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城福浩監督 シーズン総括会見を行いました!

 本日、広島市内にて、城福浩監督のシーズン総括会見を行いました。

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城福浩監督 シーズン総括会見



Q)新型コロナウイルスの影響を大きく受けるシーズンとなりましたが、監督にとってはどのようなシーズンでしたか?
「広島だけでなく、世界中がコロナの影響を大きく受けたなかで、地域の皆さまにとっても難しさがあったと思います。我々にとっても、自宅での自粛期間から全体のグループトレーニングに移行していくのは、初めての経験です。独身の選手もいれば、家庭がある選手、まだ家族が来日できず、単身で過ごしているブラジル人選手など、各々、生活環境の違う選手たちがいます。そのなかでコロナにかからないように注意を払い、コンディションを上げていかなければいけません。さらに再開したときにはレギュレーションも変わっており、そのすべてが初めての経験で簡単ではありませんでした。ただ、そのときどきでやれることを、スタッフとともに話しながらやってきた自負はあります。後から思うところはいくつかありますが、自分たちがその時点で考えうることについては、選手も含めてしっかりやってきました」

Q)普段とは違うシーズンで、改めて1番難しかったと感じる部分、これを経験できたことがプラスになると感じたのは、どのような部分ですか?
「レギュレーションの部分は、すべてのチームに影響があったと思います。自分たちだけ負の影響があったわけではないのは承知していますが、特にサンフレッチェというクラブでいえば、難しい部分もありました。一昨年でいえばルヴァンカップ、去年でいえばACLで、選手がゲームを経験することで成長し、リーグ戦に絡んでいくというサイクルがあります。J1で実績のある選手を獲得して起用するクラブではないんです。特に春先で成長していきたい、アジャストしていきたい期間がスポイルされ、非常に難しい部分がありました。ルヴァンカップで決勝トーナメントに進めなかったことは自分たちの問題で、反省しなければいけませんが、グループリーグをホーム&アウェイで戦えませんでした。若い選手が自信を得る機会がなくなったことで、例年にないチーム作りをする必要がありました。
 今シーズンはまず無事にプレーし終えることをメインに考えて、5人交代や飲水タイムなどの新たなレギュレーションが加わったことも、難しかった部分の1つです。いわゆるサッカーでいうアクチュアルタイム、実質のプレー時間が極端に少なくなり、相手を乱れさせたり、息が上がっているなかで勝負を仕掛けるという、連続してサッカーをするなかで相手の隙をつく場面が、なかなか作れませんでした。逆にいえば、流れが切れて再開したとき、そこをメリットとして活用しきれなかったとも感じています。
 もう1点、5人交代に自分が慣れるまでに、時間がかかったこともあります。サッカーは11人でプレーしますが、選手層が厚く、試合に出るべき実績をもった選手が多いほど、マンマネージメントにエネルギーを注がなくてはならなくなります。ただ、今年はこれだけの過密日程と5人交代で、ある程度、オートマチックに選手を代えていく状況が自然にできたんです。そこが例年とは大きく違っており、そのレギュレーションの違いを自分がうまく使えていたかと振り返ると、簡単ではありませんでした」

Q)難しいシーズンだったと思いますが、そのなかにあって、飛躍したと感じた選手はいますか?
「少し先ほどの話と重なりますが、通常であればルヴァンカップの真剣勝負のなかで、若い選手や新加入の選手が自信をつけ、チームを底上げしていくというサイクルがあります。しかし、今年は2月のルヴァンカップがリーグ開幕戦の1週間前だったこともあり、どのチームもリーグ開幕戦と同じフルメンバーで戦っていました。我々は両方の開幕戦で勝利し、いよいよ水曜日に(メンバーを変えて)ルヴァンカップで底上げをしようとしていたところで、中断に入ってしまいました。非常にいいサイクルで、新加入選手たちが続いていこうとしたタイミングで、流れを断ち切られてしまったんです。ただそのなかでも、浅野は若い選手で、かつ新加入でしたが、多少は時間がかかったものの、フィットしてくれましたし、他の若い選手もリーグ戦に絡んでくるようになりました。あの3~4ヵ月の中断がなければ、もっとそういった状況が早くきたと思いますが、選手たちは非常によくやってくれました」

