9.30 19:00

明治安田J1 第29節 vs. 名古屋グランパス
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
1
名古屋グランパス 名古屋
0
前半
0
3
後半
1
  • 後半12分
    キャスパーユンカー

試合の見どころ

 とにかく一戦必勝あるのみだ。8月中旬から4勝1分の好成績で上位を猛追していた広島だったが、敵地で戦った前節・京都戦では相手の倍以上のシュートを放ちながらも0-1の悔しい敗戦。勝点差8に縮めていた首位・神戸との差は『11』へと広がり、2位・横浜FMとは10差。残り6試合で厳しい差だが、可能性がある限りは前へ突き進むだけだ。これまでも「目の前の戦いに全力を尽くす」という姿勢を貫いてきたミヒャエル・スキッベ監督の下、紫軍団は1試合1試合にすべてを懸けて戦う。
 今節はリベンジの思いもかなり強い。今季の名古屋とはルヴァンカップを含めて3度戦い、3戦全敗。しかも、その内の2試合は逆転負けだ。代名詞である堅守・名古屋から先制点を取ることに成功しても、相手の武器であるスピーディーな攻撃を止められずに失点を重ねた。リーグで4位につける現在も名古屋のスタイルは「ポゼッションというよりは、しっかり守ってのカウンター」(スキッベ監督)に変化はなく、堅守速攻は要注意。攻撃のキーマンだったマテウス・カストロが夏にサウジアラビアのクラブへ移籍したが、広島の中心だった森島司を獲得して穴埋めを図った他、もともと既存の戦力もJ1屈指である。得点源であるキャスパー・ユンカーはここまで12ゴールを挙げ、他にも永井謙佑や前田直輝、森下龍矢、和泉竜司など、攻撃に特長のあるタレントは揃っている。彼らを活かしたカウンターは、やはり一番警戒しなければならない。
 そして“堅守”をいかに崩していくか。現在は5試合連続失点中とやや精彩を欠いているが、守護神・ランゲラック、CB中谷進之介を中心とした名古屋守備陣は、自陣へ引きこもってブロックを築いてくるため攻略は一筋縄ではいかない。広島としては、押し込み続けながらも精度を欠いて得点を奪えなかった前節・京都戦の課題克服が求められる中、どうにか粘り強く打ち崩していきたいところ。そのためには、やはりスキッベ・サッカーの原点であるアグレッシブかつ勇敢な姿勢が求められるのだろう。指揮官は言う。「エディオンスタジアム広島では残り3試合。受け身の戦いではなく、自分たちの良いサッカーをファン・サポーターに見せたい」。サンフレッチェのサッカーを表現できた時、どんな強敵だろうとも打ち勝ってきた。名古屋相手にも、変わらずぶつかっていくのみ。それが一番の勝利への方法だ。

監督 試合前日コメント

──明日の名古屋戦はどういうゲームをしていきたいか?
「アグレッシブに戦いたい」

──良い準備はできたか?
「良い状態の選手がたくさん揃ってきた。何人かケガ人はいるが、その他の選手たちの状態は良いし、良いトレーニングができた。良い状況で明日を迎えられると思う」

──明日はキープレーヤーとして森島司選手が注目を集めると思うが?
「間違いなく彼がキープレーヤーになると思っている。移籍していった選手ともう一度、こういった形で会えるのは良いことだと思う。モリシだけでなく、野上(結貴)もいる。今季の名古屋は良い状態で、そのチームで彼らはしっかりと役割を担ってやっているのは嬉しい。ただ、今季は名古屋と3回戦ってすべて負けている。明日は負の記録は打ち切りたいと思っている」

──森島選手はどこが危険か?
「誰が出ようと相手より良いことをやれば良い。相手を上回ることが大事。個人としてもチームとしてもそう」

──名古屋の強さはどのあたりか?
「まず良いGKがいて、彼を中心にコンパクトに良いディフェンスをする。セットプレーも危険だし、カウンターも良いものを持っている。強いチームだが、我々がやることはいつもどおり。前からプレスに行き、ボールを奪う。そのサッカーをしながら勝ちに行きたい」

