9.19 19:03

明治安田J1 第17節 vs. 柏レイソル
AWAY三協フロンテア柏スタジアム

試合終了

柏レイソル
1
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半45+2分
    北爪健吾
1
前半
1
0
後半
0
  • 前半9分
    ドウグラスヴィエイラ

試合の見どころ

 ここから這い上がるのか、それとも沈んでしまうのか。広島のリバウンドメンタリティーが問われる戦いだ。
 川崎Fのホームに乗り込んだ前節は、首位を独走する相手の強さをまざまざと見せ付けられて1-5の完敗。3年目を迎えた城福体制では最多失点となる大敗は当然ながら「ショッキングな結果」(城福監督)であり、チームが受けたダメージは大きい。これまで培ってきた自信をも失いかねないが、リーグ戦はまだ半分も消化していないとあって下を向いてばかりもいられない。川崎F戦後の2日間のオフを経て迎えた初日の練習、指揮官は円陣を組んで選手に反骨心を求めた。
「1カ月後(10月14日)の川崎F戦で我々らしく戦って勝点3を取る。そういうチームになるための新たなスタートだ!」
 もちろん、Jリーグの敵は川崎Fだけではないが、現時点で最強のチームを自分たちのスタイルで倒す。5失点という屈辱的な思いをパワーに変え、まずは1カ月間、その目標を果たすためにレベルアップを目指すことになる。
 リスタートとなる一発目から、難敵との対戦だ。相手はJ屈指の戦略家・ネルシーニョ監督率いる柏レイソル。今季ここまでリーグ戦8勝2分6敗の勝点26で7位に位置するタレントの揃ったチームである。戦い方としては、規律を重んじる指揮官らしく4バックと3バックを併用しながら組織的な守備網を構築し、攻撃に移れば、Jトップクラスの強烈なカウンターを繰り出すのが大きな特長だ。
 その攻撃をけん引するのが、何と言ってもオルンガである。昨季はJ2で1試合8得点というJ新記録を樹立するなど、合計27得点を奪ってJ1昇格に貢献したケニア出身のストライカーは、今季リーグ戦15試合に出場して早くも16得点。193cm、85kgという恵まれた体格ながらも身体能力が抜群に高く、決定力もある。今季のJ1でも規格外の働きを見せている得点王候補は、当然ながら注意が必要だ。
 さらに、そのオルンガとともに強力カウンターを構成しているのが、昨季はJ2長崎で22得点を奪った呉屋大翔と10番を背負う江坂任である。ここ2試合はトップ下に配置された江坂がオルンガと呉屋を操る布陣だが、3人に共通しているのが推進力と決定力の高さ。このトライアングルだけでゴールを奪い切る力があるため、広島としては一瞬たりともリスクマネジメントを怠ることは許されない。
 その上で、今週は「さらなる積み上げ」(城福監督)をしてきた、攻守において主導権を握るフットボールを見せられるか。もちろん相手の前線は脅威だが、「カウンターが怖いからボールをつながないかと言ったら、我々は恐れずにつなぐ」と指揮官は攻めの姿勢を忘れない。守備だけに力を注ぐのではなく、本来の広島のスタイルであるコンビネーションサッカーで川崎F戦の悔しさを晴らしたいところだ。

監督 試合前日コメント

(オルンガの印象は)16点取っているのはたまたまではない。個のスピードとシュートの正確性がある。もう一つはオルンガにボールを供給する選手がいる。彼から逆算したサッカーをやっているし、オルンガ一人だけではなく、ボールの出し手がもう一つ選択肢がある中でオルンガにボールが出ている。オルンガだけを見て失点を防げるかと言ったら、そうではないと思っている。
(柏の武器はカウンターだが?)カウンターと、あと一つはロングボール。ロングボールのセカンドを拾って、江坂任がいたら、そこからの1本のパスがキラーパスになる。そこへ至るまでに相手のディフェンスラインを引き出すようなかけ引きをしている。引き出した中で大きいボールを放り込んでセカンドボールを拾う。闇雲にというよりは、オルンガと江坂の良さを最大限引き出すようなことをやっている。そこは注意するが、我々はそれ対策をやるつもりはない。自分たちのやってきた攻守をしっかりやること。カウンターが怖いからボールをつながないかと言ったら、我々は恐れずにつなぐ。もちろん、相手のゴール前まで全部行ければいいが、おそらく、そうではないシーンもたくさんある。そこの対処の仕方は間違えないようにしたい。
(川崎F戦での1-5の大敗を受けてのゲームだが?)我々がボールを握ろうとするところからスタートするのは何も変わらない。もちろん守備では、前を向かせたとか抜かれたとか走らせたとか、個人にフォーカスするとそういう問題はあるが、チームとして横ズレや縦への3mの押し上げ、コンパクトさを保てていれば、なかった失点がたくさんある。我々の中での原則のところ、基本的なことをもっとレベルアップして明日の試合を迎えたい。
(柏の守備をどうこじ開けていくか?)我々がやろうとしていること、目指しているモノを研ぎ澄ますこと。ビルドアップのところからだが、特にアタッキングサードでは、我々のストロングと自負している部分を出していければ、チャンスは作れると思っている。
(川崎F戦の大敗は)私だけでなく、全員が思うところがある。何も思わずにグラウンドには絶対に来ていない。「見てろよ」という思いでいる。

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 前節から先発3人が入れ替わりました。今日もチーム全員の力を合わせて勝利を目指します!

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2試合ぶりの先発となる茶島雄介選手。右サイドからのチャンスメークに期待です!