Q)森島選手も出場機会が増えた1人ですが、どのように評価していますか?
「森島にとっては、去年が実質、Jリーグに定着したデビューの年でした。森島だけでなく、荒木も大迫も同じことがいえますが、いわゆる2年目の難しさを感じたのではないでしょうか。彼らが出場することが当たり前になれば、対策をされます。強く対策されたなかで、何ができるのか。プレーできることの喜びから、次の段階として勝敗を背負って戦っていく立場になる。彼らはその2年目の難しさに、直面して戦った1年だったと思います」

Q)今シーズンのなかで、手応えを感じた試合を教えてください。
「結果から逆算される話になりますが、どちらかといえば手応えよりも悔しい思い、課題の方が大きいです。
 9月の下旬、大分とのアウェイゲーム以降も、勝ったり負けたりしていますが、あの試合以降は、たとえ負けても引き分けても、自分たちの表現したいことが、アベレージ高く出せるようになったと思います。自陣のペナルティエリアより前と、相手のペナルティエリアよりも手前、そこまではどのチームを相手にしても我々の方が上回れるようになりました。ミドルサードのところは、自信を持っていい状況までチームは成長してきてくれたと思います」

Q)課題として、アタッキングサード、決定力の部分についてはどのように感じていますか。
「自陣のペナルティエリアのところは、よくやっていると思います。相手に与えるチャンスはそれほど多くありません。ただ、失点して負けたり、勝点1になっていることを考えると、大きな改善の余地があります。最後にちょっと息が上がって、エマージェンシーケースになると、守備のラインが深くなってしまうんです。最終節の失点もそうですが、あそこで2~3mラインを上げられるかどうか。90分のなかでどのようにコンパクトさを作っていくかが、守備の残された課題だと思っています。
 そしてもう1つは、アタッキングサードの部分です。決定機、もしくは決定機の1歩前まではいっているともいえますが、サッカーは得点を決めないと、ある意味、攻めていないのと同じになってしまいます。ある程度のエリアまでは再現性のある攻撃ができている。だた、最後のフィニッシュのところは、個人の絶対的な形、相手がいたとしても、この選手のこの形であればネットを揺らせる、というものをもっと作ってあげなければいけません。もっと彼らの力を引き出さなければいけなかったと思っています。もちろんシュート練習もしましたし、いろんなアドバイスはしましたが、選手はみんなが万能ではありません。各々が持つ自分の形を引き出せたかというと、自分のなかで悔いが残ります」

Q)来季、4年目の指揮を執るにあたって、どのようなシーズンにしたいですか。
「今シーズン、最初のミーティングで選手に『タイトルを獲る』という話をしました。それを選手の前で言ったのは初めてです。昨年、スタイルを変えて1年を戦ったなか、メンバーも大きく変わることなく、若手もメンバーに絡むようになり、その積み上げを見せられる年だと思っていましたが、それが今年はかないませんでした。確実にやれた部分と鮮明にやれなかった部分があり、今年の勝点や順位は受け入れなければなりません。この内容でこの結果なのか、という受け入れ難い試合もありますが、両ペナルティーエリアでのクオリティーがあってこその、この順位です。改善するところは明確です。目指すサッカーは変わりませんが、方法論の部分でもっと刺激を与えていきたいと思っています。
 今年、プレシーズンのトレーニングを2回やったのは、選手にとってもきつかったはずです。来年はプレシーズンのやり方を変えると、選手にもミーティングで話をしました。プレシーズンからチャレンジしたいことや、アイディアもあります。それをスタッフ全員で共有し、選手とも話をしながらやっていきたいです」

Q)サポーターに向けて、メッセージをお願いします。
「最終節、名古屋までたくさんの方にいらしていただきました。私はいつも、アウェイでは選手と一緒に挨拶に行きますが、それができず、申し訳なく思います。今年はコロナ禍で、生活が一変するような難しい1年だったにもかかわらず、我々を応援していただき、支えようとしてくださったことに感謝しています。その思いに結果で応えきれなかったことは、本当に申し訳ないです。この応えきれなかった想いをも含めて、2020年にあんな思いをしたことが、2021年にこういうふうに花が開いたと思っていただけるような年にし、サポーターと一緒に喜びたいと思います」

