7.16 18:00

明治安田J1 第21節 vs. 横浜FC
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
1
1
横浜FC 横浜FC
0
前半
0
1
後半
1
  • 後半41分
    幸多郎

試合の見どころ

 広島のリバウンドメンタリティーが問われている。前節・鹿島戦を1-1で引き分けて連敗を「3」で止めたものの、中3日で行われた12日(水)の天皇杯3回戦・栃木戦では0-2の結果に終わり、まさかの敗退。昨年は準優勝に終わり、リベンジの思いが強かった大会だけにチームが受けたショックは当然ながら大きい。ただし、当然ながら過去にはもう戻れない。これからできることは、敗れた現実を受け止め、悔しさを糧に前に進むのみ。「上でやれるだけの力があることを証明したい」(ミヒャエル・スキッベ監督)。今季はもうリーグ戦のみとなった広島は、一つでも上の順位を目指していくだけだ。
 その第一歩となる今節、今回もなかなか手強い相手との激突だ。今季の横浜FCとはカップ戦を含めてすでに3度戦い2勝1敗と勝ち越しているものの、「今の順位より上にいてもおかしくないと思っている。やりづらい、強いチームだと思っている」(スキッベ監督)。現在は直近の6試合で2分4敗と勝利がなく、順位も17位と残留争いの渦中にいるが、力がないわけでは決してない。チームのトップスコアラーだったエース・小川航基が海外クラブへ移籍したのはもちろん大きな痛手だろうが、前線は今でもかなり強力だ。1トップのマルセロ・ヒアンは188cmの高さがありながら柔らかいテクニックと推進力があるポテンシャルの高いストライカーで、その下にはリーグ随一の快足を誇る山下諒也と経験豊富なアタッカー・小川慶治朗が君臨。この1トップ2シャドーだけでも得点を奪い切る力があり、特にカウンター時に見せるスピード豊かな攻撃は要警戒となる。
 さらに守備面でも整備されており、リーグの前回対戦では4バックだったシステムを今では3バックへ変更。時に5バック気味となる守備陣形の攻略は簡単ではなく、ルヴァンカップで0-1で敗れた時も先制点を与えた後は組織的かつ粘り強く守り抜かれてしまった。今回も広島がボールを保持し、横浜FCがカウンターを狙う構図が予想される中、先制点を与えないことは一つのカギとなるだろう。
 その上で、紫軍団は課題を解消できるか。リーグ戦直近の4試合で奪った得点はわずか「1」と“得点力不足”が最近の勝ち切れない大きな原因となっている。もちろん簡単に解決できる問題ではないが、今は流れからだろうと、セットプレーだろうと、どんな形でも得点を奪い切ることがチームの大きな自信となる。これからより厳しさを増す勝負の夏場に向けて、勢いを付ける勝利に期待だ。

監督 試合前日コメント

──選手たちの様子は?
「楽しみな反面、緊張している部分もあると思う。ここ2ヵ月ぐらい、良い結果が付いてきていない部分がある。ケガや体調不良などから戻ってきている選手はいるものの、先ほど言った雰囲気でやっている」

──横浜FCも苦しんでいるが、どういう印象か?
「今の順位より上にいてもおかしくないと思っている。今季は3回戦って1回負けているし、カップ戦2試合は非常に難しい苦しい試合だった。やりづらい、強いチームだと思っている」

──横浜FCのやりづらい部分とは?
「順位が下にいるチームだが、Jリーグ自体、実力が拮抗している。決して侮れない。実際、横浜FCは戦ってみても良いサッカーをするチームだった。そういった意味でもやりづらさはある」

──横浜FCは小川航基選手が海外移籍で抜けた影響があると思うが?
「彼自身、すごく良い選手だと思う。残留争いをしているチームがストライカーを取られたが、それはどのチームにとっても苦しいと思う」

