試合の見どころ
“鬼門突破”が上位への道だ。2023シーズンも残り4試合。前節・C大阪戦の引き分けにより、リーグ制覇への道が途絶えてしまった5位・広島だが、3位・浦和との勝点差は「5」とまだまだ上の順位は射程内である。「上を狙うために、もう1試合も落とせない」(加藤陸次樹)。今季は無冠に終わろうとも、選手たちも現状から一つでも上の順位を目指しており、モチベーションは十分。今節の相手は2021年から4連敗中と苦手としているFC東京だが、この“鬼門”を乗り越えることで上位が見えてくる。
もちろん、相手は強敵だ。今季はシーズン途中に監督交代があるなど、なかなか波に乗り切れていない10位・FC東京だが、選手の顔ぶれを見ればやはり強烈なタレントが揃っている。前線はディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、仲川輝人が並ぶ実績十分の強力3トップ。中盤には渡邊凌磨、原川力、松木玖生ら実力のある日本人が名を連ね、最終ラインも元日本代表である森重真人や長友佑都を筆頭に猛者ぞろいだ。勢いに乗れば優勝争いをしていてもおかしくないチーム力を備えているのがFC東京であり、今の順位が不思議なほど。前節は最下位・横浜FCに0-1で敗れているとはいえ、もともと地力の高いチームとあって今節も難しいゲームになるのは必至だ。
ただし、勝利のポイントは、その横浜FC戦にあるかもしれない。前節の横浜FCは、スピードのあるFC東京攻撃陣に対して最終ライン背後のスペースを与えることなく組織的な守備を見せ、反対にボールを奪えば素早い攻撃で浅いFC東京守備陣の裏を突いてチャンスを作り出していた。やはり個の能力が高いディエゴ・オリヴェイラやスピードのあるアダイウトン&仲川輝人はスペースがあってより生きるタイプ。広島としても彼らの特長が出やすいスピーディーな攻撃を組織的な守りで封じ、攻撃に移れば手数をかけない速い攻めで果敢に突いて行くことができるか。いくら相手を押し込んでチャンスを作り続けても、無得点で進めば相手には一発のカウンターで仕留められる力がある。広島は90分間、集中の途切れない守備をベースに2019年以来の“FC東京戦勝利”をもぎ取りたいところだ。
もちろん、相手は強敵だ。今季はシーズン途中に監督交代があるなど、なかなか波に乗り切れていない10位・FC東京だが、選手の顔ぶれを見ればやはり強烈なタレントが揃っている。前線はディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、仲川輝人が並ぶ実績十分の強力3トップ。中盤には渡邊凌磨、原川力、松木玖生ら実力のある日本人が名を連ね、最終ラインも元日本代表である森重真人や長友佑都を筆頭に猛者ぞろいだ。勢いに乗れば優勝争いをしていてもおかしくないチーム力を備えているのがFC東京であり、今の順位が不思議なほど。前節は最下位・横浜FCに0-1で敗れているとはいえ、もともと地力の高いチームとあって今節も難しいゲームになるのは必至だ。
ただし、勝利のポイントは、その横浜FC戦にあるかもしれない。前節の横浜FCは、スピードのあるFC東京攻撃陣に対して最終ライン背後のスペースを与えることなく組織的な守備を見せ、反対にボールを奪えば素早い攻撃で浅いFC東京守備陣の裏を突いてチャンスを作り出していた。やはり個の能力が高いディエゴ・オリヴェイラやスピードのあるアダイウトン&仲川輝人はスペースがあってより生きるタイプ。広島としても彼らの特長が出やすいスピーディーな攻撃を組織的な守りで封じ、攻撃に移れば手数をかけない速い攻めで果敢に突いて行くことができるか。いくら相手を押し込んでチャンスを作り続けても、無得点で進めば相手には一発のカウンターで仕留められる力がある。広島は90分間、集中の途切れない守備をベースに2019年以来の“FC東京戦勝利”をもぎ取りたいところだ。
監督 試合前日コメント
──FC東京の現状について。
「直近3試合では二つ勝っているので、それほど悪くないと思っている。ストライカーも良い。今のJリーグでも一番良いストライカーの一人だと思っている。ここまでFC東京との対戦成績はあまり良くないし、苦しめられた部分もあるが、今の自分たちは良い状況にある。少なくとも1ポイントは取って帰りたい」
──ディエゴ・オリヴェイラ選手の特長は広島の選手も分かっていると思うが、他のスピードのある選手の突破も警戒しないといけないか?
