6.29 19:00

明治安田J1 第21節 vs. 川崎フロンターレ
AWAYUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

試合終了

川崎フロンターレ 川崎F
1
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半23分
    マルシーニョ
1
前半
0
0
後半
1

試合の見どころ

 ハードな6月の総決算となる。6月1日から始まった中3日や2日の9連戦もようやくラストとなる。前節・新潟戦は1-1のドローに終わり、ここまでは6勝1分1敗。6月は3つの大会が入るかなりの過密日程ながら、リーグ戦では首位・町田と勝点差7の5位につけ、ルヴァンカップと天皇杯も勝ち残っているのは上々の成績だ。その締めとなる今節・川崎F戦はアウェイで中2日の戦い。連戦の最後まで厳しい日程となるが、チームの総力で乗り切ることになる。
 相手もまた難敵だ。ここまでリーグ戦では5勝7分8敗の15位と、近年のJリーグをけん引してきた強豪・川崎Fが今季は苦しんでいるが、当然ながら成績だけでは判断できない。「大きな挑戦が待っている」とミヒャエル・スキッベ監督も話すように、選手の質は高く、そして代名詞でもあるコンビネーションサッカーは相変わらず健在だ。ケガでブラジル人ストライカーのエリソンは離脱中だが、前線にはそれぞれ異なる特長を持った実力派が揃う。Jトップクラスのスピードを持つウイングのマルシーニョや技巧派の家長昭博、脇坂泰斗。センターFWにも経験豊富な点取り屋・小林悠やプロ2年目で伸び盛りのストライカー・山田新も台頭している。ボランチもゼ・ヒカルドと橘田健人の実力者が揃うなか、前節・湘南戦では元日本代表の天才MF大島僚太が約1年ぶりにケガから帰ってきた。これら充実のタレントが、技術の高さを生かしたポゼッションサッカーを今も追求している。6月の4試合は1勝2分1敗と結果がなかなか付いてきていないとはいえ、警戒していても巧みな連係でゴールをこじ開けにかかってくる川崎Fはやはり脅威だ。
 広島のポイントとしては、前節・新潟戦で見せた“ハイプレス”になるだろう。川崎Fは新潟と同じく後方からじっくりとパスを繋いでゲームを組み立ててくる。その質の高さは、新潟以上かもしれない。前節は「前からどんどん行くことを特に強調した」(スキッベ監督)と言うアグレッシブな戦いで、新潟の組み立てを封じる時間も多かったが、川崎Fにも果敢にチャレンジできるか。「最初から最後まで全力で追いかけるだけです」とは指揮官。前節から中2日と肉体的なダメージは当然ながらある。だが、どんな時でも守りに徹することなく果敢にボールを奪いに行く攻撃的なサッカーこそが、今のスキッベ・スタイルだ。ポゼッション対プレッシング。前節同様の構図だが、今節こそ勝利を奪い、勢いを得て7月へ突入したいところだ。

監督 試合前日コメント

──ようやく9連戦は最後になります。
「そうですね。ここにきて、巧くて、速いチームとの対戦となりますので、大きな挑戦が待っています。我々も川崎Fも良いサッカーをしますし、前が速くて、後ろはしっかり守る部分などは似ている。良い試合になると思っています」

──川崎Fは今の順位(15位)と実力が伴っていない感じがします。
「そのとおりだと思います。前線には速い選手がいますし、いつもインテリジェンスの高いサッカーをするイメージがあります」

──前節・新潟戦は引き分けではありましたが、一定の手応えがありましたか?
「本当に良い試合だったと思います。もしかしたら、序盤のチャンスで1、2点取れていたら結果も付いてきたかもしれませんが、全体的に良いパフォーマンスだったと思います」

──川崎Fは新潟と同じようにパスを繋いで主導権を握るサッカーをします。新潟戦ではプレスがハマらない時間帯もありましたが、明日はどう臨みますか?
「いつもどおりやれば良いだけです。最初から最後まで全力で追いかけるだけです」

