9.10 18:30

明治安田J1 第29節 vs. 川崎フロンターレ
AWAY等々力陸上競技場

試合終了

川崎フロンターレ 川崎F
4
0
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半34分
    家長昭博
  • 後半14分
    脇坂泰斗
  • 後半23分
    知念
  • 後半33分
    家長昭博
1
前半
0
3
後半
0

試合の見どころ

 ここまで培ったすべての力、勢い、チーム力を王者にぶつけるのみだ。
 まさに今の広島の勢いは最高潮だ。一人少ない劣勢の状況から2得点を奪って勝ち切った3日のリーグ・清水戦に続き、7日の天皇杯準々決勝・C大阪戦では試合終盤まで0-1で負けていながら、86分からわずか5分間で2得点を挙げて逆転勝ち。天皇杯では7年ぶりとなる4強進出を決め、さらに現在は公式戦8連勝中で三大タイトルすべての可能性を残す充実ぶりだ。「今は誰が出ても勝てる」。2試合連続で決勝点を挙げた川村拓夢がそう自信を漲らせるほど、今のJ1で最も勢いのあるチームなのは間違いない。
 そして今節・川崎F戦はリーグにおける広島の一つの分岐点となるゲームだ。現在は2位につける広島だが、3位・川崎Fとは勝点差1しかない上に相手は2試合消化が少ない。仮にその2試合で川崎Fが2勝すれば、実質、勝点差は「5」も離れるとあっては、終盤戦に向けてこれ以上“引き離されない”ためにも広島にとって勝点3が欲しい一戦。反対に今節で勝利することができれば、その差を一気に縮めることになりタイトル獲得レースも混沌とする。「すごく楽しみにしている」(ミヒャエル・スキッべ監督)。まさにJ1の優勝戦線の命運が懸かったゲームだ。
 ただし、当然ながら2連覇中の“リーグ王者”は今季も強い。昨季ほどに勝点を量産しているわけではなく、7月には新型コロナウイルスに苦しめられてベンチ入りメンバーに3人のGKを置かざるを得ない苦しい時期もあった今季だが、8月に入るとさすがの復調。横浜FM、福岡、鹿島、鳥栖といった強豪を倒して4連勝を達成するなど、川崎Fらしい強さを見せ付けた。前節・湘南戦で連敗は止まったが、特に前々節・鳥栖戦での4-0の勝利は完璧だった。ケガで長期離脱となったレアンドロ・ダミアンが不在でも、細かなパスワークで主導権を奪い、エリア内での流れるようなコンビネーションやサイド攻撃、速攻でゴールを奪い取る“攻撃スタイル”は相変わらず強烈だけに、広島としても難しい戦いになるのは必至だ。
 勝負のポイントは“粘り強さ”になるだろう。今節に向けて1週間の準備期間があった川崎Fに対し、広島はわずか2日。コンディション面で大きな差がある上に、C大阪戦でケガ人が複数出るなど、勢いとは裏腹にチームの内情は苦しい。展開としては、ホームの応援を背に勢いよく攻めに出てくる川崎Fに押し込まれる状況が予想される中、相手のコンビネーションサッカーを我慢強く封じながら試合を進められるか。ロースコアで持ちこたえれば、終盤に強さを発揮する広島のストロングが期待できるだけに、前半から粘り強く、根気強く戦い抜き、リーグ6連勝を掴み取りたいところだ。

監督 試合前日コメント

──大きな試合がやってくるが?
「そのとおりだ。すごく楽しみにしている。川崎Fは横浜FMと同じように前線にすごくパワーのある強いチームだと思っている」

──ホームでの前回対戦では内容では圧倒しながら敗れたが?
「前回対戦は良い試合をしながら負けてしまった。当時は良い形で攻撃しながら点が取れない状況が続いていたが、最近はしっかり点が取れるようになっているし、明日も前から行って点を取りに行きたい。ただ、相手も前線の3枚には強い選手がおり、攻撃力の強いチーム。そこは気を付けながら戦わないといけない」

──今日の練習後に選手にはどんな言葉をかけたのか?
「すごく良い挑戦の機会だと思っている。ここで結果を出せた時には、自分たちがどこの立ち位置にいるか、日本全国に知らしめることができる、と話した」

──川崎Fに勝てばリーグ6連勝で、1994年以来のクラブ記録となるが?
「良いことだね(笑)。我々のチームが魅力的で攻撃的で勇敢なサッカーがやれているからだと思う。このままうまくやっていければ、その記録は今季どんどん更新できるのではと思っている」

──終盤に強いチームになっているが、どういったメンタリティーが必要なのか?
「集中すること。そして勇敢であり続けること。その二つがポイントだと思う。最後の最後で負けてしまった柏戦とFC東京戦は、自分たちが守ろうとして後ろに、後ろにリアクションしてしまった。前回戦ったC大阪も同じ感じになってしまったと思う。そうではなく、前に前にという勇敢な姿勢を見せることが大事になる」

監督 ハーフタイムコメント

・もっと早く正確にボールを動かすこと。
・裏のスペースも使っていこう。
・ポイントを取って帰るぞ!

