2.23 14:00

明治安田J1 第1節 vs. 浦和レッズ
HOMEエディオンピースウイング広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
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浦和レッズ 浦和
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前半
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後半
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試合の見どころ

 新時代の幕開けだ。本拠地を広島市内中心部にある『エディオンピースウイング広島』に移して迎える元年、サンフレッチェに関わる方々だけでなく、広島県民の期待をも受けて臨むシーズンとなる。新スタジアムの建設に向けては10年以上も前から署名活動などは始まっており、完成までに紆余曲折があったぶん「先輩たちの思いも受け継いで戦わないといけない」と加入21年目の青山敏弘は強い思いを語る。新しいスタジアムに興味を持って応援を始めてくれた人たち、ずっとサンフレッチェを応援してくれている人たち、そして完成までに尽力してくれた人たち、さまざまな思いを持った“サンフレッチェファミリー”と共にスタートを切る。
 その初戦から“優勝候補”との激突となる。2013年以来の開幕戦での対決となる浦和は、今季のJ1で一番と言っていい“大型補強”を敢行したチームだ。「もともと浦和はすごく強いチームだったにも関わらず、経験値の豊富な新しい監督が来たということで、さらに新しい要素が加わって、また強くなっていくと思います。間違いなく、今シーズンのリーグをリードしていくチームだと思っています」。そうミヒャエル・スキッベ監督が警戒する浦和は、新たな指揮官としてノルウェー代表を3年間率いたことのある経験豊富なペア・マティアス・ヘグモ監督が就任したのを皮切りに、選手も強烈な外国籍助っ人を中心に特色のあるプレーヤーを多く獲得。ストライカーには、清水でJ1得点王の実績を持つチアゴ・サンタナを加え、中盤にはイタリアの名門・ローマから現役ノルウェー代表のオラ・ソルバッケンを期限付きで、スウェーデン代表経験のあるサミュエル・グスタフソンを完全移籍で獲得した。
 さらに名古屋から前田直輝、FC東京から渡邊凌磨と、攻撃能力の高い日本人アタッカーも次々と補強。既存戦力でも豊富なメンバーを揃えるJ屈指の“ビッグクラブ”である浦和が今季は本気のチーム編成に出ている。
 そんな浦和に広島は“積み上げ”で挑むことになる。「それが自分たちの強み。研ぎ澄ましていきたい」(佐々木翔)と約3週間に及んだ宮崎キャンプでは、過去2年間で培ってきた“スキッベ・サッカー”の上積みを徹底して図ってきた。攻撃的でアグレッシブなスタイルを担ってきた昨季からの主力がほぼ残っただけでなく、新戦力として昨季の湘南で13得点を挙げた大橋祐紀を獲得するなど戦力もアップ。間違いなく、過去2年のサンフレッチェより進化しているのは間違いない。熟成の広島か、新生・浦和か。まさに『エディオンピースウイング広島』の幕開けにふさわしいビッグマッチだ。

監督 試合前日コメント

──いよいよ新シーズンの幕開けですが?
「本当に楽しみにしています。6週間という準備期間は長いので、ついに始まることを嬉しく思っています。今年は20チームに増えることから、たくさん試合もある。さらにアジアの大会にも出る。本当に楽しみにしています」

──浦和の印象は?
「もともと浦和はすごく強いチームだったにも関わらず、経験値の豊富な新しい監督が来たということで、さらに新しい要素が加わって、また強くなっていくと思います。間違いなく、今シーズンのリーグをリードしていくチームだと思っています」

──相手は広島と同じように「ハイプレスを仕掛けていきたい」と言っていますが、浦和の戦術について。
「相手も良い選手は揃っています。後ろはすごく安定した守備がありますが、それを前提にさらに良い選手をたくさん獲ってきた。もともと走力のある選手は揃っていたので、プレスに来ることは十分に考えられますし、彼らにとっても良いサッカーになるのではないでしょうか」

──もうメンバーは決まっていますか?
「ほとんど決まっています。もう一度、コーチ陣と話をして、その後に選手に発表したいと思います」

──監督は時々、メンバーでサプライズを起こしますが?
「そんなこと一回もやっていません(笑)。メンバーに関して言うと、自分たちがやっているサッカーの中でどういうバリエーションができるかをしっかり考えて、いろんな場面を想定してメンバーを決めたい。自分たちの強度の高いサッカーに一番合う選手たちを選んでいきたいと思っています」

──開幕戦は「いつもどおりのプレー」を出すのが難しい空気感だと思いますが、前半の最初から行くために何が必要ですか?
「審判が笛を吹いた瞬間から行けばいい(笑)。もちろん笛が鳴った瞬間からサッカーがやりたくて仕方のない22人がピッチにいるわけですから、その選手たちが自分の持っているものをすべて出すことを重要視すれば、最初から魅力的なサッカーができるのではないかと思っています」

