12.8 14:00

明治安田J1 第38節 vs. ガンバ大阪
AWAYパナソニック スタジアム 吹田

試合終了

ガンバ大阪 G大阪
3
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半13分
    坂本一彩
  • 後半36分
    中谷進之介
  • 後半44分
    坂本一彩
1
前半
0
2
後半
1

試合の見どころ

 まさに“運命の最終節”である。前節・札幌戦を5-1で制した2位・広島は、首位・神戸と勝点差1へ肉薄。さらに3位・町田との勝点差もわずか『2』と、優勝の行方は3チームに絞られた。広島の優勝の条件としては、神戸、町田の結果次第で引き分けでも可能性があるが、より“奇跡”の確率を高めるためには勝利あるのみ。そうすれば、神戸が引き分け以下に終わると、広島の9年ぶりのJ1制覇が決まる。「自分たちが結果を出さなかったら何も始まらない。俺も全然諦めてない」(佐々木翔)。当然ながらまずはG大阪撃破に注力だ。
 もちろん、今節の相手も強敵だ。夏場から秋にかけて9試合連続勝利なし(6分3敗)と一時は停滞したG大阪だが、現在は3連勝中であり、直近の5試合は4勝1分と巻き返してきた。順位は広島と勝点差5の4位。天皇杯では準優勝に終わったとはいえ、ファイナルまで進んだ地力のあるチームだ。
 選手の質も十分だ。エース・宇佐美貴史が負傷離脱中だが、前線には21歳の坂本一彩が台頭。身長は173cmとFWとしては小柄なものの、俊敏性があって技術が高く、キープ力もある。彼が先発に復帰した直近の5試合からチームが調子を上げてきたことを考えると、今のG大阪のキーマンと言える。また、他にもウェルトンと山下諒也の強力ワイドアタッカーや前線で起点となる山田康太、大型ストライカーのイッサム・ジェバリ、推進力のあるファン・アラーノなど、タレントは多士済々。そんな選手たちを束ねる就任2年目を迎えたダニエル・ポヤトス監督のポゼッションサッカーが今季はより浸透しており、組織的な堅い守備力を含めて、G大阪はかなりの難敵である。
 では、広島はそんな相手をいかに上回っていくか。前々節まで“得点力不足”を露呈して3連敗と苦しんでいたが、前節はそれまでのうっ憤を晴らす5得点。勢いに乗った時の紫軍団はやはり強く、先手必勝でアグレッシブに畳みかけていく本来の姿が戻った印象だ。また、今季で引退する青山敏弘、退団が決まった柏好文の札幌戦後のスピーチやACL2・東方戦の青山のゴールなどでチームはさらに団結しており、雰囲気も最高である。クラブ史上、最多観客数を更新した新スタジアム元年。最後は敵地での一戦となるが、「広島の人たちみんなで作り上げた1年だと思う。だからこそ、優勝で締めたい」(佐々木)。まさにサンフレッチェ広島に関わる全員の集大成として臨む2024年の最終決戦だ。

監督 試合前日コメント

──G大阪には今年勝っていませんが、とにかく最後は広島のサッカーをやるということでしょうか。
「そのとおりだと思います。ただ、G大阪も昨年に比べると素晴らしいチームに成長していますし、G大阪にとっても非常に大事な試合です。面白い試合になるのではないでしょうか。順位が上のチームだけでなく、Jリーグ全体で見ても上も下も最終節までもつれた良い最終節になると思います」

──神戸のゲームも同時刻であります。
「まずは自分たちの戦いに集中することが大事だと思っています。自分たちがどういうサッカーをして、どういう結果を得られるかです。自分たちがどれだけ良いサッカーをやって、どれだけ良い結果で終えられるかが神戸にもプレッシャーになると思います」

──あらためて、G大阪の印象は?
「今シーズン、素晴らしく成長したチームだと思っています。ビルドアップに優れていますし、ワイドにスピードのある選手がいます。セットプレーもあります。本当に良いチームだと思っています」

──先に点を取って、試合を優位に進めることで神戸にプレッシャーになりそうです。
「ただただ良いサッカーをやれば、それでいいです。自分たちの良いサッカーをやることだけです」

