8.19 19:00

明治安田J1 第24節 vs. 川崎フロンターレ
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
2
川崎フロンターレ 川崎F
1
前半
1
2
後半
1
  • 前半24分
    脇坂泰斗
  • 後半26分
    山根視来

試合の見どころ

 終盤戦の反撃だ。6試合連続で勝利のない(2分4敗)状況で迎えた前節・浦和戦は、前半に先制を許しながらも後半に2点を奪って逆転勝ち。約2カ月ぶりに勝利を奪えたのは大きいが、序盤から高い攻撃姿勢を見せ続けた内容も見事で「情熱的に素晴らしいサッカーができた」(ミヒャエル・スキッベ監督)。さらにケガで離脱していた満田誠が3カ月ぶりにピッチに戻ってくるなど、一時は続出していたケガ人も復帰し出し、チームはようやく上向きになりつつある。リーグ戦は残り11試合。広島は現在の8位から一つでも上の順位へ上がっていくべく、すべての力を注いでいく。
 その意味でも今節は勢いをつけるには最高の相手だ。ホームに迎える相手は、2017年~21年までの5年間で4度のリーグ制覇を果たした超強豪の川崎F。今季こそ、ここまで9勝5分9敗の9位と広島より一つ下の順位におり、例年になく苦戦が続いているが、戦力や戦いぶりを見ても高い実力を備えているのは間違いなし。特に近年の広島にとって川崎Fは大の苦手であり、最後に勝利したのは4年前の2019年7月31日(J1第16節)。そこから今年6月までの8試合で2分6敗と圧倒的に負け越している強敵相手に、広島は今の実力を試すことになる。
 ポイントは、やはり川崎Fの代名詞である流動的なコンビネーションサッカーを封じられるかだ。敵地で戦った前回対戦では、序盤からチャンスを多く作り出したとは言え、決め切れずに時間が過ぎると、後半に鋭いカウンターから脇坂泰斗に決められて0-1の敗戦。スキッベ監督が就任以降、川崎F相手に3試合で1点も取れていない現実はあるが、川崎Fの力強い攻撃を止めきれずに失点しているのも事実であり、ここを防がなければ勝利もない。今夏に加わった元フランス代表のバフェティンビ・ゴミスが出てくるかは不透明だが、天才アタッカーの家長昭博やJ随一の司令塔・脇坂泰斗、高い得点力を備える瀬川祐輔など、前線にはタレントが揃っている。ハマればJトップクラスの攻撃力を誇る川崎Fをまずは無失点で抑えることが一つのカギとなる。
 その上で浦和戦の攻撃の勢いを持続できるか。「やっとチームは上向きになってきた。良い波に乗れてきているので、そこは繋げていきたい」(スキッベ監督)。昨季に見せ続けていた攻撃スタイルが今季は影を潜めていたが、ようやく蘇ったのが前節・浦和戦だった。前への勢い、迫力あるプレス、サイド攻撃。すべてが高い次元でこなせれば、やはりサンフレッチェは強い。それを川崎F相手に存分に発揮し、勝利することができれば、リーグラスト10試合は勢いに乗ることは間違いない。

監督 試合前日コメント

──川崎F戦では良いゲームをしても勝てない試合が続いているが?
「川崎F相手には点が取れていない。相手というよりも自分たちによるものが大きいと思っている。川崎F戦は私が就任してから1点も取れていない。今は良いチャンスを作れる状況になっているので、そこが一つカギになると思う」

──浦和戦の2ゴールをきっかけに、川崎F戦でも得点を奪いたいところ。
「私も期待している。やっとチームは上向きになってきた。良い波に乗れてきているので、そこは繋げていきたい。我々も川崎Fも思ったように勝点を取れていないシーズンになっているが、本当ならもっと上で良い戦いができていてもおかしくない。実力はお互いにあると思っているので、すごく楽しい試合になると思っている」

──塩谷司選手や満田誠選手がケガから戻ってきた中、浦和戦では良い攻撃ができてゴールが生まれたが?
「戻ってきたことが大きい。戻ってきたことによって練習のクオリティーがまた上がった。高いクオリティーのトレーニングができたことで、全体のパフォーマンスが上がったと思っている」

