2.23 14:03

明治安田J1 第1節 vs. 鹿島アントラーズ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
0
鹿島アントラーズ 鹿島
  • 前半20分
    ドウグラスヴィエイラ
  • 前半25分
    レアンドロペレイラ
  • 後半39分
    森島
2
前半
0
1
後半
0

試合の見どころ

 ついに2020年のリーグ開幕戦を迎える。2月23日(日)にホーム・エディオンスタジアム広島で迎え撃つのは、言わずと知れたJ随一の常勝軍団である鹿島だ。まさに相手に不足なし。初戦からいきなり楽しみな好カードとなった。
 その鹿島だが、昨季とは少し毛色が違う。約2年半に渡って指揮を執った大岩剛監督が2019シーズン限りで退任し、新たに就任したのはブラジル人のザーゴ監督。現役時代にはサンパウロFCやサントスFC、イタリアの名門・ASローマといった強豪クラブだけでなく、日本の柏レイソルでもプレー経験があり、さらに監督としてもブラジルで多くのチームで指揮を執ってきた経験豊富な指導者だ。そんな新指揮官の下、鹿島の選手は10人近くが入れ替わる“新陳代謝”を行っており、現在はまだチーム作りの途上にある。それを象徴するように、今季の公式戦初戦となった1月28日(火)のACLプレーオフではメルボルン・ビクトリーにまさかの敗戦。さらに先週のJリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第1節でも名古屋に敗れるなど、いきなりの公式戦2連敗スタートとつまずいている。
 結果だけを見れば、チャンスがありそうだが、やはり広島の選手の口から出るのは「鹿島は鹿島」(柏好文)。どんなチーム状況だろうと、どんな悪い内容だろうと、得点をもぎ取って最後には勝利を手探り寄せている“勝負強さ”こそが鹿島の伝統であり、それがJで一番のタイトル獲得数につながっている。今季リーグ開幕戦も新監督の下で選手が入れ替わっていようと、勝利に徹する鹿島のDNAは引き継がれているはずであり、手強い相手なのは間違いない。さらに今は公式戦2連敗中とあって余計に広島戦ではモチベーション高く臨んでくることが予想され「逆に相当厳しい試合になると分かった」(城福監督)。リーグ初戦から激闘の予感が十分だ。
 一方のサンフレッチェは“継続”を強みに臨むことになる。今季公式戦初戦となった先週のルヴァンカップ・横浜FC戦では、先発全員が昨季からの所属選手という熟成の強みを生かして2-0の勝利。得点場面も昨季からの進化を証明するように、キャンプから積み上げてきた新たなパターンであるショートカウンターを炸裂させた。それから1週間後のこの鹿島戦に向けても「開幕に向けてやれることはすべてやってきた」と城福監督が自負するように、良好な雰囲気のチーム状態に加えてケガ人はゼロ。「ベンチメンバーを選ぶのも大変な状況」と指揮官が嬉しい悩みを明かすほど、チームは最高の状態でリーグ開幕戦を迎えることになる。
「一人の離脱者もなく全員が明日の開幕戦に向かえたこと。選手みんなの努力とスタッフの努力でこういう迎え方ができた。あとはピッチに出た選手がそれを背負ってやるのみだと思う」。試合前日にそう力強く話した城福監督の下、サンフレッチェはここまで積み上げてきた成果をすべて鹿島にぶつけて勝利を狙う。

監督 試合前日コメント

一人の離脱者もなく全員が明日の開幕戦に向かえたこと。選手みんなの努力とスタッフの努力でこういう迎え方ができた。あとはピッチに出た選手がそれを背負ってやるのみだと思う。
明日は鹿島が何ゆえに勝ってきたかということを強く意識し、それを全面的に押し出してくると思ってピッチに立ったほうがいい。もともと球際の強いチームだが、我々はとにかく笛が鳴るまでやること。レフェリーに両手を広げるような瞬間があってはならない。自分たちらしくサッカーをやること。そこに徹したい。
(VARが導入されるが)そこで流れが変わることが十分にありえる。やはり(VARが入ったら)集中し直すこと。そのためにはお互いが声を掛け合って、鼓舞し合うことがすごく大事になる。何よりもペナルティーエリアの中に進入することが大事だし、ペナルティーエリアの中に進入されることが危険になると感じた。とにかく我々らしくゴールに向かうこと。もう一つは、昨年の鹿島戦の最後の最後のシーンであったが、シュートを打つこと。そうすれば手に当たる可能性もある。そういうことを我々はやり続けること。
明日は期待をしてくださっているサポーターの方々に応えたい。あるいは今年は多くの観客を呼ぼうとサンフレッチェ全体が努力をして、広島県内の盛り上がりに対してメディアの方々も含めて協力していただいた。明日は多くの方が来てくださる可能性があることを無駄にしたくない。また来たいと思える試合をすること。我々はそれに尽きる。会場に足を運んでくださった方が一番大事だし、彼らとともに一緒に喜び合いたい。

試合前情報

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選手がピッチに登場! 荒木隼人選手が着用しているのは、試合当日限定のトレーニングウェアです!

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晴れ渡る青空の下、たくさんのサポーターの方から声援を受けながら、スタジアムに選手バスが到着しました! ドウグラス・ヴィエイラ選手も背番号が変わり、9番をエディオンスタジアムで初披露します!

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本日のロッカールームです! 新ユニフォームをエディオンスタジアムで初披露! 川辺駿選手が新背番号8を、森島司選手が10をつけて、ホームのサポーターの皆さんの声援を受け、プレーします!

