8.21 19:03

明治安田J1 第25節 vs. 川崎フロンターレ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
1
川崎フロンターレ 川崎F
  • 前半27分
    好文
1
前半
0
0
後半
1
  • 後半28分
    レアンドロダミアン

試合の見どころ

 まさに無敵の王者との戦いだ。昨季、2位に勝点差18をつける圧倒的な成績で3度目のJ1制覇を成し遂げた川崎Fは、今季も絶大な力を誇示。ここまで24試合を終えて19勝5分と開幕から無敗をキープし、しっかりと首位を維持している。「今季はまだ負けていない。それほどの独走には理由がある。技術の高さ、ハードワーク、それを続けられたからこそ。その差を埋めて彼らから勝点をとるには、自分たちの最高レベルの力を出さないといけない」(城福浩監督)。広島の底力が問われている。
 川崎Fに初黒星を付けるべく戦う広島の指揮官がポイントに挙げたのは、良い守備からの良い攻撃だ。川崎Fと言えば、テンポの良い細かなコンビネーションを駆使した攻撃スタイルに目が行きがちだが、ボールを失った際の素早い切り替えによって奪い返す“即時奪回”も大きな武器だ。チーム全員で労を惜しまずハードワークし、188cmの大型ストライカーであるレアンドロ・ダミアンも前線から積極的にプレスをかけに行く。そしてボールを保持すれば、リーグ屈指の技巧派軍団の強みである高い技術、アイディア、意思統一されたコンビネーションで敵陣へ果敢に進出してゴールを奪う。ボールを握られる時間が長くなりそうだからこそ、「我々らしく、堅い守備の中から厳しい奪い方をできるかがスタートになる」(城福監督)。
 だからと言って、守備だけで終わる考えは当然ながらない。「相手陣地で我々がボールを保持しようと思えば、できると思っている」と指揮官が自信を持つように、敵陣地でのボールポゼッションは広島も一つの武器だ。そこにカウンターを織り交ぜながら川崎F守備陣を攻略するためには、やはり良いボールの奪い方をしてからの攻撃が最も効果的だ。逆に守備が機能しなければ、川崎Fに一方的に押し込まれてしまうだけの展開となり、負けに近付く。“良い守備からの良い攻撃”は、川崎Fを止めるためにも、そして勝利のゴールを奪うためにも重要な戦い方となる。
 川崎Fは今季のチームをけん引していた五輪世代の三笘薫と田中碧の二人が海外クラブへ移籍したのは痛手だろうが、それを補う戦力が控えているのも王者たる所以だ。レアンドロや家長昭博、ジョアン・シミッチ、旗手怜央らは健在であり、サブに目を向けても2017年のMVPである小林悠が控える豪華な陣容。まさにJ1で勝つのが一番難しい相手だからこそ、勝利した時に得られる喜び、自信は今後に向けての大きなパワーとなる。
 1週間前は広島県を襲った大雨による被害で神戸戦が延期となった。まだまだ苦しんでいる方々がいるからこそ、サンフレッチェは「我々ができることはまず魂のこもったゲームをして、良い報せを届けること。そこはベストを尽くしたい」(城福監督)。力をすべて出し尽くし、王者を破って広島県に最高の吉報を届けたいところだ。

監督 試合前日コメント

──選手たちの状況は?
「(前節は)延期となったが故に準備としては難しくなったが、選手はやれる環境の中でしっかりやってくれたと思う」

──川崎Fの得意な形である即時奪回、最初のプレッシャーを剥がす具体的な方法は?
「やはり良い守備ができないといけない。GKからゆっくりボールを繋いで『こうやったら剥がせますよ』という方法があるんなら、みんなそれをやっている。各々のチームのやり方があると思うが、我々らしく、堅い守備の中から厳しい奪い方をできるかがスタートになる」

──良い形でボールを奪えば、カウンターも含めて良い攻撃ができるのでは?
「それがカウンターになるのか、カウンターをやめて相手陣地でボールを保持するのかは、選手の戦術眼によるところがあると思う。良いボールの奪い方が何回かできれば、押し込まれながらずっとサッカーをやることはないと思う。相手陣地で我々がボールを保持しようと思えば、できると思っている」

