5.23 15:03

明治安田J1 第15節 vs. セレッソ大阪
AWAYヤンマースタジアム長居

試合終了

セレッソ大阪 C大阪
1
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半2分
    奥埜博亮
0
前半
0
1
後半
2
  • 後半5分
    ジュニオールサントス
  • 後半14分
    浅野雄也

試合の見どころ

 這い上がるのか、それともこのまま沈んでしまうのか。広島の底力が問われている。
 近年稀に見る公式戦17連戦というハードな日程は14試合を消化し、その間の成績は3勝4分7敗。リーグ戦では前々節・G大阪戦で6試合勝利のない状況から脱したものの、前節はホームで徳島に0-1で敗れると、直近のルヴァンカップでは仙台に0-3のショッキングな敗戦でグループステージ敗退が決まった。J1の順位でも5勝6分5敗の10位という、ちょうど中位に位置するサンフレッチェは、ここからいかに巻き返していくか。負の連鎖がこのままズルズルと続けば下位にのみ込まれてしまうだけに、今はまさに我慢の時期だ。
 とはいえ、今節も厳しい戦いが待ち受けているのは間違いない。敵地で戦う相手は、関西の強豪・C大阪。今季ここまで6勝4分5敗と広島と同じような成績であり、直近の3試合は2分1敗とやや停滞気味だが、地力は十分だ。「監督は代わったが、守備の意識は継続しているし、相変わらず個のレベルの高さは持っているチーム」(城福浩監督)。昨季までの2年間指揮を執ったロティーナ監督からレヴィー・クルピ監督へ代わった今季、“攻撃スタイル”を標ぼうする現指揮官は守備の良さを残しつつ、前線の個のタレントを生かす戦いを繰り広げている。C大阪の顔であった柿谷曜一朗は名古屋へ移籍したが、元日本代表の技巧派MF清武弘嗣や現日本代表のドリブラー・坂元達裕、推進力のあるストライカー・豊川雄太など、タレントは豊富。また、最終ラインには191cmのチアゴと187cmのダンクレーという二人のブラジル人CBを今季新たに獲得するなど、守備の強さはもちろんのこと、攻守におけるセットプレーでの空中戦を強化している。今季から加わった経験豊富な38歳の点取り屋・大久保嘉人はケガで離脱中だが、やはり全体的に実力者が揃った手強いチームだ。
 では、広島はそのC大阪をいかに上回っていくか。城福監督はロングスローを含めた相手のセットプレーの高さを警戒しつつも、「地上戦では十分にやれる」。攻撃時では、前線への単調なロングボールだと当然ながら相手の強力CBに跳ね返されてしまうだろうが、細かなパスワークを駆使したコンビネーションで攻め込めば十分に効くはずだ。守備でも機動力のあるC大阪攻撃陣に対して、コンパクトな陣形で組織を崩さずに守ること。お互いの高い組織力がぶつかり合う一戦は拮抗した展開が予想されるだけに、広島としては忍耐強く戦い抜き、勝利のゴールをもぎ取りたいところだ。

監督 試合前日コメント

──C大阪の現状について。
「中盤にはやはりタレントがいるし、前線には一瞬の隙をゴールにできるFWがいる。そういう意味では、昨年までとは少し違う形の攻撃の怖さがある。また、高さという意味でもCBを含めてふんだんに生かしてくるし、バリエーションがある」

──C大阪のディフェンス面は?
「昨年に続いて、なかなか緩んではくれないと思っている」

──サイドハーフも実力者だが?
「坂元達裕と清武弘嗣は違うタイプ。清武の時間の作り方、それで周りがスピードアップしてくるし、最後の浮いたボールの技術の精度、右足の右巻きのキックの精度はやはり怖い。また、坂元の分かっているけれども左足のキックフェイントからのカットインもあるし、そのままの左足のクロスに対してもチームでイメージを共有している。そこも気を付けないといけない」

──高い位置からどんな守備をしていくか?
「サイドがいかに前へのスイッチを入れられるか。あるいは前線がどういうふうにスイッチを入れるかはみんなで共有できている。今度はオーガナイズした時の前線の守備。中を固めながらどういうふうにサイドがスイッチを入れていくか。そこのせめぎ合いになってくると思う。ただ、昨年のC大阪戦も70分ぐらいまでは本当にイメージどおりのゲームができた。そこを再現したい」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 直近の仙台戦から先発全員が入れ替わりました。今日も総力戦で戦い抜きます!

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2試合ぶりの先発となったジュニオール・サントス選手。チームを勝利へ導くゴールに期待です!

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選手を乗せたバスがスタジアムに到着しました。リーグ戦2試合ぶりの勝利に向けて、気合い十分です!

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「ヤンマースタジアム長居」のロッカールームです! 5月8日のJ1第13節・鳥栖戦以来の先発出場となった青山敏弘選手。その豊富な経験値は今日もチームの大きな力になります!

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本日はアウェイ・セレッソ大阪戦! 相手は各ポジションにタレントを揃える強豪です。今日はリモートマッチとなりましたが、映像を通じて喜びを分かち合えるよう全力で戦いますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・オーガナイズした時の守備は悪くない。カウンターにもよく対応できている。
・焦れないで幅を使って攻撃していこう。
・出し切って繋いでいくぞ!

