3.12 15:00

明治安田J1 第4節 vs. FC東京
AWAY味の素スタジアム

試合終了

FC東京 FC東京
2
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半15分
    森重真人
  • 後半16分
    アダイウトン
0
前半
0
2
後半
1
  • 後半29分
    鮎川

試合の見どころ

 スキッべ体制の本格的なスタートだ。試合前日についにチームへ合流できた新指揮官の初戦となった前節・神戸戦から1週間、ようやく腰を据えてトレーニングに励むことができた。「これまでの8週間でスタッフ陣が良い仕事をしてくれている。それを大きく変えることはしたくない。少しずつ植え付けていく」(スキッべ監督)と急に大きな変化を加えないまでも、新たな要素は取り入れていく様子。今節・FC東京戦でいきなりチームが劇的に変わることはないが、今季のテーマである“強度の高いプレッシング”をベースに成長を求めて勝利を掴み取っていくことになる。
 ただし、リーグ初勝利を目指す今節から難敵との戦いだ。FC東京は新型コロナウイルスの感染者が複数出たことで2月後半には1週間、チーム活動を停止していたが、3月から試合を再開。ルヴァンカップこそ福岡に0-1で敗れたが、6日(日)の前節・C大阪戦は今季のFC東京らしい戦いで1-0で勝利している。
 そのスタイルは昨季までから一新されたと言っていい。2021年まで新潟で2年間指揮を執っていたスペイン人の知将・アルベル監督を迎えた今季、攻撃面で優位性を作り出す“ポジショナルプレー”に着手している。昨季まではどちらかと言ったらカウンターを武器にしていたが、今年はGKを使ってじっくりとポゼッションを行って攻撃に出る。また、守備面でも前線から強度高くプレスを仕掛けるなど、攻守において主導権を握るスタイルだ。前節・C大阪戦も自チームに退場者が出るまでは相手を圧倒。活動停止期間があったとはいえ、キャンプで新指揮官の戦術がしっかりと植え付けられた様子がよく分かる戦いだった。
 そんな相手に挑む広島のポイントは、やはり前線からの守備だ。前節・神戸戦は終盤に相手を押し込んだとはいえ、前半は敵の後方からのビルドアップに苦戦して攻撃を受ける時間帯も長かった。今節・FC東京戦では、そのハイプレスの改善は必須。主導権を握るためにもチーム全体でより研ぎ澄まさなければならない。
 8日(火)にクラブハウスがある『吉田サッカー公園』に初めて足を踏み入れたスキッべ監督は、「素晴らしい環境でサッカーができる」と設備の整った環境に好印象を持つ。チームの成長に「トレーニングするのみ」と語るなど、自然豊かな地で指揮官の本格的な練習を始めた紫軍団はどんな姿を見せるのか。「どこが相手でも神戸戦のように前から行く姿勢は変えずに完結したい」。FC東京戦もアグレッシブな “スキッべ・サッカー”で勝利を目指す。

監督 試合前日コメント

──FC東京の印象は?
「前線のブラジル人選手には気をつけないといけない。ディフェンスも相手に対してハードに来るイメージがある。ただ、FC東京に対しても神戸戦の後半に見せたようなオフェンシブでどんどん前に行くサッカーを見せたい。後ろで守るのではなく、前で守る形でやりたい」

──FC東京の前線のブラジル人はカウンターも得意だが、それでも広島は高いラインを保ちたい?
「もちろん、そのつもりでいる。相手が危険なのは分かっている。ただ、どんな相手でも神戸戦のように前から行く姿勢は変えずに完結したい」

──監督が来日してから初めて1週間の期間があったが、その成果は?
「良い手応えがある。今のチームはバランスが取れている。経験値のある選手から若くて勢いのある選手もいる。走ることに関しても満足している。もちろん、これから先も発展させていく必要はあるが、ここまでは満足しているし、これを続けて行けばもっと順位も上がってくると思っている」

──ここまでリーグ戦2得点だが、FC東京戦では攻撃面でどう改善していくか?
「もっと早いコンビネーションとペナルティーエリアにもっと人数をかけて攻略していく必要がある。今までの準備期間での練習試合やカップ戦ではうまくできていたので点を取れた。リーグ戦ではなかなかうまくいっていないが、次の試合では見せていきたい」

