5.26 19:01

明治安田J1 第16節 vs. 浦和レッズ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
2
浦和レッズ 浦和
  • 前半23分
    ハイネル
  • 後半45+2分
    川辺駿
1
前半
1
1
後半
1
  • 前半15分
    キャスパーユンカー
  • 後半39分
    興梠慎三

試合の見どころ

 勢いをつける戦いだ。公式戦2連敗の中で臨んだ前節・C大阪戦では、今季取り組んできた4バックスタイルから昨季まで慣れ親しんだ[3-4-2-1]システムへ変更すると、序盤から攻守で安定した戦いを見せて2-1で勝利。「4バックで目指したモノがあり、ここで変えたというのは『何かを諦めた』とか、『これじゃできなかったんだ』と我々は思いたくない。その思いは強いと思う。だからこそ、システムに関係なく『我々がやろうとしているサッカーをやるんだ』という精神的な思いをみんな持ってC大阪戦のピッチに立ってくれたと思う」(城福浩監督)。システムを変更したからと言って、広島が目指す戦いは変わらない。自分たちからアクションを起こしていく前線からの鋭いプレスや組織的な堅い守り、連係・連動を駆使した相手の隙を突いていく攻撃など、4バックの時から積み上げてきたスタイルを今後も続けるだけだ。
 2連勝を目指す今節、C大阪戦で掴んだ自信をぶつけるにはもってこいの相手だ。ホームに迎えるのは、現在リーグ戦3連勝中と勢いに乗る浦和。昨季までの4年間指揮を執った徳島でJ1昇格を果たしたスペイン人の知将・リカルド・ロドリゲス監督を迎えた今季、序盤の6試合こそ1勝2分3敗と苦戦が続いたが、第7節からの3連勝を皮切りに、直近の9試合は7勝2敗と大きく持ち直した。
 そのスタイルは、スペインの指揮官らしく後方からボールを保持するアクションスタイルだが、「最終ラインの4枚やボランチで何とか防ぎ切った後、ボールを繋ぐところもそうだが、意外と裏に抜けてそこにボールを入れてくる。そこからサイドハーフのスピードを生かしてくる形を持っている」(城福監督)。槙野智章&岩波拓也のCBやボランチ・阿部勇樹らの守備の能力は相変わらず高く、そこから攻撃に移った際にもサイドMFには汰木康也や田中達也という個で打開できる強力なアタッカーがいる。そして得点源は何と言ってもデンマーク人のキャスパー・ユンカーである。186cmの大型ストライカーは、5月9日のJ1デビュー戦から3試合連続ゴール中で4得点。高さあり、強さあり、左足のシュートありと万能型で、彼が出場した3試合で3連勝中とまさに好調・浦和をけん引する働きを見せている。高い実力に加えて、勢いもある浦和との対戦は、広島の一つの試金石だ。
 サンフレッチェにとっては、17連戦の16試合目。大型連戦も終盤を迎え、疲労も溜まっている中での強豪との戦いとなるが「個のレベルは高いが、我々は自分たちのやろうとしていることにエネルギーを注力したい」と指揮官。もちろん、相手の特長は頭に入れて試合に臨むが、自分たちのスタイルを発揮して勝利を目指す姿勢に変わりはない。ここで浦和を倒し、チームとしてさらなる自信を手に入れたいところだ。

監督 試合前日コメント

──勝点3を取った後はやはりチームの雰囲気は良いのでは?
「自分たちは結果に左右されない準備と空気を作る努力はするが、勝点3に勝るモノはない。もちろん、明日は15連戦をやった中での中2日の試合なので、最初の2、3試合目の後の中2日とは訳が違うと思っている。ただ、我々はこの日程が組まれた時から全員で準備していく覚悟は言っていた。彼らであれば、やってくれると思う」

