7.12 19:00

天皇杯 3回戦 vs. 栃木SC
OTHERカンセキスタジアムとちぎ

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
0
2
栃木SC 栃木
0
前半
0
0
後半
2
  • 後半9分
    大島康樹
  • 後半45+4分
    西谷優希

試合の見どころ

 今季最大の苦境を乗り切った広島にとって再起の一戦だ。8日(水)のJ1第20節・鹿島戦は、リーグ3連敗中という苦しいチーム状態だったにも関わらず、体調不良者が続出したことで急遽、広島ユースの二人をベンチ入りさせるメンバー編成に加え、ミヒャエル・スキッベ監督もコンディション不良で欠場する、まさに緊急事態。だが、「これはビッグチャンス。このチャンスをどうにか掴もう」と迫井深也ヘッドコーチの下でまとまった選手たちは、強敵・鹿島相手に互角以上の戦いを披露し、1-1で引き分けて連敗を止めることに成功した。もちろん勝利できればよりチームにとって大きかったが、「監督のDNAであるハードワーク、アグレッシブ、ダイナミック、すべてを表現してくれた」(迫井コーチ)と言う“広島らしさ”が見られたことは今後に向けてプラス材料だ。ここからはもう這い上がるだけ。体調不良から復帰してくる選手たちも加えて、勝利を目指すことになる。
 もちろん、今回も油断は大敵だ。天皇杯3回戦で激突する栃木は一つ下のカテゴリーであるJ2所属であり、順位は22チーム中20位と残留争いの渦中にあるが、戦いぶりを見れば決して力がないわけではない。特に直近の試合である9日のリーグ・仙台戦では2-2の引き分けに終わったとはいえ、栃木の持ち味が存分に発揮されていた。守備では前線からのアグレッシブな守備で主導権を奪いに行き、攻撃に移ればロングボールを積極的に多用して縦に速く。システムは[3-5-2]を採用しており、なかでも183cmの根本凌と186cmの小堀空が組む強力2トップは高さと推進力があり、敵としてはかなり厄介だ。さらに中盤にもテクニックのある福森健太ら力のある選手がいる他、最終ラインには元広島所属の大谷尚輝も左ストッパーとして存在感を見せている。さらに“スーパーサブ”として高萩洋次郎も備えるなど、全体的にバランスの取れたチームなのは間違いない。
 そんな栃木戦でのポイントは、やはり自分たち自身だろう。今回もどんな顔ぶれで臨めるか不透明な状況ではあるが、鹿島戦も「練習場でやっていることをそのまま表現してくれた」(迫井コーチ)ことで急造チームとは思えない見事な連係・連動を見ることができた。今回の栃木戦も当然ながら相手のストロングは潰さないといけないが、強みであるハードワークやアグレッシブさに加え、コンビネーションを駆使した縦への速い攻めやサイド攻撃などをこれまで培ってきたモノを存分に発揮するのみだ。この栃木戦から再び上昇への道を突き進みたい。

監督 試合前日コメント

※迫井深也ヘッドコーチの試合前日コメントへ変更となります。

──栃木の印象は?
「ここ数試合は1-0とか1-1など守備が安定してきている。もともと、5枚が並んで守備をする。安定したゲームが続いているので、難しいゲームになると思っている」

──昨年も群馬では苦労したが、どうゴールをこじ開けていくか?
「昨年で言えば、群馬戦の前に横浜FC戦があったが、そこでは12分に先制点を取っている。最初の部分で間違えて入らないことが大事。群馬戦が間違えて入ったと思っていないが、相手がなじんでくる時間を与えないことが大事になる」

──最初の15分が大事になる?
「相手はリーグ戦から中2日なのでどういうメンバーで来るかも分からない。ゲームの入りが一番大事になってくると思う」

ゲームレポート

 天皇杯3回戦はショッキングな結末が待っていた。
 気温29.6度、湿度48%という蒸し暑い気候となったこの日の『カンセキスタジアムとちぎ』。タフさが求められる中で前半から広島は苦しんだ。最終ラインからじっくりとパスを繋いで攻撃を試みるも、組織的かつアグレッシブな守備を見せる栃木の網をなかなか攻略できず。9分にカウンターからエゼキエウが左足で強烈なシュートを放った他、24分には敵陣での野津田岳人のFKからナッシム・ベン・カリファが頭で合わせた以外はほとんど効果的な攻撃を見せることができず、反対にビルドアップのミスを突かれては栃木の鋭いカウンターを何度も受ける険しい展開となった。
「難しい戦いになるのは分かっていた。もっと自分たちからアクションを起こして、もっと自分たちのサッカーをしよう!」
 前半の苦しい出来を受け、ミヒャエル・スキッベ監督からそうハーフタイムに活を入れられて迎えた後半、試練は54分に訪れた。松本大弥が自陣ペナルティーエリア内で相手を倒してしまいPKを献上。これを大島康樹に冷静に決められて追いかける展開となってしまった。
 すると、スキッベ監督はすぐに動いた。57分、柏好文、越道草太、志知孝明、松本大弥の4人を下げ、川村拓夢、茶島雄介、佐々木翔、荒木隼人を一気に投入。フレッシュな力を入れて、まずは同点を目指した。
 だが、この日はリズムを欠いた攻撃が最後まで機能することはなかった。左右にボールを散らしながら何とか栃木ゴールをこじ開けようと攻めに出続けた広島だったが、最後の局面では精度を欠いてシュートまで結び付けられず。すると、前がかりになった薄い最終ラインの背後を突かれてしまったのは後半アディショナルタイムに突入した90+4分だった。カウンターから最後は西谷優希に決められて万事休す。昨年の天皇杯準優勝のリベンジを目指した広島だったが、3回戦で姿を消すことになった。

監督 試合後コメント

「まずは栃木に『おめでとう』と言いたい。今日は勝利に値する試合だったと思う。我々がPKを与えてしまったことで栃木に勝利が近付いた。0-1にされてからは、我々も交代選手を入れてできるだけ良い形で追い上げようとしたなか、3つ、4つのチャンスはあったと思う。ただ、最後の5分~10分は集中力や正確性を欠いていたため、2点目を取られてしまった。
 今週末には横浜FC戦があるので、そこに向けて全力を尽くして準備していきたい。また、その後は少し(中断期間で)休憩を挟み、8月にはケガ人が戻り、全員が揃った状態で我々も上でやれるだけの力があることを証明したいと思っている」

──体調不良で今日の試合に来られなかった選手たちは、週末の横浜FC戦に向けては出られる状況になりそうか?
「出られると思う。ケガによる長期離脱の選手はまだ戻ってこられないが、それ以外の体調不良の選手たちは戻ってこられると思っている」

──今日は攻撃の形をなかなか作れなかったが、何がうまくいかなかったのか。栃木がうまく守っていたのか?
「今日の試合に関しては、どっちも言えると思う。我々はコンディション不良のなかでやっている限界値がここだったというのもある。同時に栃木も速いプレスに来ており、良いサッカーをしていた部分も挙げられる」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い栃木での試合となりましたが、約500名もの方にお越しいただきました。
勝利をお届けできず、大変申し訳なく思っております。最後まで熱い声援、ありがとうございました。

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