ゲームレポート

 力の差を見せ付けられる悔しい一戦となった。
 時間の経過とともに川崎Fの強さが際立っていった。「最初の25~30分ぐらいまでしか自分たちの攻撃的なサッカーを見せることができなかった」とミヒャエル・スキッべ監督が悔やんだように、高い攻撃力の川崎Fに対して悪くない試合の入りをした今日の広島だったが、次第にボールポゼッションで後手に回る展開に。特に30分以降はサイド攻撃やゴール前で細かなコンビネーションを繰り出してくる川崎Fに押し込まれる展開が続くと、我慢していた守備陣が決壊したのは34分だった。右サイドをワン・ツーで攻略されると、中央へのパスを家長昭博に決められて失点。前半でリードを許す展開となってしまった。
 すると、劣勢の状況を盛り返そうと、スキッべ監督はハーフタイムに動いた。「フレッシュな選手を入れることと、中盤をしっかり構成したかった」との理由から、森島司と満田誠を後半開始から同時投入。推進力のある二人を入れて主導権を奪い返しに行った広島だったが、この日の川崎Fはやはり手強かった。攻撃へのパワーが落ちない相手に押し込まれ続けると、中央のコンビネーションから脇坂泰斗に決められて0-2。さらに勢い付いた川崎Fの攻撃を受けてしまった広島は、68分にPKを与えると、これを知念慶に冷静に沈められて決定的な3点目を奪われてしまった。
その後はナッシム・ベン・カリファやピエロス・ソティリウらを投入して何とか1点をもぎ取りに行ったが、川崎Fの力は最後まで落ちず、78分に家長にこの日2点目を奪われて0-4となり勝負は決することになった。
「前半の残りの15分はゴールも含めて川崎Fの素晴らしい攻撃に翻弄され、後半も同じような形で追い付くことができなかった。横浜FMとアウェイで対戦した時にも似たような敗戦をしたが、この2チームは現状では自分たちより力は上だと思っている」。公式戦8連勝中の広島だったが、この日はスキッべ監督も認める完敗となった。

監督 試合後コメント

「川崎Fに『おめでとう』と称賛の言葉を伝えたい。今日は勝利に値するゲームだったと思う。最初の25~30分ぐらいまでしか自分たちの攻撃的なサッカーを見せることができなかった。前半の残りの15分はゴールも含めて川崎Fの素晴らしい攻撃に翻弄され、後半も同じような形で追い付くことができなかった。横浜FMとアウェイで対戦した時にも似たような敗戦をしたが、この2チームは現状では自分たちより力は上だと思っている」

──直近のC大阪戦から大幅にメンバーを代えて臨んだが、その意図は?
「これまでの試合では後半から入った選手が活躍して良いパフォーマンスを見せていた。そのため、今回はその選手たちがスタートからプレーした。今日の最初の時間帯は我々の攻撃的なサッカーを出せていたと思うが、時間が経つにつれて押し込まれる形となり、そこから抜け出すことができなかった」

──先発した住吉ジェラニレショーン選手は大きな試練だったのでは?
「ここまですごく成長している選手だと思う。今日対峙した相手は、素晴らしい選手。ケガさえなければ、このまま最後までプレーしたと思うが、続けられない状況だったので交代した」

──前半の残り15分で相手にペースを握られた中、後半は交代選手を含めてどう打開しようとしたのか?
「後半から入った選手に関して言えば、フレッシュな選手を入れることと、中盤をしっかり構成したかった。途中から入った森島(司)と満田(誠)はすごく良い役割をしたが、チーム全体が相手の圧力に負けていた。その部分でも今日は妥当な結果だったと思う」

──横浜FMと川崎Fが現状では力が上だと話したが、具体的にどういった部分が上なのか?
「オフェンスの部分でクオリティーの高い選手を多く持っていること。また、クリエイティブな部分でも選手が豊富にいるところが挙げられる。それ以上のクオリティーに関しては、見ていただいたとおりだと思う。一番大事なのは、今日の対戦相手は素晴らしいプレーを見せたこと。それに対して我々はリスペクトしないといけない」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い川崎でのゲームとなりましたが、約2,200名もの方にお越しいただきました。勝利をお届けできず、申し訳ありません。次こそは勝利を掴めるように精進いたします。最後まで熱い後押し、ありがとうございました。

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