ゲームレポート

 9年ぶりのJ1制覇まで、あと一歩が足りなかった。
 最終節を前に首位・神戸と勝点差1。他力が必要ながらも優勝の可能性を残して大阪に乗り込んだ2位・広島は、序盤から勝利を目指してアグレッシブな姿勢を見せたが、いきなり出鼻をくじかれてしまった。開始から13分、G大阪のCKの流れから最後は坂本一彩に詰められて失点。早くも追いかける展開となってしまった。
 痛いビハインドとなってしまったが、紫軍団の攻撃的な姿勢は変わらなかった。G大阪の快速サイドアタッカーであるウェルトンらのカウンターの脅威にさらされながらも粘り強く対応すると、13分、右サイド深くで加藤陸次樹が相手DFをかわして惜しいシュートを打てば、19分、20分と相手のミスを逃さずトルガイ・アルスランが立て続けにゴールを襲う。さらに前半だけで6本のCKを獲得して佐々木翔が2本の決定打を放つなど、サンフレッチェが押し込んでハーフタイムを迎えた。
「全体的に良いゲームができている。後半は簡単に速くボールを動かして攻撃しよう!」
 ミヒャエル・スキッベ監督からそう指示を受けて臨んだ後半、広島は前半同様に敵陣で攻め立てた。左右のサイドを使いながらクロスを送り込むだけでなく、中央ではトルガイらの個人技も使って相手ゴールへ迫る。さらに60分には、ピエロス・ソティリウと川辺駿を下げ、ゴンサロ・パシエンシアと中島洋太朗を入れて変化を加えるなど、何とか1点をもぎ取ろうと広島はパワーを落とさず戦い抜いた。
 だが、71分の加藤のゴールがVARで取り消されるなど、何度も訪れたチャンスをなかなかモノにできずにいると、81分、89分と立て続けにG大阪に得点を許して勝負あり。後半アディショナルタイムに加藤が1点を返したものの、1-3で敗れた広島の優勝はならず。最終節を勝利で飾って2連覇を達成した神戸と勝点差4の2位で2024シーズンを終えることになった。

監督 試合後コメント

「まずは今日の相手であるガンバ大阪、勝利おめでとうございます。それからヴィッセル神戸、J1優勝おめでとうございます。そして自分たちのチーム、リスペクトを持って『おめでとう』という言葉を贈りたいと思います。厳しいシーズンでしたが、昨季よりも成績は良かったですし、良いシーズンを送れて、良いサッカーを見せられたと思います。今日の試合に関して言えば、ここ数試合と同じような形でした。自分たちは主導権を握り、良いサッカーをしていながらシュートが入らない。VARに嫌われてしまう。均衡した試合でありながら、敗者になってしまう、今日もそういう流れだったと思います」

──今季は2位となり、ACLエリートに加えてFUJIFILM SUPER CUPの出場権を獲得しました。悪くはない成績だと思いますが、どう考えていますか?
「出場権を取ることは目指していた部分でもあるので、嬉しく思います。また、この休みの間にチームをもう少し整理して、誰が出ても戦える状況にしないといけないと思っています。自分たちの場合、レギュラーが二人、三人と欠けてしまったら、まったく別のチームになってしまう部分があります。そこは改善していかないといけません。来季はたくさんの大会に参加することになります。Jリーグ、そしてACL2を戦い、その間にルヴァンカップがあり、天皇杯もあります。さらに秋以降にはACLエリートが入ってくるシーズンになるので、誰が出ても実力が落ちないチームを作りたいと思っています」

──得点した加藤陸次樹選手と今季限りでサンフレッチェのユニフォームを脱ぐ柏好文選手、そして終盤に出場機会も多かった中島洋太朗選手の未来について。
「陸次樹については非常に満足しています。一番前だったり、その下だったり、いろんなポジションで彼の良さをいつも出していました。最後の5~7試合は彼が一番、危険な選手だったと思います。カシについては、彼の良さが出たアシストだったと思います。切り返して、良いクロスを上げてくれました。チャンスを作るところまではいけました。彼自身もすごく良いチャンスを作っていましたが、本人が点を取るところは頑張っていましたが、できませんでした。洋太朗はこれから自分たちのチームの顔になっていく。少しずつですが、なっていっている感覚はあります。彼のインテリジェンスは自分たちのサッカーにとって、良いことだと思っています」

──優勝するために足りなかったと思う部分を教えてください。
「最後の5~6試合は自分たちの良いサッカーを発揮できなかった部分はありました。大きなチャンスをたくさん作った。ただ、それに対する得点は少なかったです」

──佐々木翔キャプテンが最後は号泣していました。また、最後の円陣で語ったことについて教えてください。
「目標としていたものが目の前にあり、それが最後届かなかった。それに対する残念な気持ちは十分に理解できますし、自分も同じ気持ちです。そこを冷静に見てみれば、その前の終盤の試合が良くなかったと思っています。最後の円陣では、今季の総括をしました。『今季のパフォーマンスには非常に満足している。Jリーグの中でも攻撃的で魅力的なサッカーを常に展開できた。そういうところは示すことができた。ここから一度、休みに入るけど、その後にもう一回強い広島を見せてやろう』と話しました」

──今季は序盤戦や終盤戦に苦戦しましたが、中盤戦では連勝を重ねました。成績にムラのあるシーズンだったと思いますが、来季に向けて、その改善点は?
「まず最初の夏前のところでうまくいかなかったのは、移籍で海外に行った選手がいました。(川村)拓夢、大橋(祐紀)、(野津田)ガクがいなくなってしまった部分を補えていませんでした。また、移籍期間の問題で、獲得できる選手はその後の1~2カ月後になってしまい、いなくなった穴埋めをできなかったのが大きかったと思います。来季の改善しないといけない部分は、チャンスの数に対してゴールの数が少ない。あれだけ多くのチャンスがありながら、シュートを打ちながら、ゴールの割合が少ないところが挙げられます。そこは改善点だと思っています」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は大阪でのゲームとなりましたが、約3,200名もの方にお越しいただきました。優勝の喜びを分かち合えず、大変悔しく思っています。最後まで力強い後押し、ありがとうございました。

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