8.19 19:03

明治安田J1 第11節 vs. FC東京
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
3
FC東京 FC東京
  • 前半14分
    野上結貴
  • 前半37分
    荒木隼人
  • 後半45+6分
    川辺駿
2
前半
3
1
後半
0
  • 前半19分
    ディエゴオリヴェイラ
  • 前半22分
    安部柊斗
  • 前半45分
    レアンドロ

試合の見どころ

 前節からの“進化”が問われる一戦だ。敵地で戦った15日(土)のJ1第10節・浦和戦では、20対3本という圧倒的なシュート数の差が出たように、序盤から相手をほとんど押し込んでゲームを支配し、チャンスを多く作り出したが、開始早々の5分に喫したPKによる失点で0-1の完封負け。自陣に引いて粘り強い堅い守備ブロックを形成してきた浦和を最後まで攻略することはできなかった。「辛抱強く自分たちでボールを回して崩すところとゴール前の迫力、アイディアのところは精度を上げていかないといけない」(城福監督)。内容は悪くないが、やはりゴールネットを揺らさなければ勝利はつかめない。最後の精度が課題として残った。
 その意味では、今節もサンフレッチェの“攻撃力”が試される。相手であるFC東京は、ディエゴ・オリヴェイラやレアンドロ、アダイウトンといった力強い個性を持つブラジル人やスピードスター・永井謙佑などの強烈なアタッカー陣に目が行きがちだが、就任3年目を迎えたJ屈指の名将・長谷川健太監督の神髄は組織的な戦いにある。前線のブラジル人選手たちにも守備のタスクを課し、全体をコンパクトにして堅守を構築。特に1-0で勝利した前節はその特長が出たゲームであり、前々節・浦和戦で6得点を挙げていた勢いのある強力・名古屋攻撃陣を隙のない組織的な守りで完璧に封じている。相手のストロングポイントを機能不全にさせ、ショートカウンターから得点を奪って勝つ手堅い戦いはまさに長谷川サッカーの代名詞。名古屋戦では、リーグ戦5試合ぶりの勝利とは思えない安定した強さだった。
 また、最近では日本代表の橋本拳人、室屋成の主力2人がシーズン途中に相次いで海外クラブに移籍したのは痛手だろうが、それを補う選手層の厚さも今のFC東京にはある。高い戦力、そして機能性のある戦術が浸透している青赤軍団の攻略はなかなかの難題だ。
 広島の勝利のポイントはやはり先制点だろう。前節・浦和戦は先に得点を与えたことで敵の集中力がより高くなり、崩すのが難しくなった面がある。FC東京も前節は前半途中に先制点を奪い、浦和のように守備を頑強にして勝点3をもぎ取った。今回の一戦でも1点目を取られてしまえば、FC東京は徹底して守備を固めてくるのは間違いなく、さらに広島が攻め込んだ後の永井やアダイウトンといった推進力のある選手のカウンターは強烈だ。相手のペースに持ち込ませないためにも先手を取りたい一戦。浦和戦の反省を踏まえ、「決定機を“超決定機”にしていくこと」と話した城福監督は、より質の高いチャンスを多く作ってゴールを奪いに行く考えだ。

監督 試合前日コメント

(FC東京は)縦に速く、それを徹底している。長谷川監督になってから多少の立ち位置は変えてもサッカーそのものは変わっていない。縦への速さと外国籍選手を中心とした個の強さで相手を押し込んでくることもそうだし、守備の厳しさも変わらずJリーグの中でトップクラスだと思っている。
(前線のブラジル人選手は強力だが?)永井謙佑もそうだが、縦へのスピードはやはりある。また、彼らもハードワークしてくる。なかなか隙を見つけることが難しいチーム。全員で圧力をかけながら、ボールを奪った時には前線の選手の推進力で全体で押し上がっていく。あるいは、一人、二人でシュートまで行く。特にブラジル人のコンビネーションは気を付けたい。
(広島の戦い方は?)決定機を超決定機にする。その回数を増やすことしか我々にはできない。シュートを外そうと思って外しているわけではないが、そのチャンスを数多く作ることが、我々がやれること。あとは選手は肩の力を抜いて、ネットを揺らすまでそのサッカーを楽しんでやること。また、セットプレーも良いボールが安定して供給できればもっといいが、良いボールが入ってきた時には中の役割をしっかりと全うして超決定機につなげることが大事になる。
明日は勝点3を取るためにもちろんベストを尽くすし、それが簡単な相手ではないことは分かっている。我々のやろうとしていることをしっかり表現すること。厳しさも含めて我々のサッカーを楽しむことが大事だと思っている。

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです。前節から中3日での試合となりますが、ホームの声援を受けて勝利を目指して戦います!

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選手バスがスタジアムに到着! 佐々木翔選手はキリリと引き締まった表情で、青山敏弘選手はリラックスして笑顔を見せながら、ロッカールームに入りました!

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本日のロッカールームです。茶島雄介選手が、リーグ戦3試合ぶりにスタメンに入りました!

