6.19 19:03

明治安田J1 第18節 vs. 柏レイソル
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
0
柏レイソル
  • 後半33分
    佐々木
0
前半
0
1
後半
0

試合の見どころ

 サンフレッチェの真価が問われる戦いだ。16日(水)の天皇杯2回戦・おこしやす京都AC戦はまさに屈辱的なゲームとなった。カテゴリーが4つも下である関西リーグ1部所属のクラブに1-5というまさかの大敗。主力組を温存していたとはいえ、アマチュアクラブ相手に5失点での敗戦はプロとしてのプライドが打ち砕かれるだけでなく、応援してくださる方々を失望させてしまう不甲斐ない戦いだった。全国的に不名誉な敗戦と印象付けられた16日の一戦から、今節の広島はどう立ち直った姿を見せられるか。「我々に残されたのはもうJリーグしかない。我々が何を見せられるかというところが本当に大事になる」(城福浩監督)。チーム全員の意地が求められている。
 もっとも、負けられないのは相手の柏レイソルも同様だ。2011年にJ1制覇へ導いた実績を持つ名将・ネルシーニョ監督率いる強豪は、今季ここまで4勝2分11敗と大苦戦。順位もJ2降格圏の17位と苦しみ、現在はリーグ戦6試合連続で勝利がない(1分5敗)状況だ。3週間の中断期間を終えて迎える今節は、そこから這い上がるべく気持ちを新たに仕切り直してくるのは必至であり、中断期でチームの修正も施しているはずだ。「なかなか読みづらい」と城福監督も警戒するレイソルのメンバー&システムも含めて、難しい戦いになるのは間違いない。
 また、今は下位に沈んでいるとは言え、「日本人もそうだが、外国籍選手も相当実績のあるメンバーが揃っている」(城福監督)。昨季のリーグMVPである点取り屋・オルンガが移籍したのが大きな痛手になっているが、他には驚異的なシュート力を備えるクリスティアーノをはじめ、ヒシャルジソン、アンジェロッティ、ドッジなど力のあるブラジル人が揃っている。日本人も万能型アタッカーの江坂任を筆頭に質は高く、各ポジションにタレントはいる。元々、地力のあるチームなだけに、武器であるカウンターを含めた対処を広島は怠ることはできない。
「これまで取り組んできたものもあれば、中断期に新たにトライしているものもある。とにかく、そこを研ぎ澄まして、良いレベルを見せたい。メンタル的には、ここでやらないはずがない状況。そこは心配していない」と城福監督。レイソル戦は天皇杯で示せなかった“積み上げ”を披露して勝利を掴むことが再起への一歩となる。京都AC戦での汚名を晴らせるのは、まさに自分たちだけだ。

監督 試合前日コメント

──柏レイソルの現状について。
「なかなか読みづらいと思っている。立ち位置もいろんなバリエーションを持っているし、相手に合わせる手法を取る監督。前半と後半で立ち位置やメンバーを変えてきたりもする。これをどう読むかというのはあるが、基本的に人を掴みにくる守備をするので、そこを我々はうまく突ければと思う。逆に言えば、そこでうまくハメられてしまえば、相手のカウンターは非常にクオリティーが高い。そこは気を付けたい」

──なかなか相手はリーグ戦で勝てていない状況だが?
「日本人もそうだが、外国籍選手も相当実績のあるメンバーが揃っている。コロナ禍というのもあるが、(新外国籍選手は)日本のサッカーやリズムにアジャストするのに、おそらく時間がかかったと思う。中断期やあるいは合流してから時間が経てば経つほど、チームの要求を理解するし、日本のサッカーにも慣れてくる。そういう意味では、実績十分の外国籍選手の力は非常に脅威。各ポジションにいるので、そこは気を付けないといけない」

──クリスティアーノも脅威だが?
「彼の一振りは強烈。ブレ球だけでなく、落とすようなボールも蹴れるし、彼に自由にクロスやシュートを打たせると本当に危ない。そこはチーム全員でコンパクトに守れるようにしたい」

