9.11 19:04

明治安田J1 第28節 vs. 横浜F・マリノス
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
3
横浜F・マリノス 横浜FM
  • 前半8分
    ドウグラスヴィエイラ
1
前半
2
0
後半
1
  • 前半36分
    前田大然
  • 前半45+1分
    實藤友紀
  • 後半15分
    レオセアラ

試合の見どころ

 終盤戦に向けて、手応えを結果に変えたい一戦だ。上位争いを繰り広げるタレント軍団・神戸と戦った前節は、後半にハイネルが退場して10人になりながら、粘り強く戦い抜いて1-1のドロー。4-1で勝利した前々節・大分戦に続いての勝点3とはならなかったが、11人の時間帯では高い組織力をベースに神戸に決定機を作らせず、攻撃では主導権を握って攻め続ける充実した内容だった。「ここ数試合、勝点3の時も勝点1の時も勝点ゼロの時もあったが、我々が目指そうとしているものをやれているうちは、どことやってもやれる手応えは持っている」とは城福浩監督。下位に敗れることもあった今季だが、最近では川崎Fなど上位相手にも互角以上の戦いができている。この内容を勝利へ繋げ続けたいところだ。
 その意味でも今節は自信を付けるには絶好の相手となる。ホームに迎えるのは、現在のJ1で最も勢いに乗っている2位・横浜FM。前節は鹿島に0-2で敗れて今季3敗目を喫したが、それまでは7連勝を含む13戦無敗(11勝2分)という圧巻の強さを見せていた。現在の横浜FMの代名詞となっている“攻撃スタイル”の礎を築いたアンジェ・ポステコグルー監督が海外クラブを指揮するために6月限りで退任する激震に揺れた今季だが、同じオーストラリア人である後任のケビン・マスカット新監督は前任者のスタイルを踏襲。ハイプレス・ハイラインを軸に攻撃力のある戦いを示し続けている。
 選手の顔ぶれを見てもやはり強烈だ。12得点を挙げていた得点源のオナイウ阿道が海外クラブへ移籍したものの、浦和から187cmの大型ストライカー・杉本健勇を獲得し、ドイツのFCザンクトパウリからスピードスター・宮市亮も加わった。既存の戦力でもセンターFWのレオ・セアラは直近の4試合で6得点と大暴れしている他、チームトップの14得点を奪っている前田大然やマルコス・ジュニオール、エウベルなども好調だ。さらに仲川輝人や水沼宏太、天野純らも攻撃陣に控える豪華な陣容。前線4枚を2セット揃えられる横浜FMの選手層は神戸以上だろう。
 では、そんな相手を広島はいかに攻略していくか。横浜FMの攻撃力が高いからと言って「自分たちがオーガナイズして、相手にやらせないことだけに注力すると、我々としたらやりたくない展開にエネルギーを使うことが多いと思う」と城福監督は守備だけに注力する考えは毛頭ない。逆に「横浜FMは前からプレッシャーをかけてくるチームなので、我々がそこを剥がした時に前の3人が起点になってくれたら一気にスピードアップできる」(同監督)と、相手のウイークでもある最終ラインの背後を果敢に狙う考えだ。横浜FMのハイプレスはJトップクラスであり、剥がすのは簡単ではないが、潜り抜けた時は大きなチャンスでもある。あとは、そこを仕留めるのみ。強豪・横浜FMを破って、ラスト10へ弾みをつけたいところだ。

監督 試合前日コメント

──横浜FMの現状について。
「基本的に志向しているサッカーは変わらない。特にスプリントをして、相手の裏を取っていく。地上戦でそれをやり抜いてくる。スピードを生かしたカウンターは、セカンドボールを拾うというよりは、それを理詰めでやってくるのが横浜FMの強みだと思う。出どころを潰すことと走り負けないところは、ベースにしたい。自分たちも良いボールの運び方がができればチャンスはできると思っている」

