10.3 15:03

明治安田J1 第31節 vs. 名古屋グランパス
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
0
名古屋グランパス 名古屋
  • 前半35分
    浅野雄也
1
前半
0
0
後半
0

試合の見どころ

 今季の行方を占う勝負の秋だ。9月の5試合を2勝1分2敗で終えた広島は、ちょうど中間地点の10位に位置し、ここからラストに向けて一つでも順位を上げたいところ。前節は敵地で札幌を2-0で下すなど、ここ最近は内容と結果が伴ってきた。リーグ戦は残り7試合。今季まだ一度しかない“連勝”の達成を含めて、勝ち続けるのみだ。
 ただし、今回の相手も強敵である。ホームに迎えるのは、4位・名古屋。リーグ戦は川崎Fが独走状態となっているため、ほぼ優勝の芽はなくなってしまっているが、その他の大会であるルヴァンカップ、天皇杯、ACLとすべてにタイトルの可能性を残しているのは名古屋のみだ。リーグ戦でも上位をキープしていることを考えれば、やはり勝負強さは健在。それも納得の戦力は十分に揃っている。
「Jリーグの中で(選手層は)突出している」。そう城福浩監督も話すとおり、前線の顔ぶれはJトップと言っていい。実績十分な齋藤学や阿部浩之でさえなかなかベンチ入りできない層の厚さを誇る攻撃陣には柿谷曜一朗や前田直輝、相馬勇紀、マテウス、ガブリエル・シャビエルといった豪華な名前がズラリと並び、一時は不足していた1トップでもケガによる長期離脱から復帰した金崎夢生に加え、7月には現役ポーランド代表FWのシュヴィルツォクを獲得した。特にこのストライカーには注意が必要であり、184cm、86kgの強靭な体躯を武器にすでにリーグ戦8試合の出場で3得点を挙げるだけでなく、ACLラウンド16では大邱FCを相手にハットトリックを達成してチームの8強進出に貢献。強烈なシュートもそうだが、鋭い抜け出しや力強いポストプレーも備えており、まさに力はワールドクラスだ。元々備えていた豪華絢爛なアタッカー陣のスピーディーなカウンターに加え、シュヴィルツォクの個も確実に封じなければならない。
 その上で、広島はいかにリーグ随一の“堅守”を攻略するかだ。守備の柱である丸山祐市がケガで離脱中なのに加え、前節はキム・ミンテも負傷離脱するアクシデントに見舞われた名古屋だが、大分相手に得意の“ウノゼロ”で勝利し、今季19度目の無失点試合というJ1新記録を更新した。「2トップを含めた4人で攻め切るのと、6人で守り切る分業制の分担が物凄くハッキリしている」(城福監督)と言うボランチ・稲垣祥を筆頭とした中盤と最終ラインの組織は堅く、打ち破るのは当然ながら簡単ではない。名古屋のカウンターは脅威ではあるが、広島としてはやはり「我々らしく押し込んだ後にボールを回収していくことを目指したい」と指揮官が語る“攻守で主導権を握るスタイル”を貫き、勝点3を奪いたいところだ。

監督 試合前日コメント

──名古屋は堅守に加えて、カウンターも強烈だが?
「前線だけ見ても、シュヴィルツォク、金崎夢生、柿谷曜一朗、前田直輝がいる。選手層という意味では、リーグで一番だと思う。J1で実績を積んだ選手で言えば、齋藤学がなかなかメンバーに入れていない。Jリーグの中で(選手層は)突出していると思う。その中でシュヴィルツォクはタイプが違う。シュートに重さがある選手なので、そこは良さを出させないようにしないといけない」

──シュヴィルツォク選手には前を向かせないことも大事になる?
「彼の背負い方は外国籍選手特有のモノがある。ただ、我々の3バックは経験豊富なので、どういうモノが得意かはすぐ掴めると思う。彼はFKも蹴るし、こぼれ球の反応もある。また、彼は典型的なボックスプレーヤー。少し歩いて様子を見ているようなフリをしてスペースに動き出す鋭さは、やはりヨーロッパでやっていただけある。ポーランド代表選手でもあるので、そこは注意したい」

──名古屋の堅守を崩すには?
「相手のサイドハーフは献身的。かつ、2トップを含めた4人で攻め切るのと、6人で守り切る分業制の分担が物凄くハッキリしている。逆に言えば、我々は粘り強く押し込むような形でボールを持てば、彼らのカウンターの力も落ちると思う。我々らしく押し込んだ後にボールを回収していくことを目指したい。また、ボランチの守備力で言えば、そこに一番重きを置いているチーム。彼らをいかに無力化していくかは工夫していきたい」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです! 森島司選手がスタメン復帰! 今季2度目の連勝を目指して、ホームのファミリーの皆さまとともに戦います!