──相手を警戒しつつも、広島はどのように戦っていくか?
「これまで取り組んできたものもあれば、中断期に新たにトライしているものもある。選手は今日もそこをよく表現してくれたと思う。とにかく、そこを研ぎ澄まして、良いレベルを見せたい。メンタル的には、ここでやらないはずがない状況。そこは心配していない。もちろんクオリティーを目指さないと結果も付いてこないので、ビルドアップのところもそうだが、特にゴール前は意思統一を含めてクオリティーを高めてより良いシーンを多く作りたい」

──明日の試合は懸けるものがあるのでは?
「チームの今年の目標としてタイトルを獲るという意味では、もう二つ失ってしまった。残りはリーグ戦しかないし、どのステージで戦うかという意味でも負けられない状況。(最近は)ホームでも勝っていない。天皇杯の負け方云々は別としてもリーグ戦を考えたら、我々は勝点3を積み上げていくのみ。今、どんなメンタリティーを見せるかチーム全員が問われている」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです。3日前に行われた天皇杯からスタメン11人を総入れ替え。日本代表に招集されていた佐々木翔選手、川辺駿選手、U-24日本代表に招集されていた大迫敬介選手もスタメンに名を連ねました。ホームで勝点3をつかむべく、全力を尽くして戦います!

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選手がピッチに登場! いつも以上に引き締まった表情でウォーミングアップに向かった青山敏弘選手。チーム内で最もサンフレッチェ広島を知り尽くす頼もしきベテランが、今日の一戦に強い決意をもって挑みます!

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選手バスがスタジアムに到着しました! 大迫敬介選手にとっては、五輪代表発表前のラストゲーム。持てる力を出し尽くし、今日の勝利のために戦います!

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本日のロッカールームです。注目は、やはり日本代表で活躍を見せた背番号8・川辺駿選手! 今日はホーム・エディオンスタジアム広島で紫のユニフォームを身にまとい、さらなる輝きを放ってくれるはずです!

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本日はホーム・柏レイソル戦! 相手は今季ここまで4勝2分11敗の17位と下位に沈んでいますが、各ポジションに力のある選手を揃える強豪です。本日も難しい戦いが予想されますが、天皇杯の悔しさをチーム全員で晴らすべく戦いますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備はバランスを崩さないこと。
・攻撃は非常にいい。地道に崩していくこと。
・このサッカーを信じて続けよう!

ゲームレポート

天皇杯の屈辱から中2日で迎えた一戦。広島の意地が問われたゲームは、序盤から強度の高さを見せて主導権を掌握した。
開始直後のジュニオール・サントスの強烈なポスト直撃弾を皮切りに、CKから野上結貴がヘッドを放てば、浅野雄也もショートカウンターからシュートを見舞っていく。守備では、時に相手の武器であるカウンターを受ける場面はあったが、基本的には素早い切り替えでレイソルの攻撃を封じてボールを回収。リスクを恐れることなく常に攻撃姿勢を持ち続けた広島は、16分に再びショートカウンターからサントスがドリブル突破で決定機を迎えた他、34分には柏好文もエリア内でビッグチャンスを作り出すなど、ゴールへの気迫を見せ続けた。さらに森島司や青山敏弘&川辺駿のダブルボランチも積極的にシュートを放った広島の前半のシュート数は16本でレイソルが1本。スコアレスでハーフタイムを迎えたとはいえ、紫軍団が圧倒的な攻撃力を見せる前半となった。
迎えた後半も広島ペースは変わらなかった。「このサッカーを信じて続けよう!」。そう城福浩監督の指示どおり、レイソルに自由を与えることなくポゼッション率を高めて相手陣地でサッカーを展開。ゴール前での細かなパス交換やサイド攻撃を繰り出しながら地道にゴールを狙い続けた。
そんな我慢の攻撃が実ったのは78分だった。エリア付近でダイレクトパスが繋がり、オーバーラップしていた佐々木翔へ。背番号19は鋭いクロスを中央へ送り込むと、相手DFに当たって角度が変わり、ゴールに吸い込まれて先制。終盤になってようやくレイソル守備陣をこじ開けることに成功した。
1点を取ってしまえば、試合はもう広島のモノだった。80分以降も組織的な守備ブロックを崩すことなく試合を進めた結果、1-0の勝利。ホームでは3月17日のJ1第5節・清水戦以来となる実に3カ月ぶりの勝点3となった。
「今日の我々がどういう思いを持って臨んだかをみんなが表現してくれたと思う。それぐらい、我々にとっても心が痛い水曜日だった。心が痛い3カ月だった」(城福監督)。広島にとってはショッキングな天皇杯での敗戦を引きずることなくリバウンドメンタリティーを示す勝利となった。

