7.8 18:30

明治安田J1 第20節 vs. 鹿島アントラーズ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
1
鹿島アントラーズ 鹿島
0
前半
1
1
後半
0
  • 前半5分
    関川郁万

試合の見どころ

 広島が一つの正念場を迎えている。リーグ2連敗で迎えた前節・新潟戦は、前半から攻守においてリズムが生まれず相手に主導権を奪われると2点を奪われて0-2の敗戦。これで3連敗となったサンフレッチェは3試合連続無得点という“決定力不足”も躊躇に表れる結果となった。「しばらく続いていることだが、良いチャンスまで行っていてもゴールが入らない。そういったシーンが多々あった」とミヒャエル・スキッベ監督。その3試合すべて決してチャンスがないわけではないが、好機を確実に仕留められず、相手には一発でやられてしまう悪循環。この苦境をどう乗り越えられるか。広島の力が問われている。
 今節もまた難解な相手との戦いだ。ホームに迎えるのは、一つ上の順位に位置する6位・鹿島。今季序盤戦こそ4連敗を喫するなど苦しい時期もあったが、第9節から5連勝を達成するなど調子を取り戻し、一気に上位へ浮上してきた。元々、戦力的に充実しているのが鹿島というチームだ。攻撃陣の核としてチームをけん引し続けている鈴木優磨を筆頭に、樋口雄太とディエゴ・ピトゥカのダブルボランチ、仲間隼斗や名古新太郎、荒木遼太郎、土居聖真ら能力の高い2列目のアタッカーなど注意しなければならない選手は多い。さらに、敵地で戦った前回対戦では終盤の逆転劇で勝利した広島だが、「空中戦や球際で苦しめられた。ギリギリで勝ったが、どっちに転んでもおかしくなかった」(大迫敬介)。鹿島の伝統とも言える球際の強さは相変わらず健在であり、中盤を省略してロングボールを多く使いながら縦に速く攻める攻撃も敵としては厄介である。鹿島との戦いではやはりサッカーの根本でもある1対1のバトルでまず負けないこと。アグレッシブさで上回って試合の主導権を渡さないことが重要だ。
 そして広島の現状を考えると、まずは「失点しないこと。ゼロで終われば最低でも勝点1で終えられる。そこにこだわりたい」と大迫。もちろん得点を奪うにこしたことはないが、我慢ができずに先に点を取られてしまい、その後の反撃も実らず敗れているのが最近の“悪癖”だ。攻め続けていようが、攻められ続けていようが、どんな状況でも失点ゼロにこだわること。我慢強くゲームを進めることが何より大切だ。相手が強豪であればこそ、勝利で得られるモノはより大きい。「鹿島戦を機に上昇していけるように戦いたい」(大迫)。広島の意地に注目だ。

ゲームレポート

 紫軍団がホームで意地を見せた。
 まさに広島にとって今季最大のピンチだった。リーグ戦3連敗の苦しいチーム状況に加え、満田誠やピエロス・ソティリウのケガ人、さらには体調不良者が続出して広島ユースの二人をベンチ入りさせざるを得ない選手編成、そしてミヒャエル・スキッベ監督も体調不良で欠場するなど、試合前から大きな苦境に追い込まれることになった。
 すると、前半から試練が訪れた。「これはピンチではない。チャンスだ」。スキッベ監督に代わって暫定的に指揮を執ることになった迫井深也ヘッドコーチがそう前向きに話していたとおり、現状に悲観することなくアグレッシブな試合の入りを見せた広島だったが、もったいない失点は5分だった。自陣ゴール前のFKから最後は関川郁万に頭で合わされて0-1。早くも追いかける展開となってしまった。
 その後は一進一退の攻防が続く中、またも広島をアクシデントが襲う。27分、右サイドで先発していた越道草太がプレー続行不可能となり途中交代。貴重なカードである茶島雄介を早くも投入することになった。
 ここからの広島は悪くなかった。全体的にボールを保持してリズムを作り、エゼキエウの個人技や前線の細かなコンビネーションプレーなどを生かしながら積極的にゴールを目指す。37分に森島司がミドルシュートで相手を脅かせば、42分にはエゼキエウの鋭い突破から決定機を作り出すなど、ゴールが生まれそうな雰囲気は漂っていた。
「素晴らしいゲーム。このまま続けよう!」
 ハーフタイム、迫井ヘッドコーチからそう声をかけられて臨んだ後半も広島の攻撃姿勢が目立った。47分に野津田岳人がCKの流れからクロスバー直撃のシュートを放てば、48分にはナッシム・ベン・カリファもペナルティーエリア内での巧みなターンからGK強襲のシュートを放つ。ジワジワと鹿島を追い詰めていくと、攻撃を求め続けた広島の姿勢がついに実を結ぶ。55分、自陣での巧みなポゼッションからエゼキエウが抜け出すと、GKとの1対1を冷静に決めて追い付くことに成功した。
 それからは選手交代を活用しながら攻撃にパワーを注いできた鹿島に攻め込まれる時間帯も増えたが、中野就斗・松本大弥・志知孝明の急造3バックは破綻することなく粘り強く対応して得点を許さず。決勝点を奪うことはできなかったが、今季最大の難局をチーム一つになって乗り越え連敗を『3』で止めることに成功した。
 昨年の序盤戦以来の指揮となった迫井ヘッドコーチは「体調不良者が出ている中で選手と頭を揃えたのは、『これはビッグチャンスだよね。このチャンスをどうにか掴もうよ』という話でスタートした。最初の5分にセットプレーからやられてしまったが、監督のDNAであるハードワーク、アグレッシブ、ダイナミック、すべてを表現してくれたと思っている」と今日の選手の頑張りを称えた。

