3.12 16:00

明治安田J1 第4節 vs. ガンバ大阪
AWAYパナソニック スタジアム 吹田

試合終了

ガンバ大阪 G大阪
1
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 後半25分
    宇佐美貴史
0
前半
1
1
後半
1

試合の見どころ

 カップ戦の勢いを持って臨む一戦だ。開幕からリーグ戦3試合で勝ちのない(2分1敗)中で迎えた8日(水)のルヴァンカップ初戦・横浜FC戦は、3-1で“今季初勝利”。直近のリーグ戦から先発全員が入れ替わった中、先制こそ許したものの、攻撃的でアグレッシブなスタイルを貫き続けて主導権を握り、交代で入ってきた“リーグ戦メンバー”の力も加えながら逆転した、まさにチーム全員の勝利だった。「全体的にパフォーマンスには満足している」(ミヒャエル・スキッべ監督)。リーグ戦の主力を脅かす存在感を見せた選手もおり、チームの底上げは着々と進んでいる。この良い流れを今節に繋げたいところだ。
 ただし、今回もなかなかの強敵だ。敵地で戦う相手は、関西の名門・G大阪。今季はここまでリーグ戦2分1敗と広島とまったく同じ成績で、8日のルヴァンカップで今季初勝利を挙げたのも同じ。リーグ戦では前節・神戸戦で0-4の大敗を喫しているが、内容を見れば決して大きな差があったわけではない。むしろ、個々のタレントは相変わらず充実している。
 前節は80分に負傷交代したチュニジア代表ストライカーのイッサム・ジェバリが出場するかは不透明だが、前線には185cmの大型ストライカーである鈴木武蔵が控えている。他にも今季から7番を背負うエースの宇佐美貴史や小柄なアタッカー・山見大登、推進力のあるファン・アラーノ、イスラエル代表の実力者であるネタ・ラヴィ、山本悠樹、三浦弦太、GK谷晃生など顔ぶれは充実。前節はサブに鈴木や食野亮太郎、山本理仁、ダワン、GK東口順昭らが揃う厚い選手層だった。さらに8日のルヴァンカップ・京都戦では、福田湧矢や石毛秀樹といった実力者も活躍しており、やはり総合力は高い。今季から指揮を執るスペイン人のダニエル・ポヤトス監督は、これらのタレントを生かしながらポゼッションスタイルへと舵をきり、高みを目指している。「昨年のG大阪とは違う。スペイン人の監督になったことで、しっかりとボールを持って前に進んで行くスタイルになっている」とスキッべ監督も警戒しているチームだ。
 とはいえ、広島のスタンスは変わらない。相手が後方から繋いでこようとも、アグレッシブに前から果敢に奪いに行き、ボールを持てばスピーディーに縦に突き進む。前節の王者・横浜FM戦も、敵地だろうと臆することなく全力でスタイルを出し切った結果が1-1の引き分けだった。リーグ戦の初勝利は確実に近付いてきている。
「昨年のアウェイのG大阪戦は一番良くない試合だった。今回はサンフレッチェのスタイルを出し切ろう」
 選手にそう伝えて大阪へ向かったスキッべ監督。広島の力を出し尽くし、勝利を追い求めるだけだ。

監督 試合前日コメント

──G大阪の印象は?
「今の順位(16位)にいるよりも良いチームだと思っている。今季からスペイン人の監督が就任し、よりサッカーをやろうとしている。そういう形に変わっている。裏に抜ける攻撃もするし、セットプレーも良い」

──G大阪はボールを握るサッカーなので、広島としても戦い方はシンプルに行けるのでは?
「我々の良さを出すことはもちろんだが、相手もボールを握るサッカーの良さを出してくると思う。その中でカギになるのは、全員で連動すること。プレッシングは一人だけにならず、二人、三人と行けるようすることがカギを握ると思っている」

──ルヴァンカップ勝利がG大阪戦に向けて良い影響を与えるのでは?
「自分たちにすごく良い影響があったと思うが、それはG大阪にも言えること。相手もルヴァンカップ初戦で勝っている。その意味では、次は重要なゲームになる。モチベーションも上がっている中で、良い試合をして、ポイントを取るところまでいきたい」

──良い戦いをしたルヴァンカップのメンバーを今回の試合で組み込みたいところはあるか?
「そのように考えている。最後の最後まで考えたいのでメンバーは決まっていないが、その前の試合も悪くなかったので、それほど大きく変えるつもりはない。横浜FC戦もそうだが、横浜FM戦も素晴らしいパフォーマンスを見せたと思っている。ここまで4試合を戦ってきた中で、唯一納得がいかないところがあるとすれば、新潟戦の前半30分ぐらい。それ以外のところでは、自分たちのパフォーマンスは納得している」

──ルヴァンカップ・横浜FC戦のように複数得点を奪うカギは?
「裏を取ることやコンビネーションからシュートまで繋げるなど、自分たちのサッカーをやること。チャンスは作れているので、しっかり決め切ること。また、チャンスの数を多く作ること。それらを常にチャレンジすることが大切」

