11.10 15:00

明治安田J1 第36節 vs. 浦和レッズ
AWAY埼玉スタジアム2002

試合終了

浦和レッズ 浦和
3
0
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半45分
    松尾佑介
  • 後半11分
    ブライアンリンセン
  • 後半41分
    原口元気
1
前半
0
2
後半
0

試合の見どころ

 まさに総力戦で挑む一戦だ。今節の相手である浦和はこの試合に向けて1週間半の期間が空いたのに対し、広島はグループステージ突破を決めたACL2のアウェイ・シドニーFC戦から中2日。国内移動ではなく、オーストラリアからの約10時間のフライトを経て日本に戻ってきたハードな日程のなかで今回のゲームをいかに乗り越えていくか。まさにチーム全員の力で戦うことになる。
 相手もまた難敵だ。ここまで11勝10分13敗の14位と、J屈指の“ビッグクラブ”である浦和が今季は苦しんでいるが、最近では“新監督”のスタイルが少しずつ出始めてきた。今季から就任しながら、8月下旬に契約解除となったペア・マティアス・ヘグモ監督の後任についたのは、昨季の浦和を率いたマチェイ・スコルジャ監督。2023シーズンのJ1でリーグ最少失点の“堅守”を築いた指揮官らしく、9月から再び指揮を執る浦和でも堅い守備組織を構築中だ。就任初戦のG大阪戦で1-0で勝利した後は4連敗と勝てない時期を過ごしながらも、直近の2試合は連続完封で1勝1分。スコルジャ監督特有の低い位置でブロックを築く堅い守りはどのクラブでも攻略するのは難しく、前節も強力・横浜FM攻撃陣をゼロに抑えて引き分けた。ただし、浦和は決して守備だけのチームでもなく、前線に目を向ければ特長を持った多彩なタレントを擁す。ブライアン・リンセンやチアゴ・サンタナ、松尾佑介、関根貴大、渡邊凌磨、そして今夏に日本に戻ってきた元日本代表の原口元気など、一発のある選手ばかりである。
 広島としては、そんなタレントを確実に封じつつ、いかに“堅守”をこじ開けるかだ。前節・京都戦は今季初の完封負けとなってしまったが、内容は決して悲観するものではなく、持ち味のアグレッシブなサッカーでチャンスは作り出せていた。今節はJリーグ随一の熱いサポーターがいる『埼玉スタジアム2002』での戦いとあって雰囲気も含めて難しいゲームとなるが、「どこが相手でもスタイルを変えるつもりはない」(ミヒャエル・スキッベ監督)と紫軍団は今までどおり攻撃姿勢を貫くのみである。
 前節の敗戦で広島は2位に後退。勝点2差で追う首位・神戸を再び追い抜くためにも、とにかく目の前の相手に勝つしかない。難局だからこそ、勝てた時に得られる自信や勢いは最終盤に向けても大きい。サンフレッチェのすべての力を結集して、浦和を倒しに行く。

監督 試合前日コメント

──シドニーからの長旅はいかがだったでしょうか?
「フライト自体は問題なく、良かったです。疲れて帰ってきたので、(昨晩は)よく眠れました(笑)。浦和戦は代表ウィークが始まる前の最後の試合ですので、どれだけ走れるか、強く戦えるか、見せていきたいと思います。明日の浦和戦は良い雰囲気でサッカーができるので、いつもどおり選手にはやってほしいと思います。明日はたくさん広島のファン・サポーターも来てくれると思うので、そういう人たちのためにも良いサッカーをやりたいです」

──マチェイ・スコルジャ監督のコメントを見ると、「広島はこのリーグで一番厳しい相手。だからこそ、勝利したい」と言っています。
「こちらから言えるのは、どの相手も難しいです。スコルジャ監督と同じように考えています。難しい試合の一つだと思っていますし、そういう相手にこそ勝ちたいです」

──浦和は明日の広島戦に勝てば残留が決まります。今季は苦しい戦いが続いていますが、浦和をどう見ていますか?
「浦和とは今季開幕戦で戦いましたが、あの試合も良い試合でしたし、彼らの実力も今とは変わらず強い相手だと思っています。今の順位にいるような相手ではないことは間違いないです」

──浦和の警戒する選手はいますか?
「全員です。『この選手に気を付けよう』と言っていても、他の選手が2~3点取るのはよくあることです。誰もが危険だと思って戦うべきだと思っています。どのチームも強さがありますし、それと同時にどのチームも弱点がある。それは対戦相手だけでなく、我々もそうです。それぐらいJリーグは均衡しています」

