4.28 14:00

明治安田J1 第10節 vs. 川崎フロンターレ
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試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
2
川崎フロンターレ 川崎F
1
前半
0
1
後半
2
  • 後半20分
    小林
  • 後半29分
    山田

試合の見どころ

 カップ戦での良好な流れを繋げたい一戦だ。リーグ・福岡戦、札幌戦と2試合連続で1-1のドローで終えて迎えた24日(水)のルヴァンカップ・奈良戦、今季初先発となった柏好文やケガから復帰したピエロス・ソティリウ、マルコス・ジュニオールらが得点を重ねて6-0の大勝。相手はカテゴリーが二つ下のJ3所属のクラブだったとは言え、最近の得点力不足を考えれば「成功体験を得る上で良かった。PKを譲り合ったりした部分はあるが、たくさんの選手が点を取れたのはチーム全体として良かった」とミヒャエル・スキッベ監督も収穫を口にした。一時はケガ人が続出する“野戦病院”状態だったが、ピエロスやマルコスを含めてメンバーも徐々に揃ってきた。まさに上向きのチーム状態で今節に臨むことになる。
 このゲームで勝利をつかめば、より勢いを得られるのは間違いない。相手は2017年~21年までの5年間で4度のJ1制覇を成し遂げた、言わずもがなの強豪・川崎F。2022年は2位、昨年は8位と徐々に順位を下げ、今季もここまで2勝2分5敗の16位と以前ほどの絶対的な強さは影を潜めているが、J屈指のパスワークや選手の高いクオリティーを考えれば、いつ爆発してもおかしくない強敵だ。
 現在はリーグ戦4試合連続で無得点に終わっているが信じられないくらい、前線は強烈である。今季加入した新エースのエリソンは、強さと速さを備える馬力のあるストライカー。ミドルレンジからでも狙える強烈な左足も大きな武器で、かつて日本でプレーしていた元ブラジル代表のフッキを彷彿とさせるプレーヤーだ。他にも快足ウイングのマルシーニョや川崎Fの攻撃を司る脇坂泰斗、37歳のベテラン・家長昭博、さらに山田新や遠野大弥といった若くて活きの良いアタッカーもいる。ボランチにも川崎Fらしいテクニシャン・橘田健人や攻守で存在感を示すゼ・ヒカルドら実力者が揃う。これらの選手層に加え、持ち味である流動的なパスワークは相変わらずJ1でも高いレベルにあり、今の順位だけを参考にすれば危険だ。
 そんな川崎Fを迎え撃つスキッベ監督は、相手の力を認めつつ、やはり自分たちのサッカーを貫いて勝利を目指す覚悟である。「ホームで何をしないといけないかと言ったら、自分たちのサッカーをやること。前からプレッシャーをかける、いつもどおりのサッカーをやりたい」。川崎Fの武器であるパスワークを自慢のプレッシングで封じれば、それは広島が主導権を握ることを意味する。そして攻撃に移れば、サイドを生かしたスピーディーな攻めでゴールを目指すこと。前途のとおり、ピエロスやマルコスが復帰したことで、前線のバリエーションは増えている。なかなか得点を奪えなくても選手交代で局面を打開していく術もある。簡単に勝てる相手ではないが、チームの力を結集すれば勝てない相手でもない。3-2という打ち合いを制した昨季に続き、今季も全員の力で勝利を掴みに行く。

監督 試合前日コメント

──川崎Fのボールを握るサッカーに対して、どう対抗していきますか?
「相手のサッカーは知っていますし、ワイドに速い選手がいるのも知っています。ただ、ホームで何をしないといけないかと言ったら、自分たちのサッカーをやること。前からプレッシャーをかける、いつもどおりのサッカーをやりたいと思っています」

──ピエロス・ソティリウ選手とマルコス・ジュニオール選手が復帰したことで、前線の選択肢も増えたのでは?
「もちろん自分たちも必要としている部分だったので、良いことだと思います。ルヴァンカップを除けば、なかなか得点が取れないところがあったので、そこをしっかり解消できるようにしたいです」

──ルヴァンカップ・奈良戦は、下のカテゴリーの相手とは言え、6得点を奪えました。良い流れに乗れるのでは?
「成功体験を得る上で良かったと思います。PKを譲り合ったりした部分はありますが、たくさんの選手が点を取れたのはチーム全体として良かったと思っています」

──マルコス・ジュニオール選手が復帰したことで、チーム全体にどのような影響がありますか?
「とにかく戻ってきてくれたことは、すごく嬉しく思っています。彼は技術がしっかりしていますし、ドリブルだけでなく、シュートも素晴らしい技術を持っている。また、ゲームをしっかり読めるところも良いですね」