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本日はホーム・鹿島アントラーズ戦! いよいよ今季リーグ開幕戦を迎えることになりました。戦いの舞台は「エディオンスタジアム広島」。初戦からリーグ屈指の強豪との戦いとなりますが、キャンプから全員で取り組んできた成果を発揮して勝利を目指しますので、熱いご声援をよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・守備はポジショニングを意識すること。
・相手をリスクを冒してきている。イメージを持って攻撃しよう。
・このまま乱れずに戦うこと。

ゲームレポート

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photo3年目を迎えた城福サンフレッチェが最高のスタートを切った。
2020年リーグ開幕戦でJ最多のタイトル獲得数を誇る強豪・鹿島と激突した一戦。試合序盤のサンフレッチェは決して良い入りとは言えなかった。「鹿島が非常に前からプレッシャーをかけてきた。ボールを失うリスクも背負いながらプレッシャーをかけ続けてきたことで、少し選手が圧を感じてしまったと思う」との城福監督の言葉どおり、前線から迫力あるプレスをかけてきた鹿島の前に広島はこれまで築き上げてきた最終ラインからのビルドアップをなかなか発揮できず。開始早々の2分には相手の鋭いカウンターから連続で2度シュートがポストに当たるピンチを招くなど、序盤は押し込まれる展開が続いた。
ただし、今季のサンフレッチェの真価はここからだった。城福体制の過去2年間で積み上げてきた粘り強い守りをこの試合でも着実に発揮して相手の攻撃をしっかりと封鎖。焦ることなくチャンスをうかがうと、昨季のメイン攻撃であるボールをつないで相手DFを攻略するコンビネーションに加えて今季新たなパターンとして取り組んできた“ショートカウンター”が炸裂した。20分、高い位置で1トップのレアンドロ・ペレイラが相手からボールを奪うと、すぐに前線のドウグラス・ヴィエイラへスルーパス。GKと1対1になった背番号9は冷静に右足で流し込んで先制点を奪った。
これで流れをつかむと、今度はロングカウンターが華麗に決まった。25分、最終ラインからのパスを森島司が中央で巧みにキープし、右サイドを疾走していたドウグラスへロングパス。これを受けた背番号9が正確なクロスを中央へ送り込むと、最後はレアンドロが落ち着いて合わせて早くも追加点を奪うことに成功した。
2点のリードを奪えば、試合はもうサンフレッチェのものだった。後半開始から2点のビハインドに追い付くべく選手交代でさらに圧力を強めてきた鹿島に対し、サンフレッチェは隙のない堅い守備で対抗。押し込まれる時間が長く続いたが、「最後のシュートブロックのところで我々はしっかり集結して、3人ぐらいがスライディングでシュートコースを消す場面がいくつかあった。あれぐらいの気迫を持って我々は守るんだというのは、一昨年、昨年と積み上げてきているところがある」(城福監督)。ゴール前では相手を必ずフリーにさせず、シュートを打たれる瞬間には何人もの選手が体を張ってスライディングを繰り出すなど、相手に決定的チャンスをほとんど作らせず。その我慢の展開を耐え凌ぐと、再び今季の武器が発動した。84分、途中出場・東俊希が前線で相手ボールを奪うと、そのパスを受けたレアンドロから最後は森島へ。これを背番号10が左足で豪快に突き刺して勝負を決定付けた。結局、試合はこのまま3-0で終了。ザーゴ新監督を迎えてチーム作りの途上にある鹿島に対し、継続を強みとする広島がショートカウンターという新たな武器を身につけての完勝に「成功体験を得られたのは大きかった」と城福監督も充実の表情でスタジアムを後にした。

監督 試合後コメント

クラブ、あるいは県を挙げて今日の集客にご尽力いただいた方々がいた。そして、ここまで足を運んでいただいた方々がいた。彼らの前で良い試合をしたかったし、今年の目標を考えたら、勝って今日来ていただいた方と喜び合いたい思いが強かった。それができて本当に良かった。
内容については、鹿島が非常に前からプレッシャーをかけてきた。ボールを失うリスクも背負いながらプレッシャーをかけ続けてきたことで、少し選手が圧を感じてしまったと思う。最初のポストに2回連続で当たったシーンは、ディフェンダーが足を滑らせたところからスタートしたので、相手の圧力があったのかどうか分からないが、ゲームの入りに圧力を感じたことは事実。ここをしのげば、我々らしくサイドでフットボールができるのではないかと思っていたが、圧力をかけ続けてきた鹿島に対して少してこずった印象は持っている。ただ、いい守備からのショートカウンターという部分で得点を重ねることができた。これは今年我々が目指している得点パターンの一つ。これからも積み上げないといけないが、まずは成功体験を得られたのは大きかった。また、押し込まれた時も最後のシュートブロックのところで我々はしっかり集結して、3人ぐらいがスライディングでシュートコースを消す場面がいくつかあった。本来ならそこまで持っていかれたくはないが、持っていかれた時にはあれぐらいの気迫を持って我々は守るんだというのは、一昨年、昨年と積み上げてきているところがある。そこも積み上げを見せられたのは良かった。
今日の試合には全員が出たかったと思うし、そのために歯を食いしばってやってきた。今日ベンチに入れなかった選手を含めて彼らの思いを持って戦ってくれた選手がいた。ここのスタジアム全員で喜び合えたことは良かった。
(レアンドロ・ペレイラの頑張りについて)彼はストライカーとしてあらゆるものを出せる可能性のある選手だと思う。ただ、攻守両面においてチームに貢献するところは彼が抱え続けていた課題。私と彼自身の個人的なものを含めてチーム全体としてもずっと向き合ってきた。もちろん、コンディション的なもの、チームが求めるもの、プラス彼のストロング、ここをどう両立させるかは今日の出来だけで満足することではない。もっともっと高みを目指して、彼がショートカウンターで起点になってほしいし、彼が得点を取ってほしい。これは積み重ねていきたいと思っている。

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