3.6 16:00

明治安田J1 第3節 vs. ヴィッセル神戸
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
1
ヴィッセル神戸 神戸
  • 後半37分
    佐々木
0
前半
1
1
後半
0
  • 前半28分
    アンドレスイニエスタ

試合の見どころ

 ついに待ちわびた日がやってきた。3月5日、新型コロナウイルスの水際対策で来日が遅れていたミヒャエル・スキッべ監督がついにチームへ合流。これまでスタッフや選手とはリモートで関わっていたとはいえ、「直接会って、直接目を見て話すことは本当に待ち望んでいたことだった」(スキッべ監督)。練習前、選手の前に初めて顔を出すと、笑顔で全員とハイタッチする歓迎ムードに包まれるなど、ようやく“スキッべ・サンフレッチェ”がスタートした瞬間だった。
 さっそくベンチ入りも果たす神戸戦。まだ合流して1日しか経っていないため、「明日に関しては、迫井(深也)ヘッドコーチをメインに考えている」(スキッべ監督)と神戸戦まではチームを見守る様子だ。ただし、合流する前から指揮官の意向を汲んだスタッフ陣が選手へ浸透させてきたスタイルは着実に根付いている。3日前のルヴァンカップGS第2節・名古屋戦では、稲垣祥やマテウス・カストロらタレント揃いの相手に2-0で勝利。敵将・長谷川健太監督が「今日は完敗です」と認めるほど、コンパクトな陣形から繰り出す前線からの強度の高い守備、素早い攻守の切り替えという“スキッべ・スタイル”が存分に発揮されたゲームだった。それを今節・神戸戦も継続するのみだ。
「神戸は世界的に有名な選手や日本人でも海外で活躍した選手がたくさんいる。そういったクラブ相手に自分たちのサッカーを貫いてどうなるか非常に楽しみにしている」とは指揮官。今季、ACLに参加する神戸は早くもリーグ戦4試合を消化している中、2分2敗と勝利がないが、海外で活躍してきたビッグプレーヤーは健在だ。アンドレス・イニエスタを筆頭にセルジ・サンペール、大迫勇也、酒井高徳らが揃い、今季はさらに扇原貴宏や槙野智章など経験豊富な選手を補強した。前節に武藤嘉紀が負傷退場したのは痛手だろうが、佐々木大樹など勢いのある若手などもおり、実力は確かである。そんな相手に広島は自分たちのスタイルを貫いて勝ち切れるかがポイントだ。
「もちろん勝つつもりでいる」と選手たちに大きな信頼を寄せるスキッべ監督。その手腕は今後のトレーニングを含めて発揮されるが、まずは明日のベンチに座っているだけで選手のモチベーションはさらに高まるだろう。リーグ初勝利へ。広島の準備は整った。

監督 試合前日コメント

──ここまで公式戦2勝2分けで負けなしだが?
「カップ戦は2戦2勝で非常に良い状況にある。このまま続けて、グループステージを突破したい。リーグ戦のほうは、初戦の鳥栖戦はあまりうまくいかなかったイメージはあるが、次の札幌戦でよく修正できていたし、チームが成長したと思っている。これを続けて明日の神戸戦は勝点3を取りたいと思っている」

──明日はベンチ入りするのか?
「定位置(ベンチ)に行きます(笑)。ただ、明日に関しては、迫井(深也)ヘッドコーチをメインに考えている。私が明日から全部をやるのは早過ぎる。迫井ヘッドコーチはここまで良い成績を収めているので、変える理由はないのではないか(笑)」

──シーズン途中の合流だが、監督の目指すサッカーをどう植え付けていくか?
「スタイルは現時点で分かっているところはあると思う。これまでの『前へ行く』という部分はやっていこうと思っている。それをどう落とし込んでいくかと言ったら、やはりトレーニングをして積み重ねていく作業が必要になってくる。今日やって明日すぐできるものでもない。ただ、直近のルヴァンカップ・名古屋戦のジュニオール・サントスのゴールは、あの時間帯(87分)になっても下がらずに前から行ったことから生まれたゴール。そういったシーンが多く増えればと思っている」

