7.3 19:03

明治安田J1 第21節 vs. サガン鳥栖
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試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
1
サガン鳥栖 鳥栖
  • 後半17分
    ジュニオールサントス
0
前半
0
1
後半
1
  • 後半45+1分
    酒井宣福

試合の見どころ

 歴史的な一戦は、イベント盛りだくさんだ。今節は広島東洋カープとの共同記念ユニフォーム着用試合として、サンフレッチェ史上初めて“赤”を身にまとって戦うメモリアルなゲームとなったが、選手ではチームの中心である川辺駿がスイス1部のグラスホッパー・クラブ・チューリッヒへ移籍合意となったことで、背番号8のラストマッチとなった。さらに大迫敬介も鳥栖戦が終われば、東京五輪へ舞台を移す。記念ユニフォーム試合について城福浩監督が「広島ならではの企画。勝って締めたい」と話せば、川辺のラストマッチについて佐々木翔キャプテンは「勝利で送り出したい」と気合いを入れる。さまざまな思いの詰まった今節、選手たちのモチベーションは十分だ。
 試合に目を向ければ、後半戦の反撃に向けて勝てば自信を得られる一戦となる。今季、快進撃を続ける鳥栖のここまでの成績は9勝6分4敗の6位。アカデミー育ちの20歳・松岡大起を筆頭に林大地や樋口雄太など20代前半の選手が多く揃うが、その力は本物だ。攻撃ではGK朴一圭を含めた後方からのビルドアップは洗練されており、敵陣に入った際の細かなパスワークを駆使したコンビネーションはかなりの脅威となる。また、守備はリーグ最少の10失点を誇るように組織的な守りは鉄壁。「5枚の集結や3枚の中盤も含めて、非常に戻りが早い。また、穴を開けない。そういう意味で失点の少ないチームになっている」(城福監督)。攻守においてまとまりのある鳥栖は、かなりの難敵だ。
 では、その鳥栖をいかに攻略して広島は上位を狙うか。「我々らしくサイドと中で崩すこともそうだし、相手の切り替わりのところで上回って良い制限をかけられれば、そこからビッグチャンスが生まれると思う。とにかくチャンスの数を多くしたい」と指揮官。前節から2週間空いた中断期間ではトレーニングでサイド攻撃を磨き続けた他、鳥栖戦に向けて守備の整備も入念に行われた。遅攻で相手を崩すこともそうだが、自陣からポゼッションしてくる鳥栖相手に狙いたいのは、やはり“良い守備からの良い攻撃”。1-0で勝利した前節・柏戦も得点は少なかったが、前線からの組織的な守りをベースにチャンスは作り続けた。その戦いをより研ぎ澄ませば、必ずチャンスはある。
「勝点3を積み上げていかないと我々が目指すステージに行けないというのは分かっている。イベントごとがある、なしに関わらず、明日の試合は負けられない思いが強い。プラス、そういうイベントに対しては、駿を海外へ送り出す、敬介をオリンピックに送り出すという意味でも、見に来てくださったファミリーの方を含めて、気持ち良く送り出せるのはやはり勝点3が必要。そこはみんなで良い送り出し方ができればと思っている」(城福監督)。両選手を笑顔で送り出すためにも、そしてチームの上位浮上のためにも、勝点3は必須だ。

監督 試合前日コメント

──鳥栖のシステムは分かりづらいが?
「基本は3バックで攻撃の時と守備の時で(形を)変えている。その変え方はずっと変わらずやっている。うまく対応したい。(鳥栖は)ある程度の方程式がある可変なので、予測がつなかいほどではない」

──鳥栖の10失点はJ1で最少だが、どう崩していくか?
「5枚の集結や3枚の中盤も含めて、非常に戻りが早い。また、穴を開けない。そういう意味で失点の少ないチームになっている。ではチャンスを作れないかと言うと、ビッグチャンスを作られている中でGKを合わせて体を張って防いでいる。そこは、我々らしくサイドと中で崩すこともそうだし、相手の切り替わりのところで上回って良い制限をかけられれば、そこからビッグチャンスが生まれると思う。とにかくチャンスの数を多くしたい」

