6.4 14:00

明治安田J1 第16節 vs. 京都サンガF.C.
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
1
京都サンガF.C. 京都
0
前半
0
3
後半
1
  • 後半24分
    豊川雄太

試合の見どころ

 自分たちのサッカーを取り戻す戦いだ。5月31日(水)に開催された前節・浦和戦は、1-2の逆転負け。前半から広島が良いリズムでゲームを進めていたものの、50分に森島司が先制点を奪ってからは浦和の圧力を受ける展開へと状況が大きく変化し、後半アディショナルタイムに逆転弾を奪われる悔しい敗戦となった。後半はミスが増えて自分たちのサッカーができなかったことについてはミヒャエル・スキッベ監督も反省点として挙げ、「それ(丁寧で早いパスをしっかり繋ぐこと)が初めてできて、自分たちのサッカーがうまくできる。それができたときに上位チームとも対等に戦える。我々のメンバーを見ても、それができないわけではない」と選手を鼓舞した。4勝1敗と好調だった4月から一変、2勝3敗と負け越した5月から再びどう巻き返していくか。6月一発目のゲームは再起の戦いだ。
 スタイルを見つめ直すには、良い相手かもしれない。ホームに迎える京都は、現在リーグ5連敗中で直近の7試合で勝利なし(1分6敗)と苦しい状態が続いているが、「どんな相手にも自分たちのサッカーをしっかりやっていこうと貫いてくる」(スキッベ監督)と話す広島と似たスタイルのチームだ。就任3年目を迎えた曺貴裁の下、前線からのハイプレス、素早い切り替え、スピーディーな攻撃は着実にチームに浸透しており、実力は間違いなし。京都も前節は浦和に0-2で敗れているが、アグレッシブな戦いで前半からチャンスを多く作っていたのは京都であり、勝っていてもおかしくない内容を見せていた。広島としては、そんな志向が同じ相手との真っ向勝負でいかに上回れるか。「我々も前から当たっていくことで、魅力的な試合ができるのではないかと思っている」と指揮官も戦いを楽しみにしている。
 その上で広島は決定力を高めたいところ。チャンスを多く作りながらも得点力が上がらない現状を踏まえ、最近ではクロスからのシュート練習に注力している。「点を取るためにはタイミングが大事だと選手に話した。クロスをゆっくり中で待っておくのではなく、勢いよくタイミングを合わせて入っていくことで点を取れる可能性が増えてくる」(スキッベ監督)。もちろん複数失点しないことも大事だが、先制後に2点目、3点目と重ねられれば試合展開もラクになる。京都戦は真っ向勝負に打ち勝ち、得点を重ね、勝点3を奪えるか。広島の力を証明したいゲームだ。

監督 試合前日コメント

──前節・浦和戦後に選手に「自分たちのサッカーができないと実力の半分しか出せない」と言っていた。浦和戦の後半はまさにそうだったのでは?
「丁寧で早いパスをしっかり繋ぐことが重要になってくる。それをすることでスペースを作り、攻めていくことが自分たちのサッカー。そこにサイドチェンジや裏に抜けることが入ってくるが、一番大事なのはパスの正確性など技術のところ。例を挙げると、(東)俊希がパスを受けて、2回ほどそのままサイドにパスが出てしまうことがあった。サッカーだからそういうことはありえるが、ジェラ(住吉)や俊希、GKにそういうことが起こると、それは多すぎる。それが初めてできて、自分たちのサッカーがうまくできる。それができたときに上位チームとも対等に戦える。我々のメンバーを見ても、それができないわけではない。浦和の後半はそういうのができなくなっていた」

──京都の状況よりも、自分たちのサッカーを取り戻すことが重要になる?
「そのとおり。自分たちのサッカーをすることが重要になる。前回のホームゲームも90分を通して自分たちのサッカーをやり通せた。特に相手に一人退場者が出るまでの15分間ぐらいは、良いサッカーができたと感じている。明日も笛が鳴った直後からできるようにやっていきたい」

──京都は広島と同じハイプレス、ハードワークが武器のチームだが、試合は拮抗した展開になりそうか?
「相手も前から来るし、どんな相手にも自分たちのサッカーをしっかりやっていこうと貫いてくる。我々も前から当たっていくことで、魅力的な試合ができるのではないかと思っている」

