11.7 15:03

明治安田J1 第35節 vs. 湘南ベルマーレ
AWAYレモンガススタジアム平塚

試合終了

湘南ベルマーレ 湘南
0
0
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
0

試合の見どころ

 負けた悔しさはやはり勝利で晴らすしかない。沢田謙太郎新監督の初陣となった前節・鹿島戦はホームで1-4の完敗。指揮官が「試合の入り」を課題に挙げたように、開始3分に先制点を許してからは常に追いかける苦しい展開となり、自滅のような形になってしまった。自身のミスが失点に直結し、悔し涙を流してピッチを後にした荒木隼人は今節での強い挽回の思いを口にする。「悔しさを晴らす試合にしたい」。今季はもうタイトルもJ2降格もない、ある意味で目標のない状況となったが、プロとして目の前に試合に勝ってファミリーの方々を喜ばせる責任がある。その仕事を最後まで務めあげるだけだ。
 そして、広島にとって今節はよりリベンジの気持ちは強い。今回戦う湘南には開幕から8戦負けなしで迎えた4月10日の第9節で初黒星(0●1)。チームはそこから6試合連続勝利なし(2分4敗)という苦しい時期を過ごし、そのキッカケを作られた相手だ。当然ながら当時の悔しさはチーム全体に植え付けられており、同じ相手に2度の負けは許されない。湘南は現在15位と残留争いの渦中にあってモチベーションはかなりの高さが予想されるが、今の広島も相手に劣らず勝利への欲求は十分だ。
 3試合ぶりの勝点3へのポイントは、相手に負けないハードワークだろう。湘南は8月いっぱいで退任した浮嶋敏監督の後を引き継いだ山口智体制になっても、“らしさ”は健在。試合によっては前線を外国籍2トップにしている時もあるが、基本的には日本人を主体に全員が攻守で献身的に走り、闘うスタイルを貫く。ボールを奪った際に何人もの選手が湧き上がってくる湘南の最大の武器であるカウンターも相変わらず強烈だ。直近の3試合は1勝2分と勝点を稼いで降格圏から脱出するなど、チームの勢いも出てきている。どんな時も攻略が厄介な相手である湘南に対し、広島は基本的なベースであるハードワークで劣ってしまうと、やはり試合の主導権を握るのは難しくなる。
 その上で、サンフレッチェとしては、ゴール前の精度を突き詰めたい。今は2連敗中とはいえ、前節・鹿島戦も前々節・仙台戦もチャンスがなかったわけではない。ゴール前までボールも運べている。あとは「そこからの崩し、クロス、クロスへの入り、そのこぼれ球、中央での突破やコンビネーションを含めて(レベルが)上がっていったらと思っている」(沢田監督)。もちろん簡単に攻撃の精度が上がるわけではない。だが、トレーニングでは地道に取り組んできた下地はある。仲間を信じて走り、ボールを繋ぎ、勝利のゴールを目指したいところだ。

監督 試合前日コメント

──湘南の印象は?
「そんなに大きくは変わらない。前回対戦ではやられてしまったし、今の相手のチーム状況を考えると、激しく厳しい試合になると思う。それに対してしっかり準備することが大切」

──1-4で敗れた前節・鹿島戦の教訓は?
「試合の入りや持って行き方。やはり試合を分析すればするほどいろんな課題が出てくる。『こんな感じになるのかな』という試合の流れが自分の考えていたものと少し(違う)流れだった。後手になってしまったと思っている」

試合前情報

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本日は広島からは遠い平塚でのゲームとなりましたが、約700名もの方にお越しいただきました。皆さまの後押しがあったからこそ、一人少ない状況でも無失点で耐えることができました。応援、ありがとうございました。

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本日のスターティングイレブンです! 前節から先発5人が替わりました。チームの総合力で3試合ぶりの勝利を目指します!

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この試合でJ1・J2通算400試合出場となる柴﨑晃誠選手。節目の一戦で勝利を飾るべく戦います!

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選手を乗せたバスがスタジアムに到着しました!塩谷司選手は復帰後初の先発出場。攻守で背番号3に注目です!

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「レモンガススタジアム平塚」のロッカールームです。ジュニオール・サントス選手は9月26日のJ1第30節・札幌戦以来の先発出場となります。チームを勝利に導くゴールに期待です!

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本日はアウェイ・湘南ベルマーレ戦! 相手はハードワークが武器の難敵です。現在は残留争いの渦中にもあり、高いモチベーションで臨んでくることが予想されますが、広島も相手に負けない気迫で勝利を目指しますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・チーム一つになれている。このままハードワークを続けること。
・守り切るだけでなく、カウンターも狙うこと。
・みんなで励ましあい、支えあいながら後半45分も戦おう!