──システムを変えて臨んだC大阪戦について。
「[3-4-3]システムという表現を使わせてもらうと、戦術的な面ではプレーするエリアやタスクがハッキリはする。ハッキリはしている分、窮屈に感じながらやるか、ハッキリしている中でアイディアを持って大胆にやるか。私は後者のメンタルを持ってやろうと。それこそが楽しいではないかという思いで臨んだ。そういう意味では、可変(システム)に見えたと思う。4バックでやった横ズレや縦ズレについても元々ポジションがフレキシブルでないとあんな縦ズレはできない。そこは4バックでやってきたからこそ、どのタイミングで横ズレや縦ズレをやれば効果的かをみんなが声をかけながらやれたと思う。もう一つは、選手と話したわけではないが、4バックで目指したモノがあり、ここで変えたというのは『何かを諦めた』とか、『これじゃできなかったんだ』と我々は思いたくない。その思いは強いと思う。だからこそ、システムに関係なく『我々がやろうとしているサッカーをやるんだ』という精神的な思いをみんな持ってC大阪戦のピッチに立ってくれたと思う」

──浦和は調子を上げてきているが?
「コンディション的に我々より良いのは間違いない。今は失点もせずに3試合勝っている。そういう意味では、ノビノビと今年目指しているものでやってくると思う。ただ、個のレベルは高いが、我々は自分たちのやろうとしていることにエネルギーを注力したい」

──浦和の新戦力ストライカーであるキャスパー・ユンカー選手について。
「(ゴール前に)入っていく形は持っているし、ヘディングもそうだが、左足での形もある。そこはマークするCBなどが注意しないといけないし、そこにボールを供給するシチュエーションは気を付けないといけない。ただ、そこを特に意識して何かを変えることではない」

──浦和の崩すポイントは?
「一見、ゴール前まで行けているように見えても、やはり個のレベルが高いので防ぎ切るところがある。最終ラインの4枚やボランチで何とか防ぎ切った後、ボールを繋ぐところもそうだが、意外と裏に抜けてそこにボールを入れてくる。そこからサイドハーフのスピードを生かしてくる形を持っている。自分たちがボールを握っているから自分たちのペースというよりは、やはり最後はゴールマウスを割るところまで行かないといけない。おそらく、ここ何試合か浦和と対戦したチームは、攻めていていつかは点を取れるという感触を持ったと思う。直近の神戸もそう。ただ、気が付いたら浦和に点を取られて負けたというような、そういうゴール前の粘り強さ、そこから選手交代を含めて持ち直していく力は持っていると思う」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 前節からスタメンを5人入れ替えて臨みます。ホームでの勝利からは遠ざかっているだけに、今日こそは全員の力で勝点3をつかみとります!

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今日も先陣を切ってピッチに登場したのは、キャプテンの佐々木翔選手! 前節、セレッソ大阪に勝利して迎えた一戦とあって、選手たちは充実したいい表情でウォーミングアップをスタートしました!

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前節・セレッソ大阪戦で1ゴール1アシストの大活躍で勝利に大きく貢献したジュニオール・サントス選手。今日もパワフルな突破と豪快なゴールに期待です!

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本日のロッカールームです。5月15日(土)の徳島ヴォルティス戦でJ1通算200試合出場を達成した佐々木翔選手。キックオフ前にセレモニーを行いますので、我らがキャプテンに温かい拍手をお送りください。

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本日はホーム・浦和レッズ戦! 相手は各ポジションにタレントを揃える強豪です。現在は3連勝中と勢いもある浦和に対し、今日も難しい戦いが予想されますが、チーム全員の力を合わせて勝利を目指しますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備は声をかけ合いながらマークを受け渡すこと。
・攻撃は相手を揺さぶることはできている。続けること。
・勝負はここからだぞ!