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選手を乗せたバスがスタジアムに到着しました。2試合ぶりの勝利に向けて気合十分です!

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「三協フロンテア柏スタジアム」のロッカールームです。林卓人選手がリーグ戦では7月22日のJ1第6節・G大阪戦以来の先発出場となりました!

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本日はアウェイ・柏レイソル戦! 相手は得点ランクトップを走るオルンガ選手を筆頭にタレントを揃える強豪です。前節に続いて敵地での難しい戦いが予想されますが、川崎F戦で大敗した悔しさを今日の試合にぶつけて勝利を目指しますので、熱いご声援をよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・攻撃はボールを動かしながら何回もやり続けること。
・守備は自分のマークの選手に絶対に負けないこと。
・エネルギーをかけていくぞ!

ゲームレポート

「今日は勝点3、勝点1、勝点0のすべての可能性があったゲームだと思う」。試合後、そう城福浩監督が語った柏レイソルとの一戦は、結果以上の激しい打ち合いとなった。
サンフレッチェのこの日の出だしは良かった。前節・川崎F戦の5失点大敗を受けて強固な守備組織を築いて臨んだ広島は、集中した守りをベースにテンポの良いパスワークで効果的に相手陣地へ進出。チャンスが生まれそうな雰囲気が漂うと、早くも決定機が訪れた。9分、柏好文が浅野雄也とのワンツーで左サイドを攻略すると、柔らかなクロスをドウグラス・ヴィエイラが頭で合わせて先制。理想的な時間帯でリードを奪うことに成功した。
ただし、ここから息を吹き返してきたレイソルの圧力もあり、試合はカウンターの応酬が始まった。相手はリーグ戦15試合で16得点を奪っている絶対的ストライカーである193cmのオルンガを目がけたシンプルな攻撃に加え、ボールを奪えば江坂任や呉屋大翔といった推進力のあるアタッカーらを中心に速攻で迫ってきた。19分に広島の右サイドを崩されてピンチを招いたのを皮切りに、41分には連係ミスからゴールがガラ空きになったところをオルンガにシュートを打たれたが、これは荒木隼人がカバーして何とか阻止。粘り強く守り続けた紫軍団は、このままリードした状態で前半を終えたかったところだが、前半アディショナルタイムに一瞬の隙を突かれてしまう。45+2分、再びカウンターを食らうと、後方から攻め上がってきていたDF北爪健吾に豪快に右足で決められて失点。試合を振り出しに戻されてしまった。
後半は互いに勝ち越し点を奪おうと、よりゲームは白熱した展開へ。広島は54分の柏好文のシュートカバーや65分のオルンガ、66分の江坂のシュートを体を張って耐え凌ぐと、逆にカウンターで好機を狙う。78分には、途中出場の東俊希のクロスをレアンドロ・ペレイラが頭で合わせるも、これは相手GKキム・スンギュのファインセーブに阻まれる。さらに攻勢を強めた広島は、レアンドロや東、そしてハイネルらがゴール前であと一歩の決定機を立て続けに作り出したが、ラストパスがわずかにズレて得点を奪えず。反対に後半アディショナルタイムには、レイソルにビッグチャンスを創出されたものの林がファインセーブで凌いでタイムアップ。どちらが勝利してもおかしくない一戦は、勝点1を分け合う結果となった。
前節の大敗を受けて、「もちろん勝点3を取りたかった」と試合後に悔しさを露にした城福監督。ただし、「選手は持てる力を出してくれたし、選手の姿勢に関しては評価したい」と川崎F戦を引きずることなく持ち直した頑張りを評価した。

監督 試合後コメント

前節の大敗はショッキングな結果だったが、選手はよく気持ちを切り替えていい準備をしてくれた。彼らの努力、あるいは失望させてしまったサポーターの期待に応えるためにも、今日は勝点3を取りたかった。それを取れずに本当に残念。今日は勝点3、勝点1、勝点0のすべての可能性があったゲームだと思うが、選手は持てる力を出してくれたし、選手の姿勢に関しては評価したい。ただ、前半の最後のアディショナルタイムに失点したゲームの運び方については、ボールの失い方、その後のリスクの背負い方、あと1、2分で(前半が終わるので)あれば、勝点3を持っているチームらしく戦わないといけなかった。そこはしっかり反省して次につなげたい。
(荒木隼人選手と林卓人選手について)特に前半だが、相手がマンマーク気味になったので、我々はそれを剥がせればビッグチャンスになる。また、相手がボールを持ってオルンガに入れば、荒木隼人とのマンマークになる。そういう意味では、そこで時間を作らせたら危ないと思っていた。裏へのランニングについては全員でよくケアをしたと思うが、足下にボールが入った時の時間を与えないところは前半は少し危ないシーンがあった。ただ、ハーフタイムで、そこで早く集結して時間を作らせないことをチームで意識した。荒木隼人もよく耐えたと思うし、入れ替わらずに粘り強くやった。その効果もあって、シュートのタイミングやコースが、林卓人の経験からしたら、対応できる範囲だったと思う。また、至近距離でもよく反応してくれて、ピンチをよく防いでくれたと思う。
(前節の大敗を受けて今日の結果は?)もちろん勝点3を取りたかった。我々の悔しい思い、我々の今節に懸ける思いは、前回の負けを払拭する意味でも勝点3を絶対に取りたいという思いで柏まで来た。勝点1で終わったのは悔しい。ただ、相手には強力な前線がいるし、チャンスも作ってきたので、ゲームをトータルで見れば、勝点1はアンフェアではないと思っている。

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