ゲームレポート

チーム全員で“逆境”に立ち向かう魂のゲームとなった。
J1残留争いの渦中にいる湘南のホームに乗り込んだ一戦。試合は序盤から多くの観客の後押しを背に何とか勝点3を奪おうとする相手の圧力を受けてやや押し込まれる展開で進む中、ゲームの様相を決定付ける広島のアクシデントが起きたのは19分だった。柴﨑晃誠のタックルが相手の足に当たり、VAR判定の結果、一発退場に。紫軍団は早々に一人少ない状況に追い込まれてしまった。
そうなると、試合はもう“攻める湘南”と“守る広島”の構図となった。圧倒的にボールを保持して攻め込んできた相手の猛攻を凌ぎ続けるサンフレッチェは、時おり、推進力のあるFWジュニオール・サントスやMFエゼキエウが単独突破を仕掛けるも、やはりフォローが少なく効果的な攻撃を仕掛けられず。ボールを奪われてはすぐにゴール前まで運ばれてシュートを浴びる展開となった。それでも湘南のシュートミスやチーム全員の体を張った粘り強い守りでゴールを阻止し、0-0で前半を終えた。
迎えた後半も構図は変わらなかった。「ハーフタイムを含めて守りだけでは危険だと思っていた。なので、攻撃を仕掛ける時の形はゲームボードの上では伝えた。ただ、実際にピッチの中で選手が感じているプレッシャーまでは測れない中で、伝えることは伝えてもやはり難しかったと思う。その中で選手や私たちも含めて徹底してゴール前をしっかり固める方法を選択したのはある」(沢田謙太郎監督)。一人少ない状況でもチャンスがあればゴールを狙うことも意図して後半に臨んだ広島だったが、湘南の強い圧力を跳ね返せず。絶えず攻め込まれる防戦一方の中で攻撃の機会はほとんどなく、シュートも浴びせ続けられた。
だが、この日の広島の“ゴールを守る”気迫は見事だった。どれだけ押し込まれようとも、どれだけシュートを打たれようとも、最後の局面ではGK林卓人を含めた全員が体を投げ出して応戦。61分のウェリントンの決定的なシュートもDFが最後まで体を寄せて枠外となり、試合終盤のゴール前の混戦も全員が最後まで諦めずにボールにしがみ付いてネットを揺らせなかった。結果的に広島が2本のシュートしか打てなかったのに対して湘南は24本も放ったが、スコアレスドローで終了。何とか耐え抜いての勝点1となった。
「90分間、ずっと攻められているような試合だった。その中で一人ひとりが自分の持ち場でハードワークして勝点1を取れた試合だった」(沢田監督)。ほぼ10人で戦い続けたが、チーム一つになって無失点に抑えた守備が際立つ一戦だった。

監督 試合後コメント

「90分間、ずっと攻められているような試合だった。その中で一人ひとりが自分の持ち場でハードワークして勝点1を取れた試合だった」

──戦い方によっては勝点3のチャンスもありそうだったが、少し消極的だったのでは?
「ハーフタイムを含めて守りだけでは危険だと思っていた。なので、攻撃を仕掛ける時の形はゲームボードの上では伝えた。ただ、実際にピッチの中で選手が感じているプレッシャーまでは測れない中で、伝えることは伝えてもやはり難しかったと思う。その中で選手や私たちも含めて徹底してゴール前をしっかり固める方法を選択したのはある」

──前半の数的同数の時、自分たちの前からのディフェンスをどう感じていたか?
「(事前に)湘南の形をコーチたちと見て、『自分たちはこういうふうにやっていこう』と。その形を今日もやりたいと思っていた。ただ、前節・鹿島戦の課題もあったので、最初はやはりシンプルに押し返すことからゲームに入った。その中で我々の守備については、やはり戦術的な部分で守備が苦手な選手もいる。そこで守備ばかり言うと、彼らの良い部分が出ないところもある。そこは一つ、二つ、やり方は伝えて、できなかったら仕方がないと割り切った。なので、押し込まれるところがあったと思う。もう一つは風下だったのもある。ただ、そこ(守備が苦手な選手の成長)は諦めてはいない。一つひとつ、できるようにしていきたいと思っている。いきなりはできない。できたら、良い部分を出せるようにとは思っている」

──前節のゲームで苦しんだ荒木隼人選手は集中していたが?
「隼人は今日ぐらいのプレーはどの試合でも見せている。確かに鹿島戦は途中で私も代えてしまったし、彼の本来の力ではなかったかもしれない。ただ、それだけのプレーを今までの試合で見せている。1回ぐらいのミスは誰だってある。そこからよく、今日はキャプテンマークを巻いてチームを統率し、ラインの上げ下げや右に左にズレたり、シュートブロック、カバーリングなどを集中してやってくれた。私の中ではそれぐらいできると思っている。今日のゲームでそれをやることは難しかったと思うが、隼人はしっかりと乗り越えてやってくれたと思っている」

──キャプテンマークを巻かせたのも効いたのでは?
「もともと、副キャプテンでもある。若手のまとめ役でもあるし、そこは自信を持って送り出した」

──選手たちはよく頑張ったと思うが、結果的に3試合勝利なしの状況だが、もどかしさもあるのでは?
「そのとおり。勝てていないのは課題としてやっていかないといけない。柴﨑が退場してしまったのも、ハッキリ言って私のほうから『粘り強く守備にいこう』、『厳しくいこう』と言っている途中で出てしまった。選手がやろうとしている中でイレギュラーな部分を出してしまった。
 ただ、試合では間違いなく勝点3をファミリーの方々に届けたいと思っている。現実的なところで、攻撃の部分でどうチャンスを作っていくかはある。今日はそこを高望みすることによって、『チームがバラバラになる試合の方が本当にいいのか?』と思っていた。今日は勝点1だった。勝点3は取れなかった。だけどチームとして一つになってできた試合だったと思っている。終わった後に選手に伝えた。『本当に頑張った良い試合、良いプレーだった。みんなが力を出してくれた。できたら、今度は守備のところだけでなく、チーム一丸となって全員が攻撃できるようなサッカーをするために、トレーニングしないといけないね』と話はした」

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