ゲームレポート

 アグレッシブなスタイルを志向する両チームの一戦は、前半から拮抗した戦いとなった。序盤に主導権を握ったのはホームの広島だった。高い位置からのプレスで序盤から勢い良くスタートした広島は、ドウグラス・ヴィエイラを起点に京都ゴールへ迫っていく。シャドーの川村拓夢や森島司らが果敢に前線へ飛び出していった他、サイド攻撃も交えながら好機をうかがう展開。11分に川村がゴール前の直接FKでゴールを狙えば、27分にもペナルティーエリア内へ進出した背番号8が左足でGK強襲のシュートを放つ。だが、ゴールを奪えずにいると、試合は次第に京都ペースへ。相手のアグレッシブかつ鋭い攻撃を広島が受ける時間が増えてくると、CKを立て続けに与えるなど、前半の残り15分ほどは京都のリズムでハーフタイムを迎えた。
 すると、膠着した展開を打ち破ろうとミヒャエル・スキッベ監督は早くも動いた。左サイドの柏好文とボランチ・松本泰志を下げて、東俊希とエゼキエウを投入。左足のパワーと俊敏性のあるアタッカーを同時に入れた指揮官は、「前半は悪くはない。でも、すごく良いわけでもない。速く、正確なサッカーをやろう!」と指示を送って後半を迎えた。
 この攻撃的な采配はさっそく実を結んだ。前半同様、両チームの激しい攻防が繰り広げられる中、迎えた59分だった。GK大迫敬介のフィードに森島が抜け出してペナルティーエリア内までドリブルで運ぶと、巧みなフェイントから相手をかわして中央へクロス。これを受けたエゼキエウのシュートは相手GKに防がれてポストに直撃したが、中央にこぼれたボールに反応したのは茶島雄介だった。豪快な左足シュートを突き刺して先制に成功した。
 だが、この日はここから激しく動いた。京都も189cmの大型ストライカーであるパトリックを投入してくるなど攻撃への圧力を強めてくると、いきなり攻略されてしまった。69分、相手GKのフィードからパトリックにヘディングを許すと、抜け出した豊川雄太に右サイドを切り崩されて失点。早くも同点に追い付かれてしまったが、広島もすぐに反撃に出た。その2分後の71分、敵陣左サイドのスローインから東、野津田岳人とパスが渡り鋭いクロスを中央へ送り込むと、逆サイドで待っていたのはまたも茶島。背番号25がこの日2点目となるゴールを右足で冷静に流し込んで再び広島が勝ち越した。
 その後は京都の攻撃を受けつつも、隙があればカウンターで相手ゴールへ迫った広島。守備ではGK大迫が83分にビッグセーブを見せるなど得点を与えずに耐えると、勝負を決定付ける3点目が生まれたのは後半アディショナルタイムだった。90+3分、センターサークル付近でこぼれ球を拾った川村がドリブルで独走、最後はGKとの1対1を冷静にゴールへ突き刺して勝負あり。「後半に入ったら息を吹き返し、技術的にも戦術的にもバリエーション豊富に攻めることができた」と指揮官も納得の攻撃を見せた広島が3-1の勝利を挙げた。

監督 試合後コメント

「6月を勝利でスタートできて、すごく嬉しく思うし、今日も満足できるできだった。前半は途中の25~30分あたりから、高い位置からプレスに行けない状況が続いた。後半に入ったら息を吹き返し、技術的にも戦術的にもバリエーション豊富に攻めることができたと思っている。チャンスもたくさん作れたし、ゴールも取れた。ただ、相手も時間帯によっては同点にするチャンスがあった。今日の試合に関して言えば、Jリーグの中でも面白い試合になったのではないかと思っている。次は天皇杯が水曜日にあるので、それまでに回復して臨むことが大事になる。天皇杯も次に進みたい気持ちが強いので、そこに向かっていきたい」

──前半の途中からは厳しい状態になったが、ハーフタイムに選手にどのような話をしたのか?
「まず前半の最初にできていたような高い位置から当たりに行くことを再確認した。下がって守るのではなく、前から行こうと。そのため、二人の選手を交代した。そこもうまく機能したと思うし、前にスピードが出たことで、もう一度前から行けるようになった。(前半で代わった)柏と松本泰志も決して悪かったわけではない。ただ、後半、どういうサッカーをやりたいか考えたときに、よりスピード、ドリブルにフォーカスするべきだと思った」

──茶島雄介選手の2ゴールは驚きがあったのか、それともそれぐらいはできると思っていたのか?
「チャジに関して言えば、良いクロスを上げられる、それから良いシュートを打てる選手。普段は右サイドをやっているが、点を取ったときにはしっかりとストライカーのポジションに入っていて、それがうまく機能した。チャジの2得点は、どちらもゴールの前がすごく良い攻撃ができたと感じている。特に1点目は、2列目のところで彼がしっかりポジションを取っていたことが重要なポイントだったのは間違いない」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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