──練習後には青山敏弘選手と話していたが?
「非常に楽しく話ができた。目を見てオープンな話ができて良かった。彼自身はベテランと言われるが、『まだまだ成長したい』といった話をした」

──明日の神戸戦はどういう試合を見せたいか?
「神戸は世界的に有名な選手や日本人でも海外で活躍した選手がたくさんいる。そういったクラブ相手に自分たちのサッカーを貫いてどうなるか非常に楽しみにしている。もちろん勝つつもりでいる」

試合前情報

photo 今日のPLAYER OF THE MATCHは、佐々木翔選手!「焼肉白李」様より「A5広島牛サーロインステーキ・4キロ」が贈られました! photo 本日のスターティングイレブンはこちら! アウェイ・札幌戦から1トップを入れ替えて臨みます。ミヒャエル・スキッベ監督の初陣、そして、今季リーグ戦初勝利を飾るためにも、一丸となって戦います! photo 選手がピッチに登場! 水曜日のルヴァンカップでゴールを決めた、ジュニオール・サントス選手がスタメンに入りました。チームを勝利に導く一撃に期待大です! photo チームバスがスタジアムに到着しました! ミヒャエル・スキッベ監督が、マネージャーに続き、チームの先陣を切って登場! バスを待っていたファンに手を振るなど、笑顔も見せながらリラックスした表情でロッカーに向かいました。 photo 本日のロッカールームです。前節・北海道コンサドーレ札幌で貴重な同点ゴールを決めた森島司選手。2試合連続ゴールなるか!? 攻守のカギを握るプレーに注目です! photo 本日はホーム・ヴィッセル神戸戦! 昨日についにチームへ合流したミヒャエル・スキッべ監督の“初陣”となります。相手はアンドレス・イニエスタ選手やセルジ・サンペール選手、大迫勇也選手ら日本屈指のタレントを揃える強豪ですが、広島は新指揮官とともに今季リーグ初勝利を目指しますので、後押しをよろしくお願いします!

監督 ハーフタイムコメント

・もっとプレスに行くこと。
・丁寧にボールを繋いでいくこと。
・まずは同点に追い付くぞ!

ゲームレポート

 ミヒャエル・スキッべ監督の初陣で紫軍団が意地を見せた。
 前半の広島は苦戦した。「特に前半は神戸のほうが良いパフォーマンスを見せていた、神戸の試合だった」とスキッべ監督が振り返ったように、アンドレス・イニエスタを筆頭としたJ屈指のタレント軍団に対し、今季のスタイルであるハイプレスを仕掛けて主導権を奪いに行ったサンフレッチェは、序盤こそ相手を押し込んだものの、次第に神戸ペースへ。前線から広島がプレスをかけても、それを見越したように最終ラインの背後へロングボールを放り込まれてマークを剥がされ、守備の時間が多くなっていった。細かなパスの連係から崩された18分のピンチはGK林卓人の好セーブで凌いだが、20分から立て続けにCKを与えるなど神戸ペースで試合が進む中、均衡が破れたのは28分だった。神戸の最終ラインからロングボールを送り込まれて小田裕太郎に中央へのドリブル突破を許すと、エリア内で山口蛍へとパスが渡り、その折り返しをイニエスタに詰められて失点。リズムが悪い時間帯でリードを許してしまった。
「もっと丁寧にボールを繋いでいこう」。ハーフタイム、そうスキッべ監督の指示を受けた選手たちは、後半での挽回を目指した。前線でのプレスはそのままに、ボールを持てば細かなパス交換を駆使して神戸ゴールへ迫る。特に55分以降は相手陣地でプレーする時間も増えてくる中、柴﨑晃誠や4日前のルヴァンカップで結果を残した満田誠らを途中投入しながら攻撃へパワーを強めていった。
 エリア付近へ進出するものの、最後の精度を欠いてなかなかシュートまで持ち込めない広島だったが、じれったい展開をこじ開けたのはセットプレーだった。82分の敵陣地右サイドでのFK、野津田岳人のキックに合わせたのは佐々木翔。ヘディングシュートを豪快に突き刺し、ついに同点に追い付いた。
 その後も神戸を一方的に押し込んで逆転を目指したサンフレッチェ。右サイド・藤井智也がスピードを生かして何度も敵を切り裂いてクロスを送り込むなど、得点の匂いを漂わせていたが、決勝点を奪うまでには至らず。互いに前半と後半で良さを出し合った激闘は1-1のドローに終わった。
 初采配となったスキッべ監督は試合後、「今回の1-1の結果には満足している。得点を取った後も下がることなく前に得点を奪いに行った。勝ちに行こうとした我々のチームを褒めたい」と後半の逆襲について手応えを口にした。

