争いに)残っていけないと思う。我々は見たら攻撃的なサッカーをしているが、誰に聞いても「あそこは守備が強い」と言われるようなことを取り戻すことが今回の中断期の一つの目標でもあった。そこをしっかりやれていれば、勝点3は転がってくると思う。

試合前情報

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本日は遠い清水でのゲームにも関わらず、約800名もの方にお越しいただきました。皆さまの熱い声援が逆転勝利の原動力になりました。最後まで力強い後押し、ありがとうございました!

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本日のスターティングイレブンです! 前節・神戸戦と同じ顔ぶれとなりました。今日もチーム全員の力を合わせて戦います!

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かつて期限付きで所属した清水との対戦となった野津田岳人選手。今日はベンチで出番を待ちます!

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「IAIスタジアム日本平」のロッカールームです。守備陣はいつもの布陣で臨みます!

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本日はアウェイ・清水エスパルス戦! 相手は元サンフレッチェ戦士のドウグラス選手を筆頭に、前線に力のあるアタッカー陣を擁する難敵です。敵地での難しい戦いが予想されますが、チーム一丸となって戦いますので、熱いご声援をよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備はこのまま続けること。
・攻撃は辛抱しながらボールを回していこう。
・じれないで戦い続けること。

ゲームレポート

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photo難しい敵地での戦いで紫軍団が執念を見せた。
序盤に勢いよく攻め込んできたのはホームの清水だった。1トップのドウグラスを起点に2列目の河井陽介や西澤健太、金子翔太が持ち味の推進力を生かしてスピーディーに攻撃を展開。その勢いを受けてしまったサンフレッチェは、開始直後にそのドウグラスに決定機を作られるなど、「やはり前半は少し反省するシーンがあったと思う」(城福監督)。すると31分、ペナルティーエリアのすぐ外でハンドの反則を取られると、そのFKをドウグラスに直接決められて失点。ボールを保持するものの、なかなかゴール前では相手DFを攻略できなかったサンフレッチェは前半のシュート数を1本に抑えられるなど、自分たちのリズムに持ち込むことができなかった。
だが、「辛抱強くボールを回せば必ずチャンスは作れると思っていた」(城福監督)。ハーフタイムに焦れずにボールを回し続けることを選手たちへ徹底させた指揮官の指示が後半は見事にハマった。最終ラインから相手のプレスをパスでしっかりと剥がし、アタッキングサードではショートパスを何本もつなぎ続けて清水DFを攻略。チャンスの数が増えていくと、ようやく54分に実を結んだ。左サイドで森島司がエリア内に侵入し、そのパスを受けた柏好文がゴール前の川辺駿へ。フリーだった背番号40はこれを左足で冷静に流し込んで同点に追い付いた。
その後も清水を押し込み続けるなど、ほぼハーフコートゲームの様相の中、逆転弾を狙いにいったサンフレッチェ。決定機を何度も作り出しながらなかなか決められなかったが、78分には1枚目の交代カードとして稲垣祥に代えてサイドの清水航平を投入し、川辺をボランチにしてさらにポゼッション率を高めて攻勢に出た。すると80分、「焦れずにボールを回すことを徹底したご褒美」(城福監督)の瞬間が訪れる。森島&柏のホットラインが今度は右サイドを攻略すると、背番号18の柔らかなクロスに頭で合わせたのは紫のドウグラス・ヴィエイラ。徹底して相手陣地でボールを回し続けたサンフレッチェの我慢が清水を攻略することに成功した。そして試合はこのまま2-1で終了。見事な逆転劇を演じたサンフレッチェがリーグ戦2連勝を達成した。
この結果、今節は首位・鹿島が引き分けたため、4位・サンフレッチェとの勝点差は「8」から「6」に縮まった。リーグ戦は残り5試合。終盤に大混戦となってきた中、城福監督は「我々は最終節に何かを起こしたいと思っている。そのためにも勝ち続けるしかない」とさらなる反撃を誓った。

監督 試合後コメント

「今日は無失点でやろう」と言っていたので、やはり前半は少し反省するシーンがあったと思う。もちろんFKはドウグラスが見事だったと言えるが、入りで押し込まれてしまったのは反省すべきところだと思っている。ただ、辛抱強くボールを回せば必ずチャンスは作れると思っていた。焦れずにボールを回すことを徹底したご褒美と言うか、それで我々が思い描くような2点が取れたと思っている。
(清水航平を投入してから布陣を変えたが)ボールは握れていたので、川辺駿をボランチにしてさらにボールの出どころを増やした。また、ハイネルのスピードを前線で生かしてもらいたいといういろんな組み合わせを考える中で清水を左に入れて柏(好文)を右サイドにした。清水はアタッキングサードでの推進力があるので、彼にはそれを期待したし、何よりもゲームを締めることができるので、そこは信頼して送り出した。

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