5.31 19:30

明治安田J1 第11節 vs. 浦和レッズ
AWAY埼玉スタジアム2002

試合終了

浦和レッズ 浦和
2
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半27分
    酒井宏樹
  • 後半45+2分
    伊藤敦樹
0
前半
0
2
後半
1

試合の見どころ

 再び勢いに乗ることができるか問われる一戦だ。公式戦3連敗で迎えた前節・湘南戦は、相手が前半の早い時間帯で一人退場者を出したとはいえ、終始、ゲームを支配して1-0の勝利。今は中3日や中2日で試合が続く“7連戦”の渦中とあって、湘南に負けてさらに連敗が伸びれば肉体面だけでなく精神面でも大きなダメージを受けていた可能性があるだけに、勝利の価値は非常に高い。次節は中3日で4連戦目となる浦和戦。強豪相手に敵地での難しい戦いが予想されるが、ここを乗り越えればよりチームは勢いを増すだろう。
 もっとも、相手はかなりの難敵だ。浦和と言えば、5月に3度目となるアジア王者に輝いた日本屈指のビッグクラブである。ポーランドの知将であるマチェイ・スコルジャ監督を招聘した今季は、開幕2連敗を喫したものの、その後は攻守が噛み合って4連勝を達成するなど上昇曲線へ。ここまでリーグ戦13試合を消化して7勝3分3敗の勝ち点24は、消化ゲームが1試合多い4位・広島と勝点2差であり、2試合消化の多い首位・神戸とは9差である。ACL決勝を戦った影響で消化試合が足りていないが、実質は上位に迫る戦績だ。今後の戦い次第では、優勝争いに絡んでくる可能性は十分にある。
 その浦和の地に乗り込む広島としては、相手の組織的な戦いをいかに上回れるかだ。相手の守備では、守護神・西川周作を中心にアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンの外国籍CBが中央を締め、右サイドに君臨する日本屈指のSBである酒井宏樹も健在である。DFにはフィジカル能力に優れた選手が揃っているが、組織的かつ体を張った粘り強い守備も見せており、攻略はなかなか難題だ。そして攻撃に移った時も破壊力は抜群。後方でボールを奪えばGK西川を加えながら細かくパスを繋いでビルドアップしてくるのが一つの特長ではあるが、脅威なのはやはりカウンターである。センターFWの興梠慎三を筆頭に関根貴大や安居海渡らスピードのある2列目のアタッカーが高い位置でボールを奪えばスピーディーな速攻を仕掛けてくる。速さ、力強さ、コンビネーションと、カウンターの威力はJ1でもトップレベルにあり、広島としてはビルドアップでのミスは注意が必要だ。攻守で隙なく試合を進めること。浦和戦はかなりの集中力が求められる。
 ミヒャエル・スキッベ監督も浦和に勝つための条件として力を出し尽くすことを説く。「相手より1点多く取ること(笑)。そのためには100%以上の力を出さないといけない。それができなかったら、その目標は達成できない。それができた時に初めて我々も同じ土俵で戦えることが証明できると思う」浦和撃破へ。広島は限界を超えて戦い抜く。

監督 試合前日コメント

──今日の選手たちの表情を見て。
「今回は中3日なので、大丈夫。しっかり回復していると思う」

──浦和はACLを優勝しているが、今季の印象は?
「浦和だけでなく、現在の上の順位にいる5~6チームは素晴らしいサッカーをしていると思っている」

──浦和はCBの二人を含めてディフェンスが強い印象だが?
「そのとおりだと思う。CB二人も素晴らしいし、右SBの酒井(宏樹)も経験値が高い選手。ディフェンスはコンパクトに守ってくる印象があるし、前線にも良い選手が揃っている。また、中盤には速い選手が多い。間違いなく彼らは(アジアの)チャンピオンチーム」

──その浦和に勝つためにやらないといけないことは?
「相手より1点多く取ること(笑)。そのためには100%以上の力を出さないといけない。それができなかったら、その目標は達成できない。それができた時に初めて我々も同じ土俵で戦えることが証明できると思う」

──埼玉スタジアム2002の印象は?
「素晴らしいファン・サポーターがいる。大きいスタジアムながら、多くの観衆が入る。雰囲気は素晴らしいし、そのなかでJリーグで良い試合ができればと思っている」

──浦和戦の後も連戦が続くが、メンバーの入れ替えも考えているのか?
「もちろん考えているし、全員でやっていきたい」

ゲームレポート

 最後の最後で決壊する悔しいゲームとなった。
 前半から広島のできは良かった。持ち味であるアグレッシブな姿勢で浦和を押し込むと、序盤からチャンスを創出。6分、左サイド・東俊希のクロスを前線へ駆け上がったボランチ・松本泰志がボレーで合わせた決定機を皮切りに、敵陣でサッカーを展開した。途中には、浦和の鋭いカウンターを浴びる時間帯もあり、2列目のアタッカー・関根貴大にゴールを脅かされはしたが、その他はほぼ広島が主導権を掌握。セットプレーの流れからナッシム・ベン・カリファが惜しいシュートを放った他、敵陣ゴール前の直接FKを野津田岳人がブレ球のキックで直接ゴールを狙うなど、得点は奪えなかったが、良いリズムで前半を終えた。
「前半はまったく問題ない。自分たちのほうが良いサッカーができている。最後の部分はもっと丁寧に!」
 ミヒャエル・スキッベ監督も前半の戦いに手応えを得ていた中、拮抗した展開を破ろうと早くも動いた。後半の開始から1トップのナッシムに代えて、ドウグラス・ヴィエイラを投入。チームのトップスコアラーを入れて得点を奪いに行った。
 すると、その交代策はいきなりハマった。出だしからリズム良く試合に入った広島は50分、中央付近でボールを奪った野津田の縦パスを受けたドウグラスが巧みなポストプレーで川村拓夢へ絶妙なパスを通すと、敵陣へドリブルで突き進んだ背番号8の右足シュートのこぼれ球に詰めたのは森島司。冷静に右足で流し込んで先制に成功した。
 だが、この日はここから苦しんだ。同点に追い付こうと選手交代をしながら圧力を加えてきた浦和に65分頃から押し込まれる展開へ。68分の関根の鋭いシュートはGK大迫敬介がビッグセーブでしのいだが、耐えていた守備が崩されてしまったのは72分だった。ペナルティーエリア内での浦和の細かなパス交換から最後は酒井宏樹に決められて失点。リズムの悪い時間帯で同点に追い付かれてしまった。
 その後は78分に途中出場のエゼキエウの突破からチャンスを作り出すシーンもあったが、浦和に押し込まれる時間が続くと、勝負が決まったのはアディショナルタイムだった。左サイドからアーリークロスを送り込まれると、折り返しを最後は伊藤敦樹に詰められて決勝点を献上。「60分~65分までは我々のほうが良いサッカーができたと感じている」(スキッベ監督)という広島だったが、終盤に浦和に突き放される敗戦となってしまった。

監督 試合後コメント

「まずは浦和のACL優勝おめでとうございます。クラブにとっても日本のサッカーにとっても素晴らしかったと思う。また、今日の勝利もおめでとうございます。最初の60分~65分までは我々のほうが良いサッカーができたと感じている。その後の30分間ぐらいは浦和が選手交代を含めてすごく圧をかけてきた。我々はこれまで最後の最後で勝利を掴んできたが、今日は逆に最後の最後に決められてしまうゲームになってしまった。ただ、我々のチームは60~65分まで素晴らしいサッカーをした。最後の笛が鳴るまでしっかりファイトしたことは褒めたいが、残念ながらポイントを取ることはできなかった」

──60~65分の後はプレーで上回られたというよりも、エネルギーが落ちた印象だが?
「相手はフレッシュな選手が前のほうに入った。それと同時にリードされている状態だったことから、そういう展開になったと思う」

──野津田岳人選手が良いプレーをしたと思うが、警告を受けたことで途中交代となったのか?
「それもある。次第に激しくなってきたので、中盤でのファウルが増えるだろうということで、2枚目の警告を貰えないという判断だった」

──浦和がかなり前にかかってきた状況でカウンターも狙えたと思うが、圧力を受けてしまった。どのようにすればよかったか?
「エゼキエウを入れた時点で前に行きたい気持ちはあったが、残念ながら彼はボールを失うシーンが多かったと思うし、圧を受けて守るしかない状況になったのは間違いない」

──上位対決で勝ちたかったと思うが、負けてしまった意味と今後に向けて。
「今日の浦和もそうだが、神戸なども我々より多くポイントを取っている。ただ、大事なのは次の試合でしっかりポイントを取ること。できるだけ早く回復して、次の試合で3ポイントを取って、上位に食らいつくポジションにずっといることが大事になる」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は平日のナイトゲームにも関わらず、遠い浦和まで約2,000名もの方にお越しいただきました。
勝利をお届けできず、申し訳なく思っています。最後まで熱い後押し、ありがとうございました。

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