──川崎Fは特にレアンドロ・ダミアン選手の攻守における貢献が大きいが?
「キープ力もそうだし、足もヘディングも持っている。点を取る形を自分で作り出せる選手だし、周りもそれを生かすことができる。彼にゴール前でプレーさせないようにしないといけないが、要注意なのは彼が2列目まで落ちてボールを触った後にそこから(ゴール前に)入ってくる。なかなかつかみづらいところもある。つかみっぱなしになるのか、渡してスペースを埋めるかのメリハリは今日確認した」

──途中から出てきそうな小林悠選手も警戒だが?
「とにかくシュートがうまいし、コツを知っている。そこに家長(昭博)を含めて供給できる選手もいる。当事者だけをケアするよりは、供給する選手がある程度、余裕を持ってボールを出せるような状況にさせないようにしたい」

──広島の前線に期待することは?
「チームとしてやってきた良さと、右と左で各々タイプが違うので、その良さを出せるようにしたい。彼らサイドで違った良さが出せると思うので、そこはやってくれると思っている。もちろん、良い守備をした後で攻撃の良さを出さないといけないので、相当ハードワークをしないといけない試合になると思うが、そこは出せる力を全部出し切ってほしい。そして後に続いていく選手が良い状態でバトンを受けられるようにしたい」

──広島県は大雨で被害を受けているが、勝利で良い報せにしたいのでは?
「特に私たちがお世話になっている安芸高田市吉田町もすごく大変な状況になっているのは聞いている。幸いにして、我々は市内で練習ができたが、県内の至るところで大変な被害を受けている。これからもリスクがあると聞いている。我々ができることはまず魂のこもったゲームをして、良い報せを届けること。そこはベストを尽くしたい」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです。前節・アビスパ福岡戦から、スタメンが2人入れ替わりました。柴﨑晃誠選手は、ケガから復帰後、初の公式戦となります。本日もともに戦い、勝利をつかみ取りましょう!

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選手がピッチに登場! キックオフ1時間前ごろから、雨が強く降ったり、弱くなったりを繰り返していますが、雨に負けないくらいエンジン全開で、一丸となって戦います!

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選手バスがスタジアムに到着しました! 大迫敬介選手にとって、東京五輪後、初の公式戦出場となります。「ここまでの悔しさを晴らす絶好の機会」という強い意気込みで、今日の一戦に臨みます!

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本日のロッカールームです。柏好文選手は、前節・アビスパ福岡戦の出場で、J1通算300試合出場を達成! 選手入場後には、セレモニーを行いますので、ぜひ、温かい拍手をお送りください。

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本日はホーム・川崎フロンターレ戦! 相手は昨季の王者であり、今季もここまで19勝5分と無敗を維持する言わずと知れた強豪です。日本で最も勝利するのが難しい相手ですが、持てる力をすべて出し尽くして勝点3を目指しますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・攻撃はもう少し特長を生かし合うこと。
・守備はよく横ズレができている。続けること。
・このまま我々らしいゲームをするぞ!

ゲームレポート

勝利にはあと一歩が足りなかった。
昨季の王者であり、今季もここまで24試合を戦い、19勝5分と無敗を貫く絶対的強者・川崎Fをホームに迎えた一戦。試合前に「良い守備からの良い攻撃」をテーマに掲げた城福浩監督の狙いどおり、前半の広島は「自分たちの戦いができた。完璧な45分」(柏好文)と胸を張る見事な内容を披露した。
試合開始からボールを握っていたのは川崎Fだった。最後尾からじっくりとパスを繋いで攻撃を組み立て、前線ではレアンドロ・ダミアンを起点にコンビネーションで攻略しにきた。だが、その戦いは広島にとっても想定内。前線から最終ラインまで均整の取れた組織を築き、プレスに行く時とブロックを敷く時のメリハリを利かせて相手の攻撃を封じにかかった。その成果はしっかりと表れ、川崎F強力攻撃陣に自由を許さずにゲームを進めた広島はカウンターを中心に次第に相手ゴールへ肉薄。そして待望の瞬間は、27分に訪れた。右サイドを攻略した柴﨑晃誠のグラウンダーのクロスに合わせたのは、前節にJ1通算300試合出場を達成した左サイド・柏。冷静にボレーを突き刺して先制に成功した。
これで勢いに乗った広島は、堅い守備組織はそのままに、ポゼッション率も高めながらゲームを進めた。38分にはエゼキエウが相手最終ラインの背後を取ってビッグチャンスを迎えるなど、リズム良く1-0で前半を終えた。
だが、その戦いを残り45分も継続できなかったことが痛かった。後半は同点に追い付こうと選手交代を活用しながら攻撃への圧力を強めてきた川崎Fに押し込まれる展開に終始。前半に機能していたカウンターも相手守備陣に封じられて攻め手を見出せずにいると、ついにこじ開けられてしまった。73分、ロングフィードから旗手怜央に自陣左サイドへ進出されると、中央へのクロスをダミアンに豪快に決められて失点。試合を振り出しに戻されてしまった。
その後もなかなか攻め手がない中で相手の攻撃を凌ぐ展開となり、最後の局面ではゴールを割らせなかったが試合は1-1で終了。前半と後半で様相が極端に変わったゲームは痛み分けとなった。
無敗の王者に初黒星をつけることはできなかったが、城福監督は「とにかく今日の前半の45分をもっともっと長く伸ばしていけるようなチームにしたい」と手応えもつかむ一戦となった。

監督 試合後コメント

「ここ2試合、我々自身が非常に悔しい試合をしていたし、ファミリーの方々にも残念な思いをさせていた。今日は魂のこもった、それを感じられる試合をしたいと思っていた。選手は今持てる力は出してくれたと思う。特に前半は我々らしく前からプレッシャーをかけられたし、繋ぐこともできていた。あわよくば、2点目も取りたかった。それぐらい、前半は我々の思い描いていた展開になった。あの時間をもっともっと後半も続けていけるように、そういうものを目指してチームとして歩んでいければと思う。
 後半は押し込まれたが、体も張っていた。そこも気持ちを見せられたと思うが、もう少し相手陣地でサッカーをやる時間を増やしていかないと、やはり一発を食らうことを思い知らされた試合でもあった。とにかく今日の前半の45分をもっともっと長く伸ばしていけるようなチームにしたい」

──前半は本当に素晴らしかったが、得点シーンを振り返って。
「相手陣地へずっと押し込んでいたので、あの時間帯で点を取りたかった。あの前も後もチャンスはあったと思うので、本来であればもっと早く点を取れた思いはある。ただ、我々らしく押し込んで、奪い返して、2次攻撃・3次攻撃を繰り返した時間の中で点が入ったのは、自信にもなる。自分たちが何を目指しているのかを体現できた45分だった。本当にあれをもっともっと続けられるチームになりたい」

──ケガからの復帰初戦となった柴﨑晃誠選手はアシストも含めて素晴らしいプレーだったが?
「相手がどういう守備をしてきて、どこに立てば彼がフリーになるかはシミュレーションしていた。それをゲームの中でいつポジションを取るかの判断は、本当に彼しかできないと思う。彼にボールが収まることによってだいぶ押し上げられたし、あのスペースの見つけ方とサポートに入るタイミングは、若い選手も学んでいってほしい」

──前半の45分を後半も続けるのに必要なことは?
「自分の印象では、(後半は)風下の難しさはあったし、前がかりに相手がなってきたのもあるが、(川崎Fは)前へのハードワークも含めて、少し前半とは強度が違った入りをしてきた。そこはベンチからも言っていた。最初に押し込まれて押し返すような守備がなかなかできなかった。あるいは、押し返すようなフィードで深いところでボールをキープして繋いでいくような展開が少なかった。そこは体力的なところと技術、戦術、スキルの両方あると思う。
 先週は試合(神戸戦)が中止になって、今週は(大雨の影響で安芸高田市の)トレーニング場に行けなかった。市内に練習場を確保できたのは非常にありがたかったが、やはりトレーニング場に行けば体のケアもできる。ジムもある。強度の高いトレーニングもできる。この約10日間は練習環境を与えていただいたのは本当にありがたいことだが、体を作るには少し難しい状況でもあった」

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