Q)ペレイラ選手が帰国して以降、点が取れず、失点して敗戦を喫してしました。その部分について、もう少し詳しくお聞かせください。
「両ペナルティエリアでの部分について、シーズンが終わる前からアイディアはありましたが、12月の3連戦でそれをやると選手たちを困惑させると思ったので、そこは継続しました。ただ、両ペナルティエリアでの課題は鮮明なんです。FC東京戦の失点、そして昨日の失点も、ラインが深すぎました。ペナルティエリアの最後、1~2mのところでは守りたい意識が強くなり、マークとボールの両方を見たくなります。そうすると、1~2歩下がってしまい、ペナルティエリアでは致命的になってしまう。そこはもっと思い切ってペナのなかをコンパクトにし、相手にひと振りをさせないように、トレーニングやプレシーズンから取り組みたいと思っています。常識を変えるほど極端ではありませんが、選手にとってはそう感じるほど、変えたいと思っています。ミドルサードの部分ではやれているだけにもったいない。相手にチャンスを与えていないのに、1~2回のチャンスでやられてしまうのは、そういう部分です。
 点を取るのは特別な選手だからこそ、サッカー界では点を取る選手の給料が高い傾向にあり、争奪戦にもなります。ただ、点を取る才能もあるけれど、各々の得意な形もある。自分たちがボールを持っていけるのであれば、その各々の形を感じて周りが反応できるように研ぎ澄ましていくこと。そのために果たして前は1枚でいいのか。シャドーは今の距離でいいのか。立ち位置やシステムの部分は、ある程度、アベレージを高くしてサッカーができているからこそ、チャレンジしていいと思っています。
 プレシーズンから多くのゲームやるつもりです。これまでは走りにエネルギーを使っていましたが、それをゲームに使って、いろんなチャレンジをしていきます」

Q)来年に向けて、どのような部分が補強ポイントだとお考えですか。
「点を取ることに長けた選手、多くの形を持っている選手がいるにこしたことはありません。その必要性はクラブとも共有しています。もう1つは、システムをどうするのか。サッカーはシステムがすべてではありませんが、サイドでフットボールをする部分は、Jリーグのなかでも特徴的です。そこでグループで崩すことに加えて、個で相手をはがしていく形を持った選手は必要だと思っています」

Q)選手の声を聴いていると、失点した後に盛り返せなかったというものがありました。メンタリティーの部分で1つ上に行くために、戦術以外で何が必要だと思いますか。
「今年は逆転勝利が1試合もなく、試合を追うごとに、点を取られると勝てないのではないかという空気になっていきました。現場をやっていればそういう流れはあるものだと思っていますが、点を取られても大丈夫と思える時期と、点を取られると落ち着きがなくなる時期が出てきます。その部分では今年、小さな成功体験を重ねられず、自信を得られませんでした。相手も必死なので、先に失点することもありますが、そのときに動じず、我々のやり方を変えずにやっていれば、追いつける、逆転できる、という経験は大事です。メンタルが強くないと映ったかもしれませんが、失点しても、サッカーを変えずに勝点3がとれるという成功体験を積むことができなかった。我々は自信をもってサッカーをすることが大切で、当たり前ですが2失点しなければ勝点とれるという強い気持ちが大切になります」

Q)キャンプから取り組んできた形もありますが、得点パターンについての評価をお願いします。
「ルヴァンカップとリーグの開幕では、2試合とも我々がテーマとして今シーズン掲げている、前線でボールを奪ってカウンターから点をとる形で勝利し、自分たちのやり方に確信を得ることができました。なぜショートカウンターが発動できるのかといえば、自分たちが相手自陣に押し込んでいるからこそ。ボールを運ぶことを地道にやれるチーム、アベレージ高くやれているチームでないと、ショートカウンターで点を取ることはできません。
 ただ、最初の2試合はショートカウンターで得点を取ることができたものの、相手自陣に深く押し込むアベレージが、それほど高かったわけではないんです。実際に、再開した7月から何試合かも、そういう試合になりました。再開初戦で神戸に勝利した後、大分戦でも先制し、自分たちのサッカーがやれなくても勝点3をとれそうなところで、試合終盤に2失点を喫してしまった。サッカーは、あのような1試合でチームの空気が変わってしまうものです。自分たちのサッカーで確信を得ていたけれど、あの試合で少し腰が引けてしまい、やられたくないという想いが強くなってきました。リスクを背負って前からいくのではなく、まず引いたところから始まる。相手を押し込んだところから始まるサイクルにならなくなりました。大分戦では『こういうサッカーをやるんだ』という想いが、あの5分間で難しい空気になってしまった。ただそういった雰囲気になることは、チームとしてある話なんです。それを踏まえて少し踏ん張り直せたのがアウェイの大分戦で、(再び確信を得るために)そこまで時間がかかったともいえます」

