7.5 18:55

明治安田J1 第23節 vs. ファジアーノ岡山
AWAYJFE晴れの国スタジアム

試合終了

ファジアーノ岡山 岡山
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1

試合の見どころ

 広島の反骨心が問われる戦いだ。王者に挑んだ前節・神戸戦、1点を求め合う拮抗した戦いの中で0-1の敗戦。チャンスを作り出しながらも決め切れず、反対に相手には確実に仕留められて敗れる「今季を象徴する試合」(ミヒャエル・スキッベ監督)となってしまった。これでチームは2連敗。3位・神戸との勝点差は『4』に開いてしまった5位・広島だが、幸いにも首位・鹿島が足踏みしていることでトップとは5差とまだまだ挽回は可能な数字だ。ただし、今節は1週間の準備期間があった岡山に対し、サンフレッチェは中2日。連敗による精神的なダメージに加え、コンディション面で大きな差があるなかでいかに相手を上回るか。一つの正念場である。
 今季のJ1で一番のサプライズと言えば、この岡山の躍進だろう。初のJ1参戦となった今季だが、ここまでの順位は、8勝6分8敗の10位。広島のホームで戦った4月の前回対戦では0-1で敗れたとおり、全員が献身的に働く堅い守備からのカウンターはJ1でも十分に通用している。さらに191cmの大型ストライカー・ルカオや経験豊富なアタッカー・江坂任、日本代表にも選出された鋭い突破が武器の佐藤龍之介など、個で違いを生みさせる選手がいるのも岡山の強みである。特に前節は、岡山らしい勝利だった。難解な鹿島のホームに乗り込んだ岡山だったが、先制されながらも後半に2点を奪って逆転勝ち。ルカオの突破からのクロスを江坂がボレーで合わせて決めれば、決勝弾は神谷優太の見事なミドルシュート。鹿島に攻め込まれながらも組織的な守備で粘り強く対応し、攻撃では少ない好機をモノにする岡山の強さが光った。今回の“中国ダービー”も1点が勝敗を左右する展開になる可能性は十分。激戦は覚悟しなければならない。
 サンフレッチェとしては、やはりアグレッシブなスタイルを継続することだ。「逆のサッカーをやっていた」とスキッベ監督が苦言を呈した前々節・名古屋戦から一転、前節・神戸戦は序盤から前に前に突き進む紫軍団の姿があった。決定力の差で敗れたとはいえ、内容は紙一重。得点を決めるか、決められないかの重みは、今の選手たちが一番理解している。だからこそ、まずは自分たちのスタイルを貫いて主導権を握り、チャンスを作り続けること。その後は誰が取ってもいい。勝利のゴールを待ちたいところだ。

監督 試合前日コメント

──日本代表に5人選出されました。
「たくさん入ったことはすごく嬉しいですね。そのなかでも我々のユース育ちの選手もいれば、大学から獲得した選手もいます。多く入ったということは(育成が)認められているということになりますね」

──広島からそれだけ日本代表に選ばれるということは、チーム内ではレベルの高い競争をしていることになります。
「欧州組がいない部分もありますが、広島でレギュラーになるということはレベルが高い証明になると思います。ただ、同時に日本人のレベルは均衡していて、どのチームにも良い選手がたくさんいて、どのチームも高い競争があると思っています」

──岡山にはホームの前回対戦で敗れています。対戦後の岡山の印象は?
「今年J1に上がってきて、素晴らしいパフォーマンスを見せていると思っています。ディフェンスは強固で、そこから速くてクリエイティブな攻撃ができる。攻撃の部分も気を付けないといけないですし、セットプレーも気を付けないといけない」

ゲームレポート

 岡山の地で開催された今季2度目となる“中国ダービー”は、ハードな激戦となった。
 序盤から主導権を握っていたのは広島だった。相手を押し込んでいくアグレッシブな広島のスタイルを最初から発揮し、敵陣でサッカーを展開。開始8分の中野就斗の強烈なシュートを皮切りに岡山へ襲い掛かってゴールを狙って行く。持ち味のサイド攻撃やCKやFKを何本も獲得して攻め立てるなど、前半途中まで得点の匂いは広島に漂っていた。だが、その時間帯にゴールを奪えなければ、やはり戦いは苦しくなる。35分過ぎからは岡山の武器であるカウンターを受けるようになり、ピンチが続出。鋭い攻撃から江坂任やルカオに決定機を迎えられたが、どちらもシュートミスに助けられて前半を0-0で終えた。
「セカンドボールをしっかり拾うこと。シュートはしっかり枠に飛ばそう」。ハーフタイム、選手へそう指示を送ったミヒャエル・スキッベ監督は、膠着した展開を動かそうと早くも動いた。後半の頭からヴァレール・ジェルマンと中島洋太朗を下げ、木下康介とケガから復帰したばかりの田中聡を同時投入。前線に木下の高さを加え、中盤には田中聡のパワーを注入した。
 後半も序盤の主導権は広島が掴んだ。アグレッシブに相手陣地へ前進し、中村草太が2度の決定機を迎えた他、木下にもサイドからのクロスでチャンスが訪れる。どれも決め切ることができないなかでも相手を押し込み続け、岡山のカウンターにも粘り強く対応。加藤陸次樹や東俊希、前田直輝など、選手交代も加えながら何とか1点を目指したサンフレッチェの執念が実ったのは後半アディショナルタイムだった。前田の右CKから木下が頭で折り返すと、中村が決めて決勝点。最後の最後で勝ち越した広島が“中国ダービー”でリーグ戦の連敗を『2』で止めた。

監督 試合後コメント

90分間攻め続けた自分たちのチームのパフォーマンスに非常に満足していますし、勝利に値するゲームだったと思います。岡山にも前半良いカウンターのチャンスありましたし、最後の最後までお互い点の入らない試合展開でしたが、最後に点を取って勝つことができました。
日本の夏の猛暑の中、神戸戦から中2日での試合という厳しい環境でしたが、良いパフォーマンスができたと思います。
岡山も素晴らしいサッカーでしたし、J1リーグで対等に戦えるチームだと思っています。来シーズンもJ1リーグで中国ダービーができると嬉しいです。

──決勝ゴールをあげた中村選手についての評価は。
(中村)草太を森保(一)監督が日本代表に選出してくれたことを嬉しく思っています。様々なポジションでプレーできますし、今シーズンで一番得点とアシストをしている選手です。
(草太と)出会ったのは2024シーズン前の宮崎キャンプの時で、そこで2.3日一緒にトレーニングをして彼のプレーを見て、すぐに獲得してほしいとチームに伝えました。
彼自身が最終的にサンフレッチェを選んでくれたこと、そして獲得に向けてのクラブの努力が素晴らしかったと思います。
彼自身が我々を信じてくれてますし我々も彼を信頼しています。お互いの信頼関係によって彼の素晴らしいパフォーマンスが見れたと思っています。

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は岡山でのゲームとなりましたが、約2,500名もの方にお越しいただきました。皆様の最後まで諦めない強い後押しが劇的な勝利に繋がりました。熱い声援、ありがとうございました。

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