ゲームレポート

 決定力の差が明暗を分けることになった。
 前半から広島は攻めに攻めた。自陣に引いて堅い守備ブロックを築く浦和に対し、両ワイドを使ったサイド攻撃に加え、1トップ・加藤陸次樹や2シャドーの松本泰志&トルガイ・アルスランの背後への飛び出しなどで果敢に相手ゴールへ肉薄。開始2分の中野就斗の決定機を皮切りに、前半だけで7本のCKを獲得して攻め立てた他、ゴール前の直接FKでも新井直人や川辺駿らが得点を狙いに行った。広島が浦和を押し込み続けるほぼハーフコートゲームの様相で推移するなか、44分までに与えたピンチと言えば42分の一つのみ。前半だけで14本のシュートを放った紫軍団だが、やはりそこで決め切れなければ戦いは苦しくなる。広島が主導権を握って前半を終えるかと思われた45分、渡邊凌磨の縦パスを受けた松尾佑介に抜け出されると、コントロールショットを沈められて失点。好内容とは一転、リードを許して前半を終えた。
「まだまだここから何でもできる。オレたちのほうが良いサッカーをしているぞ。最後は丁寧にシュートを打とう!」
 ハーフタイム、選手たちにもう一度、奮起を求めたミヒャエル・スキッベ監督。だが、後半は苦しい立ち上がりとなった。開始早々に2本のピンチを守護神・大迫敬介のビッグセーブでしのいだ広島だったが、56分、またもチャンスをモノにされた。右サイドから松尾に切り込まれると、シュート性のクロスをブライアン・リンセンに頭で決められて0-2。手痛いリードを許してしまった。
 そうなると、スキッベ監督は動いた。52分、新井を下げて187cmの長身ストライカーであるゴンサロ・パシエンシアを入れて前線に高さを加えると、66分には東俊希と松本泰志に代えて柏好文と満田誠のアタッカーを投入。攻撃陣のメンバー変更で逆襲を図った。
 そこからも攻撃の圧力を強めて相手ゴールへ迫り続けた広島だったが、2試合連続無失点中の浦和守備陣も集中が途切れることはなかった。前半同様、両サイドを使いながら得点を目指したものの、ゴールを奪うことができずにいると、86分にはカウンターから3点目を決められて勝負あり。3連敗を喫した2位・広島は、この日引き分けに終わった首位・神戸との勝点差を『3』に広げられてしまった。

監督 試合後コメント

「まずは浦和の勝利おめでとうございます。今日の前半に関しては、ファンタスティックなゲームをしたと思っています。たくさんチャンスを作ることができていましたが、ここ数試合と同じようにそれをゴールに繋げることができませんでした。前半の終わりに1失点し、そこから後半の立ち上がりは立ち直るのに少し時間がかかってしまいました。浦和はその間に2点目を取って、点差を広げられてしまいました。残りの30分は自分たちもまた攻撃的に出て、チャンスを作るところまではできていたと思います。今日の試合は全体的に見ても、攻撃的なサッカーはできていました。(加藤)陸次樹がGKと1対1になるシーンがたくさんあるなど、そういった試合でした。自分たちの見せたパフォーマンスは非常に満足していますし、走ること、戦うことは十分に見られたと思っています。ただ、やはり結果には満足できないです」

──後半の立ち上がりに浦和が勢いを持ってきたところに飲まれてしまった印象です。立ち上がりは何がうまくいかなかったのでしょうか?
「1失点目の動揺が後半の頭に切り替えられなかったと思います。自分たちも良くなかった部分はありましたが、後半の頭の時間帯は浦和が素晴らしかったです」

──素晴らしかった前半に得点できなかったことが大きかったと思います。チャンスを決める部分をどう考えていますか?
「大橋祐紀がいなくなったのが一番大きいと思います。彼自身、シーズン半分しかいませんでしたが、15点取るようなストライカーでした。その穴がいまだに埋めきれていないと考えています」

──リーグ終盤に3連敗となりましたが、今のチームにどういうことが起こっているのでしょうか? ACL2の見えない疲労などもあるのでしょうか?
「疲労というよりは、このJリーグ自体が、上から下まで、どの順位にいるチームも均衡した実力を持っているがための結果になっていると思っています」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い浦和でのゲームとなりましたが、約4,000名もの方にお越しいただきました。勝利をお届けできず、大変悔しく思っています。最後まで熱い後押し、ありがとうございました。

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