11.3 15:03

明治安田J1 第34節 vs. 鹿島アントラーズ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
4
鹿島アントラーズ 鹿島
  • 前半34分
    エゼキエウ
1
前半
2
0
後半
2
  • 前半3分
    アルトゥールカイキ
  • 前半28分
    常本佳吾
  • 後半5分
    アルトゥールカイキ
  • 後半26分
    荒木遼太郎

試合の見どころ

 5試合を残しての再スタートだ。約4年に渡って指揮を執った城福浩監督の退任から1週間、チームはヘッドコーチから昇格した沢田謙太郎新監督の下でハードなトレーニングに励んできた。練習では実戦が多く組み込まれる中、ユース監督時代から定評のあった「簡単に倒れない!」「最後までやり切るよ!」といった新指揮官の熱のあるコーチングが響き渡り、選手たちもクオリティーに加えてハードワークも追求。城福監督の退任のショックを振り払うように無我夢中で今節に向けて準備してきた。「意欲的にやってくれているのが十分に分かる。これを続けていったら、選手はうまくなる、強くなる」(沢田監督)。その成果をあとは鹿島にぶつけるのみとなる。
 沢田体制初戦から、ハードな戦いは必至だ。Jリーグトップのタイトル獲得数を誇る鹿島は今季も伝統である“強度の強さ”をベースにゲームを展開している。どのポジションの選手も相手に対して激しく、厳しくプレスをかける守備でボールを奪い、攻撃に移ればスピーディーに相手ゴールへ迫る。特に2-1で勝利した前節・FC東京戦はまさに“鹿島らしい”戦いだった。相手にボールを保持される中でもハードな守備をベースに忍耐強く守り、セットプレーで先制点を奪うと、相手が前がかりになった隙を突いて追加点を奪った。やはり、どんな展開になろうとも“勝利”のための戦いを徹底するのが鹿島であり、セットプレーやカウンターは十八番である。少しの隙をも逃さないのが、常勝軍団と言われる鹿島の強さだ。
 そんな強敵に沢田新体制の広島はいかに勝点3を奪うか。相手の特長を踏まえた上で、指揮官は戦略を語る。「相手は全体的にアグレッシブにくると思うが、そのアグレッシブさをいかに逆手にとって、ひっくり返せるか。難しい部分はたくさんある。そこをみんなで協力したら、決してできないことではない。それを求めたい。そうすれば、チャンスは自ずと出てくると思っている」。もちろん、素早い攻守の切り替えや球際での攻防など基本となる部分でも鹿島に負けられないが、相手のアグレッシブさを冷静にいなす戦いも必要となる。トレーニングでも指揮官は鹿島の戦い方を選手へ意識させつつ、その攻略法も落とし込みながら準備を進めた。その成果を発揮し続けられるかが、勝利へのポイントだ。
「ファミリーの方々に挨拶をしないまま、監督になっている。できれば、良い結果の元、挨拶できたらと思っている」(沢田監督)。残り5試合で訪れた“初陣”。笑顔で報告ができるよう紫軍団は鹿島を全力で倒しに行く。

監督 試合前日コメント

──選手やコーチとしてではなく、監督として試合前日にエディオンスタジアム広島での練習を終えて。
「ここでは良い時間もあれば、悔しい時間もあったり、いろんな時間を過ごしてきた。コーチとしては昨年から戻ってきてはいたが、監督となると立場が変わってくる。(明日の)その場になったら、いろいろと盛り上がってくることもあるかもしれない。ただ、監督である今もコーチ時代もやることは変わるとはいえ、スタンスは変わらない。自分の姿勢や選手と一緒に戦うこと、話すことなどは変わらずにできたらと思っている。『わざと変わらない』とか『わざと変えよう』とかはなく、自然と盛り上がってくるところはあると思う」

──城福浩監督が退任されてからの1週間は短かったか?
「スタートした瞬間は『まだいっぱいあるな』と思ったが、私の奥さんとも話したら『すぐに来たね』と。今、思えば、本当に短かった」

──準備期間の間にやりたいことはできたか?
「ここから新たなことをやろうということはない。新しい練習や新しい方法を求めることはない。ただ、うまくなることや強くなることに上限はない。いつもいつも上がっていける。そのためにもっともっとやりたいといつも思っている」

