4.29 14:00

明治安田J1 第10節 vs. セレッソ大阪
AWAYヨドコウ桜スタジアム

試合終了

セレッソ大阪 C大阪
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1

試合の見どころ

 上位に食らい付くためにも負けられない一戦だ。前節・FC東京戦を1-2で落とした広島は、リーグ戦の連勝が「5」でストップし、順位も3位から5位へダウンしたとは言え、首位・神戸との勝点差はわずか「2」。2023シーズンは9試合を終えて飛びぬけたチームがおらず、まだまだ上位は混戦模様である。先は長いが、このまま上位をキープし続ければ、リーグの行方はどうなるか分からない状況だ。
 その意味でも連敗は避けたい今節だが、激戦は必至のゲームとなる。相手は関西の強豪・C大阪。昨季はルヴァンカップ決勝で戦って勝利しただけでなく、公式戦4試合を戦い広島が全勝したとあっては、C大阪のリベンジの想いは相当だろう。特に昨季の悔しさが残っている今季一発目の対戦では強い気迫で臨んでくるのは間違いなく、広島はまず気持ちで上回らなければならない。
 また、相変わらず小菊昭雄監督率いるC大阪のチーム力は高い。前線から最終ラインまで統制された組織力を備え、各ポジションに実力者を揃えている。昨季も4勝したとは言え、その内の3試合は広島の終盤での逆転勝ち。「どの試合も負けていてもおかしくなかった」とミヒャエル・スキッべ監督も話すほど紙一重の内容であり、力の差があったわけではない。今季は昨季の主力をほぼ残しながら、新たなセンターFWとしてJ1での実績が十分のレオ・セアラを横浜FMから獲得し、中盤には元日本代表の香川真司を12年半ぶりに“復帰”させて選手層を厚くしている。今は司令塔の清武弘嗣がケガで離脱中だが、前節・柏戦で決勝点を奪った毎熊晟矢や為田大貴、上門知樹などのイキの良いアタッカーや経験豊富な奥埜博亮、原川力などの中盤の実力者も存在感を示しており、今回もやはり難しい戦いになるだろう。
 広島の勝利のポイントは、“我慢強さ”だ。今季は後半に抜群の強さを見せているとは言え、前節・FC東京戦のように先に2点を奪われてしまえば、やはり追い付くのは難しくなる。自分たちのリズムが掴めず相手に主導権を握られても、無失点、もしくは1失点以内でゲームを進め、挽回の機会を待つこと。それができたのが昨季のC大阪とのゲームであり、今季の5連勝の要因となった。「難しい試合になると思うが、自分たちの良さをいかに出すかが大切」(スキッべ監督)。今回も先にリードを奪えなくても、焦れずに根気強く広島のスタイルを貫き、勝機を見出したいところだ。

監督 試合前日コメント

──今季のC大阪の印象は?
「強くなっていると思うし、経験値が上がっていると思っている。ヨーロッパスタイルに近いイメージがある。バランスを崩さず組織だった守備をし、ボールを奪うために適したタイミングで適した場所にいる。そしてボールを奪った後は速攻がある」

──昨季のC大阪との対戦では相手のプレッシングに苦しんだ印象だが、自分たちのサッカーを出すために必要なことは?
「ビルドアップでミスをしないことが重要になってくる。FC東京戦ではどちらの失点もボールの奪われ方が悪かった。そこから点を取られてしまった部分があるので、C大阪戦はそこをなくしていきたい」

──現在は広島が5位でC大阪が7位。上位に踏みとどまるためにも、お互いに落とせない一戦となるが?
「もちろん勝ちにいきたい。アウェイで1ポイントを取ってもC大阪との距離は埋まらないが、前回のアウェイゲーム(2022年9月7日の天皇杯準々決勝)で見せたように、最後の最後まで諦めずに3ポイントを目指してやっていきたい」

ゲームレポート

 広島が昨季を彷彿とさせる執念の戦いを披露した。
 この日は序盤からC大阪を圧倒した。前線からのハードなプレッシングで相手を追い込み、中盤、または最終ラインですぐにボールを回収するハーフコートゲームの様相で試合は推移。14分に為田大貴のヘディングでピンチを招いた以外は相手にほとんど攻撃の機会を与えずに試合を進めると、広島は前半からチャンスを作り続けた。6分、左サイドを抜け出したナッシム・ベン・カリファのクロスのこぼれ球から越道草太がビッグチャンスを迎えれば、野津田岳人や川村拓夢なども敵陣地へ進出して決定的なシュートを放つ。さらにCKからDF佐々木翔や荒木隼人がヘディングでゴールを狙うなど、いつ得点が生まれてもおかしくない雰囲気が漂い続けた。前半のシュート数はC大阪の2本に対し、広島は9本。この数字に表れているように、完全に広島が主導権を掌握して前半を終えた。
「すごく良い試合ができている。これを続けて3ポイントを取るぞ!」
 チャンスを作りながらも得点が決まらないじれったい展開。ミヒャエル・スキッべ監督からそう活を入れられた広島イレブンは、後半も攻撃姿勢を貫いた。後半になって息を吹き返したC大阪に攻められる時間は増えたが、それでも紫軍団は負けずにゴールへ迫る。前半同様、川村や満田誠が決定機を迎えながら決め切れない時間が続く中、指揮官は今季の試合で途中出場ながら勝利を引き寄せてきた点取り屋のドウグラス・ヴィエイラを60分に投入。さらに77分には、その“相棒”であるエゼキエウも入れて攻撃をさらに加速させていく。ただし、最後の一歩が足りずに試合は後半アディショナルタイムに突入すると、今日のドラマはここで待っていた。90+3分、セットプレーの流れから前線に残っていた荒木のスルーパスにエゼキエウが左サイドを抜け出すと、そこからのクロスを中央で合わせたのはドウグラス。昨季、C大阪に対して何度も終盤のゴールで勝ち越してきた広島が、今季もアディショナルタイムで決着を付ける粘りを再び体現して1-0の勝利を飾った。
「笛が鳴るまで緊張感のある良い試合だった。ただ、今日の試合に関して言えば、我々は90分間、オフェンシブに前から圧力をかけながら良いサッカーができたと思っている」。なかなか得点を奪えない我慢の試合となったが、指揮官は最後の最後に勝利を掴み取った選手を称えた。

監督 試合後コメント

「笛が鳴るまで緊張感のある良い試合だった。ただ、今日の試合に関して言えば、我々は90分間、オフェンシブに前から圧力をかけながら良いサッカーができたと思っている。アウェイの難しい試合だったが、今日は勝利に値する内容だったと思う。また、途中から入ってきたドウグラス・ヴィエイラとエゼキエウのブラジル人二人が素晴らしい活躍を見せて、チームをさらに加速させたところは素晴らしかった。今日はこういう劇的な勝ち方ができて嬉しく思っている。ただ、次のアビスパ福岡戦に向けてしっかり準備していきたい」

──劇的な勝ち方だったが、GK大迫敬介選手が前半と後半に一つずつ素晴らしいセーブを見せた。また、川村拓夢選手は中盤でボールを奪取するなど、守備で素晴らしい活躍だった。二人について。
「今日の成功の中で欠かせない二人だったと思っている。敬介は日本で最高のGKだし、拓夢も日本で最高のMFだと思っている。その二人がチームにいてくれているのは素晴らしいことだと感じている」

──ドウグラス・ヴィエイラ選手は途中出場で5得点を決めているが、そろそろ先発で使うか、それともベンチスタートか、悩ましいところでは?
「ここから3年間は途中交代で点を取ってもらいたいと思っている(笑)」

──最後の最後で得点が決まったが、そこまでチャンスが何度もありながら決め切れなかった。ドウグラス選手が決めるまでの攻撃について。
「今日のチームの90分間のパフォーマンスには満足している。数多くのチャンスを作っていたし、最後のシュートのところでアンラッキーだったり、相手GKが素晴らしいセーブを見せたりしていたが、90分間攻め続けられたと感じている。またスタッツを見ていないが、10数本ものシュートを打って勝った気持ちでいる」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は大阪まで約2,400名もの方にお越しいただきました。皆様の熱い声援が劇的な勝利に繋がりました。最後まで力強い後押し、ありがとうございました!

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