ゲームレポート

 紫軍団の諦めない姿勢が最後に勝点を呼び込んだ。
 序盤から互いに果敢にゴール前へ進出するアグレッシブな展開が続く中、一瞬の隙を突かれてしまったのは23分だった。川崎Fのサイド攻撃から一度はピンチを脱出した広島だったが、その流れから瀬古樹にミドルシュートを打たれてDFに当たると、GK大迫敬介が弾いたボールをマルシーニョに詰められて失点。前節に続いて追いかける展開となってしまった。
 そこからも両チームがストロングを出し合う白熱の攻防で推移。広島がポゼッション率を高めてサイド攻撃を繰り出せば、川崎Fはサンフレッチェのミスを突いては左サイド・マルシーニョのスピードを生かした鋭いカウンターを見せる。どちらに得点が入ってもおかしくない攻撃的な戦いは、0-1で前半を折り返した。
「簡単なパスミスが多い。相手はそこを突いてくるぞ。攻撃はもっとワイドを使って行こう!」
 ハーフタイム、選手たちへそう声をかけたミヒャエル・スキッベ監督は、後半開始からいきなり動いた。1トップのドウグラス・ヴィエイラを下げて、18歳のボランチ・中島洋太朗を投入。シャドーだった大橋祐紀をFWに配置し、ボランチの満田誠を一列前に上げる変化を加えて後半に挑んだ。
 残り45分もサンフレッチェは攻撃的に戦い抜いた。大橋、満田、加藤陸次樹の1トップ2シャドーが果敢に前線からボールを追いかけて守備にも奔走し、DF陣は相手の素早いカウンターに対して最後まで粘り強く対応。相手陣地でプレーする時間を増やす中、指揮官の指示どおりサイドをメインに攻撃を繰り出して得点機会をうかがった。
 すると、最後の最後に広島が意地を見せた。左右のサイドを攻略して何度かチャンスを作り出し、大橋や加藤らがゴールを狙ったが、終盤までなかなか得点を奪えず。そして70分にピエロス・ソティリウと越道草太、77分にはマルコス・ジュニオールとエゼキエウという攻撃的なカードを入れてさらに活性化を図り、相手を一方的に押し込む展開が続いていた中で88分にようやくサンフレッチェがゴールをこじ開ける。左サイドにポジションを移していた満田が中央へ切り込むと、エゼキエウとのワンツーパスを受けて右足を振り抜いたシュートが相手DFに当たって同点。試合を通して奮闘していた背番号11の意地のゴールで追い付いて見せた。その後も最後まで互いにゴールを目指したが、決勝点は生まれず1-1のドロー決着。中3日や2日のゲームが続いた広島のハードな6月の9連戦は、6勝2分1敗で終えることになった。

監督 試合後コメント

「今日はお互いにポイントをプレゼントし合わない、素晴らしい試合だったと思います。お互いに大きなチャンスがありましたが、どちらも(シュートが)DFに当たってゴールする結果となりました。今月は(川村)拓夢と(野津田)ガクを移籍で失い、中盤の底でもう少し安定感を持つために何をしないといけないか考えていましたが、今まであまり起こらなかった中盤の真ん中でのボールロストが今日は非常に目立ちました。ただ、これからはそこをより改善して、強くしていきたいと思っています。また、今日の(中島)洋太朗のパフォーマンスに関しては非常に満足しています。今日が本当のデビューと言えるのではないかと思います。45分間出場しましたし、彼がJ1でやっていけるだけの実力があることを示せた良い試合だったと思います。今日は終盤に得点が入って1-1で終えたことに関しては満足しています」

──今日は中盤でのボールロストが目立ちましたが、連戦での疲労の影響もあったと思います。
「身体的な疲労に関しては特になかったと考えています。終盤までパワーを持って走ることができていました。今回の中盤でのボールロストが多かった原因は疲労ではなく、もう少しゲームを読めれば良かったと思っています。次の試合ぐらいには(荒木)隼人が戻ってきそうなので、そうなった時には塩谷(司)が前に出られる。その時には違うサッカーができると思います」

──前半27分ぐらいに左サイド・満田誠選手とボランチ・東俊希選手のポジションを変えるように指示を出していました。どういう狙いを持って変えたたのでしょうか?
「ボールロストを減らすために、(満田)マコを真ん中にして、俊希を左にしました。マコのほうがいつでもボールを受けられるところに動けますし、クリエイティブなプレーもたくさんできることから、真ん中にしました」

──今日は中島洋太朗選手を45分プレーさせました。0-1の状況でボランチで出場させましたが、メリットとデメリットも考えられたと思います。その狙いについて。
「彼自身のパフォーマンスは分かっていたところがあります。出場させた理由としては、真ん中のところでもっと確実に良いプレーをしたかったからです。彼の才能、センスが必要だと感じて、真ん中に起用しました。これからも今日見せたようなプレーが出せると思いますし、サンフレッチェの未来に繋がる選手だと思っています」

──満田誠選手は前節に続いて今節も左サイドで起用しました。その後はボランチ、シャドー、そして左サイドとポジションを変えましたが、左でプレーさせている狙いは?
「GKにするには小さ過ぎますね(笑)。ただ、彼のアグレッシブさやズル賢さは(GK以外の)どのポジションでも通用すると思っています。我々はここ2年半、選手交代の時に同じポジションをそのまま変えるというよりも、ポジションチェンジをしながら戦ってきました。そうすることによって、相手を混乱させたり、新しい形で攻めることができると思っています」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い川崎でのゲームとなりましたが、約2,200名もの方にお越しいただきました。皆様の力強い後押しが、終盤の同点ゴールに繋がりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました!

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