監督 試合後コメント

「水曜日は残念な思いをさせたというよりも、ファミリーの方々にショックを与えてしまった。ショックという単語のほうが相応しいような試合をしてしまった。今日は勝点3以外に許されないと思っていた。クラブが一つになるために、我々がやるべきことをやろうと。このクラブがファミリーが一つになることが絶対条件だと思う。我々がそれを取り戻そうと。1試合1試合でそれを取り戻すしかないと選手と共有した。天皇杯はもう取り戻せないが、クラブが一つになることは我々の姿勢次第で取り戻せると。こんなに素晴らしいことはないじゃないか、我々にもそういうチャンスがあると。それを選手は心に宿しながらやってくれたと思う。もちろん前半からもっともっと点を取りたかった。もっともっと点が取れたはず。ただ、この重圧の中で選手は本当によく勝点3を取ってくれた。選手を称えたいと思う」

──ホームでは3カ月ぶりの勝利だが、天皇杯から中2日の中でどこに重点を置いたのか?
「積み上げてきたことをとにかく出す。そこに集中した。柏は3バックも4バックもあるし、立ち位置が変わってくるチーム。メンバーが読みづらかったので、柏のことを考えるよりも我々が積み上げてきたことをやり通すことに集中した。また、繰り返しになるが、クラブが一つになるために、我々がやれることは応援してもらうチームになることを取り戻す。そこをみんなで共有した」

──前半からチャンスを作る中で相手のカウンターは怖かったと思うが、後半に選手を送り出す時の指示は?
「もちろん試合前から柏はカウンターがメインのチームだと認識していた。それを恐れずに自分たちは人数をかけて攻めて行こうと。バランスのところは試合前もハーフタイムも確認した。特にCBは佐々木と野上のところで攻撃参加した時のバランスはハーフタイムに確認したが、とにかく我々は人数をかけて勝点3を取りに行くために攻め続けることをみんなで共有していた」

──勝利の瞬間はどんな思いだったか?
「いつも負けられない試合だと思って毎試合やっているし、自分たちのすべてを懸けてやっているつもり。ただ、ホームでずっと勝てていなかったこと、水曜日の試合で本当にショッキングな試合をしてしまったことを考えたら、勝ちたいではなく、勝つ以外にない状況の中で本当に選手はよくやってくれた。このチーム、メンバーはそういうリバウンドメンタリティーを持っていると感じた。皆さんに試合の最初から応援してもらえるようなチームになっていきたい。一つひとつ、そういう試合を見せていきたいと思う」

──ゴールを決めた佐々木翔選手はクリティアーノ選手の決定的なシュートをブロックするなど、鬼気迫るものがあったが?
「クリスティアーノのあの一振りの時が一番危なかったと思う。あとは、ほとんど相手にとってノーチャンスだったと思う。彼だけでなく、今日の我々がどういう思いを持って臨んだかをみんなが表現してくれたと思う。それぐらい、我々にとっても心が痛い水曜日だった。心が痛い3カ月だった。クラブは一つになりたい」

──試合前に選手にかけた言葉は?
「重なるが、積み上げてきたことをやるのみだし、信頼される、応援してもらうクラブになるための姿勢を見せ続ける。そういうこと」

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