11.5 14:00

明治安田J1 第34節 vs. サガン鳥栖
AWAY駅前不動産スタジアム

試合終了

サガン鳥栖 鳥栖
2
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半12分
    宮代大聖
  • 後半15分
    ファンソッコ
0
前半
2
2
後半
0
  • 前半3分
    佐々木
  • 前半42分
    満田

試合の見どころ

 最後まで勝利あるのみだ。2022シーズンもついに残り1試合。天皇杯準優勝、ルヴァンカップ初制覇と充実のシーズンを過ごしてきたサンフレッチェにとって、リーグ戦の“3位死守”が最後の目的となる。3位になったとしても来年のACL決勝で浦和が敗れなければ、広島のACL出場はかなわない他力の状況だが、まずは3位を確保すること。4位・C大阪、5位・鹿島との勝点差は「3」のため、広島は引き分けでも抜かれることはないが、当然ながら最終節も勝ちに行く。
 今季最後の相手としても申し分ないチームだ。敵地で戦うのは、開幕戦で激突した鳥栖。2月19日はまだミヒャエル・スキッべ監督が来日できていなかったが、今季の武器である前線からのプレスがまったく機能せず、鳥栖に主導権を握られ、何とか0-0で引き分ける苦戦したゲームだった。あれから8カ月半、鳥栖は就任1年目の川井健太監督の下でさらに巧みなポゼッションサッカーを進化させ、J1で旋風を巻き起こしてきた。GKからじっくりとビルドアップを繰り出し、前線にボールが入れば宮代大聖や岩崎悠人、西川潤らイキの良いアタッカーがスピーディーかつ多彩な攻めを見せる。札幌の名将・ペトロヴィッチ監督が「鳥栖のサッカーを見たほうがいい」とベタ褒めするほど、日本で魅力的なサッカーを繰り広げているチームだ。直近の5試合は1分4敗と失速気味だが、その実力に疑いの余地はなし。今季途中まで在籍していた長沼洋一やかつてのリーグ戦制覇に貢献したファン・ソッコらも主力を張るなど、広島としてはいろんな面で楽しみなゲームとなる。
 そんな難敵・鳥栖戦に向けてミヒャエル・スキッべ監督がポイントに挙げたのが守備の安定感だ。前節・札幌戦やルヴァンカップ決勝・C大阪戦などでは「速攻からピンチを招いているし、失点している。修正しないといけない」と指揮官。1-2で敗れた前節の札幌同様に、鳥栖も鋭いカウンターは一つの武器であり、警戒ポイントである。もちろん前線からのハイプレスで最終ラインを高く保つ広島の戦いはカウンターを受けやすい面もあるが、全体が組織的かつコンパクトな陣形を保ちながら、いかに押し込み続けて主導権を奪うか。それが相手の速攻を封じる大きな手段でもある。その上で「チャンスは作れている。シュートの精度を上げること」(スキッべ監督)とゴールを目指すのみ。今季積み重ねてきたアグレッシブで魅力的なサッカーの集大成として鳥栖へ乗り込む。

監督 試合前日コメント

──今季最後の練習となったが?
「天気も良かったし、すごく良い雰囲気の中でトレーニングできた。3位を獲得するためにチームは最後の力を振り絞ってすべてを出し尽くすということは確認できた。明日はすごく楽しみだし、全力を尽くしたい」

──鳥栖の強みは?
「全体的にバランスの取れた良いメンバーがいるチームだと思う。全員でしっかり守り、全員でプレッシングもかけられる。オフェンスにも行ける。GKからコンビネーションでしっかり前までボールを繋いでシュートまで行けるのは彼らの強み。セットプレーも相手は素晴らしい。CKはもちろん、FK、スローインまで、気を付けないといけない。我々は自分たちの一番良いサッカー、ベストなサッカーを見せて勝ちたい」

──相手には今季途中まで所属していた長沼洋一選手がいるが?
「また会えるのは楽しみ。鳥栖に移籍してレギュラーを取り、J1の選手としてやれることをしっかりと証明したのは彼にとって良かった」

──明日は今季の総まとめの試合だが、監督自身、どういう気持ちでいるか?
「今シーズン見せてきたサッカーの総まとめということで、情熱と勇気を持ってやっていきたい。最後の試合で良いサッカーをして、良い結果を残して、良いシーズンだったと言えるようにしたい」

──引き分け以上で3位確定は有利な状況だが、気持ちの持ち方も重要では?
「C大阪が前節に勝点を落としたことで最終節でも我々が有利な状況になっている。最後の最後なので、すべてを出し切ることが重要になる」

監督 ハーフタイムコメント

・コンパクトな陣形からプレッシングすること。
・奪った後のボールをしっかり繋ぐこと。
・後半も全力を出し切ろう!