試合前情報

photo本日は広島からは遠い東京でのゲームとなりましたが、約1,300名もの方にお越しいただきました。勝利をお届けできず、申し訳ございません。最後まで熱いサポート、ありがとうございました。 photo本日のスターティングイレブンです! 前節・神戸戦から先発1人が入れ替わりました。今日もチームの総合力で勝利を目指します! photoリーグ初先発となったルーキーの満田誠選手。攻撃の起爆剤として期待が懸かります! photo選手を乗せたバスがスタジアムに到着しました。リーグ初勝利に向けて、気合い十分です! photo「味の素スタジアム」のロッカールームです。守備陣は鉄壁の4人が並びます! photo本日はアウェイ・FC東京戦! 相手は知将・アルベル監督率いる難敵です。組織力の高いチームに対し難しい戦いが予想されますが、チーム一つになってリーグ初勝利を目指しますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・アグレッシブに戦うことができている。
・攻撃時のセットプレーは狙いを持つこと。
・後半も前半の戦いを続けていこう!

ゲームレポート

 好内容とは裏腹の悔しい結果となった。
 序盤から広島はFC東京を圧倒した。GKを使ってポゼッションで主導権を奪おうとする相手に対し、“スキッべスタイル”の真骨頂であるコンパクトな陣形から繰り出すハードプレスで自由を奪って押し込み続け、前線へロングボールを放り込まれてもCB荒木隼人を中心としたDF陣が次々と回収。攻撃に移れば、森島司と初先発となったルーキー・満田誠の左サイドのコンビネーションが冴えわたり、右サイドでも藤井智也のスピードを生かして敵陣へ果敢に迫る。ボールを支配する中で自分たちのミスからFC東京のカウンターを受ける場面も少しはあったが、「90分のほとんどの時間帯でプレスをかけて、ボールを奪えていた」と荒木も手応えを感じるほど、広島の前半の出来は良かった。
「前半の戦いを続けよう!」。そうミヒャエル・スキッべ監督の指示を受けた後半も最初からFC東京ゴールへ襲い掛かった。前半同様に高い最終ラインを保って相手を押し込み、前線のコンビネーションプレーから次々とシュートを放っていく。だが、チャンスを逃し続ければ、試合の様相が変わってしまうのがサッカーだ。53分の森島のシュートは相手GKに阻まれ、55分の浅野雄也のミドルはわずかに枠外へ外れた後の60分だった。自陣でのFKから森重真人にヘディングで合わされて先制点を奪われると、そのわずか1分後にはパスミスからカウンターを浴び、最後はアダイウトンに決められて0-2。あっという間にリードを広げられるまさかの展開となった。
 その後は選手交代を活用して攻め続けたサンフレッチェ。69分にはジュニオール・サントスと浅野を下げて、鮎川峻と柴﨑晃誠を投入し、74分にその鮎川が塩谷司のスルーパスに抜け出してゴールを決め1点差に。ただし、最後まで攻撃姿勢を貫いた広島の反撃はこの1点のみに終わり、1-2で敗れて今季初黒星となった。
 内容で上回りながらも悔しい敗戦にスキッべ監督は、「FC東京という強い相手にゲームを支配したことは手応えを感じている」と次節に向けて前を向いた。

監督 試合後コメント

「アウェイでのFC東京戦だったが、良い戦いをしたと思っている。失点するまでは良いプレスをかけて、ボールを奪うシーンが多くあった。失点までに得点できていれば良かったが、オフサイドで取り消されたりしたのは残念。失点はFKからやられてしまったが、前節から少し不安に思っていた部分でもあった。ただ、0-2にされた後も交代で出た選手を含めて、追い付くために、逆転するために、すべてを尽くしてくれた。FC東京には『今日の勝利をおめでとう』と言いたい。我々のチームに関しても『今日のプレーについておめでとう』と伝えたい。今日の内容を今後に繋げるために来週からも頑張っていきたい」

──途中出場でゴールを決めた鮎川峻選手について。
「興味深い選手。テクニックも優れているし、ペナルティーエリアに入っていく動きはもっと磨きをかけていけるようにしたい」

──セットプレーの守備を今後はどう改善していくか。
「改善方法はスタッフと相談しながらやっていこうと思う。前節と今節を含めて、少し簡単にやられている印象がある」

──次節は王者・川崎Fとの対戦だが?
「大きな挑戦になる。ただ、前節・神戸戦と今日のFC東京戦で見せたパフォーマンスは、強いチーム相手にも十分通用することを証明している」

──押し込んだ時間帯で得点できなかったが?
「試合前のミーティングでは、『試合を支配しよう』、『相手より多く走る』、『アグレッシブに戦おう』、『早くボールを動かす』といったプランがあった。そのプランは非常に良くできたと思っている」

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