ゲームレポート

 紫軍団が最後の最後で意地を見せた。
 互いにリーグ初勝利を目指した一戦。序盤の入りで主導権を握ったのは広島だった。「我々は前節の横浜FM戦も今日のG大阪戦も素晴らしいスタートをきれたと思っている」とミヒャエル・スキッべ監督が話したように、キックオフからアグレッシブな入りで相手を押し込んで攻撃を仕掛けると、開始2分だった。左サイド・東俊希の柔らかな縦パスに森島司が抜け出すと、中央へのシュート性のクロスをGKが弾き、そのこぼれ球をナッシム・ベン・カリファが詰めて先制。前節・横浜FM戦の開始4分よりも早いゴールで広島がリードを奪うことに成功した。
 その後もリズムに乗ったサンフレッチェは、G大阪ゴールへ何度も肉薄。相手の素早い攻めを早い段階で潰し、敵陣でボールを保持しながらゲームを進めると、野津田岳人のミドルシュートやセットプレーの流れから佐々木翔がヘディングで相手ゴールを襲うなど、追加点を果敢に狙いに行った。
 だが、この日はここで決められなかったのが響いた。次第にG大阪の圧力を受ける展開へと試合の流れが変わって行くと、鈴木武蔵らにチャンスを作られる。最後の局面ではDF陣を中心に何とか耐え凌いで、前半を1-0のリードで終えた。
「全体的に良いサッカーはできている」。そうスキッべ監督がハーフタイムに指示を送ったものの、後半もゲームの流れは変わらなかった。前半にイエローカードを1枚貰っていたピエロス・ソティリウから松本泰志に代える決断をしたスキッべ監督だったが、序盤から押し込まれる展開に。「彼(松本泰志)のパフォーマンスが悪かったわけではなく、自分の選手交代による戦術変更がうまくいかなかったから」と自身の采配ミスを悔いたとおり、G大阪の猛攻を受け続けると、70分のことだった。ゴール前で宇佐美貴史の突破を許すと、右足で豪快に決められて1-1の同点に追い付かれてしまった。
 すると、スキッべ監督はすぐに動いた。73分、後半から入った松本泰志に代えて中野就斗を投入すると、ここからようやく紫軍団が巻き返した。次第にG大阪ゴールへ迫る回数が増え、中野の突破からチャンスを迎えるなどリズムを掴むと、歓喜の瞬間は後半アディショナルタイムに訪れた。ナッシムがエリア内で倒されてPKを獲得すると、満田誠が確実に決めて2-1。耐え続けた広島が最後の最後でG大阪を突き放し、リーグ戦4試合目でようやく初勝利を奪った。

監督 試合後コメント

「すごく緊迫した良いレベルのゲームをG大阪相手にできたと思う。我々は前節の横浜FM戦も今日のG大阪戦も素晴らしいスタートをきれたと思っている。ただ、その後の追加点を奪える状況をたくさん逃してしまったところはある。後半はピエロス・ソティリウを代える決断をした。彼自身、前半でイエローカードを貰っていたので、そこを考慮してレッドカードを貰わないように代えた。ただ、その交代によって自分たちというよりも相手を勇気付ける形になってしまい、失点してしまった。普段だったら途中から入れた選手を代えることはしないが、今日は松本泰志に対してそういう決断をした。彼のパフォーマンスが悪かったわけではなく、自分の選手交代による戦術変更がうまくいかなかったから。松本泰志を代えた後は、自分の犯したミスをもう一度修正しようと考えた。それがうまくいき、前へアグレッシブに行けるようになった。最後の15分ぐらいは前からアグレッシブに行けるようになったことで、シュートやゴールのチャンスを作ることができた。今日の試合はお互いに素晴らしいサッカーを繰り広げたと思う。G大阪は特に後半は素晴らしいサッカーを繰り広げた。特に宇佐美貴史選手は彼はドイツでも実力を示していたとおり、素晴らしい選手だったと思っている」

──満田誠選手がPKを決めて勝利したが、PKと言えば天皇杯決勝を思い出したが、彼が蹴ることと決めたことについて。
「天皇杯のときもその(外した)後にもう一回蹴って、彼は決めている。PKを蹴ること、外すことはどの選手でもあることだと思っている。ただ、彼の能力は信じているし、もしマコ(満田)が蹴らず(川村)拓夢が蹴っていても決めていたと思う」

──4試合目でリーグ初勝利となったが?
「ここで勝点3を取れてすごく嬉しく思う。ただ、ゲームの流れの中で引き分けだったかもしれないし、宇佐美選手の素晴らしいシュートを(大迫)敬介が止めていたが、止められなかったら負けていた可能性があった。この勝利を次に繋げることが重要になる」

──松本泰志選手を投入したのはどういう狙いを持って起用し、何がうまくいかなかったのか?
「交代によってうまくいかなくなったのかは分からないが、後半の頭から全体的に受け身になってしまった。松本泰志のプレーが悪かったわけではないし、彼を代えた後にもう一度前に行けるようになったのが(チームが)変わったこと」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は大阪でのゲームにも関わらず、約1,500名もの方にお越しいただきました。
皆様の熱い声援が今季初勝利へと繋がりました。最後まで後押し、ありがとうございました!

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