──林大地選手と山下敬大選手のパワフルな2トップについて。
「裏への意識が非常に強い。推進力もあるし、引き過ぎると中盤の間で受けることもできる。我々は引くところと前から行く時のメリハリはつけないと難しい試合になる。特に相手の2トップは常に近くにいて、お互いの動きのコンビネーションもある。誰かが潰れて誰かが空くということもやってくる。クロスの入りも非常に動きがある。そこはボールホルダーだけでなく、2トップへのマークも厳しくしないといけない」

──暑くなってきた中で選手交代も一つのテーマでは?
「間延びするとしたら終盤になると思う。そこで攻守においてどういうエネルギーを注入できるかは、交代選手が大事だし、ファクターになると思う。もちろん、大事なのは交代してピッチを去る時に100%のエネルギーを使い切れているか」

──明日はカープとの共同記念ユニフォームの着用や移籍する川辺駿選手のラスト試合、大迫敬介選手の五輪前最後の試合など、イベントが多いが?
「後半戦に向けて自分たちが“ここから”というテーマの元にずっと準備してきている。勝点3を積み上げていかないと我々が目指すステージに行けないというのは分かっている。イベントごとがある、なしに関わらず、明日の試合は負けられない思いが強い。プラス、そういうイベントに対しては、駿を海外へ送り出す、敬介をオリンピックに送り出すという意味でも、見に来てくださったファミリーの方を含めて、気持ち良く送り出せるのはやはり勝点3が必要。そこはみんなで良い送り出し方ができればと思っている」

──川辺選手にはどういうプレーをしてもらいたいか?
「彼はもちろん攻撃の良さが最大の売りだが、守備のところで本当に効いている選手。彼が絡むと破綻しかかった守備が整えられる。攻守において彼らしくやってもらうことが、勝点3に近付くことになる。チームとしたら彼の良さをさらに生かせるような、彼の3列目からの飛び出しやスルーパスを引き出すこと、ミドルシュートが多く出るような場面をチームとして作りたい」

──2018年から監督は一緒に戦っているが、課題だった守備が改善され、よくここまで成長した。
「彼の持っている技術やサッカーに対する思いは、本当にレベルが高い。それをピッチの上で表現する仕方が当時求めていたのものと少しズレがあったのかもしれない。それを彼はよく受け入れて、自分の中で格闘したと思う。ピッチに立つまでの努力は何よりも彼自身の成長の源泉だと思う。その努力のプロセスはチームに与えるものが大きかった。彼がいろいろ受け入れながら努力している姿というのは、実は彼がフルで試合に出ていない時でもチームに大きく貢献していたと思う。あの期間が彼をより逞しくしたと思う。今は代表に選ばれても、彼の成長のプロセス。まだまだゴールは先にある。明日は良い送り出し方をして、海外でさらに成長してほしい」

──数年前、川辺選手は本当の意味でチームの中心になってほしいと話していたが?
「彼はその場面になれば、鼓舞したり、叱咤激励をできる選手だが、元々は背中で見せるプレーヤー。そういう意味では、彼のプレーぶりやサッカーへの向き合い方を示して、それでチームを引っ張っていく存在に十分になれると思っていた。何よりも彼はチームメートに愛されていた。それはなぜかと言うと、サッカーが大好きなだけでなく、受け入れながらやるべきことをやる姿が彼が愛されている証拠だと思う。ロッカールームやピッチを離れたところで、愚痴りたくなる時もあるだろうし、ネガティブな言葉を吐きたくなる時もあったと思う。おそらく、周りがあれだけ彼を慕っているのは、そこをグッとこらえながら自分の成長を信じてやってきたところが、ひょっとしたら彼の一番のストロングだと思う」

試合前情報

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本日のスターティングイレブンです。カープレッドを身にまとい、広島の街を盛り上げます!