──明日は多くのファミリーが来てくれると思うが、勝利でスタートしたいのでは?
「ファミリーの方々に挨拶をしないまま、監督になっている。できれば、良い結果の元、挨拶できたらと思っている。ただ、相手もいること。そんな簡単な勝負ではやはりつまらない。本当に厳しいリーグだと思っている。その中で一つでも勝つために必要なプレー、その積み重ねで勝つチャンスが増えると思っている。でもピンチもある。ピンチもやはり摘まないといけない。その連続をみんなで協力して選手同士がサポートし合いながらやってくれたら良い試合になると思う。良い試合になれば、勝つ可能性がどんどん高くなってくると思う。それをピッチサイドで一番近いところで私はサポートできる。やり続けたい」

──鹿島は強度の高いプレーが特長であり、さらに今はイキの良い上田綺世選手や荒木遼太郎選手は要注意だが?
「前回対戦では荒木遼太郎にバイタルエリアを走られて点を取られた。それは土居聖真でも同じようにやってくると思っている。そこはケアしないといけない。上田綺世はやはり体も強いし、クロスへの入りや裏への抜け出しもある。ただ、そこは我々の経験のあるDFも中盤の選手も頭には入っている。その中での勝負。すべて勝つことは難しいかもしれないが、一人が負けた時にそこをカバーできるようなチームになりたい。相手は全体的にアグレッシブにくると思うが、そのアグレッシブさをいかに逆手にとって、ひっくり返せるか。難しい部分はたくさんある。そこをみんなで協力したら、決してできないことではない。それを求めたい。そうすれば、チャンスは自ずと出てくると思っている」

──選手は監督交代から切り替えてやっていると思うが、表情やプレーは?
「意欲的にやってくれているのが十分に分かる。その意欲的な中でケガもなかったので安堵している。これを続けていったら、選手はうまくなる、強くなると思っている。そのために体やメンタルの準備をする姿を見ると嬉しく思う。あと私たちができることは、その力を明日の試合、これからの試合でどれだけ出させることができるか。サポートすることしかできない。意欲的な姿は間近で見ていて、本当に選手たちは『うまいな』『すごいな』と思っている」

試合前情報

photo本日のスターティングイレブンです! ドウグラス・ヴィエイラ選手がスタメンに復帰しました! ホームのファミリーの皆さんとともに、勝利をつかみとるため全力で戦います!photoチームバスがスタジアムに到着しました。沢田謙太郎新監督は、コーチ時代と同様にジャージ姿で、いつもの試合と変わらず気の引き締まった表情でロッカールームに入っていきました。photo本日のロッカールームです。塩谷司選手がベンチ入りしました! 試合出場への期待が高まります! 試合後には復帰セレモニーを行いますので、ぜひ、温かい拍手をお送りください。photo本日はホーム・鹿島アントラーズ戦! 相手はJ最多のタイトル獲得数を誇る強豪です。沢田謙太郎新監督の下、チーム一つになって勝利を目指しますので、熱い後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・よく1点を返した。そこからの戦いを続けること。
・足下だけでは相手は怖くない。積極的に背後も狙っていこう。
・気持ちは熱く、頭は冷静に戦って逆転しよう!

ゲームレポート

 沢田体制の初陣は試練からの試合スタートなった。
 ゲームはいきなり動いた。開始直後の3分、鹿島のエース・上田綺世に左サイドの背後を取られると、グラウンダーのクロスをアルトゥール・カイキに合わせられて早くも失点。沢田謙太郎新監督の初戦は、いきなり追いかける展開となってしまった。
 そこから反撃に出たい広島だったが、なかなか攻撃のリズムは出なかった。最終ラインからボールを保持して相手ゴールを目指したが、ハードなプレスかつ緻密なブロックを築く鹿島の守備網に苦戦。効果的な攻撃を仕掛けられずに時間は進むと、続く28分だった。自陣でのクリアミスからCKを与えると、そのこぼれ球を常本佳吾に豪快に決められて0-2。さらに点差を広げられてしまった。
 ホームで痛恨の2失点だったが、ここからようやく紫軍団が目覚めた。ボランチ・青山敏弘を中心により攻撃姿勢を強めていくと、34分、反撃を示すゴールが生まれた。背番号6が相手最終ラインの背後に飛び出してフリーでボールを受けると、中への折り返しをエゼキエウが詰めて1-2。これで試合の行方は分からなくなった。
「気持ちは熱く、頭は冷静に戦って逆転しよう!」
 ハーフタイム、沢田謙太郎監督のそんな熱い指示を受けてまずは同点を目指した広島だったが、やはり立ち上がりの失点が痛かった。50分、左サイドを鹿島に攻略されると、最後はカイキにこの試合2ゴール目を許して再び2点差に。悪くない後半の入りを見せていた広島だったが、重たい3失点目となってしまった。
 その後も下を向くことなく攻撃姿勢を貫いた広島は、右サイド・藤井智也の突破や途中出場のジュニオール・サントスらが推進力を生かしてチャンスを作り出した。だが、良い時間帯でゴールを奪えずにいると、やはり流れは相手に傾いてしまう。71分、荒木隼人がペナルティーエリア内でファウルを取られると、そのPKを荒木遼太郎に決められて勝負あり。「スタートから選手一人ひとりが気持ちを昂らせながら良い入りをしてくれたと思うが、失点してしまい、常に追いかける展開になってしまった。そこが非常にキツかった」(沢田監督)。広島にとっては沢田監督の初陣に加え、塩谷司の復帰試合という記念の一戦だったが、1-4の大差で敗れる悔しい結果となった。