──横浜FMはCB畠中槙之輔がケガで長期離脱となったが?
「どこも全員のメンバーが揃っているチームはないし、シーズンが進むにつれて何かしらのアクシデントがある中でチームの総合力が問われる。元々、横浜FMは、各ポジションに特長のある、実績のある選手が揃っている。(横浜FMの)ある程度のメンバーの予想はしているが、畠中がいないことでチームに何か決定的な影響を及ぼすかと言ったら、ほとんどないと思う」

──広島の前線3人に期待することは?
「横浜FMは前からプレッシャーをかけてくるチームなので、我々がそこを剥がした時に前の3人が起点になってくれたら一気にスピードアップできる。そこは、ポジションをうまく取るシーンもあれば、体を張るシーンもあると思う。特長をそれぞれ生かしてほしい。守備も自分たちがオーガナイズして、相手にやらせないことだけに注力すると、我々としたらやりたくない展開にエネルギーを使うことが多いと思う。自分たちらしく主導権を握るための守備、そのアクションを起こす前線の3人になってほしい」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 佐々木翔選手、野上結貴選手が2節ぶりにスタメン復帰しました。破壊力ある横浜F・マリノスの攻撃を封じて、ホームで勝点を挙げるべく力を尽くします!

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選手がピッチに登場! チームの先頭を切ってピッチに飛び出していったのは、キャプテンの佐々木翔選手! 日本代表の試合で遠征から戻ってきたばかりですが、今日は紫のユニフォームを身にまとい、全力で戦います!

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チームバスがスタジアムに到着しました! 前節の神戸戦で鮮やかな直接FKを決めた東俊希選手。髪の色を明るくし、気合十分で今日の一戦に臨みます!

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本日のロッカールームです。土肥航大選手は、大分戦に続いて今季2試合目のスタメン! 豊富な運動量と攻撃の起点となるパスでチームの勝利に貢献します!

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本日はホームの横浜F・マリノス戦! 相手はJトップの攻撃力を誇る強豪です。現在の順位は2位と首位争いを繰り広げる横浜FMに対して難しい戦いが予想されますが、チーム一つになって勝利を目指しますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備は中央を閉じながらプレスに行くこと。
・後半も頭から力をすべて出し切ろう!

ゲームレポート

立ち上がりにペースを掴んだのは広島だった。1トップのドウグラス・ヴィエイラがスイッチ役となった前線からの効果的な守備で横浜FMの自由を奪うと、ショートカウンターをメインに攻撃を発動。レオ・セアラ、前田大然、エウベル、マルコス・ジュニオールといったリーグトップの得点数を誇る強力攻撃陣にも仕事をさせず、堅い守備組織を築いていたサンフレッチェにチャンスが訪れたのは8分だった。左サイドでボールを持ったボランチ・土肥航大が中央へアーリークロスを送り込むと、ダイレクトで合わせた東俊希のシュートはポストに弾かれたが、そのこぼれ球をドウグラスが直接叩き込んで先制。早い時間帯でリードを奪うことに成功した。
その後も広島の前線からのプレスは機能した。高い位置でボールを奪ってはカウンターでチャンスを作り出し、押し込まれてもロングボールを相手DFの背後へ送り込んで追加点を狙う。前半途中までは決定機をまったく作らせない広島の組織力は際立っていた。
だが、試合の潮目が変わり始めたのは23分以降だった。土肥が負傷交代するアクシデントにあうと、その後はスピーディーな攻めを繰り出す横浜FMに押し込まれる展開へ変化していく。すると、一瞬の隙を相手に突かれてしまった。36分、ペナルティーエリアの外からマルコスにミドルシュートを打たれると、そのボールを前田が触って角度を変えて同点。その後も押し込まれる時間が続く中、前半アディショナルタイムにはCKから2点目を奪われてリードを許す展開となってしまった。
後半も横浜FMにボールを保持される時間が続いた。前半途中からのテンポの良い攻撃は勢いが止まらず、広島は受ける戦いに。それでも時にはカウンターでチャンスの一歩手前まで進めていた紫軍団だったが、勝負の行方を決定づけるゴールが決まったのは60分だった。直接FKをレオ・セアラに豪快に突き刺されて1-3。リードを2点に広げられる手痛い失点となってしまった。
それからは2点差を追い付こうと広島も反撃。66分にはドウグラスのクロスに対して柏好文が決定機を迎えた他、74分、75分と青山敏弘が強烈なシュートを放つ。攻撃の勢いが衰えてきた横浜FMに対し、サンフレッチェもジュニオール・サントスや浅野雄也ら選手交代を活用しながら最後まで相手ゴールを目指したが、得点を奪うことはできず。堅い守備力が持ち味の広島だが、10試合ぶりの複数失点での敗戦となった。
「我々のやりたいことは攻守で明確ではあるが、いろんな状況で流れが変わったり、メンバーが代わっていく中で、新しいメンバーがさらに目指しているものを強化していけるような、そういうチームにならないといけないと今日はあらためて思った」(城福浩監督)。前半途中のハプニングから流れを相手に持っていかれただけに、チームとしての総合力に課題を残す結果となった。

