2.26 14:00

明治安田J1 第2節 vs. アルビレックス新潟
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
2
アルビレックス新潟 新潟
0
前半
2
1
後半
0
  • 前半14分
    太田修介
  • 前半37分
    鈴木孝司

試合の見どころ

 気持ちを新たに“初勝利”を目指す一戦だ。スコアレスドローに終わった前節の開幕・札幌戦。後半29分の川村拓夢のシュートがVARを検証した結果、ゴールラインを割っていたという見解が今週になってJFA審判部から発表される驚きの事態に。公式記録上、もう結果が覆ることはないが、モヤモヤの残るゲームとなった。ただし、チームに動揺は一切ない。川村は言う。「ミスは誰だってある。それよりも他の決定機で決められなかったことのほうが悔しい。次はしっかりネットを揺らしたい」。多くのチャンスを作り出す好内容だった札幌戦。その戦いで勝利に繋げられなかった悔しさを今節にぶつけるだけだ。
 今回もなかなかの難敵だ。相手である新潟は2017年以来のJ1復帰となったチームだが、実力に疑いの余地はない。「(前節・)C大阪戦を見たが、すごく良い試合をしていた。あのレベルをキープできるのであれば、今後良い順位に収まるのではないか」(ミヒャエル・スキッべ監督)。J2時代から築き上げている後方からじっくりとボールを繋いで攻撃を繰り出すポゼッションサッカーはまさに洗練されており、2-2で引き分けたC大阪戦でも好内容を披露。多くの時間帯で主導権を握っていたのは新潟であり、チャンスの数も新潟が上だった。
 注意すべき選手はやはりあの男だ。新潟の後方からのビルドアップで起点となっているのが、広島で3度のJ1制覇に大きく貢献した千葉和彦。巧みな足下は37歳となった現在も衰えておらず、細かくパスを繋いで攻める新潟のスタイルの象徴となっている。そして前線へ繋がれば、若くて勢いのあるアタッカー陣が充実。開幕戦でJ1初得点を奪った1トップの谷口海斗は献身性のあるストライカーで、その下に位置する伊藤涼太郎は機動力とテクニックに優れた25歳。そして右サイド・三戸舜介と左サイド・小見洋太の20歳コンビも高い技術を生かして果敢に切り込んでくるアタッカーであり、注意が必要だ。強烈な外国籍選手に頼らなくても日本人を中心に高い組織力で戦う新潟のチーム力はすでにJ1レベルにあり、簡単に勝点3を掴むことはできないだろう。
 勝利のカギは、広島のスタイルを出し尽くすことだ。「相手(新潟)の良さを出させないこと。我々のサッカーをやり続けることが重要なポイントになってくる」(スキッべ監督)。前線から果敢にボールを奪いに行く広島の戦いこそが新潟のポゼッションというストロングを封じることに繋がる。ハマれば札幌戦同様に主導権を握りながら相手を押し込み続けられ、好機の数も多くなるはずだ。反対に相手に自由を許せば新潟ペースで試合は進んでしまう可能性は十分。広島はアグレッシブさと組織力で相手を上回り、今節こそゴールネットを揺らしたいところだ。

監督 試合前日コメント

──チームの状態は?
「状態はすごく良いと思っている。この1週間は良いトレーニングができたし、何も問題なくできている。本当に良い準備ができたので、先週の札幌戦に続き、良いサッカーができるのではないかと思っている」

──新潟はポゼッション志向の強いチームだが、警戒するべき部分は?
「しっかり後ろからビルドアップしてきて、前にはゴールを取れるFWがいる。サイドにも速いウイングの選手がいる。そういった相手の良さを出させないこと。我々のサッカーをやり続けることが重要なポイントになってくると思う」

──攻守のセットプレーがカギになるのでは?
「セットプレーが非常に重要な要素なのは間違いない。そこからチャンスを作れたら良いと思うが、反対に相手に与えないことも重要なポイント。前節・札幌戦は相手のCKをゼロに抑えられたので、そうすればCKからの失点はなくなる」

