3.13 16:03

明治安田J1 第4節 vs. 鹿島アントラーズ
AWAY県立カシマサッカースタジアム

試合終了

鹿島アントラーズ 鹿島
1
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半24分
    荒木遼太郎
0
前半
1
1
後半
0
  • 前半30分
    浅野雄也

試合の見どころ

 手応えをより確信へと変えていくための一戦だ。
 システムを慣れ親しんだ3バックから4バックへと変え、攻撃的なスタイルへシフトチェンジした今季。開幕からの仙台、横浜FMとのリーグ2試合は、その特長を発揮して先に得点を奪う戦いを見せながらも、結果的には同点に追い付かれる悔しさを味わっていた。だからこそ前節・札幌戦は「決して下を向く内容ではなかった中で勝点1で終わっていたので、ここで自分たちの向かうもの、目指しているものを再認識するためにも勝点3が必要だった」(城福浩監督)。その札幌戦では3試合連続で先制点を奪い、さらに追加点を重ねると、1点こそ返されたものの、2-1で今季初勝利。モヤモヤとした過去2試合のドローに一喜一憂せず、今季目指している変幻自在の攻撃スタイルを貫いたからこその結果だった。今後も継続していくのみだ。
 今節は勝って自信を深めるには絶好の相手だ。2連勝を目指す中、敵地で戦う相手は強豪・鹿島。言わずと知れたJ屈指の常勝軍団である。
 今季はより手強さが増していると言っていい。ブラジル人指揮官・ザーゴ監督の2年目を迎え、開幕戦こそ清水に敗れているが、前節・湘南戦は鹿島らしい強さが際立った。結果的に3-1の勝利に終わった一戦では、1トップのエヴェラウドや2列目の土居聖真、ファン・アラーノらの前線からの強度の高い守備、三竿健斗らを筆頭とした中盤での球際の激しさ、犬飼智也ら最終ラインの対人能力の強さを見せて特に前半は湘南を圧倒。まさに相手にサッカーをさせない強さは鹿島のDNAであり、最大のストロングポイントを存分に発揮している。
 さらに攻撃ではショートカウンターが研ぎ澄まされ、ゴール前でのコンビネーションもある。開幕からの2試合で3得点を奪っているプロ2年目の若武者・荒木遼太郎といった勢いのある選手もいる。入国制限で新戦力のディエゴ・ピトゥカとアルトゥール・カイキがまだ合流できていないとはいえ、ザーゴ監督の戦いが浸透している今季は、より勝点3を取るのが困難な相手になっている。
 その鹿島に乗り込む広島はいかに勝利を掴むか。今節は前節に続いて中2日でのハード日程であり、さらにケガ人も出始めるなど決して万全の状態ではないが、だからこそ“新しい芽”に指揮官は期待する。「序盤だからこそ、どのチームもケガ人がけっこう出ている。我々もそういう状況がありながら、だからこそ、新しい発見がある。新しい選手にチャンスが与えられる。総力戦で戦う実感があると思う。勝点3を取って帰れるように全員で準備したい」(城福監督)。今季のスタイルを貫く中で、出番を与えられた選手は自らの特長を存分に出していくこと。それがチーム力を高め、勝利に近付いていく。紫軍団はまさに全員の力で鹿島を倒しに行く。

監督 試合前日コメント

──中2日の連戦が2試合続くが?
「もちろん個人差はあるが、何よりも前節は勝ったということが選手のリカバリーに大きく関与してくれると思う。やはり結果はすごく大事。札幌戦では相手が中3日だったということで、我々がすごく集中した試合の入りができたことは自信になっている」

──鹿島の印象について。
「何年か前のインテンシティーの高い鹿島に戻ったと思う。それはネガティブに言っているわけではない。そもそもの鹿島のDNA、球際で負けない、前線に速い、そこから厳しくサッカーを繰り広げる。インテンシティーの戦いの鹿島に戻ったというのが強い印象。それは昨年の途中から思っていたが、今年はより鮮明になっている」

──球際の戦いで負けてしまうと厳しい。
「もちろん我々はボールを動かしていくところで勝負したいと思っているが、球際のところで負けていたら少なくとも勝負にならない。そこは局面、局面で最善を尽くして勝っていかないといけない」

──2試合で3得点を奪っている荒木遼太郎選手は警戒では?
「鹿島はおそらく、前節とほぼ同じメンバーで来ると思う。鹿島はあまりメンバーは変えないし、前節は負荷が高かった試合かと言えば、そうではない。荒木は昨年の新人だが、(彼を入れることで)チームに刺激を与えている。鹿島のチーム内競争の激しさはJリーグの中でも指折りだと思うので、『そこでポジションを取ったら絶対に離さない』という思いは年齢に関わらず強いと思う。そういう意味では(荒木は)ノッている選手だと思っている」

──昨年の「県立カシマサッカースタジアム」でのゲームは勝つチャンスがありながら0-1で敗れたが?
「エヴェラウドの個の強さなど、そこに対して我々は警戒しないといけないが、まずは我々が今年やろうとしていることを出し切るのがすごく大事になる。札幌戦もピンチはあったが、それ(やろうとしていること)を前面に出そうとしてくれる選手もいた。見ている選手もそれを感じたと思う。そういう時間を1分でも長くして、それが勝利に繋がってくると思う」

試合前情報

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本日は広島からは遠い鹿島に加え、雨が降る悪天候でのゲームとなりましたが、約400名もの方にお越しいただきました。拍手での後押し、ありがとうございました!

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本日のスターティングイレブンです! 前節から先発5人が入れ変わりました。まさに総力戦で鹿島を倒しに行きます!

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リーグ戦2試合連続スタメンとなった今津佑太選手。相手の強力ストライカーであるエヴェラウド選手とのバトルは注目です!

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選手を乗せたバスがスタジアムに到着しました。2連勝に向けてそれぞれ気合い十分です!

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「県立カシマサッカースタジアム」のロッカールームです。本日は2ndユニフォームで戦います!

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本日はアウェイ・鹿島アントラーズ戦! 相手はJトップのタイトル獲得数を誇る強豪です。敵地でのハードな戦いが予想されますが、総力戦でリーグ2連勝を目指しますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備は前線からよくハードワークできている。
・攻撃はサイドをもっと使っていくこと。
・勇気をもってボールをつないでいこう!

ゲームレポート

敵地・鹿島に乗り込んだ一戦は、序盤から壮絶なバトルが繰り広げられた。
「何年か前のインテンシティーの高い鹿島に戻ったと思う」。そう試合前に城福浩監督が相手を評していたように、J最多のタイトル獲得数を誇る相手の伝統である激しい競り合い、球際の攻防で主導権を握ろうとする鹿島に対し、広島は真っ向から対抗。前線から最終ラインまでハードに戦い合う密度の濃い一戦は、どちらも譲らない一進一退の攻防で推移した。
その中で先手を奪ったのはサンフレッチェだった。30分、ディフェンスラインからのロングボールをペナルティーエリア付近でドウグラス・ヴィエイラが何とか収めて浅野雄也へ繋げると、背番号29が中央で自慢の左足を思いきり降り抜いて先制。「シュートしか考えていなかった」(浅野)と言う豪快な一発でリードを奪った。
広島がリードを奪えば、その後の試合はやはり“攻める鹿島”、“守る広島”の構図で進んでいった。ボールを左右に散らしながら、最後は中央へクロスボールを送り込んでくる鹿島の攻撃に対し、サンフレッチェはGK大迫敬介を中心に粘り強く対応。相手の強力ストライカーであるエヴェラウドを中心にシュートを打たれはしたが、決定的なチャンスはほとんど作らせることなく前半を1-0で終えた。
後半も相手の攻撃に耐える時間が続く中、時にはカウンターからチャンスを迎えたサンフレッチェ。54分にはエゼキエウのパスに抜け出した浅野が相手GKと1対1のビッグチャンスを迎えるも、これを決め切れずにいると、やはり試合の流れは相手に傾いてしまう。なかなか相手陣地へ押し返すことができなかった69分、自陣ペナルティーエリア中央で鹿島の見事なコンビネーションから守備網を切り裂かれると、最後は荒木遼太郎に決められて試合は振り出しに戻されてしまった。
ただし、同点に追い付かれても広島の勝点への執念は消えていなかった。ホームで決勝点を奪おうとより攻勢を強めてきた鹿島に押し込まれる時間帯が続いたが、守備の集中は最後まで切れることなく1失点で耐え凌ぐ。5人の選手交代をすべて使うなど、まさにチームの総力で最後まで戦い抜いた結果、試合は1-1のドロー決着となった。
「追加点を取るチャンスがあったこと、失点をゼロで抑えられなかったところは、勝点3を取れなかった原因」(城福監督)と勝つチャンスは十分にあっただけに悔しさも残るが、「メンバーが代わりながら勝点への執念を全員で見せられたことは、大きな収穫。必ず次につながると思っている」と指揮官は鹿島相手に激しいバトルを繰り広げて奪った勝点1を前向きに捉えて会場を後にした。

監督 試合後コメント

「非常にハードな試合になることは分かっていたし、鹿島でのアウェイで勝点を取って帰るのは簡単ではないと、みんな覚悟の上で試合に入った。いろんなものが想定したとおり、激しい競り合い、激しいボールの奪い合いの中で、結果としてアウェイでファミリーと共に勝点を持って帰れたのは喜び合いたいし、評価したいと思う。ただ、追加点を取るチャンスがあったこと、失点をゼロで抑えられなかったところは、勝点3を取れなかった原因でもある。この悔しさをしっかり次につなげたい。ただ、これだけ魂のこもったゲームが選手が入れ替わりながらやれたことは必ず今後のリーグ戦に生きると思うし、生かしたいと思っている」

──野上結貴選手のケガの状態と、試合内容は右肩上がりになっているのでは?
「野上については今はコメントできない。ケガであるのは間違いないが、どれぐらいの状況かは確認しようがない。検査等を含めて、結果を待つことになる。
 内容については、鹿島もどの試合でも良い入りをしているので、そこに負けないようにという意味では、我々も良い入りができた。今シーズンは全部、入りとしては悪くないと思っている。その中で前半は少ないチャンスで点を取れたこと。相手をペナルティーエリアに入らせない守備がしっかりできたことは続けていきたい。ただ、守備の時間が長いと、どうしても危ないシーンも出てくる。もう少し相手陣地でボールが持てる状況を前半から作れると、もっともっと良い試合ができると思う。また、先ほども言ったが、メンバーが代わりながら勝点への執念を全員で見せられたことは、大きな収穫。必ず次につながると思っている」

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