ゲームレポート

 記念すべき船出で紫軍団が躍動した。『エディオンピースウイング広島』、そして2024シーズンの開幕となった一戦。今季の優勝候補である浦和を迎えたサンフレッチェは90分を通して力を存分に発揮することになった。
 チケットは完売。27,545人の観衆で膨れ上がった満員のスタジアムの中で前半から広島が圧倒した。開始5分、浦和の小泉佳穂に決定機を作られたものの、その後は持ち味であるハイプレスをベースとした戦いで主導権を掌握。相手のビルドアップに対して激しい守備で自由を許さず、攻撃に移れば素早い攻めで浦和ゴールへ迫り続ける。開始10分の満田誠のミドルシュートを皮切りに、ピエロス・ソティリウや加藤陸次樹、大橋祐紀も立て続けに遠い位置からだろうとゴールを狙っていった。ほぼ相手陣地でサッカーを展開する完全な広島ペースの中、昨季はリーグNo.1の堅守を誇った浦和守備陣を破ったのは広島の新戦力だった。前半終了間際の45分、川村拓夢の強烈な左足ミドルシュートはGK西川周作に弾かれたが、そのこぼれ球に素早く反応したのは湘南から移籍してきた大橋。記念すべきEピース初得点は、背番号77が奪って見せた。
「これまで本当に素晴らしい。これぐらい勇敢で魅力的なサッカーを続けよう」
 ミヒャエル・スキッベ監督がそう言葉をかけて臨んだ後半も広島のペースは変わらなかった。前半同様、高い位置からのアグレッシブな守備で相手を自陣へ釘付けにすると、チャンスを演出。52分に大橋が獲得したPKはピエロスが外してしまったが、その嫌な流れを変えたのは、またしても背番号77だった。その3分後の55分、加藤が左サイドでドリブルで持ち運び、右足でアーリークロスを送り込むと、中央に走り込んだ大橋がヘディングでネットを揺らして追加点。相手を突き放す、貴重な2点目となった。
 その後は選手交代を積極的に使って圧力を強めてきた浦和に押し込まれる時間も増えたが、チャンスは作られながらも要所はしっかりと締めて完封。「浦和という素晴らしい相手に対してこういう素晴らしいゲームができて嬉しく思う」(ミヒャエル・スキッベ監督)2-0で勝利した紫軍団は、見事な内容と結果を開幕戦から示した。

監督 試合後コメント

「開幕戦に相応しい、素晴らしい緊迫感のある良い試合でした。今年のJリーグは大迫敬介の素晴らしいセーブから始まったという感じがします。時間が経つにつれて我々も落ち着いてきて、守備が安定したところから自分たちの強さを見せられたと思います。また、前半に大橋祐紀のゴールでリードできたのは良かった。70分ぐらいまでは前からボールを奪うことができましたし、自分たちの良さを強く出せた試合だったと思います。
 その後に関して言えば、相手も盛り返してきて、3つ4つ危険なシーンはありました。我々は最初からプレスに行っていたことで最後の最後まで持たない部分があったのかもしれません。ただ、まだ初戦ですし、浦和という素晴らしい相手に対してこういう素晴らしいゲームができて嬉しく思います」

──前半からペナルティーエリアの外からシュートを打つシーンが多かったですが、監督の指示だったのでしょうか?
「できるだけ早くシュートを打とうという戦術的なところもありました。ミドルシュートは少し力み過ぎていました。もう少し狙いすまして打っていたらもっと良かったと思います。最後の質で言うと力み過ぎていたり、(ミドルシュートで)大きなチャンスになっていたかと言うと、そうではなかったシュートが多かったと思います」

──新スタジアムで素晴らしい雰囲気を作ってくれたファンについて。
「スタジアムの建築上、声が響く良い雰囲気の中で戦うことができて勇気づけられました。それは相手も同じだったと思います。サッカーは満員の素晴らしいスタジアムの中でできることは本当に幸せです」

──シャドーで起用した大橋祐紀が2得点を挙げました。彼の評価について。
「昨年の夏に(加藤)陸次樹が来た時と同じような感じで、自分たちの攻撃のバリエーションが増えたと思っています。良い選手が来たという印象です。二人とも組織の中で働いてくれるチームプレーヤー。その中で相手にとって脅威になれる。そういった部分で自分たちの攻撃のバリエーションが増える良い選択肢になっています」

──危ないシーンがあった中でのクリーンシートでした。大迫敬介選手を含めて守備陣の評価について。
「まず自分たちのサッカーの特長に前からボールを奪いに行くことがあります。それがうまくいけばシュートまで行ける。ただ、浦和のように技術があるクラブは、それを何回もかわして自陣まで来る。そういった時に試されるのがDF陣の能力だと思っています。もちろん敬介は現時点では日本人で間違いなくトップのGKだと思います。彼のパフォーマンスも素晴らしかったですが、それだけではなく、(荒木)隼人、塩谷(司)、(佐々木)翔、彼ら3人も本当に素晴らしい活躍をしたと思います」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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