監督 試合後コメント

「スタートから選手一人ひとりが気持ちを昂らせながら良い入りをしてくれたと思うが、失点してしまい、常に追いかける展開になってしまった。そこが非常にキツかった。その中で1点を返した時に少し相手の隙が広がり、そこでもう1点を取りたかったが、そんなに甘くはなかった。後半は『もう1回やり直すよ』とハーフタイムに指示をして入ったが、失点してしまった。ただ、3点差になった中でもアディショナルタイム7分を含めて、最後の最後まで攻撃を仕掛けてくれた。何度も何度も失点しそうなところを体を張って守ってくれた。あれだけやれる選手なので勝ちたかったが、少し(力が足りず)追い付けなかった」

──立ち上がりの失点シーンについて。
「あのシーンだけを振り返ると非常に難しい。ただ、一つのミスだけで失点したくないというのは選手みんなに伝えていた。(ミスがあった時に)戻って何とかしようとギリギリのところまでいっていたが、足りなかった。試合の入りについてはもっとシンプルにクリアや相手をひっくり返すなど、きめ細かく選手に伝えることができていなかったと思う。そこを気付かなかったのは私としても悔やまれる」

──監督としても緊張感があったのか?
「緊張は間違いなくあった。たくさんのファミリーの方の前で試合をするのも気持ちが昂る部分があった。ただ、鹿島という、前に圧力をかけてくる相手などを総合的に判断したら、やはり最初はシンプルでよかった。クリアで御の字と思ってよかったのかなと思う」

──復帰後、初出場となった塩谷司選手の出来について。
「キツい状況の中でシオに出てもらった。(チームとして)何が何でも点を取ってやろうという気持ちが強い中で無理なプレーが少し多くて、危険なカウンターを受けることもあった。そこでシオが入ってくれたおかげでボールを落ち着かせてくれて、チームを落ち着かせてくれた。そこから押し込むことは想像以上にできたと思っている。カウンターを受けそうな場面でも体の強さを生かし、行くところと引くところのメリハリの判断でもチームを引っ張ってくれた」

──中3日の次節・湘南戦は佐々木翔選手が出場停止だが?
「今はある程度、選手もケガから復帰してきて、トレーニングではすごく意欲的にやってくれている。意欲的にやってくれている選手が、空いたポジションで活躍してくれたらこれ以上はない。そこを期待しながら、少しスタッフで考えたい」

──攻守で見えた課題は?
「まず攻撃ではスピード感を持って相手にとって嫌なところを突くことはできた。また、ボールを繋ぎながら展開して、サイドで数的優位を作ることまではできた。あとはそこからの崩し、クロス、クロスへの入り、そのこぼれ球、中央での突破やコンビネーションを含めて(レベルが)上がっていったらと思う。後半も『もう一歩』というところのボールがズレたりしていた。新しく入った選手も含めて、全員でやっていかないといけない課題だと思う。
 守備は先ほど話したように、最初の入り。クリアするべき時にクリアすること。これをしっかりとやらないといけない。ただ、全部が全部ダメだったとは思っていない。最後の最後まで体を張ってくれたシーンは後半もたくさんあった。そのシーンを次の試合でも継続できるようにしながら、メリハリのところを伝えていければと思っている」

──試合が終わった後に選手へかけた言葉は?
「ビハインドになっている時間をずっと戦ってくれた。無理やり相手の隙間をこじ開ける90分+アディショナルタイムだった。それをあれだけハードワークしてくれた。もちろん、その分、ミスもあってカウンターを受けている。そういう厳しい試合を本当によく戦ってくれたと思っている。あれだけ選手が頑張ってくれている中で、だからこそ勝ちたかった。そのためには、やはり一つひとつ、少しずつでも積み上げていかないといけない。先ほど言った課題などをやっていくしないと思っている。そういう話を選手にした」

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