監督 試合後コメント

※迫井深也ヘッドコーチの試合後コメントへ変更となります。

「体調不良者が出ている中で選手と頭を揃えたのは、『これはビッグチャンスだよね。このチャンスをどうにか掴もうよ』という話でスタートした。最初の5分にセットプレーからやられてしまったが、監督のDNAであるハードワーク、アグレッシブ、ダイナミック、すべてを表現してくれたと思っている」

──体調不良者が続出している中でメンバーを含めて苦労したと思うが、勝点1を取って連敗を止めたことについて。
「我々はこの事実に対して最後に話したのは、『あくまでも第一歩だよ』と。もう一度、監督のDNAであるダイナミックやアグレッシブさというのをチーム全員でできればと思って今日のピッチに送り出した。選手は真摯に受け止めて、ファン・サポーターの後押しを受けながら最後まで足を止めずにダイナミックにやってくれた。次はすぐに天皇杯もあるし、リーグ戦も残っているので、今日は第一歩として先に進んでいけたらと思っている。そういう意味では素晴らしい選手のパフォーマンスだったと思っている」

──最終ラインはレギュラーがいない中で今日の3バックは頑張ったと思うし、ビルドアップから得点も生まれた。その部分について。
「最初に選手と話した時には、もちろん今は連敗も続いて少し恐怖感が出てくるのは当たり前だと思うが、もう一度、勇気を持ってボールを繋いでいこうと。慌てないで何度もやり直していいから繋いでいこうというのは、選手自ら振り切ってやってくれたと思うし、見事に表現してくれたと思っている」

──特に松本大弥選手はなかなかチャンスもない中で3バックの中央で見事なサイドチェンジなどもあった。今日の彼のパフォーマンスについて。
「私からしたら、今日の試合に出た選手は当たり前のパフォーマンスをしてくれた。普段、練習場でやっていることをそのまま表現してくれた。ピッチに送り出す時に何の不安もなかったし、それを見事に表現してくれた。彼(松本大弥)自身がより自信をもってやってくれたらと思っている」

──迫井深也ヘッドコーチとしては、昨年の監督が来日する前以来の指揮となったが、迫井コーチ自身のこの試合への思いは?
「これはスタッフとも話したが、私がやる試合は大雪か大雨しかないのかなと思いながら(笑)。昨年の開幕戦は、キャンプの時にみんなでアグレッシブにやってきた中で不安や恐れを感じながら少し後ろ髪をひかれながらやらせてしまったのが自分の中であった。今日は世間の皆さんからしたら難局と思えるところを我々はビッグチャンスと捉えようと。後ろ髪をひかれることなくスーパーアグレッシブに戦っていこうと思った。大雨で大変だったが、私自身も吉田で頑張っている選手たちを何とかイキイキさせたいと思いピッチへ送り出した」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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