9.26 13:01

明治安田J1 第30節 vs. 北海道コンサドーレ札幌
AWAY札幌ドーム

試合終了

北海道コンサドーレ札幌 札幌
0
2
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
1
0
後半
1
  • 前半3分
    佐々木
  • 後半39分
    ドウグラスヴィエイラ

試合の見どころ

 まさに総力戦だ。柏戦から中3日で臨んだ前節・C大阪戦は、0-1での悔しい敗戦に加え、ケガ人が続出するダメージも負ってしまった。試合途中に足を痛めた荒木隼人はそのままプレーを続行したが、途中交代した柏好文は今節に向けて「常識的には難しいと思っている」(城福浩監督)。今季はただでさえケガ人が多く出ている苦しい台所事情なだけに、再び中3日で戦う今節のアウェイ・札幌戦は、チーム全員の力を合わせて乗り越えなければならない。
 準備期間が短いからこそ、勝利へのポイントは前節からの修正となる。C大阪戦では「守備がハマらなかった」と荒木が話したように、相手の流動的な攻撃に対して広島のプレスが前半からなかなか機能せず、90分をとおして主導権を握られたことが敗戦につながった。今節の相手である札幌も知将・ペトロヴィッチ監督率いる攻撃力の高いチーム。特にゴール前の連係・連動を駆使したコンビネーションプレーの精度は高く、その力はC大阪以上かもしれない。前節はロングボール一発のカウンターで神戸に0-1で敗れているが、前半から何度も好機を演出していたのは札幌であり、一つでも決まれば結果はどうなっていたか分からなかった。この夏にやってきた186cmのスロベニア人ストライカーであるミラン・トゥチッチを頂点に、技巧派の荒野拓馬や駒井善成が組み立てる中盤、そしてスピードのある金子拓郎、ルーカス・フェルナンデスを生かすスタイルは相手にとって脅威。直近のリーグ戦5試合は1勝4敗と結果が出ていないが、そこだけで判断しては危険だ。
 また、その攻撃を封じることはもちろんだが、C大阪戦で学んだ“相手を押し込む”ことも重要となる。前節は「インテンシティーの高い守備ができなかったというよりも、両輪である攻撃で相手を押し込む時間が少な過ぎたということが問題だと思う」(城福監督)。インテンシティーの高い守備はもちろん今の広島の一つのキーだが、90分間、強度高く守備をし続けることはどんなチームでも不可能だ。自分たちでボールを保持して相手ゴールへ迫る遅攻に加え、体力を温存させる意味でもポゼッションは必要な要素。相手からボールを奪いに行く強度の高いプレス、それを支える相手陣地でのボール支配という“両輪”こそが札幌撃破のカギとなる。準備期間が1週間あった相手とのコンディションの差はあるが、広島は前節の教訓を胸に、悔しさをバネに、札幌相手に挑むだけだ。

監督 試合前日コメント

──札幌の現状について。
「大きい選手を前線に揃える時と、小柏(剛)や一時の荒野(拓馬)もそうだが、ゼロトップのような形でやってくるなど、いろんな側面をもたらしてくるのは今年の特長だと思う。高い位置でボールを奪い、そこからカウンターを狙うのは一貫性があるが、前線に特長の違う選手を配置することで様相が変わる印象がある」

──札幌との試合では打ち合いもありそうだし、様子見の戦いもありそうだが?
「相手もそうだと思うが、勝点1の状況の時に様子見だけで我慢し切れないと思う。お互いに仕掛けていく感じになると思うし、守備でも前からボールを取りに行くと思う。そうなると、リスクを負う状況はお互に出てくる。もちろん勝点3を持っている時は我慢する状況はより多く出てくると思うが、そうではない時にやはり点を取りに行きたい。点を取るために、より前から守りに行きたいというところは、お互いに(戦い方が)被っていると思う」

──前節はマイボールの時間が少なかったが、修正点は?
「やろうとしていることは何も変わらない。ただ、例えば少しメンバーが代わった時に、そのメンバーの良さをもっと引き出してあげればよかった。各々、特長が違う。代わったメンバーがより伸び伸びと自分のストロングを出し切るような状況にしてあげれば、おそらくC大阪戦ではレイソル戦とは違ったボールの保持ができたと思う。前からの圧力はみんなが意識しているので、前々節と同じようなモノが見せられたと思うが、前節は私がやらせられなかったと思っている」

──林卓人選手は出場すれば、J1・J2通算500試合出場となるが。
「彼は日頃から誰よりも早く来て、自分の体と向き合っている。おそらく、クラブハウスに来ていない時もそうだと思う。24時間、自分の体と向き合いながら過ごしているのをずっと見てきている。試合に出れている時も出られていない時も変わらずにやり続けている彼の姿を見ると、そういう選手でないとそういう記録は到達できない。それが勲章と言えるか分からないし、彼からすれば途上かもしれない。それを若い頃からずっと続けてきたという意味では、本当に素晴らしい節目の記録だと思う」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 前節から先発4人が入れ替わりました。中3日の連戦となりますが、総力戦で2試合ぶりの勝利を目指します!

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「札幌ドーム」のロッカールームです。林卓人選手はJ1、J2通算500試合出場という節目の一戦となります!