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大迫敬介選手にとっては、代表召集前のラストゲーム。ゴールにしっかりと鍵をかけ、完封という置き土産を残して大舞台へと向かうべく戦います!

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川辺駿選手にとって、今日がエディオンスタジアム広島でのラストゲーム。バス降り時の表情は普段通り、よい緊張感に包まれていました!

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本日のロッカールームです。カープレッドに染まったユニフォームがずらりと並び、いつもとは違った雰囲気となっています。

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本日はホーム・サガン鳥栖戦! 本日は広島東洋カープとの共同記念ユニフォーム着用試合として、赤いシャツを身にまとって戦うメモリアルな一戦であり、スイス1部のグラスホッパー・クラブ・チューリッヒへ移籍合意となった川辺駿選手のラストマッチ、そして大迫敬介選手の五輪前最後のゲームとなります。相手は今季快進撃を続けている強豪ですが、チーム全員の力を結集し、多くの思いが詰まった“記念試合”を勝利で飾るべく戦いますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・奪った後はもう少しボールを握ること。
・相手ボールでも焦れる必要はまったくない。
・この戦いを続けること。勝負はここからだぞ!

ゲームレポート

photo広島東洋カープとの共同ユニフォーム着用試合というメモリアルな1日となったこの日。サンフレッチェ史上初めて赤いシャツを身にまとった選手たちは、全体的に充実したプレーを見せたが、後半アディショナルタイムに悔しい結末が待っていた。
前半から広島のリズムは良かった。開始16分に浅野雄也が負傷交代するアクシデントがあったものの、その後は後方からのテンポの良いビルドアップでリズムを作り、前線では右サイドを起点に細かなパス交換で鳥栖DFの攻略に取り掛かる。高い位置でボールを失っても、鋭いスピーディーな切り替えですぐに奪い返してチャンスを作るなど、徐々に広島が主導権を掴んでいった。24分のジュニオール・サントスのカウンターでは最後のクロスが合わなかったが、浅野に代わって入ったエゼキエウが29分に左足で決定的なシュート。これも相手GKのセーブにあったものの、広島が前半から効果的な攻撃を仕掛け続けた。
後半も広島のゴールへの意識は高かった。前半の終盤から広島が押し込まれる時間が増えていたが、「奪った後はもう少しボールを握ろう」と言う城福浩監督のハーフタイムの指示を選手たちは忠実に遂行。開始直後から迫力ある攻撃を仕掛けてCKを立て続けに奪った他、50分にはサントスがエリア外から強烈なミドルシュートを放つ。さらに57分にはサントスと川辺駿の二人で敵陣を切り裂き、背番号8がゴール正面でこの日最大の決定機を迎えるなど、ゴールへの匂いは十分に漂っていた。
すると、この波状攻撃が実ったのは62分だった。相手を押し込み続けた中で左サイドの高い位置でボールを奪うと、エリア内に入った柏好文のパスを受けたサントスが冷静に突き刺して先制。主導権を握っていた広島がついにリードを奪うことに成功した。
その後も広島は堅い守備ブロックをベースに効果的な攻撃を繰り出した。66分にはテンポの良いパス交換から柏のラストパスを受けたエゼキエウがビッグチャンスを迎えるもシュートは枠外。さらに勢いが止まらないサンフレッチェは守りだけに徹することなく攻め立て、右サイド・藤井智也のスピードも生かしながら鳥栖ゴールに迫って行った。
だが、結果的にここで追加点を奪えなかったのが痛かった。手堅い守りで鳥栖にチャンスを作らせていなかったが、90分+1分、一瞬の隙を突かれてしまった。相手のパワープレーから最後は酒井宣福に決められてまさかの同点に。その後は最後の力を振り絞って勝ち越し弾を狙いに行ったが、ゴールは奪えず1-1のドローに終わった。
「今日のメモリアルのゲームで勝点3で終わることが、来てくださったファミリーの方々やクラブスタッフ、選手を含めて、一番喜ばしいことだった。そういう場を準備できなくて本当に申し訳ないと思っている」(城福浩監督)。この日は赤のユニフォームに加えて、スイスへ旅立つ川辺と東京五輪の戦いへ舞台を移す大迫敬介の“壮行試合”といったイベント盛りだくさんだったが、好内容を勝利へ結び付けられない悔しい一戦となった。