ゲームレポート

サンフレッチェが最後の最後まで諦めない執念を見せた。
3連勝と勢いに乗る浦和を迎えた一戦。試合は序盤から一進一退の攻防が続いた。互いに高い位置からプレスをかけて主導権を握ろうとする密度の濃い内容で試合は進む中、両チームともにショートカウンターを中心にゴールを目指す。どちらもゴール前では粘り強い守備を崩せずシュートまで持ち込めなかったが、15分、浦和に一瞬の隙を突かれてしまった。田中達也に左サイドの背後へ抜け出されると、クロスに対して荒木隼人が体を投げ出して一度は処理するも、そのこぼれ球を拾われてキャスパー・ユンカーに詰められ失点。リーグ戦3試合連続ゴール中と好調な浦和の新戦力ストライカーに4戦連続弾を許してしまった。
ただし、逆転勝利を収めた前節・C大阪戦に続いて、この日も広島は下を向くことはなかった。失点後も組織的な守備を継続して浦和を封じ、ボールを奪えばカウンターに加えて敵陣での細かなパスワークでサイドを中心に崩しにかかる。すると、左サイド・東俊希が獲得したCKで見事なゴールが生まれた。23分、キッカーのハイネルが右足で放ったボールは綺麗な放物線を描いて直接ゴールに吸い込まれて同点。3試合連続完封中と堅い守備を誇っていた浦和から広島が早い時間で追い付くことに成功した。
その後もサンフレッチェのリズムは悪くなかった。前半を1-1で折り返して迎えた後半も最終ラインからの着実なビルドアップで効果的な攻撃を繰り出していく。さらに58分には、川辺駿と浅野雄也を同時投入してギアを上げると、次々とチャンスを演出。57分、浅野のヒールパスからエゼキエウが決定機を迎えた他、60分には川辺が相手DFの背後へ飛び出してシュートを放つ。63分にも川辺のパスに抜け出した浅野が相手GKと1対1のチャンスを作り出すなど、ゴールの匂いは漂っていたが、84分にまさかの展開が待っていた。自陣エリア内で荒木がハンドを取られてPKを献上。これを興梠慎三に落ち着いて決められ終盤にリードを許す展開となってしまった。
だが、「この展開でPKを取られて負けるのは一番嫌な展開だし、よくある展開だとは思っていたが、選手は諦めずによく最後までやってくれた」と城福浩監督が選手の粘りを称えた場面は後半アディショナルタイムに訪れた。右サイドでの崩しから一度は相手DFにカットされたが、そのこぼれ球を川辺がエリア外から豪快に突き刺して同点。互いに点を取り合う白熱した一戦は2-2のドロー決着となった。

監督 試合後コメント

「ホームでしばらく勝てていなかったし、上位を狙いたい我々としては今日は本当に勝点3が欲しいゲームだった。内容としても我々がやろうとしたことを選手は遂行してくれたし、我々から見たら勝点3に相応しいゲームができたと思っている。残念な気持ちでいっぱいだが、我々の中2日のコンディションや連戦のことを考えたら、悔しい気持ちとともに選手は本当に最後までよく粘ってくれたという両方の気持ちが同居している。この内容で勝点1という悔しさは次の試合に向けたいと思うが、まずは今日最後まで走り切って、我々のサッカーをやろうとしてくれた選手たちを労いたいと思う。ただ、悔しさでいっぱい」

──この試合で勝点1は悔しいと思うが、最後の最後まで諦めずに戦った選手たちと川辺駿選手について。
「相手の精度はさすがだと思うし、1チャンス、2チャンスで得点に結び付けられたところは反省しないといけないが、それ以外のところはほとんど侵入されることもなく、我々のほうがチャンスは多かったと思う。1-1になってからもやはり2点目を取りたかった思いが強い。この展開でPKを取られて負けるのは一番嫌な展開だし、よくある展開だとは思っていたが、選手は諦めずによく最後までやってくれた。最後の最後はパワープレーも意識したが、最後までポケットを取りながら崩して点を取り切ったのは我々らしくて良かったと思う。川辺はいつもあそこのエリアからシュート練習をしているので、それが生きて良かったと思っている」

──ハイネル選手はよくチームに貢献してくれたと思うが?
「前からのプレスの行き方を最初の15分ぐらいチームとして戸惑ったところがあったが、しっかりスイッチを入れられるようになり、ハイネルも良い位置で奪って、そこからボールを出したり、3列目から出て行く彼らしさは後半も含めて出せたと思う。彼がボランチとしてあれぐらいのプレーをしてくれたら、かなり連戦はキツかったが、これから先も選手層という意味では頼もしいと思う」

──ハイネル選手が交代した理由は?
「交代した事実については、脳震盪の枠は使っていない。最終的には診てみないと分からないが、プレーもしっかりしていたし、意識もしっかりしているので、我々は脳震盪ではない理由で交代した」

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