ゲームレポート

 紫軍団が最後の最後で意地を見せた。
 試合は序盤から我慢の展開が続いた。内容としては広島がボールを保持し、横浜FCがカウンターを狙う構図のなか、前半のサンフレッチェはなかなか持ち味を出すことができず。得意のサイド攻撃に加え、中央でもエゼキエウや森島司らが積極的にボールに関わってコンビネーションプレーなどから何とか相手守備陣をこじ開けようと立ち向かったが、後ろに比重を置く横浜FCの堅い守りに苦戦した。さらに中途半端にボールを奪われては鋭いカウンターを浴びると、9分には快足アタッカー・山下諒也の突破からマルセロ・ヒアンに決定的なシュートを打たれるなど、前半は0-0で終わったとはいえ難しい戦いとなった。
「相手陣内でサッカーをやり続けることを強調した。棚田遼だけが前にいるのではなく、2列目の選手がもう少し圧をかけて、相手のDFを引き離すような動きをしようと話した」
 ハーフタイムにミヒャエル・スキッベ監督から主に攻撃面の指示を受けて臨んだ後半、展開としては前半と同じ流れで進んだ。広島は敵陣で根気強くボールを繋いでゴールを目指すなか、56分には野津田岳人のインターセプトから棚田遼が相手GKを襲う強烈なシュートを見舞えば、左右のクロスから途中出場のピエロス・ソティリウらが果敢にゴールを狙う。後半は相手のカウンターも確実に封じて攻撃への圧力を強めるなど、少しずつ得点の匂いは漂い始めていたが、相手にワンチャンスをモノにされたのは86分だった。左サイドをこじ開けられると、クロスを林幸多郎に押し込まれて失点。試合終盤に痛恨のリードを許してしまった。
 だが、この日の広島はここから踏ん張った。残り時間が少ないなかでも諦めずにゴールへ突き進む怒涛の攻撃を見せると、「非常にベテランが頑張ってくれた」(スキッベ監督)。後半アディショナルタイムに突入した90+4分、途中出場の35歳・柏好文がボールを蹴り出そうとした相手GKの隙を突いてボールを奪い、ピエロス・ソティリウへラストパス。これを背番号20が落ち着いて決めて同点に追い付くことに成功した。
 そして試合はこのままタイムアップ。勝ち切ることはできなかったが、「今日の内容で負けるのは許されない部分があった。特に後半は我々が一番良かった時の状態のサッカーに近いものを見せられたと思う」とスキッベ監督は内容に一定の手応えを掴む一戦となった。

監督 試合後コメント

「最後の最後で追い付けて良かった。今日の内容で負けるのは許されない部分があった。特に後半は我々が一番良かった時の状態のサッカーに近いものを見せられたと思う。前から圧をかけて速いプレスをかけながら良いサッカーができたと思っている。ここから1週間の休暇を取り、体調不良から回復し、ケガ人も戻ってきた状態で、15週ぐらい前の状態からもう一度、素晴らしいサッカーを展開することに繋げていきたいと思っている。なお、今日の自分たちは笛が鳴る最後の最後まで勝利に向けてプレーし続けたことは評価できる」

──前半は重たい印象を受けたが、ハーフタイムにどんな修正をしたのか?
「相手陣内でサッカーをやり続けることを強調した。棚田遼だけが前にいるのではなく、2列目の選手がもう少し圧をかけて、相手のDFを引き離すような動きをしようと話した」

──棚田遼選手は前半はプレスなど迷っているような印象を受けたが、後半は思い切ったプレーができていた。彼の評価について。
「彼の今日のパフォーマンスは満足している。前半に行けなかった部分は彼だけではなくチーム全体が重たかった部分はある。後半はチーム全体が前から行けるようになったことに伴って彼も前から行けるようになったと思う。今日の彼は先発に値するプレーをしたと思っている。交代する直前にも惜しいシュートを放っているし、そういった部分でも満足している」

──相手のワンチャンスで失点したなかで、下を向くことなく得点を狙いに行ったのは素晴らしかった。柏好文選手のプレスとピエロス・ソティリウ選手の落ち着いた同点ゴールについて。
「失点シーンは唯一と言っていい相手のチャンスで点を取られてしまった。その反面、得点シーンと後半アディショナルタイムの7分間は、非常にベテランが頑張ってくれた。得点シーンでは柏がズル賢さを見せてくれたし、それ以外のシーンでは(柴﨑)晃誠が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思っている」

──天皇杯・栃木戦と同じく、5枚が引いて守るチームを崩すのは難しかったが、今日はどういう形で崩せたらと思っていたか?
「全体的にはうまくいったと思っているし、特に後半の攻撃はすごくうまくいったと思っている。5枚引いた相手に対して早くボールを動かして早いサイドチェンジを使いながら裏を取る、裏に走り抜けることで相手DFの距離を開かせるのはうまくいったと思うシーンはたくさんあった。特に最後の15~20分はほとんどの攻撃がクロスまで行ける、もしくはシュートまでいけていたと感じている」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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