「難しい部分もあると思うが、明日は面白い試合になると思うし、そういった(スピードの)部分の勝負になる」
──今回はC大阪戦から1週間後のゲームだが、FC東京戦が終わればまた2週間空く。シーズン終盤に試合間隔が空くのは、コンディション的に難しい部分はあるか?
「コンディション的にはまったく問題ない。試合を見てもられば分かると思うが、我々はいつも後半のほうまで集中を切らさずにやっていけているし、最後にポイントを取ったゲームもある。前節・C大阪戦も後半の最後のほうでチャンスを何個も作ることができていた。そういったことを考えても、試合間隔が空いたからといってコンディション的に難しいわけではない」
「直近3試合では二つ勝っているので、それほど悪くないと思っている。ストライカーも良い。今のJリーグでも一番良いストライカーの一人だと思っている。ここまでFC東京との対戦成績はあまり良くないし、苦しめられた部分もあるが、今の自分たちは良い状況にある。少なくとも1ポイントは取って帰りたい」
──ディエゴ・オリヴェイラ選手の特長は広島の選手も分かっていると思うが、他のスピードのある選手の突破も警戒しないといけないか?
「難しい部分もあると思うが、明日は面白い試合になると思うし、そういった(スピードの)部分の勝負になる」
──今回はC大阪戦から1週間後のゲームだが、FC東京戦が終わればまた2週間空く。シーズン終盤に試合間隔が空くのは、コンディション的に難しい部分はあるか?
「コンディション的にはまったく問題ない。試合を見てもられば分かると思うが、我々はいつも後半のほうまで集中を切らさずにやっていけているし、最後にポイントを取ったゲームもある。前節・C大阪戦も後半の最後のほうでチャンスを何個も作ることができていた。そういったことを考えても、試合間隔が空いたからといってコンディション的に難しいわけではない」
ゲームレポート
紫軍団が“鬼門”を乗り越えた。
リーグ戦の対戦成績で4連敗中と苦手にしている難敵・FC東京との一戦。試合は前半から激しい打ち合いとなった。開始直後から前への圧力を強めてきたFC東京の攻撃を体を張って耐えしのぐと、次第に広島もチャンスを創出。7分、左CKから佐々木翔が頭で合わせる決定機を作れば、続く8分には加藤陸次樹が自らの突破で相手GK強襲のシュートを放つ。その後は中盤での激しいボールの奪い合いが繰り返される肉弾戦が続く中、ゴール前へボールを運んだときにはお互いに1本ずつ決定機を迎えた。25分、左サイド・東俊希のアーリークロスを加藤が頭で合わせるも相手GKがファインセーブ。反対に広島は左サイドをディエゴ・オリヴェイラに攻略されると、中央へのクロスをバングーナガンデ佳史扶にフリーでシュートを打たれたが、これはクロスバーに助けられた。どちらにもチャンスが生まれる『味の素スタジアム』での熱闘。お互いに好機をモノにできず、0-0で前半を終えた。
「全体的に面白い、良い戦いができている。後半も最初から全力で行こう!」
ハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督にそう声をかけられて臨んだ後半の紫軍団は、まさに指揮官の言葉をいきなり体現した。立ち上がりからリズムをつかんだ広島にチャンスが訪れたのは、後半開始から3分後だった。相手陣地での空中に浮かんだルーズボールを前へ運ぶと、中野就斗のパスをペナルティーエリア付近で受けた加藤が巧みなターンで相手DFを置き去りにする。そのままエリア内へ侵入して左足を振り抜いたシュートはゴールネットに突き刺さり、広島が先制に成功した。
だが、試合はやはりそう簡単に進まなかった。前半同様、至るところでバトルが繰り広げられる攻防となる中、広島は悪くない試合運びを見せていたが、チャンスをモノにされてしまったのは62分だった。右サイドをFC東京の快速ウインガーであるアダイウトンに突破されると、中央へのクロスを荒木隼人がスライディングで何とか足に当てるも自陣ゴールへ吸い込まれ失点。早くも同点に追い付かれてしまった。