ゲームレポート

 怒涛の反撃もあと一歩が足りなかった。
 今季初勝利を目指した今節、立ち上がりの広島の出来は悪くなかった。後方から巧みにパスを繋いでくる新潟に対し、自慢のハイプレスを発動。10分過ぎまで相手に自由を許さずゲームを進めると、川村拓夢や松本泰志、野津田岳人らが果敢にシュートを放っていく。試合は広島ペースかと思われたが、一瞬の隙を突かれてしまったのは14分だった。右サイドから攻め込まれると、塩谷司の懸命のスライディングが太田修介へと渡り、左足を振り抜かれて失点。早々にリードを許してしまった。
 それから前半は完全に新潟ペースとなった。15分に訪れたCKからの決定機を柏好文が逃すと、その後は新潟の流れるようなコンビネーションプレーから何度もピンチを招く。2度はポストやクロスバーに助けられた場面はあったが、完全に崩されてしまったのは37分だった。相手のスピーディーな攻撃を抑えられずに攻め込まれると、最後は鈴木孝司に詰められ0-2。前半だけで2点のリードを許す苦しい展開となってしまった。
 そうなると、ハーフタイムにミヒャエル・スキッべ監督は大きく動いた。柏好文、松本泰志、中野就斗を下げて、東俊希、森島司、ピエロス・ソティリウを投入。3枚替えでシステムを1トップから2トップへ変更して攻撃に厚みを出し反撃に出た。
 結果的に、この采配はチームに大きく流れを呼び込んだ。後半は新潟に1本のシュートも打たれなかったように、ほぼハーフコートゲームの様相で相手を自陣に釘付けにした。ナッシム・ベン・カリファとピエロスの2トップが圧力を掛け続け、それに続くように後方の選手たちも前へ、前へと攻めに出る。それでも集中した新潟守備陣をなかなか攻略できずに時計の針は進んでいくと、やっと打開できたのは79分だった。セットプレーのこぼれ球をペナルティーエリア外から塩谷司がダイレクトで右足を振り抜いてゴールネットを揺らし、1点差に。その後も怒涛の猛攻で新潟ゴールへ迫り続けた広島だったが、あと一押しが足りずタイムアップ。1-2で敗れたサンフレッチェの今季初勝利はお預けとなった。
 開幕戦に続いてホームで勝点3を取れなかった今日の結果について「残念な気持ちでいっぱい」と漏らしたミヒャエル・スキッべ監督だが、「後半に我々は再び立ち上がった。前半の出来を払拭するようなサッカーができたのは素晴らしかったと思っている」と盛り返した後半の出来については選手を称えた。

監督 試合後コメント

「まず新潟に『おめでとう』という言葉をかけたい。前半は素晴らしい出来だった。ただ、我々も後半はファンタスティックな素晴らしい試合をしたと思っている。気持ち的には二重以上の攻撃をしたにも関わらず、同点にまではできなかった。今日の敗戦については残念な気持ちでいっぱい」

──前半の2失点が最後まで響いたが、前半は何が上手くいかなかったのか?
「1失点目までは良いサッカーができていたと思っている。相手がボールを奪った後の切り替えが速いのは、(前節・)C大阪戦を見ていたので知っていた。その中で前に行くプレッシングの迫力が少し足りなかった時に相手のカウンターを受けてしまった。相手はもっとリードを広げる可能性もあったと思う。ポストに当たったシュートや(大迫)敬介が防いだシュートもあった。ただ、前半は我々にも良いチャンスはあった。また、後半に我々は再び立ち上がった。前半の出来を払拭するようなサッカーができたのは素晴らしかったと思っている」

──立ち上がりを含めて、押し込んだ状態でゴールを決められなかった。後半は一方的に攻めた中で1得点しかできず、決め切るところに課題があると思うが、解決策は?
「我々の選手が点を取れるクオリティーがあるのは昨年示したと思っている。それから、ピエロス(・ソティリウ)やモリシ(森島司)がケガから戻ってきたばかりというのも考慮しないといけない。セットプレーに関しても、前節もそうだったし、今節もあと一歩のところ、数cmというところまではいっている。攻撃では最後の細かいところが足りないと思っている」

──森島司選手と東俊希選手が入った後半はすごいプレーがたくさんあったが、二人の出来について。
「彼ら二人に関してはチームにおいて重要な役割を担っている。特に俊希は重いケガから戻ってきて、またフィールドに立っているのは嬉しく思っている。モリシに関してもケガがひどくなく、すぐ帰ってこられたのは嬉しく思う。ただ、その二人だけでなく、他にも(川村)拓夢など若い選手はいる。若い選手だけでなく、(佐々木)翔やシオ(塩谷司)などベテランについても同じようにチームにとって重要な要素であることに変わりない」

フォト

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