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本日はアウェイ・北海道コンサドーレ札幌戦! 相手は知将・ペトロヴィッチ監督率いる強豪です。攻撃力の高い札幌との一戦は難しい戦いが予想されますが、チーム全員の力を結集して勝利を目指しますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備の時は中央を閉じること
・攻撃はマイボールを大切にしよう。
・みんなで繋いで勝点3を取るぞ!

ゲームレポート

紫軍団の“堅守”が際立つ一戦となった。
試合は早くに動いた。開始早々の3分、柴﨑晃誠の左サイドのCKからドウグラス・ヴィエイラのシュートのこぼれ球を佐々木翔が詰めて先制。「最近はずっと良い試合の入りができていた。それを続けようということで、今日も非常に良い入りをしてくれたと思う」と城福浩監督も納得の入りで広島がいきなりリードすることに成功した。
試合はそこから広島の守備が光った。その中心にいたのは、この試合がJ1、J2通算500試合出場となった39歳のベテラン守護神・林卓人だ。先制後は札幌にボールを保持される時間帯が続いただけでなく、あわやのシュートも放たれたが、背番号1は落ち着いた対応で次々とブロックした。21分にDFを切り裂いた金子拓郎のシュートを弾き返せば、39分にも駒井善成の強烈なミドルショットを着実に阻止。「卓人さんが流れを引き寄せてくれた」。そう佐々木が称えた林のパフォーマンスがその後のチームに活力を与えた。
1-0でリードしたまま迎えた後半も序盤から相手ボールで進んだが、55分にジュニオール・サントスから森島司への交代から流れは広島に。背番号10が前線からの守備のスイッチになるだけでなく、攻撃でもボールを落ち着かせてポゼッション率は上昇。ピンチも多少はあったが、サンフレッチェの相手ゴールへ迫る回数は前半より増え、チャンスも作り出して試合は推移する中、勝利を引き寄せる追加点が生まれたのは84分だった。ドウグラスが獲得したPKを自身が確実に決めて2-0。その後は札幌の最後の反撃にあったが、全員が体を張った粘り強い守備を最後まで続けて無失点での勝利となった。
「1m、2mにこだわるラインと最後のシュートブロックに象徴されるようなボールへの執念は全員のハードワークがあってこそ。そうは言っても、彼(林卓人)の素晴らしい反応がなかったらと思うシーンもあった。あの安定感は本当に頼りになる」。試合後、城福監督は全員のハードワークを称えつつも、節目の試合で好パフォーマンスを見せた守護神に賛辞を贈った。

監督 試合後コメント

「最近はずっと良い試合の入りができていた。それを続けようということで、今日も非常に良い入りをしてくれたと思う。その流れの中でCKから点を取れたという意味では、我々らしい入りができた。前半はその後、少しマイボールの時間が少なく我慢して守る時間があり、そこはマイボールで押し上げたいという反省材料はある。ただ、中に入られることなく、組織を崩さずに耐え抜いたことで、後半にはチャンスもたくさんあったし、その中でPKを取れた。我々らしくゲーム運びができた証だと思う。何よりも失点ゼロで抑えられたのは全員のハードワークのおかげ。今日は攻守において非常に良いゲームができたと思う」

──J1、J2通算500試合出場の林卓人選手のセーブは効果的だったが、パフォーマンスについて。
「1m、2mにこだわるラインと最後のシュートブロックに象徴されるようなボールへの執念は全員のハードワークがあってこそ。そうは言っても、彼の素晴らしい反応がなかったらと思うシーンもあった。あの安定感は本当に頼りになる。あの年齢で彼がJ1のピッチに立つというのは、普段どれだけの努力をしているのか見てる側からすると、節目の試合で本当に勝ってほしいと思っていた。チームとしても彼のこれまでの努力に報いるような結果が出せて良かった」

──途中出場の森島司選手も機能していたが、彼のプレーについて。
「ジュニオール(・サントス)のシャドーで我々の良さと相手の守備のやり方を考えたら、もう少し押し込んだ状態で彼にチャンスを作りたかったが、後半の入りから彼の守備のところでピンチを招いていた。彼には申し訳なかったが、早めに森島にスイッチした。森島も何をやるべきか分かっていたし、守備のハードワークもそうだが、攻撃の時にどこにスペースがあって、相手のどこでボールをゲインするかというところをしっかりやってくれた。あそこでゲームが一つ落ち着いたと思う」

──次節も強豪・名古屋との戦いだが?
「ケガ人も抱えながらなので、まずは紅白戦ができるぐらいにみんなが戻ってこられるようにサポートしたい。もう一つは、メンバーがどうなろうが我々らしさをしっかり出して、あるいは個人の良さを出して気持ちのこもったプレーをしたい」

──足を痛めていた荒木隼人選手の起用はギリギリまで悩んだようだが?
「正直、痛みはまだあった。その痛みの中で100%、プレーに集中してできるかどうかは彼しか分からない。最終的には彼の意志を確認して使った。今日の時点で痛みが取れたわけではなかったし、今日の午前中の判断のような形になった。プレーは全員が集中してやってくれたので彼だけではないが、あのアップダウンとボールに対するシュートブロックを含めて、非常にレベルの高い90分を示してくれたと思う。最後の交代のところで彼を代えないといけないかはずっと確認しながらやっていた。よく最後まで持ってくれたと思う」

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