6.24 19:00

明治安田J1 第18節 vs. 横浜F・マリノス
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
0
1
横浜F・マリノス 横浜FM
0
前半
1
0
後半
0
  • 前半40分
    エウベル

試合の見どころ

 いきなり絶対的強者との戦いだ。リーグ戦半分を終えて9勝2分6敗の5位で折り返した広島が迎える後半戦初戦の相手は、王者・横浜FM。近年のJリーグをけん引する強豪は、今季も好調を維持しており、11勝3分3敗で首位をキープしている。さらに今はリーグ4連勝中と勢いもあり「横浜FMは素晴らしいチームですごく強いチーム」(ミヒャエル・スキッベ監督)。まさに後半戦一発目から広島の力が問われることになる。
 上位追撃を狙う広島としては、逆を言えば勝利すれば勢いに乗れるかもしれない。現在は直近のリーグ戦6試合で2勝4敗と調子を落としており、さらに18日(日)にはルヴァンカップ・名古屋戦で敗れてグループステージ敗退が決定。「ここ数週間のパフォーマンスでは足りない」と指揮官がハッキリ苦言を呈したように、チームとして難しい時期に入っている。そんなときに対峙するのが「Jリーグの王者にふさわしい、現在は神戸と並んでJリーグでトップクラスの攻撃陣が揃っている」(スキッベ監督)と言う横浜FMだ。13得点を挙げて得点ランクトップに君臨するアンデルソン・ロペスを筆頭に、個で局面を打開できるJ屈指のアタッカーであるエウベルやヤン・マテウス、高い得点能力を備える西村拓真など、攻撃陣のタレントは多士済々。さらに最近のサブに目を向けても高性能のキック精度を見せる水沼宏太や前節に大ケガから復活のゴールを挙げた宮市亮、実績十分の杉本健勇など、実力者が豊富だ。まさに誰が出てきても厄介な横浜FM攻撃陣の得点数37はリーグ2位の数字。前節・柏戦では終盤まで2-3で負けていながら後半アディショナルタイムの怒涛の反撃によって逆転勝ちを収める勝負強さも見せた。リーグ8位の失点数20が示すようにやや守備に脆さを見せるときもあるが、それを補う攻撃力は圧巻である。
 その横浜FMを上回るためにスキッベ監督が強調したのは限界突破だ。「何が大事かと言ったら、相手どうこうではなく、自分たちが100%の準備ができて、100%の気持ちで臨めて、100%出し切り、100%サッカーができる喜びを噛みしめてできたときに初めて互角の戦いができるのではないかと思っている」。もちろん試合の中では戦術や作戦などさまざまな要素があるが、王者を倒すには最低限100%の力を出すことが必要だ。90分、ペース配分を考えて戦うのではなく、最初からフルパワーでとにかく挑むこと。スタミナが切れても頼れる仲間がサブに控えている。広島はすべての力を注いで横浜FMを倒しに行くだけだ。

監督 試合前日コメント

──選手たちの表情は?
「明日の試合は楽しみだが、それと同時にここ数週間のパフォーマンスでは足りないと思っている」

──横浜FMは良い状態にある、攻撃も中盤もとにかく速いと言っていたが、その印象は変わらないか?
「Jリーグの王者にふさわしい、現在は神戸と並んでJリーグでトップクラスの攻撃陣が揃っている」

──アンデルソン・ロペス選手は3試合連続で2得点を取るなど厄介な選手だが?
「もう言うことはない選手(笑)」

──横浜FMはアンデルソン・ロペス選手を抑えたとしても他の選手も注意しなければならず、その点も厄介では?
「そのとおり。彼一人で攻めているわけではない。横浜FMには技術があって、スピードのある選手がたくさんいるし、誰が出ても良いサッカーをする。すごく難しい試合になると思っているが、我々は失うものはない」

──横浜FMは失点が多く、ハマればチャンスもありそうだが?
「そうだと思う。今回はしっかり点を取りたい」

──メンバーはもう固まっているか?
「この後にコーチ陣と話して18人を決めたい。そこから誰が出るかギリギリまで考えたい。明日の試合に関して言えば、横浜FMは素晴らしいチームですごく強いチーム。何が大事かと言ったら、相手どうこうではなく、自分たちが100%の準備ができて、100%の気持ちで臨めて、100%出し切り、100%サッカーができる喜びを噛みしめてできたときに初めて互角の戦いができるのではないかと思っている」