監督 試合後コメント

「最初の5~10分は私たちがイメージしたようなサッカー、アグレッシブに前からボールを奪いに行くことができていたと思う。その後は神戸が我々のプレスを剥がすシーンもあったし、セットプレーから2~3回危険なシーンがあった。失点場面も含めて、前半の残りの時間は神戸の試合だったと思っている。後半は我々が主導権を握っていたと思う。我々が長くボールを保持しながら主導権を握るゲームができて、得点をしてからはもう少しで勝利できるところまでいけたと思っている。
 今回の1-1の結果には満足している。神戸が後半の頭にあったCKで得点を追加していたら、もしかしたら大差で負けていた可能性もあった。ただ、得点を取った後も下がることなく前に得点を奪いに行った。勝ちに行こうとした我々のチームを褒めたい」

──途中交代で入った満田誠選手はエネルギッシュなプレーを見せていたが?
「満田誠についてはすごく良いイメージを持っている。今回も途中で入って新鮮な風を吹かせてくれた。前回のルヴァンカップの時から良い活躍をして、良いパフォーマンスを見せていた。これからも期待したい」

──ハーフタイムの指示は?
「前半は後ろからロングボールを入れるシーンがたくさんあった。それをやめて、『後ろからしっかりボールを繋いで行こう』と話した。それによってボールを保持する時間、我々が支配する時間が長くなり、最後のほうがもう一歩で勝てるところまで行けたと思っている」

──映像で見ていた今までとは違い、実際のスタジアムで勝ち取った勝点1はやはり特別か?
「今までリモートでやっていたが、ここにいられることや選手、コーチングスタッフと一緒に働けて本当に嬉しく思っている。今までリモートでのインタビューでは、『待ち遠しい、待ち遠しい』と言っていたことが、ついに実現された」

──オンラインではなく、生で試合を見て、あらためて感じたことは?
「スポーツに関わる者としては、もちろん映像で見るよりもスタジアムで見ることが一番良い」

──選手の動きを見て感じた課題、可能性は?
「たくさんある。プレッシングのところもそうだし、パスの正確性も上げないといけない。CKの守備でも今日は神戸に苦しめられるシーンがたくさんあった。また、攻撃ではウイングのところまでは行けているが、最後の仕留める部分をもっと改善していかないといけない」

──リーグ戦はまだ勝利がないが、選手にはどういう声をかけて次の試合に臨みたいか?
「今日の試合に関して言えば、勝点1を取れたことに満足している。特に前半は神戸のほうが良いパフォーマンスを見せていた、神戸の試合だった。ただ、後半は点を取った後も怯むことなく前に進んで行った。相手を自陣に釘付けにすることができたのは、誇りを持っている。選手たちには、『ここまでの2週間で5試合というタイトなスケジュールでやってきたので、明日は休みに値する結果だ』と伝えた。『また火曜日からFC東京戦に向けて準備しよう』という話をした」

──初めての試合がホームでたくさんのファン・サポーターが集まったが、雰囲気について。
「素晴らしい雰囲気だったと思う。もちろん、今の新型コロナウイルスの影響で人数制限や声を出して応援してはいけない中だったが、観客の前でプレーできていること、サンフレッチェ広島という伝統のあるクラブがファン・サポーターから共感されていることも感じた。0-1という負けている状況の中でも皆さんが声援を送ってくれた。1-1で追い付いた後ももっと勢い付けてくれた。ファン・サポーターの皆さんには感謝している」

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