6.11 19:00

明治安田J1 第17節 vs. 川崎フロンターレ
AWAY等々力陸上競技場

試合終了

川崎フロンターレ 川崎F
1
0
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半11分
    脇坂泰斗
0
前半
0
1
後半
0

試合の見どころ

 前半戦の総決算として戦うには最高の相手だ。長丁場のリーグ戦も今節で折り返し地点。9勝2分5敗の勝点29で4位につける広島は、川崎Fとのゲームで前半戦を終えることになる。その川崎Fと言えば、2017年~22年までの5年間で4度のリーグ制覇を果たすなど、近年のJリーグをけん引してきた超強豪だ。広島としてもここ数年は特に苦手としており、最後に勝利したのは2019年7月31日(J1第16節)まで遡らなければならない。そこから昨年までの7試合で2分5敗と圧倒的に負け越している川崎F相手に、今季の広島の力はどこまで通用するか。楽しみなゲームとなる。
 もっとも今節も「難しい試合になる」(ミヒャエル・スキッベ監督)のは間違いない。今季の川崎Fは序盤からケガ人なども続出してスタートダッシュに失敗し、現在は6勝3分6敗の10位と近年になく苦戦が続いているが、徐々に調子は取り戻しつつある。最初のリーグ戦9試合こそ2勝3分4敗に終わったものの、第10節からの6試合は3連勝を含む4勝2敗。家長昭博や脇坂泰斗といった主軸が相変わらず質の高いプレーを見せている一方、ケガで出遅れていた小林悠や登里享平など経験値の高い選手たちも今では完全復活した他、調子が上がらず長く戦列を離れていたストライカーのレアンドロ・ダミアンも7日(水)の天皇杯2回戦では先発で68分までプレーしている。駒が揃ってくればJ1トップクラスの力を誇るのが川崎Fというチームだ。前節・神戸戦は大雨の影響で延期となったが、その前の柏戦では持ち前の流動的なコンビネーションサッカーを披露して2-0の勝利を挙げている。攻守において安定し、上昇気流に乗っていきそうな気配がある今、勢いに乗らせれば手がつけられなくなってしまうだけに、広島としては何とかここで止めておきたいところとなる。
 ポイントはいかに相手を敵陣へ押し込み続けられるかだ。柏戦でも見せていたが、やはり川崎Fのペナルティーエリア付近での打開力はかなりのものである。守備の人数が揃っていようとも、連係・連動を駆使して果敢に攻略し、得点を奪う破壊力は健在だ。その攻撃を受けないためにも、広島としてはできるだけ川崎Fを敵陣へ押し返すことが重要であり、その肝となるのが武器の“ハイプレス”となる。ポゼッションのうまい川崎Fに対し、恐れることなく前から積極的にボールを奪いに行き、相手を押し込む時間を長くしてサッカーを展開できるか。川崎F戦4年ぶりの勝利へ。まさにスキッベ・サッカーの完遂こそが勝利への最大の策だ。

監督 試合前日コメント

──明日の川崎F戦は難しい戦いになりそうだが?
「良いサッカーができているし、雰囲気も良い。連戦の最後だが、歯を食いしばってでも頑張って良いサッカーをしたい」

──相手は細かくパスを繋いでくるチームだが、どんな戦いをしたいか?
「非常に難しい試合になるとは思う。相手は経験値が高く、ここ数年はJリーグを支配してきたようなチーム。両ワイドの選手は気を付けないといけないのは間違いないし、中央にも良い選手がいる。セットプレーもいろんなバリエーションを持っている。すべてにおいて、良いチームだと思う。相手も素早くプレスをかけてくるので、そこも考えながら良い形で背後を狙えればと思っている」

──昨季は等々力陸上競技場で0-4の敗戦だったが、どこを教訓に戦うか。
「前回対戦では失点後にワイドからの攻撃を止めきれなくなってしまった。失点シーンを見ると、中央で(荒木)隼人がファウルかもしれないアンラッキーなボールの奪われ方をしているが、相手のカウンターをしっかり守り切ることが重要になると思っている」

──天皇杯2回戦の戦いを踏まえて、チャンスを与えたい選手はいるのか?
「それはもちろんあるし、今回の遠征メンバーに入っている選手もいる。天皇杯のゲーム内容やパフォーマンスを見る限り、全部ポジティブに受け入れられるものばかりだった」