監督 試合後コメント

「我々のチャンスの数、相手のチャンスの数を考えたら、内容的に勝点3を取らないといけない試合だったと思う。もちろん2点目を取れなかったなどあるが、相手のチャンスの数を考えたら、絶対に失点ゼロで抑えないといけなかった。ゲームを締められなかったのは自分の責任だと思っている。締めようはいくらでもあった。あの選手の頑張りを勝点3に繋げられなかったのは自分の責任だと思っている。今日のメモリアルのゲームで勝点3で終わることが、来てくださったファミリーの方々やクラブスタッフ、選手を含めて、一番喜ばしいことだった。そういう場を準備できなくて本当に申し訳ないと思っている」

──アディショナルタイムに青山敏弘選手が足をつってしまったが、何か手を打つことは考えたか?
「青山を前線に置いて、戻ってこれないのであれば、ドウグラス(・ヴィエイラ)と(柴﨑)晃誠が前線で追いながら、中盤を3枚で固めることは指示していた。青山が戻ってきた時には、シャドーのポジションに行ってもらい、ハイネルにボランチに入ってくれと言う指示はしていた。それが機能したかどうか分からないが、失点場面は大きなボールに対して我々が5バックになれていなかったところ、その後のセカンドボールを含めて、いろいろ見直さないといけない」

──川辺駿選手のラストマッチになったが、彼のプレーについて。
「まずは勝点3で送り出せなくて申し訳ないと彼に言いたい。彼の攻守における成長ぶり、攻守においてチームをけん引してくれたことは指導者冥利に尽きる。彼の成長の近くでいれたのは自分にとって本当に光栄だと思う。あれだけサッカーのことを考えて日々過ごしている選手が海外というチャンスを得て羽ばたいていくのは、自分だけでなく誰しもが応援したくなるような、そんな日々を過ごしてくれたと思う。ぜひ、成功してほしいと思っている」

──ジュニオール・サントス選手が流れの中でゴールを決めたが、復活のキッカケになりそうか?
「チームが非常に良い攻撃ができていたと思う。あの(得点)シーン以外にも決定的なシーンはいくつかあった。特に駿も決めたかっただろうな、というシーンもあった。他にもいくつかあった中でのあの(得点)シーンだったので、チームとして決定的シーンを増やすところの手応えがある。その一員にジュニオール・サントスがなってくれると、彼も人を使うことができる、人に使われることができるサイクルにもっともっと研ぎ澄まさていくと、今日のような展開の中で2点、3点取れるチームになると思う」

──前半早々にケガをした浅野雄也選手は想定外だったと思うが、ケガの状況と交代後の攻撃の組み立て方について。
「状況については、今は松葉杖がないと歩けない。ただ、筋肉にどれぐらいダメージがあるのかは今は分からない状況。もちろん、(浅野のケガは)想定していなかったが、エゼキエウも最近は調子が良かった。彼が入って違うアクセントができたと思う。彼の前を向いて際どいプレーをするところで、パスが通れば1点というところが少し前半は狙い過ぎたところがあった。前半の最後の10分だけは、侵入されたわけではないが、相手にボールを持たれたと思う。後半はしっかり修正してくれて、彼からもチャンスは作れたし、エゼキエウは十分に機能していたと思う。長く出ていたので、悪くて交代したわけではなく、エゼキエウが機能した中で柴﨑晃誠にバトンを託した」

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