9.7 18:30

天皇杯 準々決勝 vs. セレッソ大阪
OTHERヨドコウ桜スタジアム

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
1
セレッソ大阪 C大阪
  • 後半41分
    好文
  • 後半45+1分
    川村拓夢
0
前半
1
2
後半
0
  • 前半40分
    アダムタガート

試合の見どころ

 紫軍団の勢いは本物だ。公式戦6連勝(リーグ4連勝)で迎えた前節・清水戦は、塩谷司の一発退場によって数的不利になりながらも、そこから川村拓夢が2得点を奪って2-0の勝利。苦境に陥っても全員が一つになって立ち向かい、ドラマチックな勝利を掴むことはタイトルを奪うチームによく見られるが、清水戦はまさにそんな一戦だった。「10人になって2-0で勝てたことはもちろん幸運だったが、幸運を呼び寄せるに値する執念が自分たちにはあった」(ミヒャエル・スキッべ監督)。どんな状況でも勝ち続けられる力がある今の広島は、ちょっとやそっとの困難にも負けないだろう。
 そして、今回はタイトルへ向けた一つの“鬼門”である。天皇杯準々決勝で激突する相手は、1週間半前にリーグで戦ったばかりのC大阪。当時は広島が3-0の勝利を収めたからこそ、今回は相手の強いリベンジの想いを含めて跳ね返さないといけない。
 試合後、敵将の小菊昭雄監督はすぐに言った。「あらためて、(広島は)いまのJリーグでも1、2を争う素晴らしいチームだと思う。その広島を相手に、今日の結果は0-3だったが、アウェイよりもポジティブな面が多かった。全員の共有をもう一度図りながら、次の天皇杯で必ず勝利できるようにやっていきたい」。
C大阪としては、リーグでの上位対決で敗れ、天皇杯でも負けるわけにはいかないという思いは強いだろう。さらに相手は直近のリーグ札幌戦でも敗れて2連敗中。J1タイトルが遠くなり、よりこのカップ戦奪取への想いを強くしたはずだ。準備期間は中3日の広島に対し、C大阪は中4日。コンディション面でも最高の状態に仕上げてくるのは間違いない。
 では、カップタイトル獲得に加え、リベンジに燃えるC大阪を広島はいかに上回るか。前回対戦では3点差がついたとはいえ、「もう少し僅差が妥当な結果だったんじゃないか」とスキッべ監督も認めるとおり、実力は拮抗していた。攻撃では巧みなコンビネーションからの遅攻もあれば、鋭いカウンターも備え、守備では全員が統率された確かな組織力を備えるのが今のC大阪だ。前回対戦のように前半で広島がリードを奪うのが理想だが、そうできなくても我慢強く無失点で試合を進め、どうにか1点をもぎ取りたい。今回は90分で決着がつかなければ、延長、PK戦へと進んで行く。実力者同士、高いモチベーションを含めて白熱した攻防が予想されるだけに、一瞬の隙をも逃さない集中力が難関突破への大きなポイントだ。

監督 試合前日コメント

──台風の影響もあった中、練習は予定通りできたか?
「全体的に良かったと思う。もっと(台風が)ひどくなると思っていたから。トレーニングでやりたかったことは大体できたと思っている」

──今回はカップ戦でPK戦まであるが、その準備もしたのか?
「今日は勝手に選手たちがPKを蹴っていたが、120分の戦いの後に誰がピッチに立っているかは分からない(笑)」

──C大阪にはリーグ戦で2戦2勝しているが、どこがポイントになるか?
「厳しい試合になるのは覚悟している。前回対戦でも前半は特に相手の攻撃に手を焼いた。そこをしっかり修正して、今回は前半から良いサッカーをやりたい。守ることと、攻めることをしっかりやっていきたいと思っている。相手もしっかり守ってからのカウンターなど、良い攻撃を持っている。そこも気を付けながらやっていきたい」

──タイトルに向けて1戦、1戦、大切に戦うことに変わりはないか?
「C大阪戦に集中するだけ。自信を持ち、相手へのリスペクトは忘れずに、全力を尽くして自分たちの最大限のサッカーをやること。それができて、相手より少し上回る、相手より少し運があるチームが勝つのではないか」