Q)マンマネージメントについて、もう少し詳しく教えてください。
「通常でいえばサッカーは11人しかピッチに立てず、18人しかメンバーに入れません。去年までレギュラーだった選手がサブかもしれない、ということが当たり前のようにあります。若手を使えばベテランが出られず、ベテランを使えば中堅や若手が出られない。それでも結果が出ていればうまく回りますが、出ていなければ、途中交代した選手のコメントなどがフォーカスされることもあります。3人交代で、今年のような過密日程でなければ、ある程度、決まったレギュラーのメンバーを、ときにはなだめて、ときには鼓舞して、いい準備をさせていくことがマンマネージメントの1つ。それがうまくいかないことで、チームの結果が変わってしまうことはよくあります。ただ、これだけの過密日程だと、今日の試合は出なくても当たり前という形ができ、メンバーが組みやすくなります。マンマネージメントの苦労がなくなり、出ていない選手のケア、どういう準備をさせていくのかという部分で、オートマチックに起用されていくことも出てきます。それは今までになかった部分で、私がうまく使えていませんでした。実績のある選手が多いチームは、もっとそのマンマネージメントで苦労したかもしれませんが、その部分がなくなり、オートマチックに選手を入れ替える現象が、今年は確実に出ていたと思います」

Q)シャドーにもいろんなタイプの選手が台頭してきましたが、来シーズンに向けてのビジョンを教えてください。
「チャンスメイクをするうえで、このチームはシャドーの役割が非常に多いです。守備のスイッチでも大きな役割を担っています。若手が試合に出場し、攻守においてアグレッシブにプレーすることで、我々らしいアベレージの高いサッカーが具現化できるようになりました。選手層は厚ければ厚いほどいいですし、各々にも特徴があります。それをもっと活かしてあげなければいけません。
 2シャドーがウィングバックの近くでプレーするときと、1トップの近くでプレーするとき、その中間などもありますが、より点を取っていくことを考えると、より1トップに近い場所でストライカーの役割を担うことを求めていきたいと思っています。もしかすると、1トップ2シャドーでなくなるかもしれませんし、そのままかもしれません。いずれにしても、役割としてはより1トップの近くでプレーして力を発揮するような選手を育てていきたいですし、求めていきたい。ただ、チャンス作るとときはウィングバックのフォローもしなければいけませんし、ウィングバックがソロでチャンスを作れる、そういう選手が出てくると、より1トップの近くでプレーできる時間が多くなるかもしれません。このバランスをとっていけると、得点力はもっと上がると思っています。トレーニングのアイディアは自分のなかでもありますが、大きな役割として、よりストライカー色を帯びたなかでプレーしてもらえるといいのではと思っています」

Q)アウェイの大分戦でチームのサッカーが出せるようになったというお話がありますが、そこを来季も継続していく形になるのでしょうか。
「やはり、競争がすべてだと思います。競争のなかで、自分がうかうかしてるとポジションがとられるという部分は、鳥栖戦以降に出てきたと思います。
 もう1つは、自分たちがこういうサッカーを目指すんだというのが明確になった大分戦以降でも、負けているということ。川崎F戦や、G大阪戦もそうでした。ただ、もしかすると、今年のベストゲーム5試合に、川崎F戦やG大阪戦が入ってくるのでは、と思っています。大分戦以降は自分たちのサッカーに確信を持つことができていましたし、それはとても大事なことです。両ペナルティーエリアの質の差で、結果的に勝点0だったかもしれませんが、このチームは何を積み上げていかなければいけないのかを持ち続けるところと、競争。その両方が大切で、そこは促していきたいと思います。競争を生むために立ち位置を変更することは、アイディアとして持っています」