ゲームレポート

 紫軍団が今季最終戦で意地を見せた。
 引き分け以上で3位確定が決まる広島だったが、序盤から受けに回ることなくホームの鳥栖に襲い掛かった。開始早々の3分、左サイドで1本目のCKを獲得すると、チャンスをさっそくモノにする。野津田岳人の正確なキックから佐々木翔が頭で決めて先制。試合を優位にする貴重なゴールとなった。
 その後も広島は持ち味の前線からのアグレッシブな守備をベースに主導権を握ってサッカーを展開。時に鳥栖の鋭いカウンターを受けてピンチも招いたが、3バックの中央に入った住吉ジェラニレショーンらが体を張って阻止するなど、相手に得点を与えない。次第に両ゴール前の攻防が多くなる戦いは白熱し、見応え十分の攻防となった。すると、前半終了間際に訪れた好機を再びモノにしたのは広島だった。42分、左サイド・柏好文のスルーパスに満田誠が抜け出すと、エリア内左寄りの位置から右足で芸術的なゴールを突き刺して2-0。広島が優位な状況で前半を終えた。
 ただし、難敵・鳥栖との戦いはやはり簡単には終わらなかった。「後半もすべてを出し切ろう」とミヒャエル・スキッべ監督から声をかけられてピッチへ送り出された広島だったが、後半立ち上がりに試練が訪れた。57分、自分たちの連係ミスを突かれて宮代大聖に1点を返されると、その3分後にはCKからファン・ソッコにも決められ早くも同点に。その勢いのままに鳥栖に主導権を奪われる苦しい戦いが続く中、広島は耐える時間帯が続いた。
 そこからは広島が執念を見せた。ピンチを招きながらも最後の局面では粘り強い守備で追加点を与えずに耐え凌ぐと、攻撃では最後の力を振り絞って鳥栖ゴールへ迫っていく。だが、何度か訪れた決定機を決めることができず試合は2-2でドロー決着。逆転を許すことなくしぶとく勝点1を上積みした広島の3位が確定した。
 天皇杯では準優勝、ルヴァンカップ初制覇、そしてリーグ戦では3位と就任1年目から大きな成果を見せたスキッべ監督は、「今シーズン、上位チームとして1年間過ごせたと言える」と大きな手応えを口にし、「リーグ戦、天皇杯、ルヴァンカップとすべての試合において素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」と選手の頑張りを称えて今季を締めくくった。

監督 試合後コメント

「今シーズン、すべての試合において記者の方々とは良い関係を築きながらやってこれた。感謝している。それから、我々のファミリーもホームだけでなく、特にアウェイで力強く後押しをしてくれたことに感謝を申し上げたい。また、我々のコーチングスタッフ、メディカルスタッフ、マネージメントスタッフ、クラブ関係者にもこの場を借りて感謝を申し上げたい。そして何よりも選手に感謝したい。リーグ戦、天皇杯、ルヴァンカップとすべての試合において素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。今日はこの素晴らしい環境の中、ほぼ満員に近いたくさんの観客の前でプレーできたのは、両チームにとって素晴らしいことだったと思う。今日は自分たちの選手に関して誇りを持てるパフォーマンスだったと思う。特に前半は自分たちの素晴らしいサッカーができた。後半も立ち上がりまでは良かった。ただし、失点してしまった5分間が悔やまれる。その後はしっかり持ちこたえて、残りの20分、25分は強いメンタリティーを持って、もう一度盛り返したのは素晴らしかった。ここからはオフに入るのでワールドカップでも見ながらのんびり過ごしたい。その後は1月にみんなで集まり、もう1回サッカーができるのを楽しみにしている。ワールドカップではドイツと同様に日本を応援している」

──リーグ戦3位を獲得したが、監督自身、どういう思いか?
「今シーズン、上位チームとして1年間過ごせたと言える。また、3位ではあるが、上位2チームとは少し離れてしまった。横浜FMには『優勝おめでとう』と言いたい。3位だとACL出場権を獲得できるかもしれない状況になった。ただ、そのためには浦和がACL決勝で負けるという条件が付いてくるが、浦和には決勝で日本のチームとしてしっかり戦ってほしいし、結果を残してほしい気持ちがある」

──今日は5分間で2失点したが、今シーズンは何度か見られることだった。その原因について、どこを修正すべきか。
「今日の2失点は偶然にその時間帯が重なったというのが正しいと思う。1失点目に関しては非常にアンラッキーだった。2失点目は結果的に連続失点になったが、相手の素晴らしいCKだったことから、あのタイミングでこなかったとしても、(別の時間帯に)なる可能性も高かったと思っている。ただ、2失点した後にしっかり持ちこたえたのは、むしろ評価したいポイント。それができるのであれば、来季に向けても大丈夫だと感じている」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 鳥栖での今季最終戦に多くのサンフレッチェファミリーの方々にお越しいただきました。皆さんの後押しがリーグ戦3位に繋がりました。今年1年間の熱い応援に大変感謝しております。ありがとうございました。

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