8.11 18:30

明治安田J1 第26節 vs. セレッソ大阪
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試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
0
セレッソ大阪 C大阪
0
前半
0
2
後半
0

試合の見どころ

 着々と上位追撃態勢は整っている。1-0で勝利した前節・東京V戦では、7月下旬に加入したばかりのトルガイ・アルスランがJ1初先発を果たして上々のパフォーマンスを披露。ボランチの位置から高い技術を生かしたパスワークで攻撃のリズムを作っただけでなく、積極的にゴール前へ進出してチャンスを生み出すなど、今後への期待を十分に抱かせるプレーぶりだった。さらに今節に向けては、川辺駿のJリーグの登録が完了。先発かサブかは当日のお楽しみとなるが、JトップクラスのMFである背番号66の存在がチームをもうワンランクアップさせてくれるのは間違いない。前節ドローに終わった首位・町田との勝点差は『7』。戦力が整いつつある4位・広島にとっては十分に射程内だ。
 昨年4月以来のリーグ4連勝を狙う今節、一筋縄ではいかない相手との戦いとなる。ホームに迎える相手は、6位につけるC大阪。直近のリーグ4試合こそ勝星に恵まれていない(3分1敗)とはいえ、確かな選手層と高い組織力を備える実力のあるチームに変化はない。
 前節も町田相手にスコアレスドローに終わったのがC大阪だ。内容としては、お互いにチャンスを作り出し、どちらが勝ってもおかしくない拮抗した戦いを披露。C大阪については、やはり後方から細かくパスを繋いでいくビルドアップを大切にしながら、前線ではセンターFWのレオ・セアラを中心に両サイドのルーカス・フェルナンデス、為田大貴らが鋭い攻撃を仕掛けてくる。中盤の奥埜博亮、柴山昌也らも高い技術を生かしてアクセントになるなど、組織と個が融合された攻撃は相変わらず脅威だ。守備面でも町田の力強い攻撃に対して粘り強く守り抜いて無失点。攻守において、C大阪のレベルは高水準である。
 5月下旬に戦った前回対戦は1-1のドロー。広島としてはC大阪に2022年から公式戦で一度も負けていない(5勝2分)相性の良さがあるとは言え、内容ではいつも最後までもつれる接戦となっている印象が強い。互いに隙のない戦いも武器とあって、今節も1点を争う拮抗した展開となるだろう。そのなかでサンフレッチェはC大阪に負けない組織と粘り強さを90分間発揮してゴールを守り、攻撃では流れからだろうとセットプレーだろうと、一瞬の隙を逃さない集中力でゴールを仕留めたいところ。ここでC大阪を倒せば、紫軍団の勢い、実力は本物だ。

監督 試合前日コメント

──C大阪戦から出場可能となる川辺駿選手のコンディションについて。
「欧州は(シーズン)が始まる次期ですから、ちょうどスタンダール・リエージュで十分なプレシーズンを過ごしてきています。日本ではシーズン終盤に差し掛かろうとしているところですが、(川辺の)コンディションの部分では90分できるぐらいだと思っています」

──コンディションが上がるまで、あと1~2週間はかかりそうだと言っていたトルガイ・アルスラン選手について。
「オーストラリアで(体を作ったのは)2~3週間だったので、まだだと思いますが、彼自身、プロフェッショナルな選手ですので、自分のなかで一番早いタイミングですぐ良いコンディションに持っていけると思っています。もちろんコンディションは大事ではあるのですが、それよりももっとチームにフィットすること。彼のアイディアやクリエイティブさをもっとすり合わせることが大事だと思っています。その部分ではプレシーズンマッチや前節・東京V戦を経て良くなっています」

──C大阪とはいつも厳しい戦いになっています。
「C大阪のシーズンスタートはすごく良かったと思いますが、今は当時の勢いは少しなくなっています。一番良い状態かと言えば、そうではないと感じています。ただ、彼らの個々の能力は高いです。センターFWは強く、ウイングが速いといった部分は、衰えません。そういうところは気を付けないといけないと思っています」

──特にレオ・セアラ選手は警戒です。
「もちろん素晴らしいクオリティーを持っているので気を付けないといけませんが、他の選手もしっかりとしたクオリティーがあります。また、前回対戦ではセットプレーでやられているので、そこも含めて全部気を付けないといけません。ただ、我々のディフェンス陣もクオリティーはあります」

──勝てば4連勝となりますが、C大阪との上位対決に向けて。
「どの試合も大事ですし、どの試合も勝ちに行っています。自分たちの力を100%出せた時にはじめて勝利が近付いてくると思っています。そこに向けてやっていきたいです」