激闘はその後も続く中、広島はより攻撃へのパワーを強めていく。64分に塩谷司のスルーパスをフリーで受けた加藤が決定機を迎えた他、エゼキエウもキレのあるドリブル突破から単独でチャンスを作り出す。そして、前半よりも相手を押し込む時間を増やして何とか決勝点を目指した広島の執念が実ったのは、75分だった。ゴール前、満田誠がドウグラス・ヴィエイラとのワンツーで相手DFをかわしてペナルティーエリアへ進出すると、強烈な左足シュートを突き刺して2-1。これが決勝点となり、広島がFC東京に対して2019年以来の勝利を奪った。
「今日はお互いにとってすごく良い試合だったと思う。我々のチームが特に称賛に値する部分と言えば、1-1の同点になった後にまた1ランクギアが上がって、1ランク高い強度でサッカーができるようになったところは評価している」(スキッベ監督)。スコア以上の激しい打ち合いを広島が粘り強く制した。
リーグ戦の対戦成績で4連敗中と苦手にしている難敵・FC東京との一戦。試合は前半から激しい打ち合いとなった。開始直後から前への圧力を強めてきたFC東京の攻撃を体を張って耐えしのぐと、次第に広島もチャンスを創出。7分、左CKから佐々木翔が頭で合わせる決定機を作れば、続く8分には加藤陸次樹が自らの突破で相手GK強襲のシュートを放つ。その後は中盤での激しいボールの奪い合いが繰り返される肉弾戦が続く中、ゴール前へボールを運んだときにはお互いに1本ずつ決定機を迎えた。25分、左サイド・東俊希のアーリークロスを加藤が頭で合わせるも相手GKがファインセーブ。反対に広島は左サイドをディエゴ・オリヴェイラに攻略されると、中央へのクロスをバングーナガンデ佳史扶にフリーでシュートを打たれたが、これはクロスバーに助けられた。どちらにもチャンスが生まれる『味の素スタジアム』での熱闘。お互いに好機をモノにできず、0-0で前半を終えた。
「全体的に面白い、良い戦いができている。後半も最初から全力で行こう!」
ハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督にそう声をかけられて臨んだ後半の紫軍団は、まさに指揮官の言葉をいきなり体現した。立ち上がりからリズムをつかんだ広島にチャンスが訪れたのは、後半開始から3分後だった。相手陣地での空中に浮かんだルーズボールを前へ運ぶと、中野就斗のパスをペナルティーエリア付近で受けた加藤が巧みなターンで相手DFを置き去りにする。そのままエリア内へ侵入して左足を振り抜いたシュートはゴールネットに突き刺さり、広島が先制に成功した。
だが、試合はやはりそう簡単に進まなかった。前半同様、至るところでバトルが繰り広げられる攻防となる中、広島は悪くない試合運びを見せていたが、チャンスをモノにされてしまったのは62分だった。右サイドをFC東京の快速ウインガーであるアダイウトンに突破されると、中央へのクロスを荒木隼人がスライディングで何とか足に当てるも自陣ゴールへ吸い込まれ失点。早くも同点に追い付かれてしまった。
激闘はその後も続く中、広島はより攻撃へのパワーを強めていく。64分に塩谷司のスルーパスをフリーで受けた加藤が決定機を迎えた他、エゼキエウもキレのあるドリブル突破から単独でチャンスを作り出す。そして、前半よりも相手を押し込む時間を増やして何とか決勝点を目指した広島の執念が実ったのは、75分だった。ゴール前、満田誠がドウグラス・ヴィエイラとのワンツーで相手DFをかわしてペナルティーエリアへ進出すると、強烈な左足シュートを突き刺して2-1。これが決勝点となり、広島がFC東京に対して2019年以来の勝利を奪った。