ゲームレポート

 今季の課題が再び顔を出すゲームとなった。
 前半の広島のできは良かった。序盤から持ち味であるアグレッシブさを前面に押し出して主導権を奪うと、川崎Fを圧倒。開始1分、ドウグラス・ヴィエイラがポスト直撃のシュートを放ったのを皮切りに相手を敵陣へ釘付けにすると、広島がハイプレスを主体に積極的に攻撃を仕掛けていく。7分には前線へ飛び出したボランチ・川村拓夢が強烈な左足シュートを放って相手を脅かせば、相方の野津田岳人も遠い位置からでも果敢にゴールを狙っていった。さらにシャドーのエゼキエウの鋭い突破も活かしながらチャンスを何度も構築した広島。終盤にカウンターなどからピンチを招く場面はあったが、それ以外はほぼ広島が相手陣地でサッカーを続ける理想的な戦いだった。
「良いゲームができている。ゴール前ではもっと積極的にシュートを打っていこう」
 前半の戦いに手応えを感じていたミヒャエル・スキッベ監督も選手にそう声をかけて迎えた後半、試合の主導権は相変わらず広島が握り続けた。前半同様、積極的に相手ゴールへ迫ってゲームを進めたが、一瞬の隙を突かれてしまったのは56分だった。敵陣でボールを奪われて一気にカウンターを食らうと、最後は脇坂泰斗に決められて失点。良いリズムで試合を進めていながらリードを奪われる苦しい展開となってしまった。
 そこからさらに攻撃に力を注いだ広島だったが、今季の課題である“決定力”を最後まで克服することができず。前半のシュート数6本に続き、後半はサイド攻撃をメインに8本も浴びせたが、「最後の最後でゴールに結び付ける、シュートを枠に飛ばすところが足りなかった」(スキッベ監督)。前がかりになったことで川崎Fにカウンターを浴びる場面が何度かあったが、ほぼ一方的に攻め立てながらもあと一歩が足りず得点を奪えなかった広島が0-1で敗れる結果となった。
「90~95分まで素晴らしいパフォーマンスを披露できたと思っている。チャンスはたくさん作り出したし、可能性もたくさん感じていたが、90分を通して最後のシュートが入らなければ相手が勝つということ」
スキッベ監督も悔しさを口にして会場を後にした。

監督 試合後コメント

「今日のパフォーマンスに関しては非常に満足している。90~95分まで素晴らしいパフォーマンスを披露できたと思っている。そこからゴールというところまで行けなかったのはある。チャンスはたくさん作り出したし、可能性もたくさん感じていたが、90分を通して最後のシュートが入らなければ相手が勝つということ。ただ、我々の示した情熱には満足している。体を張って守り切るところ、最後まで諦めないところは今日も表れた良い試合だったと思う。また、我々のチームは現在、塩谷(司)、満田(誠)、ピエロス・ソティリウの3名が(ケガで)いないことによって少しクオリティーが落ちていると感じているが、先週と今週のパフォーマンスに関しては非常に満足している」

──前半の35分ぐらいまでは圧倒的で、その後は一進一退となった。それを踏まえて後半はどう戦おうと思ったのか?
「後半の入りも前半と同じようなサッカーをしようということで臨んだ。失点シーンは前のほうで(東)俊希がボールを奪われてしまい、中央でガク(野津田)がもう一度取れるチャンスはあったが、そこもアンラッキーな形でカウンターを受けて失点した。相手もすごく良い攻撃だったと思う。今日の試合は90~95分まで良いサッカーをやり続けた手応えがあるが、やはり最後の最後でゴールに結び付ける、シュートを枠に飛ばすところが足りなかった」

──塩谷選手、満田選手、ピエロス選手の3人がいないことでクオリティーが落ちているとのことだが、どの部分がチームに足りないのか。
「クオリティーの高い3人の選手がいない状況にあると感じている。塩谷はJリーグの中でもトップクラスのDFであり、満田もJリーグでトップクラスのオフェンスの選手。ピエロスはいろんな国で得点王になるような、点を取れるクオリティーのある選手。そういう選手がいないというのは我々にとって大きな痛手になっている。1週、2週欠けることはこれからもあると思うが、それが3ヵ月とか長いスパンでいないというのは、非常に苦しい状況だと思っている」

──今日で前半戦を終えたが、これまでの手応えと課題は?
「ここまでの勝点29は昨年よりも多い数字になっている。それに関しては、非常に満足している。ただ、先ほどと同じ話になるが、不在の3人が揃えば、クオリティーの高い、Jリーグでも上位を狙えるだけの良いサンフレッチェを見せられると思う。そこがいない状況は、我々にとっては苦しい状態だと思っている」

──明日から日本代表へ行く川村拓夢選手に期待することは?
「彼に望むことはズル賢く勇敢にプレーしてほしい。Jリーグで示してきたことを森保監督にしっかり見てもらえればと思っている」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は日曜日のナイトゲームにも関わらず、川崎まで約2,000名もの方にお越しいただきました。
勝利をお届けできず、申し訳ありません。最後まで熱い声援、ありがとうございました。

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