4.2 15:00

明治安田J1 第6節 vs. 湘南ベルマーレ
AWAYレモンガススタジアム平塚

試合終了

湘南ベルマーレ 湘南
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1
  • 後半15分
    満田

試合の見どころ

 浮上へのキッカケを掴みたい一戦だ。リーグ戦ではいまだ勝利がなく(3分2敗)、直近のルヴァンカップ・清水戦でも1-2で敗れるなど、公式戦3連敗中と結果から見放されている広島。この湘南戦から中3日や中2日で試合がやってくる“5連戦”が始まるとあっては、勢いに乗るためにより初戦が重要になる。ミヒャエル・スキッべ監督も連戦を見据えるのではなく、「一つひとつ戦っていく。まずは湘南戦に集中したい」と目の前のゲームに注力する覚悟を示す。敗れたとは言え、王者・川崎F相手にも対等以上の戦いを繰り広げるなど、どこが相手でも好内容は見せているだけに、あとは結果を得るだけだ。
 そして、今節は自信を得るためにも何としても勝利が欲しい一戦となる。相手の湘南も広島と同じく今季はリーグ戦で勝ち星がなく(2分3敗)、17位と18位の対戦。現時点での順位は意味をなさないとは言え、当然ながら6試合目で初勝利を奪うのと、奪わないとでは、チームの雰囲気も大きく変わってくる。勝利に飢えたチーム同士、激戦は必至だ。
 湘南も内容は決して悪くない。もはや伝統とも言える、全員が球際で戦い、ハードワークする組織的な守備、そしてボールを奪った際に人が湧き出て行くカウンターは今季も健在だ。1-2で敗れた前節・鹿島戦も一瞬の隙を突いて先制点を奪い、その後は2失点したとは言え、堅い守備ブロックを築いて相手を苦しめていた。3月29日に選手8名が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けたことが発表される苦しいチーム状況の中、今節はどんな顔ぶれで臨んでくるか不透明だが、チームのベースである“堅守速攻”は相変わらず要警戒となる。
 その上で広島としては、「良いプレッシングからの魅力的なサッカーを目指したい」と話す“スキッべ・サッカー”をブレずに突き詰めるだけだ。陣形をコンパクトにした前線からのハードプレスが機能して相手を押し込む戦いが体現できている現在、リーグ戦3試合連続でシュート数で相手を上回り、決定機も何度も作り出している。もちろん、一瞬の隙やセットプレーから失点を重ねているのは反省点だが、勝利を奪うための躍動感のある戦いは自信を持っていい。今週の練習場でも変化を恐れることなく進化に向けて励んでおり、準備は万端。紫軍団は勝点3を奪うべく、湘南へ乗り込む。

監督 試合前日コメント

──今節・湘南戦に向けて。
「他の試合と同じように重要な一戦だと捉えている。ただ、必要以上のプレッシャーをチームにかけたくない。順位表を見ても分かるとおり、我々は下のほうにいるし、相手も同じ。そういう状況にありながらも我々はすごく良いサッカーができている。先週までのサッカーを引き続き、やっていこうと思っている」

──今季の湘南の印象は?
「神戸や川崎F、FC東京とは別のクオリティーが湘南にはある。アグレッシブさやセットプレーの強さは警戒しないといけないが、その準備は十分にできた」

──最近は前半から良いサッカーができているが、先に失点してしまっているが?
「川崎F戦の最初の5分を除けば、基本的には前半はうまくいっているイメージはある。先制点を取って、失点をしないことはもちろん我々の目的。ただ、全体的にチームが見せているパフォーマンスは問題ないと思っている」

監督 ハーフタイムコメント

・簡単にボールを失わないこと。
・テンポ良くボールを動かすこと。
・相手を押し込んだ状態で崩していこう。

ゲームレポート

 “スキッべ・スタイル”がようやく花開いた。
 今季リーグ未勝利同士の一戦。「難しい試合になることは最初から分かっていた」とミヒャエル・スキッべ監督が語ったとおり、序盤の広島は苦戦した。スタイルである後方からのポゼッションで攻撃を組み立てようと試みるも、相手のストロングである激しいプレスからボールを奪われてはカウンターを受ける展開に終始。「前半はうまくいっていないと感じていた」とピッチに立っていた満田誠もそう体感するほど、なかなかリズムを作れなかった。
 ただし、時間の経過とともに徐々に紫軍団にリズムが出てきた。ペースが落ち着いてきた前半途中から、我慢強くボールを繋いで攻撃に出られるようになると、ミドルシュートを連発。ゴール前で崩すことはできなかったが、右サイドから藤井智也がシュートを放てば、浅野雄也、森島司、塩谷司らが遠い位置から果敢に狙ってゴールへの強い意識を見せた。前半のシュート数は広島が7本で湘南が2本。少しずつ、広島らしさを取り戻してハーフタイムを迎えた。
 すると、後半はようやくリズムをつかんだ。「下がって、下がって、ボールを受けに行くと相手の思うつぼ。プレスにハマってしまう。そうならないように、背後へ抜けることや幅を使った攻撃をする必要があった」と言うスキッべ監督の指示を受けると、前線からのハードプレスで相手を押し込み、サイドを攻略していくスタイルを披露。その形が得点に繋がったのは、60分だった。右サイドで藤井が持ち味のスピードを生かして相手を振り切りクロスを送ると、中央で詰めていたのは満田。右足で豪快に突き刺して、ようやく先制点を奪った。
 その後も攻撃の手を緩めることなく果敢に攻めた広島は、途中出場のジュニオール・サントスを生かしたカウンターを含めながら追加点を狙う。東俊希の決定機など、最後の局面で決め切ることはできなかったが、湘南の最後の攻勢も粘り強く凌いで1-0の完封勝ち。今季リーグ戦初勝利はスキッべ監督来日後初の勝利ともなった。
「今までも確信は持っていた。このままやって行けば良いチームになっていく、状況が良くなると思っていた。今回は結果が伴って、より強い確信になった。良い方向に流れて行くと思う」。リーグ戦6試合目の勝点3にスキッべ監督もようやく満面の笑みを見せた。