ゲームレポート

 攻撃サッカーを志向する両チームの戦いは、最後までもつれる激闘となった。
 前半に試合の主導権を握ったのは広島だった。序盤こそ川崎Fの巧みなポゼッションで押し込まれる時間帯もあったが、次第に広島のストロングであるハイプレスが機能し始めると、相手の攻撃を次々と封鎖。ボールを奪えば縦へのスピーディーなショートカウンターを繰り出してチャンスを作り出すなど、“広島らしい”戦いを前半から見せていた。すると、好機は38分にやってきた。カウンターから今季初先発となったマルコス・ジュニオールの絶妙なクロスは味方に合わなかったが、その流れからDF佐々木翔が右足でアーリークロスをゴール前へ送り込むと、そのボールに飛び込んだのは大橋祐紀。今季リーグ7点目を豪快に頭で決めて広島が先制に成功した。  その後も川崎Fの良さをまったく出させない見事な出来に対し、ミヒャエル・スキッベ監督も「ここまですごく良い試合をしているぞ。このまま良いサッカーを続けよう!」とハーフタイムに選手へ伝えて後半のピッチへ送り出した。
 だが、強敵・川崎F相手に試合はやはりそう簡単に進まなかった。後半の入りは悪くなかった広島だが、次第に相手の素早い攻撃を受けるようになると、一瞬の隙を見せてしまったのは65分だった。自陣右サイド深くで川崎Fに与えてしまったFK、ゴール前へ送り込まれたクロスのこぼれ球を最後は小林悠に決められて失点。後半の早い時間帯で同点に追い付かれてしまった。
 これで川崎Fを勢い付かせてしまった広島は、74分にも山田新に決められてリードを許す苦しい展開となってしまったが、意地を見せたのは失点からわずか1分後の75分だった。右サイド寄りの満田誠の柔らかなアーリークロスに加藤陸次樹が右足で合わせて2-2。開幕から“決定力不足”に苦しんでいた背番号51がようやく今季初得点を突き刺した。
 そこからも互いに決勝点を求めて攻撃的に戦う白熱した攻防が続いた。川崎Fは左サイドのマルシーニョがスピードを生かしてチャンスを作れば、広島は大橋がゴール前で2度のビッグチャンスを迎えた。だが、どちらも最後の最後でゴールを奪うことはできず、試合はこのまま2-2で終了。リーグ戦3試合連続でドローとなった広島だが、「我々のパフォーマンスに関しては納得いくものでしたし、強い川崎F相手に素晴らしいパフォーマンスでした」とスキッベ監督は内容面で前向きに語った。

監督 試合後コメント

「今日は両チームとも前に向かった、Jリーグの中でも素晴らしい試合になったと思います。我々は特に前半、試合の主導権を握って前に行けたと思っています。後半になるとオープンとなり、行ったり来たりの展開になりました。相手の速いカウンターも受けました。ただ、我々のほうが大きなチャンスはあったと思っています。そこで相手GKは素晴らしいパフォーマンスを見せたと思いますし、彼の活躍によって相手はポイントを取ったと思います。我々のパフォーマンスに関しては納得いくものでしたし、強い川崎F相手に素晴らしいパフォーマンスでした」

──加藤陸次樹選手に今季初ゴールが出ました。
「ここまで非常に苦労した部分がありましたので、これで少し肩の荷が下りたと思います。これからもゴールを量産する選手ですので、少し時間はかかりましたが、これからはどんどんやってくれるのではないかと思っています」

──今季初の複数失点となりました。今日の出来についてどう感じていますか?
「中盤の選手を含めて、今日の守備陣は守ることに関して非常に高いパフォーマンスを見せたと思っています。これまで自分たちに多くのポイントを集めてきた(大迫)敬介は、今日は少し落下点を見誤ることがありましたが、ミスしても問題ありません」

──ピエロス・ソティリウ選手とマルコス・ジュニオール選手がリーグ戦でも復帰しましたが、彼ら二人のプレーについて。
「二人とも数多くのチャンスを作り出したと思いますし、チームにとって非常に大きなオフェンスの選手が戻ってきたと思っています。もちろん、来週、再来週と段階を追うごとに走力の部分はまだやっていかないといけませんが、今日は高いクオリティーのサッカーを見せられたと思います」

──まだ無敗ですが、3試合連続で勝ててもいません。現状をどのように受け止めていますか?
「Jリーグのレベルが拮抗している証拠だと思います。素晴らしいチームがたくさんあり、悪いチームはないと思っています」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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