ゲームレポート

 2万人を超す観衆が集まった一戦は、劇的なシーソーゲームとなった。
 広島の出だしは最高だった。開始1分、志知孝明の直接FKを皮切りに、中野就斗や満田誠も積極的にシュートを放っていくなど勢いに乗ると、序盤からの攻撃姿勢が実ったのは15分だった。左サイド・志知孝明の絶妙なクロスをピエロス・ソティリウがヘッドで合わせる決定機で獲得した右サイドからのCK、満田のキックをそのピエロスが右足で合わせてゴールを奪取。広島にとっては実に8試合ぶりとなる先制点を取ることに成功した。
 だが、前半はそこから苦戦した。次第に川崎Fの持ち味であるポゼッションスタイルを封じることができず押し込まれると、24分に完全に崩されてしまった。相手の連係から右サイドで突破を許すと、クロスを最後は脇坂泰斗に合わせられて失点。早々に同点に追い付かれてしまった。
 その後は互いに譲らぬ激しい攻防となり、川村拓夢が果敢に2本の強烈なシュートを放てば、41分には川崎FのセンターFWである山田新にゴール正面からフリーでシュートを打たれるもGK大迫敬介がビッグセーブ。攻守がすぐに入れ替わる見どころの多い熱戦は、1-1で前半を終えた。
「どっちも良いサッカーをしている。こういう試合を勝ちに行こう!」
 ハーフタイムにミヒャエル・スキッベ監督からそう活を入れられて迎えた後半、指揮官はさっそく動いた。ボランチ・野津田岳人に代えて、新加入のマルコス・ジュニオールを投入。J随一の攻撃力を備える背番号10を後半の頭から起用して勝ち越しを目指した。
 すると、期待の新戦力がいきなり存在感を見せた。54分、56分と加藤陸次樹が決定機を迎えるなど広島が川崎Fを攻め立てると、衝撃のゴールは60分だった。ペナルティーエリア外の左寄りでマルコスがパスを受けると、細かなターンで相手DFをかわしてエリア内へ侵入。そして右足で巻いたシュートでネットを揺らす圧巻の広島デビュー弾を決めて見せた。
 71分に山根視来に決められて試合を振り出しに戻されてしまったのは痛かったが、この日は最後の最後にドラマが待っていた。ハーフライン付近で相手ボールを奪った越道草太からマルコスへとパスが渡ると、これをダイレクトパスで前線へ。このボールに走り込んだ満田が相手GKと1対1になると、右足を豪快に振り抜いて決勝点。「片方は来てくれて非常に嬉しく思っているし、もう片方は帰ってきてくれて非常に嬉しく思っている」(ミヒャエル・スキッベ監督)。広島への加入1試合目で1得点1アシストの衝撃デビューを飾ったマルコス、そして前節にケガから3カ月ぶりに帰ってきた満田の活躍により川崎Fを4年ぶりに撃破した。

監督 試合後コメント

「両チームともセンセーショナルな素晴らしい試合を繰り広げたと思う。どちらも中盤のコンビネーションからシュートまで素晴らしかった。我々のほうがラッキーパンチにより勝つことができたが、そのラッキーパンチが出るまでの試合の流れを我々は引き寄せた部分はある。素晴らしい勝利だったと思っている。強い川崎F相手にここまでオフェンシブなサッカーを繰り広げられたことは非常に満足しているし、今日の勝利に関しては非常に嬉しく思っている」

──復帰2試合目で素晴らしい決勝ゴールを決めた満田誠選手と広島初ゴールを決めるなど素晴らしいプレーを見せたマルコス・ジュニオール選手の二人について。
「片方は来てくれて非常に嬉しく思っているし、もう片方は帰ってきてくれて非常に嬉しく思っている」

──前半途中に交代した塩谷司の状態は?
「前半に相手との接触によるふくらはぎの負傷で、今は固くなっている状態。その後は10分ぐらいプレーを続けていたが、やはりできないということだったので交代せざるを得ない状況になった。ただ、今聞いている状況では、ひどくないようなので1週間ぐらいで帰ってくると思っている」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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