監督 試合後コメント

「チームとして勝点3が欲しい状況だったし、ファミリーの方たちと喜び合いたかったが、非常に悔しい勝点0になった。ゲームの入りとしては非常に良かったし、攻守で我々の狙いどおりの展開となった中での(土肥航大の)ケガと少し不運な形での失点は流れを変えたと思う。ただ、前半はそこまで悪かったかと言うと、耐えるところは耐えて、カウンターと遅攻をしっかり使い分けていた。そういう意味では、我々のやりたかったことができた。前半の最後の最後のところで点を取られたのは、ミスも重なってCKが何本も続いた中だったが、あそこは1-1で終わらないといけなかった。我々のやりたいことは攻守で明確ではあるが、いろんな状況で流れが変わったり、メンバーが代わっていく中で、新しいメンバーがさらに目指しているものを強化していけるような、そういうチームにならないといけないと今日はあらためて思った。チーム全体で出し切った後にしっかり引き継いで、交代選手が活躍できるようなチームになっていけるように1週間準備していきたい」

──現状で分かる範囲の土肥航大選手の負傷状況は?
「軽くはない。我々から見たら普通のファウルに見えなかった。本人も悔し泣きをしながら退場したが、良い状態にやっと戻ってこられた中で、手応えを感じながらやっていた中での負傷だけに悔しいと思う。メディカルと一緒になって1日でも早く戻ってこられるようにしたい」

──先制点に絡んだ東俊希選手のここ数試合の働きについて。
「チームとして非常に良い守備からの良い攻撃ができていた。おそらく、土肥航大が負傷交代するまでは、ほとんど相手に何もさせていなかったと思う。あのリズムでずっとやりたかった思いはある。航大の左足のスルーパスに対する俊希の抜け出しは、練習でも試合でも出している。いつもどおりのプレーをやってくれたと思っている。俊希はポジションが変わりながらも自分の良さ、サッカーの本質のところをしっかりとイメージしながら裏に抜けたり、足下で受けたりできている。ハードワークという立ち返るところがあるので、これは続けてほしい」

──後半もビッグチャンスを作るなど、魂のある戦いを見せていたが?
「我々は諦めずに1点、1点返すしかない状況。守備で粘りながら一つずつ返していく。それはどの試合でも、どのシチュエーションでもやっているつもり。もし今日諦めていると感じる雰囲気があったなら、私に矢印を向けていただければと思う」

──土肥航大選手が交代した後、どのあたりが良くなかったのか?
「(1点目の)失点シーンもボールの行き方とラインの下がり方がちょっとズレてコースが変わり、入ってしまった。崩された感がなかった。原因はあるが、手応えがある中でああいう失点は、やはり気持ちの整理をつけるのが一瞬ではできないのは分かる。そこから顔を上げてもう一度やり直すという意味では、多少メンバーが代わったこともあり、松本泰志がゲームのリズムに乗るまでは、良いリズムができなかったと思う。途中からは彼もハードワークを前面に出せるようになってきたので、チームのパフォーマンスを取り戻せたとは思っている」

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