監督 ハーフタイムコメント

・もっと速いサッカーをやろう
・クロスをフリーで入れさせないこと
・アグレッシブに勇敢なサッカーをやろう

ゲームレポート

 現在の紫軍団の勢いを象徴する劇的な一戦となった。
 前半から広島は大いに苦戦した。後方からじっくりとパスを繋いで攻撃を組み立ててくるC大阪に対し、広島はいつもどおり前線からのハイプレスで主導権を奪おうと試みるも、GKキム・ジンヒョンを軸とした効果的なビルドアップに押し込まれる展開に終始。相手のDFを含めたパス交換にプレスがハマらなかったこともそうだが、キムの精度の高いロングフィードで攻め込まれては、アダム・タガートと加藤陸次樹の機動力の高い2トップにチャンスを作られた。前半から何度もC大阪攻撃陣にエリア内へ進出される中で、最後の局面では塩谷司、荒木隼人、佐々木翔の3バックを中心にタガートらのシュートを体を張って凌いでいたが、攻略されてしまったのは40分だった。右サイドから為田大貴にアーリークロスを送り込まれると、最後はタガートに頭で合わせられて失点。良くない流れの中で先制点を許してしまった。
 前半のシュート数は広島の2本に対し、C大阪が8本。数字が示すように苦しい展開を強いられた中、ミヒャエル・スキッべ監督はハーフタイムに大きく動いた。ナッシム・ベン・カリファ、松本泰志、佐々木翔を下げ、エゼキエウ、川村拓夢、住吉ジェラニレショーンの3枚を同時投入。「パワーが必要だった」(ミヒャエル・スキッべ監督)とまずはメンバー交代で試合の流れを掴みに行った。
 すると、この采配が見事に的中した。エゼキエウの推進力を生かしながら敵陣地へ攻め込む回数を増やした広島は、攻撃の圧力を強めて行く。時にはC大阪の鋭いカウンターからピンチを招いたが、前半同様、自陣ではしぶとく凌いでゴールを死守。攻撃ではなかなかC大阪守備陣の攻略まで進まなかったが、最後まで諦めない姿勢が実ったのは終了間近の86分だった。右サイドでのCKは一度相手DFに弾かれたが、2次攻撃からゴール前のドウグラス・ヴィエイラがボールを収めると、塩谷から最後は柏好文へとパスが渡り、背番号18が右足を振り抜いて同点。終盤に試合を振り出しに戻してみせた。
 そして、紫軍団の粘りはここで終わらなかった。逆転を目指して攻撃姿勢を貫いた広島は、アディショナルタイムへ突入した90+1分、相手のカウンターを森島司がスライディングで阻止して再び敵陣へ進出すると、アーリークロスを送り込む。このボールにゴール前で合わせたのは川村。「(森島)司君なら流し込んでくれると思った。気持ちで押し込んだ」(川村)と言う渾身のヘディングシュートがネットを揺らして劇的な決勝点。直近のリーグ戦でも途中出場で2得点を奪って勝利へ導いた“スーパーサブ”がまたしても大仕事をし、2015年以来となる7年ぶりの天皇杯4強進出が決まった。
 これで公式戦8連勝と三大タイトルすべての可能性を残す広島の勢いはまさに本物だ。「今は誰が出ても勝てる」。川村はチームに漲る自信を口にした。

監督 試合後コメント

「今日は最初の1秒から最後の笛が鳴るまで、両チームが本当に素晴らしい戦いを見せたと思う。前半はC大阪が早くて強いプレッシングによって主導権を握っていた。先制点はそれに値する得点だったと思う。後半は佐々木翔をケガで代えざるを得ない状況になった。その代わりに、もっとダイナミックなジェラ(住吉ジェラニレショーン)が入った。他には、エゼ(エゼキエウ)には前でクリエイティブに早く動いてもらうこと、それから(川村)拓夢のような早くてダイナミックな選手が必要だとの理由で交代した。後半始まりのところでやっと互角に戦えるようになった。その後にはどんどん我々のパフォーマンスが向上し、試合をひっくり返すことができた。今日は最後の最後で拓夢がヘディングシュートを決めて勝つことができて、素晴らしい試合展開だったと思う。拓夢が決めた得点は、それまでの努力、力強さなどすべてが込められた素晴らしいゴールだった。そのゴールの前には森島(司)がボールを奪ったが、すごくパワーが必要なところで力強く奪ってくれた。そのクロスから力強い素晴らしいゴールが入ったが、そのプレーだけでなく選手全員を褒めたいと思う」

──残り数分で試合をひっくり返した強さをどう感じているか?
「強い団結力が挙げられる。80分、90分と時間が経過しても団結力を保ったまま戦える。また、今日の相手は1-0で逃げ切ろうとしたと思うが、我々はボールを握れる時間帯が増えてきた。そこから我々に勢いが付き、同点、逆転と結び付けることができたと思っている」

──佐々木翔選手の状態をもう少し詳しく教えてください。
「佐々木翔の状態はまだ分からない。打撲のような感じなので、ひどくならないことを祈っている。彼がいないと我々のディフェンスラインは非常に厳しい状態になる。彼はすごく重要な選手の一人。早く戻ってくれることを願っている」

──週末のリーグ・川崎F戦に向けて。
「川崎F戦は非常に難しい試合になると思うが、今は勝った余韻に浸り、準決勝に進めたことを喜びたい」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo アウェイでの平日ナイトゲームにもかかわらず、約1,100名もの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。
試合終了間際で逆転勝利を収めることができたのも、ゴール裏を紫に染めた力強い声援の後押しがあったからこそです。
公式戦8連勝!準決勝進出決定!最後までともに戦っていただき、ありがとうございました!

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