5.20 15:00

明治安田J1 第14節 vs. 名古屋グランパス
AWAY豊田スタジアム

試合終了

名古屋グランパス 名古屋
2
1
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半43分
    キャスパーユンカー
  • 後半3分
    キャスパーユンカー
1
前半
1
1
後半
0

試合の見どころ

 踏ん張りどころの一戦だ。首位・神戸の地に乗り込んだ前節は、相手との決定力の差が響いて0-2の敗戦。勝てば上位争いで優位に立てる状況でもあっただけに、手痛い、そして何とも悔しい結果となった。ただし、リーグ戦はまだ約3分の1を消化したばかり。今後の試合次第でまだまだ挽回は可能だ。連敗をせずに再び立ち上がることが上位争いを継続するためにも重要なポイントとなる。
 その意味でも今節は序盤戦のカギとなるかもしれない。相手は同じ勝点で並ぶ3位・名古屋。就任2年目を迎えた長谷川健太の下、“堅守”が際立つ強豪は、現時点で得点数16・失点数10とこちらも広島とまったく同じであり、数字だけならまったく五分の“3位対決”となる。互いに前節は0-2で敗れたことも一緒の状況の中、今節は上位に食らい付くために連敗は避けたい思いも一緒だろう。
 広島の勝利のキーは、やはり名古屋の堅守をどう攻略し、リーグ随一のカウンターを阻止するかだ。名古屋のシステムも広島と同じ3バック。安定感抜群の守護神・ランゲラックが最後尾でどっしりと構え、藤井陽也、中谷進之介、野上結貴が堅い3バックを築き、日本屈指のボールハンターである稲垣祥と米本拓司のダブルボランチがより守備を強固にしている。そして攻撃に移ったときの速攻は、日本でもトップクラスだ。スピードスターの永井謙佑や圧巻の推進力とテクニックを備えるマテウス・カストロがボールを持てば一気に攻撃の速度を上げて敵陣へ突き進み、最後の仕留めを担うのは高い決定力を持つキャスパー・ユンカー。ここまでリーグ5得点と、どこからでもゴールを狙えるユンカーに隙を与えれば命取りになるのは間違いなく、特に守備の陣形が揃っていない名古屋のカウンターにはかなりの注意が必要となる。
 そして、広島の攻撃では精度向上が重要だ。前節・神戸戦の敗戦を受けて「名古屋戦までにフィニッシュのところにこだわり、修正してやっていきたい」と語ったミヒャエル・スキッべ監督。内容的にはそれほどの差はなかったが、“決め切る力”を持っていたのが神戸であり、広島にはなかったということ。一朝一夕で解決できる課題ではないが、今週のトレーニングでは指揮官も選手の居残り練習に付き添って得点力向上に努める姿もあった。今節も堅守が相手の名古屋とあってそれほど多くのチャンスを作れないかもしれないが、だからこそ、一瞬の隙をも逃さない“決定力”を出したいところ。粘り強く、しぶとく戦い、勝利を掴み取りたいゲームだ。

監督 試合前日コメント

──名古屋の印象は?
「守備が強いのは昨年からそうだが、今年は前線にキャスパー・ユンカーが入ったことで攻撃も力が増したと思っている」

──長谷川健太監督との対戦も昨年から加えるともう6度目となるが、その印象は?
「もう何回も対戦しているし、彼と会うのを楽しみにしている(笑)。経験値も豊富で賢い印象を受けている」

──選手たちは名古屋は嫌な部分を突いてくると話しているが、名古屋は広島に対してどう戦ってきそうか?
「名古屋がどうというわけではなく、どのチームも嫌な部分を突いてくる。オフェンシブに戦ってくるチームもあれば、ディフェンシブに戦ってくるチームもある。特に名古屋がどこを突いてくるというよりも、Jリーグはどこと戦っても難しいところはある」

──今節、自分たちのサッカーを出す上で重要になることは?
「相手のカウンターは注意しないといけない。神戸戦もカウンターの対応はできていたが、後半開始直後に失点してしまい、苦しくなった。カウンターを受けないために自陣でのビルドアップは丁寧にやらないといけないし、ミスをしないようにしたい」

──先制点がカギになるか?
「先制点は欲しいが、前回対戦では先制しながらも逆転されてしまった。一番大事なのは、最後の笛が鳴ったときに相手より1点多く取っていること」