ゲームレポート

 まさにチーム一丸で“堅守・名古屋”を攻略した。
 全体的に広島が主導権を握った戦いだった。前半の相手の決定機は14分に前田直輝に作られた1本ぐらい。それ以外は広島がポゼッション率を高めてゲームを支配する中、得意のサイド攻撃やセットプレー、中央からの崩しを交えながら得点を目指した。6分、満田誠のFKからピエロス・ソティリウが決定機を迎えた後は、自陣へ引いてブロックを築く名古屋守備陣をなかなかうまく崩せなかったが、川村拓夢がペナルティーエリア外からクロスバーに直撃する強烈な左足シュートを放てば、左サイド・志知孝明のクロスから加藤陸次樹がヘッドでゴールを襲う。ネットを揺らしながらオフサイドで取り消しになった2つの形も含めて、広島の方が攻撃に特長を出す前半の戦いとなった。
「素晴らしい試合をしているぞ!」
 ハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督からそう声をかけられて後半の戦いに臨んだ広島だったが、警戒していた名古屋の武器を許してしまったのは57分だった。高い位置を取っていた最終ラインの背後をキャスパー・ユンカーに取られると、冷静に決められて失点。前半から良い戦いをしながら先制点を許す苦しい展開になってしまった。
 そうなると、スキッベ監督は動いた。63分、マルコス・ジュニオールとピエロスを下げ、エゼキエウとドウグラス・ヴィエイラのブラジル人コンビを投入。さらに71分には、志知孝明と中野就斗の両サイドに代え、東俊希と越道草太を同時に入れて同点を目指した。
 すると、この采配がいきなりハマった。72分、ファーストタッチとなった右サイド・越道のクロスをゴール前で加藤が右足で合わせて1-1。根気強く名古屋守備陣の攻略を目指していた紫軍団の攻撃がようやく実った。
 これで勢いに乗った広島は一気に相手を突き放した。81分、エゼキエウの絶妙なスルーパスに抜け出したドウグラスがペナルティーエリア内で倒されて獲得したPK。これを背番号9は冷静に突き刺して早くも逆転に成功した。
 その後も攻撃の手を緩めずにゲームを進めた広島は、85分にエゼキエウも得点を重ねて3-1。今季3戦全敗と相性の悪かった名古屋に対し、4度目の正直でようやく勝点3を奪った。
 見事な逆転勝利に試合後のスキッベ監督は、「今日はチャンスの数を含めて、我々は勝利に値する良いゲームだった。今日は全員が良かったが、特に途中交代で入った選手たちが良かったと思っている」とチームの流れを変えた“切り札”の選手たちを称えた。

監督 試合後コメント

「すごく緊迫感のあるレベルの高い試合だったと思う。どちらのチームも自分たちの良さを出しながら前に進む、ゴールを目指すことをやっていた。ただ、今日に限って言えば、特に後半は我々のチームのほうがそういう機会は多かったと思う。今日はチャンスの数を含めて、我々は勝利に値する良いゲームだった。今日は全員が良かったが、特に途中交代で入った選手たちが良かったと思っている。彼らが我々のチームに熱さを入れてくれた。また、アンラッキーな失点から落ち込むことなく、さらにギアを挙げて、より情熱的にゴールを目指すことができた。その姿勢は素晴らしかった。ここからしばらくリーグ戦は空くが、その前に良い形で勝利できたのは良かったと思うし、残り5試合もできるだけポイントを取りたいと思っている」

──今日の勝利で順位が5位となった。さらに上を目指せると思うが?
「我々がやることと言えば、今日、7位から5位に上がったように、次の試合でもポイントをしっかり取って、また上がること」

──越道草太選手のクロスが加藤陸次樹選手とエゼキエウ選手のゴールを呼び込んだ。彼の成長について。
「全体的に彼の成長には満足しているし、徐々に安定感も出てきている。まだ19歳なので、例えば23・24歳の(満田)マコや(川村)拓夢だったり、ああいうところ(のレベル)まで行くには、まだまだ時間はある。ただ、中野(就斗)に代わって入った時には、若さの良い部分がプレーに出たと思っている。逆サイドの(東)俊希にも同じことが言える。(志知)タカもすごく良いプレーをしていたが、俊希が入ったことでさらにギアが上がったと思っている」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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