ゲームレポート

変化に挑んだ広島が実りある結果を掴んだ。
リーグ戦2試合ぶりの勝利を目指して敵地・C大阪のホームに乗り込んだ一戦。過密日程の中でなかなか波に乗り切れない広島は今季取り組んできた4バックシステムから昨季まで慣れ親しんだ3バックへシフトチェンジ。「4バックで表現できたことと、仕切れなかったことを3バックで表現したい強い思いがあった」と言う城福浩監督の狙いが、この試合ではズバリと的中した。
序盤からボールポゼッションで優位に立った広島は、右ワイド・柏好文がキレのある突破で相手陣地へ進出すれば、左ワイド・藤井智也も持ち味のスピードを生かしてC大阪守備陣へ襲い掛かった。さらに前線からの巧みなプレスも機能するなど試合の主導権を握ったサンフレッチェは、13分にカウンターからジュニオール・サントスがチャンスを迎えれば、16分に柏が右サイドを切り裂き、決定的なクロスで決定機を演出。37分には、藤井が負けじとカットインから強烈な右足シュートを放つなど、いつ得点が生まれてもおかしくない良いリズムで前半を終えた。
仕切り直しの後半、前半の攻勢がようやく実を結んだ。開始直後の47分にCKから先制点を許して嫌な雰囲気になりかけたが、その流れを断ち切ったのはジュニオール・サントスだった。50分、右サイドからの森島司のCKを野上結貴が頭でそらし、中央でサントスが詰めて早くも同点。これで試合は落ち着くと、59分に電光石火のカウンターが炸裂した。C大阪の波状攻撃に耐えた広島は、川辺駿からサントスへとパスが渡ると、背番号37は持ち前の馬力を生かして相手DFダンクレーを振り切り絶妙なラストパス。これを受けた浅野雄也はGKをかわしてゴールネットへねじ込み、逆転に成功した。
その後はホームで同点に追い付こうと攻撃へのパワーを強めてきたC大阪にボールを持たれる時間帯が続いたが、野上、荒木隼人、佐々木翔の3バックの守りは堅く、ゴールを許さず。2点目の際にVARが入ったことでアディショナルタイムは10分を数えたものの、最後まで守備の集中が切れなかった広島が2-1で勝ち切ることに成功した。「今日の試合で負ければ『システムを変えたからだ』というふうにもなるし、いろんなモノを背負ったゲームの中で今日は勝点3を全員で勝ち取ったのは非常に意味があったと思う」(城福監督)。今後への巻き返しを狙う広島にとって、一つのキッカケをつかむ勝利となった。

監督 試合後コメント

「しばらく勝てていなかったので、サンフレッチェファミリーの方々に本当に悔しい思いをさせていた。自分たちが今年表現したいサッカーを選手はずっと取り組んでいたが、少し結果が出ないと自信が揺らぐことになりかねない。今日はどうしても結果が欲しかった。まだまだ上位争いすることを諦めていないので、ここからしっかりと勝点3を取り続けられるようにしたい。ゲームについては、良い守備からの良い攻撃で複数得点をもっと早く決められるタイミングがあった。そこはしっかり反省しないといけないが、選手はよく走ってくれたし、アウェイでの難しい試合をよく勝ち切ってくれたと思う」

──今日は3バックと4バックの可変システムのような感じだったが、手応えは?
「自分たちは今年ずっと4バックシステムでやってきた。4バックで表現できたことと、仕切れなかったことを3バックで表現したい強い思いがあった。選手の特長を自分のプレーエリアの中でアイディアを持って大胆に表現するところは、3バックも4バックもそう変わらない。特に攻撃の時は可変でもっともっとやっていきたいと思っている。守備のところは、よく縦ズレ、横ズレをしてスイッチを入れたことによって、最終ラインも安定したと思っている」

──3バックシステムに変えた葛藤は?
「もちろん、理由は一つではない。これまで自分たちのやりたいサッカーを表現するのに4バックでやれた部分もあったし、3バックに変えたことで全否定されるものではないと思っていた。それは選手に伝えた。『ダメだから変えるのではない』と。我々が表現しようとしたことの良さを生かし、試行錯誤して苦しんできたことを3バックでどう表現していくかというのは、短い期間だったが、選手と共通意識を持って今日の試合に臨んだ。選手も本当に苦しんだ1カ月ぐらいだったと思うので、3バックで我々が表現したかったことをしっかりと結果を持ってまずは掴み取りたい。そして自信を持って次の試合の内容を突き詰めたいという思いがあった。今日の試合で負ければ『システムを変えたからだ』というふうにもなるし、いろんなモノを背負ったゲームの中で今日は勝点3を全員で勝ち取ったのは非常に意味があったと思う」

──得点を決めたジュニオール・サントス選手と浅野雄也選手について。
「ゲームの中で一番輝くポジションやタスクは、たかがシステム、されどシステム。彼らにとって何が一番良いかは、浅野雄也についてもジュニオール・サントスについても、自分はずっと考えていた。特に攻撃のところのタスクを少し明確にしてあげたほうがいいと思った。もっともっと絞ってあげたほうがいいという意味では、今日の彼らはよく理解してやってくれたと思う。得点シーン以外にもチャンスやチャンスの手前までよく顔を出してくれたと思っている」

──次節・浦和戦まで中2日とまた大変なスケジュールだが?
「我々のスケジュールを見たら、そう言ってくださる方は多い。とくかく勝点3が最大のリカバリーになる。水曜日にしっかりと繋げられるように、広島で待っている選手を含めて全員で戦いたい」

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