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本日はホーム・FC東京戦! 相手は各ポジションに実力者を擁するJ屈指の強豪です。前節はアウェイで浦和に敗戦を喫したサンフレッチェとしては、今日のホームでその悔しさを晴らすべく戦いますので、熱いご声援をよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・攻撃は何回もやり続けること。
・守備はしっかり中を閉じること。
・みんなで点を取りに行くぞ!

ゲームレポート

堅守を誇る両チームの一戦は、予想に反して激しい打ち合いとなった。
序盤からサンフレッチェの攻撃のリズムは良かった。直近の2試合で相手を圧倒しているポゼッションスタイルを前面に押し出して試合開始からFC東京陣内へ果敢に進出。ゴール前では細かなパス交換を駆使して相手守備陣の攻略に取り掛かり、浅野雄也らが積極的にシュートを放って行った。すると、その攻撃的な姿勢がさっそく実を結ぶ。14分、セットプレーの流れから青山敏弘が右サイド・茶島雄介へ大きく展開し、ラストパスを受けたDF野上結貴が左足で突き刺して先制に成功した。
だが、試合はここから大きく動いた。それまで沈黙していたFC東京の攻撃を受けると、レアンドロとのコンビネーションからディエゴ・オリヴェイラに決められて早くも同点に。さらにその3分後にはスルーパスに抜け出した安部柊斗にシュートを叩き込まれて逆転を許してしまった。その後、37分に浅野のアーリークロスからDF荒木隼人のヘディングで一度は追い付いたサンフレッチェだったが、前半も残りわずかとなった45分に再び勝ち越し点を奪われてしまう。自陣ゴール前で相手にFKを与えると、これをレアンドロに直接決められて2-3。壮絶な点の取り合いで前半は終了した。
後半は一転して堅いゲームとなった。前線のスピードを生かしてカウンターで追加点を狙いに来たFC東京に対し、広島は前半と同じく全体でのパスワークを駆使して同点を狙いに行く。さらにメンバー交代で攻撃を活性化させるべく、この日はベンチに控えていたレアンドロ・ペレイラとハイネルを51分に同時導入したほか、71分にも藤井智也と東俊希を一緒にピッチへ送り出した。だが、同じく選手交代を使いながら堅い守備網を構築してきたFC東京をこじ開けることができず、試合は着々と推移。相手のカウンターを何とか阻止し、攻撃に出れば相手陣地に進出しながらもなかなかシュートまで持ち込めない展開が続く中、この日は最後の最後にドラマが待っていた。もう終了かと思われた後半アディショナルタイム、ゴール前の混戦から最後に詰めたのは川辺駿。「最後の最後まで諦めなかったことが勝点1につながったと思う」(城福監督)という紫軍団の執念がラストプレーで実り、何とかホームで勝点1をもぎ取った。

監督 試合後コメント

ファン・サポーターの方々が拍手という唯一の手段で我々の背中を押し続けてくれた。それは聞こえていた。勝点3を取りたかったが、その方たちと最後に勝点1を勝ち取れたことは少しホッとした。内容については、相手の個があることは分かっていたし、我々が手数をかけて攻めた中で相手に一発のカウンターがあるのは覚悟してやっていた。「ボールを支配しても一発があるぞ」と送り出して、選手もその覚悟でやっていた。1本目のシュートでやられて、2本目のシュートで2点目が入った記憶があるが、簡単にやられてはいけない。守備の時の構え方、あるいはハードワークはチーム全体で反省しないといけない。ただ、自分たちらしくボールをつないで相手を広げて入っていくところは、ずっと辛抱してやり続けたし、ゴールに向かい続けたことが勝点1になったと思う。追いかける展開になったことは強く反省したいが、自分たちのサッカーはずっとやり続けたいと思っている。
(ラストプレーで同点になった時の思いは?)我々はできるだけサッカーをする時間を長くしたいし、(勝っている状況の)相手チームはできるだけサッカーをやる時間を短くしたいというせめぎ合いになってしまう。当たり前だが、我々はそれにすごくストレスを感じながらやっていた。もっとプレー時間を長くしたい、レフェリーを含めて、日本のサッカーをそういうふうに持っていこうと思っていると認識している。そこで歯がゆい思いをするのは我々が勝点ゼロの状態で推移するのが長すぎたから。それは我々の問題だと思っている。ただ、そのイライラをとにかく自分たちがゴールを目指すことに集中して、エネルギーをそこに懸けられた。そこは選手が良くやってくれたと思うし、最後の最後まで諦めなかったことが勝点1につながったと思う。
(3失点したが、守備の改善点は?)もちろん、相手の個があるので、チームとして相手の個をどう抑えていくかは試合によって違うが、いつどのように相手にやらせてはいけないことをチームで共有するか。あるいは多少リスクを冒して前からボールを取りに行くか。人を掴みに行くか。それは、前から取りに行きたい我々がいるので、少し絞ったりとか、少し相手にボールを持たせてもいいから我慢して絶対にやらせてはいけないところを共有することは、今、葛藤しているところだと思う。ポゼッション率70%で勝点3を取ることができるリーグでないのは分かっている。相手に多少、持たれるのであれば、やらせてはいけないところを我慢するのはもう一度、見直したい。ただ、我々はポゼッション率を上げたいし、その中でサイドを崩したいし、人が関わってゴールしたい。このサッカーは変わらない。

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