監督 試合後コメント

「厳しい試合になるのは最初から分かっていた。試合は湘南が最初の25分あたりまで非常に厳しいプレスをかけてきたので、我々の難しい時間帯が続いていた。その後は自分たちもリズムを作れるようになり、後半も良くなっていった。得点を取れた時間帯やその後も引き続き攻めることができた。ゴールシーンを振り返っても、我々が練習してきたとおりの形を作れたと思う。(藤井)智也のクロスからエリア内を分担できて、最後のマコ(満田)のシュートまで素晴らしかった。今日は自分たちのチームを褒めたいと思うし、湘南もこのプレーを続けていけば、今後は必ずポイントを稼げるチームだと思っている」

──満田誠選手のゴールは練習でやっていた形だが、その時間帯に交代させようとしているように見えたが、そのあたりも含めての評価をお願いします。
「今日のマコは非常に良いパフォーマンスを見せたと思う。普段からアグレッシブで1対1に強く、走り込める良いタレントだと思っている。マコについては交代を考えていたわけではなく、以前の試合でも一番シュートを打っている選手ということで、最後までいってもらおうと考えていたが、試合中に少し問題が起こっていたので交代させざるを得ない状況になった。その後に入った(東)俊希も非常に良い働きをしてくれて、もう少しで2-0にするチャンスもあった」

──前半途中ぐらいから、後半にかけてボールの即時奪回が多くなったが?
「ボールを奪ってから攻撃に移すことに関して、いつくかはチャンスを生かし切れずにシュートまで持って行けないシーンがあった。一方で湘南はGKを中心にすごく良い守りを見せたと思っている。GKのファインセーブもいくつかあった」

──良いサッカーを続けながらなかなか勝てなかったが、今日は監督もホッとしたのでは?
「今までも確信は持っていた。このままやって行けば良いチームになっていく、状況が良くなると思っていた。今回は結果が伴って、より強い確信になった。良い方向に流れて行くと思う」

──チームにとってリーグ戦初勝利とともに監督も初勝利だが、感想は?
「ホッとしたのと嬉しい気持ちがある。ここまでの道のりは長かった。まずは(新型コロナウイルスの水際対策で)入国できず、プレシーズンは遠く(ドイツ)から(リモートで)参加する状況だった。その中で日本人スタッフとドイツでリモートで進めて行った。いざ来日できた後はなかなか結果が付いてこなかった。ただ、それでも、みんな一丸となって働き続けて、やっと勝点3を取れた。ここから、またさらにチームワークが強くなっていくのではないかと思っている」

──湘南はハードワークするチームだったが、意識していた部分は?
「簡単にボールを失わないことが必要だった。我々にも前半にあったが、森島(司)がボールを貰いに深くまで降りすぎてしまい、そこでボールを奪われてピンチを招くシーンがあった。下がって、下がって、ボールを受けに行くと相手の思うつぼ。プレスにハマってしまう。そうならないように、背後へ抜けることや幅を使った攻撃をする必要があった。時間が経つにつれて、その問題点は改善されて主導権を握れるようになった」

──ワールドカップでドイツと日本が同じグループになったが、モチベーションにもなったのか?
「それがモチベーションになったということはないが、日本とドイツが直接対決できるのは嬉しく思う。近年はドイツもスペインも一番良いパフォーマンスから少し遠ざかっている状況にある。そのため、日本も今の勢いを持って行けば、十分に絡んでいけるのではないかと思っている。(プレーオフの結果次第で)コスタリカも入ってくると思うが、そこも含めて非常に難しいグループだと思う。面白いワールドカップになるのではないか。ドイツとスペインも予選突破を確定できるとは言えない、難しいグループだと思っている」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い湘南でのゲームとなりましたが、約850名もの方にお越しいただきました。皆さまの後押しがリーグ初勝利に繋がりました。今日も熱いサポート、ありがとうございました。

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