ゲームレポート

 首位相手にあと一歩が足りないゲームとなった。
 前半の広島は苦戦した。「Jリーグでトップクラスの攻撃陣が揃っている」(ミヒャエル・スキッベ監督)と言う横浜FM対策として、これまでの3バックから4バックへと変更。1月のトルコキャンプで試していた[4-1-4-1]システムで試合に入った。
 ただし、横浜FMはやはり強かった。後方での巧みなビルドアップから、アンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスの強力3トップを活かすスピーディーな攻撃を序盤から受け続けた広島は、自陣に押し込まれる展開が続いた。最後の局面では何とか体を張ってしのぎ、徐々にカウンターなどから攻撃の機会が増えてきたものの、全体的には横浜FMペースで試合は推移。我慢の時間が多い中で何とか前半を無失点で終えたかった広島だったが、やはり相手には強烈な個の力があった。40分、右サイドからエウベルに中央へのドリブル突破を許すと、2人、3人と抜かれて右足でシュートを放たれて失点。王者相手に重い1点がのしかかってしまった。
 すると、スキッベ監督はハーフタイムに動いた。1トップのナッシム・ベン・カリファと柴﨑晃誠を下げ、ドウグラス・ヴィエイラとエゼキエウのブラジル人コンビを投入。攻撃力の高い二人を後半開始から入れて、まずは同点を目指した。
 広島の後半の入りは良かった。持ち味である前線からのプレスがハマり出し、高い位置でボールを奪って相手を押し込む時間が増え始める。55分にはハーフライン付近でのボールカットから川村拓夢→ドウグラスへと渡ってショートカウンターを仕掛けると、ゴール前で山﨑大地が相手GKと1対1の決定機を迎える。この絶好機は惜しくも逃したが、その後もハイプレスから良い形でボールを奪えば、エゼキエウの鋭い突破などから川村らがチャンスを創出。得点の匂いが漂い出していた。
 だが、好機を逃し続けていると、75分以降は息を吹き返した横浜FMの鋭いカウンターを何度も受けてピンチを招き、試合はゴール前の攻防が多くなる打ち合いの様相に。85分には、エリア内でドウグラスのパスを受けたエゼキエウがこの試合最大の決定機を迎えるも左足シュートは枠を捉えることができず。結果的に90分を通して相手の倍となる20本のシュートを放ちながらも1点が遠かった広島が0-1で敗れた。
 またも今季の課題である“決定力不足”を露呈した広島だったが、「点を取れなかったことは満足していないし、敗れてしまったことも納得いかない部分ではある。ただ、現在の首位で昨年の優勝チーム相手に良い試合ができたのは良かったと思っている」(スキッベ監督)と後半の戦いには手応えを掴むゲームとなった。

監督 試合後コメント

「アンラッキーな敗戦だったと思っている。相手の攻撃のスピードは信じられないぐらい速いものがあった。前半、0-1にされたのは相手が良かったと思っている。後半に関して言えば、我々は前に進むという部分で素晴らしい試合をした。75分ぐらいまでは、ボールを失うことなくカウンターを受けずにボールを奪うことができたし、プレッシングがうまく機能していた。その後、最後の15分に関して言えば、相手も選手交代で速い選手を入れてきたこともあり、カウンターを受ける展開になったが、(大迫)敬介がその内の二つを素晴らしいセーブで凌いでくれた。今日のパフォーマンスに関して言えば、非常に満足している。ただ、点を取れなかったことは満足していないし、敗れてしまったことも納得いかない部分ではある。ただ、現在の首位で昨年の優勝チーム相手に良い試合ができたのは良かったと思っている」

──今日は[4-1-4-1]システムにした理由は?
「先週まで選手が揃わない中、今までのシステムでは数多くのカウンターを受けて失点していた。また、今日の横浜FMの前線3人のブラジル人は非常にスピードがあるのは分かっていた。そのためのシステム変更だった。前半もほとんどのシーンでうまくやっていたと思う。ただ、自陣で不必要なパスミスからボールを奪われて、失点してしまった。自陣の10mぐらいでボールを奪われてしまったら、やはり苦しくなってしまう。ゴールに関しては、相手の選手は素晴らしかったと思う。この試合の違いと言えば、相手のカウンター、スピード、シュート精度が挙げられる。ただ、リスペクトも含めて、彼らは昨年の優勝チームだし、現在は1位のチーム。そのチームのカウンターは時に守るのは非常に難しいと思う」

──後半から広島は攻撃的になり、ビッグチャンスも何度もあるなど前半とはまったく違う展開となった。ハーフタイムの修正ポイントは?
「選手交代で、速い選手と真ん中でボールが収まる選手を入れた。後半に関して言えば、前からボールを奪いに行くことがすごく良く機能した。対戦相手に関して言えば、我々よりも完成されているチームだと思っている」

──次節の新潟戦を含めて、今後はこの形をチャレンジしていく可能性はあるのか?
「現状では正確なことは言えないが、相手の速いカウンターに対して4バックが機能した手応えはある。今後もこういった形はあるとは思う」

──[4-1-4-1]システムのアンカーに山﨑大地選手を起用した理由は?
「相手の30番・西村(拓真)のフィジカルを活かしたプレーを止めないといけない思った。そこは大地はうまくやったと思う。彼にとって我々チームにとって、一つ残念なポイントがあるとすれば、55分ぐらいにドウグラス(・ヴィエイラ)からのラストパスに抜け出したところで考え過ぎてボールを止めてしまった。そこはダイレクトで打っても良かった。ただ、彼は今季からプロになった選手で、まだ4~5試合しか出ていない選手。そのプレーについては、残念がっていると思うが、まだまだこれから伸びる選手なので、この経験を活かして次に繋げてほしい」

フォト

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