ゲームレポート

 サンフレッチェの新助っ人が躍動するゲームとなった。
 広島の試合の入りは良かった。復帰初戦となった川辺駿がボランチで先発出場すると、サンフレッチェは立ち上がりから相手の背後を狙って攻撃を仕掛け、ボールを奪われても持ち味のプレッシングでC大阪に自由を許さず。相手を敵陣へ押し込んだ攻撃で新井直人や加藤陸次樹が次々とチャンスを迎えた他、28分にはショートカウンターから松本泰志、中野就斗が立て続けにシュートを放って相手を脅かすなど、前半途中まで試合の主導権を広島が掌握した。終盤になると暑さの影響からか運動量が落ちてC大阪に押し込まれる時間も増えたが、前半から相手より3本多い6本のシュートを打つなど、広島は悪くない内容でハーフタイムを迎えた。
「もう少し押し出して、高い位置でサッカーをしよう!」
 前半の終盤に相手にボールを握られる時間が増えたとあって、ミヒャエル・スキッベ監督がそう指示を出した後半、指揮官は早々に動いた。腰に違和感のあったボランチ・塩谷司を下げて、ドウグラス・ヴィエイラを投入。1トップに189cmのストライカーを据えて、高さを加えながら先制点を目指した。
 後半は互いに持ち味を出し合う拮抗した展開となった。C大阪は前半以上に武器である巧みなパスワークでポゼッション率を高めて広島ゴールに迫ってきた中、紫軍団は負けじと前線からのハイプレスで応戦。55分に満田誠が敵陣でのプレッシングからボールを奪って加藤が決定機を迎えれば、61分には右サイド・新井の正確なクロスからドウグラスが頭で決定的なシュートを放つ。さらに69分にも加藤が見事なシュートでゴールを狙ったが、相手GKのファインセーブにあって得点は決まらず。あと一歩まで攻め込みながら得点を奪えない難しい戦いの中、紫軍団を救ったのは7月に加入したトルガイ・アルスランだった。右サイドからの攻撃で越道草太が中央へパスを送り込むと、松本泰のスルーから井上愛簾が中央で粘り、こぼれたボールにアルスランが左足で詰めて先制。さらにトルガイは止まらなかった。85分、右サイドで井上が抜け出すと、ゴール前でパスを受けた背番号30は相手DFを冷静にかわして追加点。63分に川辺に代わって入った男のあっという間の2得点でC大阪を突き放した。
 その後は危なげない戦いで2点のリードでゲームを締めたサンフレッチェが2-0で勝利。昨年4月以来の4連勝を達成し、順位を4位から3位へと上げた。

監督 試合後コメント

「緊迫感のあるJリーグの中でも良い試合だったと思います。C大阪と対戦する時はホームであろうとアウェイであろうと本当に緊迫した差のない試合になります。最終的に自分たちのほうが明確なチャンスを多く作れたと思いますし、その中で2点を取って勝つことができました。今日のチームのパフォーマンスに関しては非常に満足しています。全体がコンパクトに守ることができましたし、攻撃も満足できる出来でした。特に後半の出来は素晴らしかったと思います」

──交代策について、ハーフタイムに塩谷司選手を下げてドウグラス・ヴィエイラ選手を入れましたが、塩谷選手のコンディションの問題でしょうか?また、ドウグラス選手が後半途中に交代した理由は?
「ドウグラスは途中で足が張ってきているということで、これ以上やるとリスクがあるとのことでした。これ以上、オフェンスの選手が減ると今後苦しくなるので、早めに決断して(井上)愛簾を入れました。シオ(塩谷)については、腰に不安があった中、後半もいける状況でしたが、オフェンスの部分で選手を多く代えていこうと考えていたので、ハーフタイムに一つカードを切りました。二人とも大事に至る前にやめているので、次の試合に関しては問題ないと思います」

──後半途中までプレーした川辺駿選手の今日のプレーについて。
「パフォーマンスには満足しています。ただ、もう少し時間が必要です。彼自身、プレシーズンをベルギーでやってきましたが、最後の3週間ぐらいはゲームから遠ざかっていました。そういう状況の中で(今回の)公式戦に出場しました。そこはトルガイ(・アルスラン)も同じような形です。二人に関しては、もう少し時間がかかる部分はあると思っています」

──今日のトルガイ・アルスラン選手は途中出場でシャドーで起用しました。その狙いは当たったと思います。
「まず彼はそのポジションでプレーができるということ。トルガイも駿にも言えることですが、彼ら二人は安定した守備がありながらも前にパスが出せる。さらに点を取ることもできる。そういう選手が二人入りました。ポジションを(ボランチから)前に移すことは今後も考えられます。もっと機能していけば、もっと良い形になると思います」

──井上愛簾選手は2得点に絡みました。今日の彼の活躍について。
「今日の彼の活躍は素晴らしかったと思います。今までは短い時間しか出ていなかったのですが、今日はある程度、長い時間、出場できました。その中で2得点に絡んだのは本当に素晴らしかったです。ただ、今日は愛簾だけではなく、3人の若者、コッシー(越道草太)、(中島)洋太朗、愛簾は自分が望むような若者らしい自信を持って、ずる賢く、悪ガキっぽく、本当に良いパフォーマンスを見せてくれました。彼ら3人は本当に良い出来だったと思います」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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