ゲームレポート

 紫軍団にとっては内容と結果が反する悔しいゲームとなった。
 同じ勝点で並ぶ名古屋との“3位直接対決”。激戦が予想された一戦は、前半から広島が相手を圧倒した。開始4分、ともに今季リーグ初先発となったドウグラス・ヴィエイラ&エゼキエウのブラジル人ホットラインから、背番号9が強烈なシュートを見舞うと、その後もサンフレッチェは攻めに攻めた。6分には前線へ抜け出したボランチ・川村拓夢の強烈な左足ショットがポストを直撃し、さらに9分にもドウグラスが敵陣ペナルティーエリア内で相手DFを背負いながら反転シュート。アグレッシブな姿勢で名古屋ゴールに迫る圧巻の出だしとなった。
 一方、守備面も隙はなかった。キャスパー・ユンカー、永井謙佑、マテウス・カストロという強烈な前線3枚に対してもチーム全体の素早い切り替えでカウンターを許さず確実に封鎖。「前半の相手は一つしかチャンスがなかったのではないか」とミヒャエル・スキッべ監督も話すほど、広島が敵陣へ押し込み続ける充実の内容だった。すると、攻めの姿勢が37分に結実する。敵陣でドウグラスが抜け出そうとして倒された直接FK、キッカーの川村が降り抜いたグラウンダーの左足シュートがネットに突き刺さり、ついに先制に成功した。
 相手を圧倒する内容でのリードとあって、これで広島が優位に立つかと思われたが、試合の潮目が変わったのはここからだった。その後もピンチを招くことなく試合を進めていたが、相手にワンチャンスを許したのは43分だった。相手のCKから最後はユンカーに決められて同点。前半終了間際に振り出しに戻されてしまった。
「今シーズンで一番、良いサッカーができている。これを続けよう!」
 ハーフタイム、スキッべ監督からそう声をかけられて迎えた後半だったが、痛恨の2失点目は48分だった。自陣右サイドで越道草太が相手の突破を許すと、クロスを再びユンカーに押し込まれて1-2。後半早々に追いかける展開となってしまった。
 ここからまずは同点を目指した広島だったが、名古屋の堅守はやはり堅かった。結果的には前半同様、後半も名古屋のシュート数を3本に抑えた一方、広島はサイド攻撃をメインに相手ゴールに迫ったが、最後の最後で崩すことができず。終盤には塩谷司と佐々木翔の2バックに変更する超攻撃的システムの手も打ったが、ゴールは遠くそのまま1-2の敗戦となった。
 今季初の2連敗となった広島だが、「本当に今日の試合のパフォーマンスには満足しているし、胸を張れるぐらいのパフォーマンスができたと思う」とスキッべ監督は前を向いて会場を後にした。

監督 試合後コメント

「我々のパフォーマンスには非常に満足しているし、Jリーグの中でも面白い試合になったのではないかと思っている。前半も後半もたくさんのチャンスを作ってゴールを狙いに行った。前半の相手は一つしかチャンスがなかったのではないか。ただ、後半の早い時間帯で失点し、その後も攻め続けたが、点を取るところまでは行けなかった。2失点目は越道(草太)が最後の最後まで追いかけていればと思うが、彼自身、ゴールキックにしようというところから、ああいう(相手に抜かれる)プレーになってしまった。ただ、まだまだ彼は若いので、このような経験は次に活きてくると思っている。
 本当に今日の試合のパフォーマンスには満足している。胸を張れるぐらいのパフォーマンスができたと思うし、次のルヴァンカップ・横浜FC戦に向けてしっかり準備をしたい。そこでもポイントを狙って、グループステージを通過したいと思っている」

──前半は圧倒的なサッカーをやっていた中で、後半に向けてどのように戦っていこうと思ったか?
「我々の考えとしては後半も良いサッカーができたと思っている。ただ、2失点目が悔やまれる。若い選手が最後の最後まで守ることを怠ってしまった。そこに原因があるだけで、それ以外は前半も後半も素晴らしいサッカーができたと感じている」

──ドウグラス・ヴィエイラ選手とエゼキエウ選手は今季リーグ初先発だったが、その評価について。
「非常にうまく機能したと思っている。その前から手応えはあった。今までは後半の途中から20~30分という形で試合に出ていたが、そのときから良いパフォーマンスを見せていた。今日に関しても非常に満足している」

──後半の途中から2バックシステムのようになったが、今後もオプションとして使っていくのか?
「これからオプションになるという考えはない。ただ、あの状況ではどうしても1点を取りに行きたかった。前のほうにフレッシュな選手を多くおきたかったので、ああいう形になった」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は遠い名古屋まで約1,500名もの方にお越しいただきました。
熱い声援をいただきながら勝利をお届けできず、大変、申し訳なく思っています。
最後まで力強い後押し、ありがとうございました。

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