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選手がピッチに登場しました! 今日の試合で1トップに入るのは、浅野雄也選手。今日も室内でのウォーミングアップから、一番最初にピッチサイドに出てきました。スピードを活かした裏への抜け出しや、得意の左足でのシュートに期待大です!

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チームバスがスタジアムに到着しました! 野上結貴選手は、第32節・C大阪戦でJ1通算150試合出場を達成。本日、試合前にセレモニーを行いますので、ぜひ、温かい拍手をお願いいたします。

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本日のロッカールームです。前節・札幌戦でJ通算500試合出場を達成した林卓人選手。今日は、J1通算100完封に王手をかけた一戦となります。偉大なる記録を全員の力で成し遂げるべく、一丸となって戦います!

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本日はホーム・名古屋グランパス戦! 相手は堅守に加え、攻撃陣に強力なタレントを擁す難敵です。今日も難しい戦いが予想されますが、チーム一つになって2連勝を目指しますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備は良いスイッチからよく守れている。
・攻撃は勇気を持って続けること。
・後半も全員でいくぞ!

ゲームレポート

序盤から広島の内容は良かった。前線からプレスを掛ける時と引いてブロックを敷く時のメリハリを利かせてゲームを進める中、良い形でボールを奪えば右サイド・藤井智也らがスピーディーなカウンターを展開。また、敵陣へ進出した時にもバイタルエリアで細かなパス交換を織り交ぜながら名古屋を押し込み、敵のブロックに引っかかってもすぐに回収して2次攻撃を仕掛ける。時に嫌なボールの失い方をした際には柿谷曜一朗を筆頭とした名古屋の鋭い攻撃を受ける時もあったが、完璧に崩されることなく粘り強く対応した。
そんな広島の姿勢が実ったのは35分だった。センターサークル付近で敵のボールを奪った荒木隼人か浅野雄也へスルーパス。敵DFと並走しながら相手ゴールに突き進んだ浅野は、かわしきる前に左足を振り抜くと、ボールはポストに当たってネットに吸い込まれた。前節、今季の無失点試合を「19」に伸ばしてJ1新記録を樹立したばかりの堅守・名古屋相手に待望の先制点。広島が優位に試合を進めることになった。
後半も前半同様にテンポ良く試合を進めたサンフレッチェ。「勇気を持って続けること」。ハーフタイムの城福浩監督の指示どおり、リードしても受け身になることなく攻撃姿勢を持ち続けた紫の選手たちは、47分に東俊希がペナルティーエリア内で決定機を迎えるなど、序盤から細かなパス交換をベースにサイド攻撃を駆使して名古屋ゴールへ迫り続ける。52分には名古屋が一気に攻撃陣の3枚替えを敢行して選手交代で流れを掴みにきたが、広島守備陣もフレッシュな相手に最後の局面では体を張って対抗。63分、途中出場・前田直輝に決定機を作られたものの佐々木がブロックしてシュートはわずかに枠を外れた。
その後も守りだけに徹することなく攻撃でも時間を使って試合を進めた広島は、守備組織を頑丈にしたまま決定機を作らせず。名古屋の十八番である“ウノゼロ”を広島が体現して今季2度目の2連勝を飾った。
守護神・林卓人の100完封という節目の勝利にも繋がり、「今日に関しては本当にみんなが集中して守ったので、『これは卓人でなければ守れなかった』という場面はなかったと思う。ただ、100完封の中には、おそらく信じられないようなビッグセーブもあっただろうし、自分たちも彼にPKを止めてもらって勝ったような試合も過去にある。彼の記録を今日のホームで全員で打ち立てられたのは私としても嬉しい」と城福監督も頬を緩ませた。