「今日はお互いにとってすごく良い試合だったと思う。我々のチームが特に称賛に値する部分と言えば、1-1の同点になった後にまた1ランクギアが上がって、1ランク高い強度でサッカーができるようになったところは評価している」(スキッベ監督)。スコア以上の激しい打ち合いを広島が粘り強く制した。
監督 試合後コメント
「今日はお互いにとってすごく良い試合だったと思う。お互いにオフェンシブなサッカーを繰り広げた。その中で、どちらも勝利を目指して頑張った素晴らしい試合だったと思う。相手も多くのチャンスを作っていたし、前半からクロスバーに当たるシュートや内側に跳ねていたならば(ゴール)というシーンもあった。また、相手GKも素晴らしいセーブを見せていた。ただ、我々のチームが特に称賛に値する部分と言えば、1-1の同点になった後にまた1ランクギアが上がって、1ランク高い強度でサッカーができるようになったところは評価している。そして、最終的に、やっとFC東京から3ポイントが取れた。そこはすごく満足している」
──1-1の同点になった後はFC東京に勢いを与えてしまったが、そこから盛り返したのは監督の指示があったのか。それとも選手たちが自主的にやったのか。
「選手は何をしないといけないのか、自分のやるべき責任がもう一度、明確になったと思う」
──3位・浦和まで勝点3差だが、残り3試合でACLは意識するか?
「そのためには、まずは札幌戦で3ポイントを取らないといけない」
──先制点は加藤陸次樹選手の素晴らしい個人技だった。2点目はコンビネーション。選手の成長、バリエーションが見えたが、攻撃の部分について。
「2点とも素晴らしい展開からのゴールだったし、シュートも素晴らしかった。ただ、今日の一番良いパスは後半に塩谷(司)から加藤に出たパス。加藤は外してしまったが、あのパスは素晴らしかった(笑)」
──前半はお互いにチャンスを作り合った激しい試合だった。後半の45分だけを見れば広島がチャンスを作っていた。前後半で何が違ったか?
「前半を終えた時点で『後半は何をして行こうか』という中で、『もう一度高い位置から当たって行こう』と確認した。そのため、1点目も相手のミスを誘発し、高い位置でボールを奪ってからのゴールだった。一番理想の形で点が取れたと思っている」
──1-1の同点になった後はFC東京に勢いを与えてしまったが、そこから盛り返したのは監督の指示があったのか。それとも選手たちが自主的にやったのか。
「選手は何をしないといけないのか、自分のやるべき責任がもう一度、明確になったと思う」
──3位・浦和まで勝点3差だが、残り3試合でACLは意識するか?
「そのためには、まずは札幌戦で3ポイントを取らないといけない」
──先制点は加藤陸次樹選手の素晴らしい個人技だった。2点目はコンビネーション。選手の成長、バリエーションが見えたが、攻撃の部分について。
「2点とも素晴らしい展開からのゴールだったし、シュートも素晴らしかった。ただ、今日の一番良いパスは後半に塩谷(司)から加藤に出たパス。加藤は外してしまったが、あのパスは素晴らしかった(笑)」
──前半はお互いにチャンスを作り合った激しい試合だった。後半の45分だけを見れば広島がチャンスを作っていた。前後半で何が違ったか?
「前半を終えた時点で『後半は何をして行こうか』という中で、『もう一度高い位置から当たって行こう』と確認した。そのため、1点目も相手のミスを誘発し、高い位置でボールを奪ってからのゴールだった。一番理想の形で点が取れたと思っている」
フォト
本日は広島からは遠い東京での試合となりましたが、約3,000名もの方にお越しいただきました。
皆様の力強い後押しが、2019年以来のFC東京戦勝利に繋がりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました。
皆様の力強い後押しが、2019年以来のFC東京戦勝利に繋がりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました。