12.3 14:00

明治安田J1 第34節 vs. アビスパ福岡
AWAYベスト電器スタジアム

試合終了

アビスパ福岡 福岡
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1

試合の見どころ

 いよいよ迎える2023シーズンの最終戦、広島が求めるのはまさに“勝利”のみだ。エディオンスタジアム広島ラストマッチとなった前節・G大阪戦は、攻守に隙のない戦いを見せて3-0の完勝。順位を3位へ上げた広島だが、4位・浦和との勝点差はわずか「1」であり、まだまだ最後まで行方は分からない。3位に入れば2024-25シーズンのACL2への出場の可能性も大きくあるだけに、広島としては最終戦で勝利を掴み、自力で「3位を狙っていきたい」(ミヒャエル・スキッベ監督)ことになる。
 最後の敵としても不足はない。敵地で戦う相手は、今季のJ1で旋風を巻き起こした福岡。天皇杯は4強まで勝ち進み、ルヴァンカップではクラブ初のタイトル獲得。そして、リーグ戦でも6位につけるなど、2023年はすべての大会で充実した成果を残した九州の古豪クラブである。
 戦力もなかなか強烈だ。システムは4バックをメインに戦ってきた福岡だが、9月からは広島と同じ[3-4-2-1]へマイナーチェンジ。1トップには強くて点の取れるストライカー・山岸祐也が存在感を示し、その下には紺野和也と金森健志という俊敏性のある2シャドーが攻撃にアクセントを加えている。ダブルボランチでは前寛之と元日本代表の井手口陽介の“ボールハンター”が中盤を引き締め、最終ラインには奈良竜樹を中心とした対人能力の高いDFが君臨。全体的にフィジカルに優れた選手を配置している福岡は、組織作りに定評のある長谷部茂利監督の下、前線からのハードな守備をメインに激しく戦ってくる。
 前節もスピーディーなカウンターや前線からの鋭いプレスを生かして、浦和を3-2で撃破。先発の11人だけでも厄介だが、途中からはルキアンとウェリントンといった強烈な外国籍ストライカーを投入する術も持っており、最後まで気が抜けない。「難しい戦いになる」(スキッベ監督)と接戦は必至だ。
 もっとも、広島のモチベーションは十分である。「まずは勝つだけ。自分たちの手で3位を掴みたい」(大迫敬介)。2019年以来となるアジアでの戦いをサンフレッチェは目指しており、そのためにも3位死守は絶対だ。確かに相手は難敵だが、ここを乗り越えて3位を掴むことでチームはより成長し、2024シーズンへの期待も膨らんでくる。林卓人の引退セレモニーに花を添えるために一致団結した前節に続き、今節も“3位”のために練習場で一つになってトレーニングに励んだ。準備は万端。あとは福岡の地で勝点3をもぎ取るだけだ。

監督 試合前日コメント

──今季最終戦を迎えるが、今の心境は?
「最後の試合になるが、まだまだ自分たちはやらないといけないこと、到達したいところがある。夏には考えられなかったことだが、ACLに行けるかもしれない状況にある。最後の最後まで集中して試合に臨みたい」

──福岡はホームでの最終戦で気合いも入っていると思うが?
「福岡は今シーズン一番成長したチームだと思っている。ルヴァンカップも獲っているし、そういうチームと最後の最後にアウェイで戦えるのは楽しみ」

──勢いに乗った相手に対して注意する部分は?
「切り替えで負けないことが重要になる。相手のカウンターでは紺野(和也)など速い選手がいるし、彼らに前向きにボールを持たせたら難しくなる。また、簡単にセットプレーを与えないことも大事なポイント。高さがありヘディングに強い選手がたくさんいるので、そこを抑えながら、相手にカウンターもさせないことが重要になる」

──リーグで2番目に少ない守備陣の評価について。
「我々には安定した守備があったと思うが、安定した守備というのはGKや最終ラインだけが良いのではなく、その他の選手も前からしっかりとプレスに行っていた。そのため、少ない失点でやっていけたと思っている。夏場に少し機能しなくなった時はあったが、それ以外の時期では前からボールを追い、全員で守ることができた。安定したディフェンスと言うが、『ディフェンシブにプレーしない』ということが我々のサッカーでもある」