監督 試合後コメント

「ホームでなかなか勝つ姿をお見せできなかったので、今日はファミリーの方々と一緒に喜び合えて本当に良かった。我々はこれを待っていた。この瞬間をずっと待ち望んでくださっていた方々がいるのは分かっていた。本当にそこは嬉しい。内容については、ここまで手応えがありながら連勝がなかったし、自分たちが望む勝点でもなかった。さらに勝点を伸ばすべく、もっとボールを握りたいと選手に伝えた。堅い守備はもちろん我々のスタートだが、もっと勇気を持ってボールを握る。失った時にはそこからプレッシャーをかけて回収する。このサイクルをもっともっと我々のモノにしたいし、我々のスタイルとして研ぎ澄ましていきたいということを共有して試合に入った。選手は本当に勇気を持って繋いでくれたと思う。ボールを持っている割り合いからすると、ゴールに行く回数が前半は少なかったと思うが、それでもチャンスはいくつか作れた。2点目が取れれば試合を終わらせることができたという我々のポジティブな課題は持ちつつも、今日はやろうとしていることをみんながやってくれた。守備も本当に集中して、隙なく全員がコレクティブにやれた。こういうサッカーをもっともっと続けて、突き詰めていきたい」

──100完封を達成したGK林卓人選手について。
「今日に関しては本当にみんなが集中して守ったので、『これは卓人でなければ守れなかった』という場面はなかったと思う。ただ、100完封の中には、おそらく信じられないようなビッグセーブもあっただろうし、自分たちも彼にPKを止めてもらって勝ったような試合も過去にある。何よりもあの年齢で我々のチーム内競争に勝ってピッチに立てる、その日々の取り組みが実ったことが一番嬉しい。彼の年齢で先発の座を奪うのは簡単ではない。今日、明日良かったから試合に出られるかと言うと、そうではない。毎日やり続けて、毎日追求し続けて、結果を出さないとピッチには立てない。その中でピッチに立っていることが素晴らしい。彼の記録を今日のホームで全員で打ち立てられたのは私としても嬉しい」

──決勝点は浅野雄也選手も素晴らしかったが、起点となったのは荒木隼人選手の守備だった。二人の出来について。
「隼人はアグレッシブな攻撃的なディフェンスという意味では、彼が獲得したいところだった。今日は前向きなアグレッシブなディフェンスが佐々木や野上に負けず劣らずできたと思う。浅野については、(7月3日のJ1第21節)鳥栖戦で試合中にケガをして離脱してから、なかなかチームの波に乗れない、自分の一番良いパフォーマンスに戻れないような苦しい状況が続いていた。彼の中でも試行錯誤してきたと思う。今日はとにかく1トップで『良さを存分に出してほしい』と伝えたし、『いくらオフサイドになっていいので、とにかくディフェンスを裏返すようなプレーをしてほしい』という意味では、あの(得点)シーンは彼の真骨頂だと思う。他にも綺麗な展開で点を取りそうな時もあったが、彼らしいプルアウェイでボールを引き出して点を取った。それで1-0で勝ったのは彼にとって自信になる得点になったと思う」

──3週間後のアウェイ・仙台戦に向けて。
「自分たちはもちろん、その試合ごとのベストを尽くしてきた。積み上げてきたものの自負はあったが、今の勝点に決して満足していない。1試合でも多く、できれば残り試合全部、勝点3を積み上げたいと思っているので、チーム全員で良い準備をしたい」

──前日練習後に相手ボランチを無力化することがポイントと語っていたが、先制点はそのシーンが出たのでは?
「前への圧力を掛けられるのはなぜかと言うと、我々がボールを握っているから。相手に握られて、自分たちがゴール前にへばり付いていれば、あのような守備からの攻撃は絶対にできない。自分たちがボールを握って相手を押し込むからこそ、今度は相手のビルドアップの時に我々が前に掛けられる。そういう意味では、全員が今日は勇気を持ってもっともっとボールを繋ごうということにトライした結果がああいう積極的な守備に繋がったと思うし、最終的に相手のボランチの位置からボールを奪えたというのは、全員の今日のトライの成果だと思う」

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