ゲームレポート

 シーズン最終戦は最後の最後に劇的なドラマが待っていた。
 自力での3位確保に向けて勝利が必須の広島は、前半から主導権を握ってゲームを進めた。前線からハードに戦ってくる福岡に対し、広島は球際での攻防で上回り、相手を自陣へ押し込んでサッカーを展開。相手のスピーディーなカウンターもCB荒木隼人を中心に早い段階で福岡の攻撃の芽を摘んでチャンスを作らせない。積極的な姿勢で先制点を狙う広島はCKから佐々木翔や中野就斗らがチャンスを迎えた他、相手ペナルティーエリア付近ではドウグラス・ヴィエイラを起点に満田誠や加藤陸次樹らも果敢にシュートを打ってゴールを狙いに行った。前半は福岡守備陣の粘り強さもあって得点を奪うことはできなかったが、得点の匂いを漂わせていたのは広島だった。
 するとハーフタイムにミヒャエル・スキッベ監督は早くも動いた。ボランチ・松本泰志に代えてエゼキエウを投入。2シャドーの一角だった満田をボランチへ下げる“攻撃的布陣”で試合を動かしにかかった。
「試合の流れの中でも残りの20~25分に関して言えば、完全に押していたゲームだった」(スキッベ監督)。後半の途中までは福岡の勢いに押される時間帯もあったが、勝利に向けて1点が必要な広島は試合終盤にかけてシュートを浴びせ続ける猛攻。満田やエゼキエウ、加藤、ピエロス・ソティリウ、塩谷司と決定機を何度か作り出してゴールを狙うが、相手GKのファインセーブもあって得点が決まらない。他会場では勝点差1で追っている4位・浦和がリードしており、広島は引き分けのままだと順位が逆転してしまう状況の中、紫軍団の諦めない姿勢が最後の最後で実った。90+6分、セットプレーの残りから、マルコス・ジュニオールのアーリークロスに頭で合わせたのは荒木。「最後の最後で荒木隼人が正しいゴールに入れることができた(笑)。今シーズン待ち続けたゴールを取ることができて、すごく嬉しい」とスキッベ監督も待ち望んだ今季第一号が最終戦で決まって勝負あり。サンフレッチェが2年連続となる3位で今季を終えた。

監督 試合後コメント

「今日はJリーグの中でもすごくレベルの高い試合ができたのではないかと思っている。最後の最後まで両チームが死力を尽くして戦った。また、最後の最後で荒木隼人が正しいゴールに入れることができた(笑)。今シーズン待ち続けたゴールを取ることができて、すごく嬉しい。試合の流れの中でも残りの20~25分に関して言えば、完全に押していたゲームだった。その中で良いシュートまで行けたシーンもあったが、相手GKのファインセーブにあっていた。ただ、最後の最後に荒木のヘディングゴールが決まって嬉しく思っている」

──今日の勝利で3位が決定した。ACL出場の可能性もあるが?
「まず3位になれたことは素晴らしかった。我々は今季の夏場に少し崩れた時期があった。そこから立て直して3位になれたのは嬉しい。今季の後期に我々のチームが見せた、再び立ち上がる姿や成長した姿は誇りに思っている。3位になったが、アジアに行けるかどうかは(ACLの優勝チームが決まる)夏まで待たないといけない。ただ、同時に日本でALCに出場しているチームは最高値までたどり着いてほしい気持ちもある。
 今日の相手である長谷部監督率いる福岡も今季は素晴らしいサッカーを見せていたと思う。ルヴァンカップも獲ったし、素晴らしい成長を遂げたチームだと思う」

──試合の後半は点を取るために次々と選手を投入した。最後のマルコス・ジュニオールを投入して、加藤陸次樹を右サイドに置いたが、その意図は?
「マルコスだけでなくエゼキエウもそうだが、途中交代で入ったブラジル人はゲームの中でアクセントになれる。ドリブルなどリズムを持った選手を入れることが今日の試合では重要だった。その二人に求めることは、ケガなくシーズンを過ごしていほしい。内転筋など筋肉系のケガが頻繁に起こっているので、そういったところをなくしていけるようにしたい」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは福岡での試合となりましたが、約2,500名もの方にお越しいただきました。
皆様の力強い後押しが劇的な勝利に繋がりました。2023シーズンも最後まで熱い声援、ありがとうございました。

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